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エ 審査活動
[ (1) 不当労働行為救済制度とは | (2) 不当労働行為とは | (3) 審査手続 | (4) 命令・決定に不服の場合 | (5) 命令の確定と使用者の履行義務 | (6) 審査の実施状況 ]
(3) 審査手続
[ ア 申立て | イ 審査委員等の選任 | ウ 答弁 | エ 審査活動 | オ 命令・決定 | カ 和解・取下げ | キ 審査の実効確保の措置 | 申立書・申請書等 ]
審査は、調査と審問の2段階に分かれます。(審査の目標期間について)
当事者(本人・代表者)は、調査及び審問を通じて代理人や補佐人を選任することができます。
これには 審査委員 の許可が必要です。
代理人、補佐人は、調査・審問において陳述や証人尋問等をすることができます。
ただし、本人、代理人が欠席の場合には補佐人単独で陳述や証人尋問等をすることはできません。
代理人、補佐人には事件の事情に詳しい上部団体の役員や労務担当役員、部課長等を選任することができます。
また、弁護士を代理人に選任した場合、弁護士のみを審査期日に出頭させることなく、必ず、本人又は労使関係に直接関与した責任者が代理人、補佐人として出席してください。
調査及び審問の内容については、労働委員会事務局の担当職員が、当事者の陳述や証人の証言等を記録した調査調書及び審問調書を作成します。
当事者及び関係人は、これらの調書について閲覧、謄写することができます。
調査
(ア)事務局調査
申立書 が被申立人に到達すると、労働委員会事務局の担当職員が被申立人を訪問の上、手続の説明を行うとともに、当事者の資格等について必要な調査を行います。
(イ)委員調査
被申立人から 答弁書 の提出がなされると、委員による調査を行います。その日時・場所(「調査期日」といいます。)は、あらかじめ当事者に通知します。
調査は、当事者双方の主張の争点を明らかにし、かつ、それぞれの主張を裏付けるために提出された証拠を整理・確認すること等を目的として行います。そして、争点、審問回数・期間、証人数、命令の交付時期等に係る審査計画を策定します。
そのため、書証・人証等の証拠については、できるだけ審査計画策定前に提出してください。
調査は、原則として 答弁書 の提出期限後に、当事者の出席を求めて非公開で行います。
審問
審問は、不当労働行為の事実があるかどうかを明らかにすることを目的として、次のように行われます。
(ア)開始
審問は、審査計画に従って実施されます。
(イ)審問の公開
審問は、当事者双方の出席の下に原則として公開で行われます。
したがって、審問は誰でも傍聴することができます。
(ウ)審問期日への出席
審問の日時・場所(「審問期日」といいます。)は、あらかじめ当事者に通知します。
審問期日がいったん決定されると、当事者からの期日変更の申出は相当の理由がない限り認められません。
また、当事者が審問を軽視し、あるいは審査の遅延等を目的として出席を拒否したときは、一方当事者のみの出席で審問を開くことがありますから、出席しないことは不利な結果を招くことにもなりかねません。
(エ)立証
当事者は、各自の主張を裏付けるため、証拠に基づき立証する必要があります。
しかし、それはすべての事実ではなく、調査で整理された争いのある事実についてであり、当事者間で争いのない事実については立証する必要がありません。
立証は、主として書証の提出と証人又は当事者本人(「証人等」といいます。)の尋問の方法によります。当事者の申立て又は職権で、事実認定に必要な、証人等の出頭、物件提出を命じることがあります。
a 書証
書証とは、文字で記載されたものに限らず、記号、絵、写真等も含まれます。
申立人提出の書証には「甲第○号証」、被申立人提出の書証には「乙第○号証」として連番で書証番号を付け、番号順に証拠申入・説明書に記載し、立証趣旨を簡単に記入してください。
b 証人等
証人等は、当事者の申請に基づいて決定しますが、場合によっては職権で審査委員が決定することがあります。
証人等を申請する時は、証人等尋問事項書を提出しなければなりません。この場合、原則として審査計画策定時までに遅くとも当該審問期日の2週間前までに提出してください。
証人等尋問は、証人等の宣誓後、証人等を申請した方が主尋問を行い、次に、相手方が主尋問の範囲内で反対尋問を行います。
また、審査委員、参与委員は、当事者の尋問終了後又は尋問中、随時必要に応じて証人等に尋問します。
尋問や証言等に際しては、尋問者の心得、証人等の心得に留意してください。
(オ)審問調書の交付
証人等調書は、当事者の申出により、その写しを交付します。
なお、調書記載事項に疑義がある場合は、事務局に申し出て、録音テープの聴取を行うことができます。
(カ)最後陳述・審問終結
審査委員は、証拠調べが終わり、不当労働行為の存否についての心証を得た場合、審問を終結します。
審問の終結に先立って、当事者に審問終結の日を予告し、最後陳述の機会を与えます。
最後陳述とは、当事者が審査の全資料を検討し、それらを整理し証拠を引用するなどして、自己の主張が正当である旨述べることですが、通常、書面によって行います。