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知事定例記者会見 令和7年6月3日(火曜日)

更新日:2025年6月3日更新 印刷

知事定例記者会見 令和7年6月3日(火曜日)

この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。

この知事記者会見録の模様は、  ふくおかインターネットテレビ  で動画配信しています。

発表事項

  • 令和7年度当初予算の概要(財政課)

  • 過去最高を更新!令和6年度県税収入(税務課)

県税収入が過去最高を更新!  [PDFファイル/432KB]

  • 「ふくおか県芸術文化祭」ロゴマークを決定しました!(文化振興課)

「ふくおか県芸術文化祭」ロゴマークを決定しました!  [PDFファイル/412KB]

(知事)

 皆様こんにちは。今日は私の方から発表事項は3つです。

 まず予算についてです。今日は、6月10日に開会予定の6月定例県議会に提案します令和7年度当初予算の概要をご説明申し上げます。今年度は知事選挙が行われまして、4月から7月の暫定予算になっておりましたので、当初予算の発表が今日ということになったわけです。

 まず、この予算のテーマですが、「未来への礎を築き、飛躍・発展する福岡県へ」、これがこの令和7年度当初予算のテーマに掲げております。私も3月の知事選挙で多くの県民の皆様方のご支持をいただくことができまして、引き続き県政を担当させていただくことになりました。この2期目の最初の当初予算を編成するにあたっては、選挙期間中に県内各地で直接県民の皆様からお伺いしたたくさんのご指摘、あるいは切実なお声、こういったものを大切にしつつ、県民の皆様のために何をなすべきであるのかを必死に考え抜き、愛する福岡県の未来、飛躍・発展の「礎」となる施策を予算に盛り込んだところです。

 具体的には、ここに掲げる3つの柱に沿って施策を展開してまいりたいと思います。

 まず、「人を育て、人を惹きつけるまちをつくる」ということです。全ての「礎」はやはり「人」である。福岡県の未来の「礎」を築くためには、福岡県の大切な財である「人」を育てることが何よりも肝要であると考えております。「子育て」や「こどもの健やかな成長」を応援するとともに、性別、年齢、障がいの有無、国籍を問わず、「すべての方」の活躍を応援する、あわせて、「スポーツ」や「文化芸術」の力で人とまちを元気にし、「人」が育つ「礎」となる、「住みつづけたい、住んでみたいまち」をつくってまいります。

 2番目が、「産業を育て、はたらく場を広げる」です。まず、県内雇用の8割を担っていただいています、そして県経済の発展の原動力でございます「中小企業」の皆様の成長を応援し、「スタートアップ」の支援、また「半導体」など「先端技術産業」への支援、これを強化してまいります。合わせて、本県の農業構造の強化、生産力の強化に取り組み、「強い農林水産業」を実現してまいります。そして、これらの産業を支える「礎」、やはり「人」なわけでございます。「産業人材」を育成し、また社会基盤、「インフラ」を整備してまいります。

 そして3番目が、「健全な環境と、安全・安心なくらしを守る」ということです。福岡県では、ご存じのように、毎年のように大雨に見舞われております。その一因として、やはり地球温暖化に伴う気候変動というものが考えられます。健全な「環境」を守り、そして「ワンヘルス」の取り組みを進めるとともに、「防災・減災」対策を強化し、県民の皆様の命と暮らしを守ってまいりたいと思います。また、暮らしの「礎」である生活の安全を守り、「困難を抱える方々」をしっかりと支えてまいりたいと思います。こういった3つの柱に基づきまして、各施策を力強く展開し、未来への「礎」を築いてまいりたいということでございます。

 この予算の規模ですが、2兆1878億円、一般会計ベースです。これは過去2番目に大きい規模となっています。令和7年度の当初予算には新規事業が199件盛り込まれていますが、これは昨年度と同程度であるとお考えいただければと思います。なお、5月27日に閣議決定をされました国の予備費使用に対応した補正予算につきましては、現在編成作業中です。これがまとまり次第、6月議会の会期中に追加提案したいと考えています。

 それでは当初予算の主な事業を少し駆け足になりますがご説明してまいります。

 まず、「人を育て、人を惹きつけるまちをつくる」、「子育てを応援する」では、第3子以降の保育料を無償化します。このため、無償化に取り組むすべての市町村を支援しますため、県独自の補助制度を創設します。現在、国の制度は、3歳未満の子どもがきょうだいと一緒に保育園を利用しますと第3子以降は無償になる、第2子は半額となる、こういう仕組みになっています。しかし、第1子、第2子が小学校に進学した場合には第3子の保育料が有料になる、発生をする、こういう仕組みになっています。県といたしましては、多子世帯の皆様の経済的負担が大きいこと、そして3人以上の子育て世帯が減少していること、こういったことを踏まえまして、第1子の年齢や保護者の所得に関係なく、第3子以降の全ての子どもの保育料を無償化します。

 次に育休です。育休を取り、共育てをする「よかパパ」を応援しようということです。中小企業の皆様に対しましては、男性従業員の育休取得率100パーセント、これを目標に掲げた行動計画の策定を支援してまいります。そして先般、三原じゅん子大臣と女性との意見交換会に出たんですが、そこでも言われましたが、休んでくれるのはいいんだけど役に立たない、ということもあります。要するにスキルと言いますか、家事、育児について役に立たないというご指摘もありますので、家事、育児の実践事例などをまとめた「パパノートブック」というのを作りまして、母子健康手帳をお渡しする際に同時にこの「パパノートブック」をお渡しして、男性の積極的な育児参加を応援してまいりたいと思います。

 それから次に、5歳児健診です。市町村がこの5歳児検診を行っているところもあるわけですが、小児科がないという市町村も結構あります。こういう地域に小児科の医師を派遣する体制をつくる。それと、小児科なら誰でもいいというわけではなくて、やはり5歳受検診ではどういうところを見れば子どもの異常というものが発見できるか、このスキルがいるわけです。これを大体200名ぐらいの小児科の医師の方の研修を行って、この5歳児検診に対応できる医師を育成していきたいと考えております。

 それから次に、「こどもの健やかな成長を応援する」ということで、「未来子どもチャレンジ応援プロジェクト」です。たくさん事業があるんですが、3つほど主なものを挙げております。まず、小学生以下の子どもさんを対象に、仕事とかいろんなお仕事、企業の皆様、航空会社とかいろんなところにご協力いただいています。こういった仕事とか科学、工作、NPOの皆様、あるいは大学の皆様にもご協力いただいています。こういう様々な体験ができるフェスティバルを、福岡地域だけで今まで開催してまいりまして、3,000名からの参加者を得ているわけですが、ぜひ県内の各地域でもやってほしいという声がありまして、北九州、筑豊、筑後の3地域にもこれを拡大することとします。それから、小学校高学年から中学生までを対象にオーストラリアでのホームステイ体験を実施します。

 それから3番目ですが、これは福岡県中小企業経営者協会連合会、いわゆる中経協の皆様と県の共催という形で行います、高校生の皆さんを対象に、海外の大学生の方と自分の将来あるいは世界の未来、課題、こういったことについて議論をする福岡未来創造キャンプ(On Your Mark!)、これを開催してまいります。5泊6日の宿泊型のキャンプです。

 次に、県立高校の体育館等へのエアコン整備です。近年の夏の危険な猛暑から生徒を守る、そして、多くの県立学校の体育館はですね、避難所として指定されております。こういうところに避難してこられる方々を守るために、体育館や特別教室、そして食堂、厨房。食堂も今はほとんどないですね。高校生の皆さんにも言われました、「くそ熱いときにうどんは食えません」と。現実に食堂で買ったものを教室にわざわざ持っていって今食べているという状況であり、こういったことを改善しようということで、エアコンを設置します。今年度は1億524万円。えらい少ないやないかという話ですが、これはやはりその体育館とか使いながらの整備になりますし、電源工事も伴います。様々な計画を立てる必要がありますので、整備計画を作成し、設計までを行う経費です。そして、令和11年の8月まで4年間、向こう4年間ですべての県立高校での設置完了を目指します。総事業費がいくらかかるのかということになりますが、今申しました体育館、特別教室、食堂、厨房合わせまして約320億円の所要となる見込みです。また、教育環境の改善を図りますため、トイレ、いわゆるウォシュレット、温水洗浄便座、これがないということですので、県立高校や特別支援学校に温水洗浄便座を設置していきたいと思っています。

 それから、「若者の活躍を応援」です。国際的に活躍できる人材を育成しようということで、国連ハビタット福岡本部と連携しまして、ハビタットの海外プロジェクトへ県内の大学生が参加し、マネジメント能力や英語運用能力を身につける人材育成プログラムを実施してまいります。事前事後研修を入れて2週間ぐらいのプログラムです。

 それから次が、「女性の活躍を応援」、女性の役員登用を応援しようというわけです。これは、企業経営に深く関わる社内取締役の女性を増やしていきたいと思います。女性の役員というと、日本の場合、ほぼほぼ社外取締役が多い。やはり社内の意思決定に関わる社内取締役を増やしていかなければいけない。こういったことから、企業の女性役員候補者の方々の人脈の形成、また経営層の皆様の意識改革、これを狙いまして「福岡BOARD倶楽部」というフォーラムを開催、開設をいたしてまいります。大体4回の3クールを令和7年度から令和10年度までの4年間で実施予定です。

 それから次が、「働く女性の健康を守る」ということです。女性の健康課題、様々おありになると思います。月経の問題とか、貧血の問題、あるいは更年期障害等々あるわけです。こういった健康課題による望まない離職というものを防ごう、女性が健康で活躍できるよう、健康とキャリアを両立する情報をSNSで発信いたしますとともに、女性社員の健康課題に取り組む企業に専門家を派遣し、好事例を県のサイトで発信をしていこうという取り組みです。色んな先端技術を使った場合に、よくフェムテックと言われる取り組みです。

 それから、ジェンダー平等に向けた気づきと行動を推進ということでございまして、これは、若手の企業経営者の皆さんによるワークショップや県民からのフォトメッセージ、動画の募集を行っていこうということです。ジェンダー平等に向けた気づき、取り組みを進めていこうということです。

 それから次に、「年齢、障がいの有無、国籍を問わず、すべての人の活躍を応援」するという項です。まず、就職氷河期世代の方々の支援、この正規就労を支援いたします。建設・介護・保安・農業などの分野の職業体験付きの合同会社説明会を実施いたします。また、高等技術専門校、こちらでは、令和8年度、来年度から最先端の技術訓練をやっていくためのカリキュラムを今年準備を進めてまいりたいと思います。最先端技術訓練とはなんやということですが、電子制御あるいはEVスタンドを設置するための技術を持つ、そういう技術訓練の準備をしていきたいと思います。それから、生涯現役で活躍したい人を応援してまいります。70歳以上になっても働ける制度を導入する企業を拡大していくためのセミナーの開催、また、50歳代の方々が、その時からセカンドキャリアを考えて、セカンドキャリアへの円滑な移行を支援するための個別相談、これ対面はもちろんオンラインでもできるようにして、こういう相談を実施してまいります。

 それから、障がいのある人の収入向上を支援します。障がいのある方の工賃の向上ということで、先般も桂川町に就労支援の場、4カ所目を開設いたしましたが、この項では高単価で多くの仕事が期待できますIT業務の共同受注体制を強化いたします。いろんな発注があっても個別の施設が受けると受けきれないわけです。そうすると、発注側は、Aの施設、Bの施設、Cの施設にバラバラに言わないといけない、これだともう面倒くさいので、それじゃやめとくかということになりかねないということで、この共同受注体制というものをしっかり作っていこうというわけです。それから障がいのある方が希望に応じて就労できるような企業改革、業務の洗い出しとか受入体制づくり、職場環境の整備等についてアドバイスを行って企業を開拓してまいります。

 それから、「社会を支える『担い手』育成」では、まず看護学生、この看護を学んだ学生の皆様の県内での就業を促進しようということで、看護師等修学資金の貸付金というものがすでにありますが、これが今現在は看護師の養成校の出身者だけに限られている。これを看護学部の大学生あるいは高校の看護専攻科の生徒に拡大します。これは5年間以上、県内の特定施設で勤務いただければ返済が免除になります。

 それから、看護職員の復職を後押し。これも非常に重要でして、子育てなどのご家庭の事情等で一旦看護の現場を離れた方は結構たくさんいらっしゃいます。資格もお持ちで経験もお持ちである。非常にもったいないわけで、こういう方々を対象に、復職に向けた実践的な研修、「『カムバ』ナース応援プログラム」というものを看護協会の皆さんと協力しながらやっていこうということです。今までも復職支援の研修をやってきました。ただこれは座学だったんですね、全部。しかし実態を聞くと、何年か経つともう機械が変わっている。で、人の命に関わるわけですよね、現場の機械をいじると。だから、その機械の操作とか、どういう風にすればいいのか、実地で研修をしておかないと、復職しても結局現場で戸惑ってしまうとか、役に立たないとか、そういうことになってしまいますので、医療機関にご協力をいただいて、最新設備を活用した実習、研修をやっていこうというのがこの「『カムバ』ナース応援プログラム」です。

 それから、「人とまちを元気にする」ということで、世界を見据えた県内アスリート育成。これは、海外選手を招聘し、育成していく、あるいは海外選手との交流によって県内のアスリートの皆様の強化・育成を図る。こういうことを進めていこうということで、ここにスポーツ科学、あるいはスポーツ医学。メンタルの面もあります。こういう知見を活かしながら、アクシオン福岡を拠点とした国内最高峰のトレーニングセンター、いわば「インターナショナルトレーニングセンター」と言ってもいいと思いますが、この構想の検討を進めてまいります。

 次が「文化芸術」でして、文化芸術活動の担い手を育成・支援しようということで、「福岡県アーツカウンシル」というものを立ち上げる。これも設立の検討委員会をまずは設置して、令和9年度、再来年の設立を目指して検討を進めていこうと思っています。あわせて、若手芸術家の皆様方への現実的な支援ですね、「アートインレジデンス事業」ですとか、あるいは海外チャレンジに対する、海外の芸術コンクールのコンテストに参加するための費用の助成とか、そういったことを行ってまいります。

 それから、こども食堂につきまして、このこども食堂で、子どもたちが文化芸術活動を体験できる機会を作っていきたい。演劇とか工作とか俳句とか、こういったワークショップを企画できるコーディネーターを育成していこうというものでして、ワークショップの進め方のコツとか、模擬ワークショップをやるとか、こういう育成プログラムを実施してまいります。

 次に、「住みつづけたい、住んでみたいまち」をつくるということです。

 花あふれる豊かな県づくりということで、一人一花運動を推進し、美しい魅力あるまちを作りますため、「花による美しいまちづくりのコーディネーター」、すでにお引き受けいただいていますが、チェルシーフラワーショーでも著名な石原和幸氏と連携し、市町村の特色を生かした花壇整備を支援することで、花あふれる豊かな県づくりを推進してまいります。例えば、JR日田彦山線の沿線を花あふれる景観にしていこう、あるいは原鶴温泉の周辺ももっと美しくしていこう、そういったことでございます。

 もう1つは、この花壇の維持管理を行っていただくボランティア団体の皆様に対する支援、これを引き続き行ってまいります。スコップとか軍手とか肥料とかについての支援を行います。本当に暑い中も水やりとかを頑張っていただく、大変大切な活動していただいておりますので感謝を込めて支援させていただきたいと思っています。

 それから、障がいの有無に関わらず、子どもたちが例えば寝そべって遊べるとか、いわゆるインクルーシブ遊具を整備しようと。これは東公園とそれから北九州の中央公園に7年度は整備してまいります。これまで大濠公園、それから筑豊緑地、春日公園、筑後広域公園、この4か所に整備してまいりました。今度は東公園と中央公園。それから大屋根広場を、筑豊緑地に昨年は整備しました。今回は筑後広域公園に整備いたします。

 それから次に、空き家を活用した移住推進です。空き家を購入して移住する若いご世帯、若いご夫婦、あるいは子育て世帯の皆さんを対象に、空き家を購入した後のリノベーションの費用を助成するものです。県外から、移住支援金を実施している市町村に移住するという皆さんに対して、現行の補助率をかさ上げして助成を行っていこうということです。

 それから、交通空白地帯の解消推進。広域自治体としての県の役割の1つでもあると思います。コミュニティバスの広域運行、市町村域を超えたですね。あるいは公共ライドシェアの導入などについて市町村の間の調整とか、あるいは研修会の実施、専門アドバイザーを派遣する、こういったことをやろうと。こういう市町村、取り組もうという市町村を2年間集中的に支援してまいります。これが1つ目の柱でございます。

 2つ目が、「産業を育て、はたらく場を広げる」。今ですね、エネルギー原材料価格の高騰、高止まり、それから円安などに起因する物価上昇が続いています。こういった中で、県内雇用の8割を担っていただいている中小企業が持続的に賃上げを実施するためには、適正な価格転嫁が必要です。取引の中において、あるいは消費者の皆様にもそういう適正価格を認めていただくことが必要です。価格転嫁の円滑化推進フォーラムを開催したり、あるいは業界向けの講習会を行ったり、適正な価格転嫁を推進して賃上げにつなげてまいります。

 同時に、中小企業の皆様方も、生産性を向上させていく、体力をつけていく。この取り組みを同時並行的に行わなければ、価格転嫁だけではなかなか持続的な賃上げというものは難しい。こういったことから、今まで「中小企業生産性向上支援センター」というものを我々は持っておりました。これをもうはっきりと、DX推進センターに改組いたします。これまで支援しきれてなかった中小企業のこのデジタルトランスフォーメーションを強力に推進し、収益力を向上させ、従業員の賃上げを推進してまいります。

 次がスタートアップです。先月、県の初めてのスタートアップ支援拠点、「グローバルコネクト福岡」、「グロコネ」を開設いたしました。大企業や海外のスタートアップとのビジネスマッチングイベント、「グローバルコネクトスパークデイ」を開催いたします。

 それからまた、スタートアップの資金調達や販路の拡大につなげます「F★Pitch」、今まで「ベンチャーマーケット」という名前でやってきたものがありましたが、これを「F★Pitch」という形で、毎月CIC Fukuokaにおいて、Thursday Gatheringという取り組み、毎週木曜日にですね、CICは行います。これのうち月1回をこの「F★Pitch」にあてるということで行ってまいります。国内外のスタートアップや投資家、企業を集積させ、スタートアップエコシステムの形成を推進してまいります。

 それから、資金面の支援ですね。新規創業企業の成長支援ですが、今まで、新規創業資金はあったわけです。しかし、創業2年目以降の企業の皆様、スタートアップの皆様のための「成長支援資金」というのはございませんでした。よって、この新規創業企業の成長を後押ししようということで、成長支援資金を新たに設けるものです。融資限度額は3,500万円、融資利率は今までの創業資金と同じで年利1.3パーセントで、保証料については、創業2年目の企業は県と信用保証協会が全額を負担するというものです。

 それから次に、半導体の分野、デバイスです。「新生シリコンアイランド九州」ということで、今、我々九州知事会あるいは九州地域戦略会議、ともに取り組んでいるところです。この実現に向け、県内半導体企業の技術力の向上、そして取引の拡大を支援してまいります。特に我々としては、半導体の後工程を中心とした支援に注力して、生産の拠点化を目指してまいります。後工程というのは、前工程で製造されたウェハーからチップを切り出して、そのパッケージング製品化する工程のことをいうわけでして、非常に我々の県内企業の技術を活用できる部分が多いので、県内の企業としては参入障壁が低いとみております。こういったことから、この後工程を中心に支援を重点化していこうということでございます。

 まず、「三次元半導体研究センター」、それから「社会システム実証センター」、この2つのセンターが糸島にございましたが、これを統合し、「福岡超集積半導体ソリューションセンター」というものにします。センター長、技術アドバイザーに国内トップ級の研究者を招へいします。そして、最先端の機器を導入して、開発支援力を大幅に強化してまいります。「超集積」というのは、今まで、「三次元半導体研究センター」、三次元って要するに積層なんですよね。ちっちゃいところでやるのも微細化に限界があるんで、積み上げて、で、穴開けてこうつなぐ、これが三次元です。この超集積っていうのは、三次元だけではなくて横展開。例えば自動車なんだけど、そんなにスペースは気にしなくていいですね、半導体の。であれば横でいいじゃないかと。こういう風な技術もあるわけでございますので。三次元だけではなくて平面集積、これも含めて超集積という呼び方をいたします。このチップを高度に集積させるという意味です。このセンターを作ってまいります。

 それから、半導体関連産業への新規参入・取引拡大に向け、セミナーあるいは専門家派遣を実施いたします。それから、半導体の後工程、これに関しても製品開発をご支援してまいります。それから、ここも人でございます。人材育成ですね。この後工程を体系的に学習できる実習講座を開設します。これは国内では初めての講座になります。実際の製品製造を体験させることによって、技術力の向上につなげてまいります。

 次に、先端技術産業で、まずバイオですね。「福岡バイオコミュニティ相談窓口」を設置いたします。

 それからバイオスタートアップと大学や製薬企業などをつなぐネットワーキングを行ってまいります。こういった取り組みを進めて、バイオスタートアップのエコシステムの形成を進めてまいります。それから、この相談窓口、今予定されております民間のバイオ創業支援施設、これがお隣の九州大学医学部構内に今建設中です。この中にこの相談窓口を開設するというものです。

 それから次に、宇宙ですね、人工衛星、もちろんございます。それから、宇宙食とかですね、分野ごとの宇宙ビジネスがあるわけですが、この専門家がそれぞれいらっしゃいますので、「宇宙ビジネスプロモーター」として、ロケット分野とか人工衛星、あるいは衛星データの活用、さらには宇宙食、こういったそれぞれ分野のプロモーターの方を任命して、JAXAと連携しながら、参入意欲ある企業への伴走型の支援、あるいは参入済みの企業へのビジネスの拡大支援を行ってまいります。このチーフプロモーターには、JAXAの、宇宙戦略基金事業部の方に就任していただく予定です。

 それから、宇宙関連政府機関等が一堂に会します、「アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)」というものがありますが、これを本県に誘致するため、国内外へ本県宇宙ビジネスの取り組みを発信してまいります。この会議は、開催されるとすれば令和9年度の開催となります。

 それから次に、IT分野におけるイノベーションを創出しようということでして、「福岡県未来ITスタートアップアワード」を新たに創設します。大賞は100万円を予定しています。受賞された企業は、グローバルコネクト福岡、グロコネ主催の「F★Pitch」に登壇していただく、あるいは専門家による伴奏支援を行う、こういったことで事業の拡大、さらにまた資金調達につなげてまいります。

 次に、農林水産業です。農林水産業、今いろいろコメの問題等出ております。現状、本当に農林水産業、特に農業ですね、従事者の皆様が高齢化する。農業については平均年齢70歳、同時に、年々減少しているという状況です。将来にわたって持続的な生産が担うことができる強い農林水産業を作るためには、経営の大規模化や生産性の向上に向けて生産構造を変えていく必要があると考えます。同時に、ブランド化などによりまして収益力の向上を図ってまいります。農業におきましては、経営規模の拡大に取り組む「企業型経営体」への転換を後押しするために、判断能力を高める研修に加え、経営規模の拡大や生産性の向上に必要な支援を行ってまいります。これにより、本県農業の未来を担う企業型の経営体が中心となる強い農業構造を確立してまいります。

 漁業については、ノリですね、有明海、「福岡有明のり」です。ノリ養殖も、行った方のことがある方もいらっしゃいますか、小間がいっぱい立って網の方向とか全部違うんですね。そして、いわゆるご家族単位くらいで作業をすると、非常に効率が悪い。こういったことで、収穫作業が省力化できる高性能漁船に適した、ノリ小間の配置の見直しを行ってまいります。それから、有明海の海況予測システムの活用、それから法人化に向けたアドバイザーの派遣、また個別の相談会、こういったことを体系的に取り組むことによって、ノリ養殖の強い生産構造を確立してまいります。

 それから、林業です。林業も収益力を向上させなければ産業として成り立たない。ICT高性能林業機械の普及でありますとか、特定苗木への転換を推進してまいります。今、万博のリングにも使われてますかね、それから木造ビルも建ってる、いわゆるCLTですね、このCLTの県産木材のシェアを拡大する必要がございます。このため、運搬方法の見直し等による流通経費の低コスト化を実証してまいります。

 それから、「あまおう」ですね。「日本一のいちご」とか「いちごの王様」と言われておりますが、このブランド力、競争力をさらに高めていかなければならない。

 まず1つ、生産面においては、全国初の「環境保全型の増収技術」を開発してまいります。これは西部技研さんが開発した技術ですが、CO2濃度を管理する装置に新たに自動で温度調節を行う全熱交換器を組み合わせることで収穫量を増加させる技術です。大体今までの実験では1割以上増えるということになっています。

 それから2番目に、輸送の問題です。今現在、トラックとか船で輸送していますが、これを、空輸ですね、特に北九州空港からはJALとクロネコヤマトの共同運行便、貨物便が飛んでますよね。あるいは、イチゴぐらいですと、旅客機の腹に積んで飛ぶこともできます。こういう空輸の実証を行ってまいります。そして、空輸したものは、やはりシール等で、これは「空とぶイチゴ」ですとか、ということで差別化をしていく、こういう取り組みを行ってまいります。

 3つ目は、これは販売の面でして、特に糖度が高いものをプレミアム商品として販売していく、PRしていうことでございます。糖度11度以上をプレミアムあまおうとして売っていくというものです。今、あまおうは糖度センサーによる判別はやってませんが、これを行い、大型で甘いものについてはプレミアムあまおうということで売っていく。他との差別化を図ってまいります。それから、育成者権が失効したと言われますが、全生産者に対して改めて研修会を実施するなど、苗の流出防止対策を実施してまいります。

 それから、八女茶です。日本茶はこの10年間で輸出量は約2.6倍に増えています。特に抹茶、それからオーガニック栽培のお茶の需要が高いというのが現実です。このことから、抹茶を作るには煎茶を作らなきゃいけない、また、抹茶の製造ラインも増やす必要がある。抹茶の生産拡大とそのPR、それからオーガニック認証の支援、オーガニックも、もう既に申し上げているように、八女の皆様と力を合わせてオーガニックへの転換を進めていくことといたします。これを支援してまいります。それから、こういったものの海外への輸出促進、生産、販売の両面から支援して、世界で高く売れる八女茶を作ってまいります。

 それから次に、野生鳥獣問題なんですが、この被害防止対策として、イノシシとかシカを捕獲、殺処分しています。この捕獲頭数は増えていますが、この捕獲した、殺処分した獣肉の利用率は1割程度にとどまっている状況です。もったいないということですね。そういったことから、ペットフードの原料として使えないかいうことでして、このペットフード原料製造拠点を添田町に整備し、未活用の捕獲獣を県域で収集・加工して有効活用をしていくというものです。

 それから次が、「食の王国福岡の魅力を高め、『観光産業』の振興」。観光客の皆様、やはり福岡にいらっしゃる方は特に、全国的にもそうかもしれませんが、食、温泉に非常に関心が高い。各県内の温泉地への宿泊とか周遊につなげていきたいと思っています。このため、まず、福岡空港国際線の降りたところに、国際観光案内所があります。こちらに「福岡の食と温泉コンシェルジュ」を設置します。外国人の観光客の方に県内の食や温泉地を案内します。それからもう1つは、温泉地の自治体や温泉組合の皆様と連携し、夜間あるいは朝早く、定期的なイベントをやって賑わいを作る、大人になった皆様方の楽しみを作る、これをモデル事業としてまずはやってみようということです。

 それから、本県には様々な伝統工芸があります。この伝統工芸も非常に有力な観光資源です。まず、久留米絣の産地の製造者の皆様方のご協力をいただいて、年間を通じて工房の見学とかあるいは製作体験を提供できる、いわゆるオープンファクトリー化を進めます。来年度以降、他の伝統工芸品の産地にも拡大してまいりたいと思っています。

 それから、「インフラ整備」です。今、自動車の物流というのは国内の貨物輸送量の9割以上を占めています。この効率的な物流を生み出し、企業誘致のための道路ネットワークを強化することは極めて重要です。このことから、やはり道路整備にあたっても、交通ビックデータを分析して、どういう経路、路線の道路の整備が必要かということを考えいきます。特に今申しました物流、貨物車両の走行経路や通行量、こういった交通ビックデータ分析し、今後、道路整備にあたっては戦略的な整備を進めていまいります。このための事業です。

 それから、次は工業用地の造成です。企業誘致と言っても、土地がないと呼べません。何か所かやっていますが、ここでは苅田のお話をさせていただきます。苅田港新松山地区における工業用地造成工事、第3期工事です。第2期工事は約30ヘクタール、これはトヨタ自動車様にお買い上げいただきました。今、第3期30ヘクタールの工事にかかっていますので、この造成工事を進めてまいります。それから、新松山もある苅田港エリアで新たな土地造成を戦略的に進めていきたい。このために苅田港の港湾計画を改訂してまいります。このための検討を実施してまいります。

 それから、北九州空港の周辺に航空貨物用施設を整備する物流事業者さんがいらっしゃいます。こういった方々を支援して物流拠点の集積を推進してまいります。初期費用あるいは運用費用についての助成を行うものです。それからまた、先ほどちょっとあまおうの話もしましたが、生鮮貨物の首都圏への輸送ルートを作る、このために国内貨物専用便を活用した際の輸送費用を支援してまいります。1トンあたり5万円です。これは、トラック輸送との価格差を助成するものです。

 それから、これまでも取り組んできました国際貨物への助成やこれらの新しい取り組みによりまして、北九州空港の貨物輸送ネットワークの構築を強く推進してまいります。北九州市あるいは苅田町と力を合わせて取り組んでまいりたいと考えています。

 それから、3つ目の柱です。「健全な環境と安全・安心な暮らしを守る」ということで、環境を守り未来につなぐ、このつなぐ活動をどう後押しするかということで、まず食品ロスの問題です。なかなかこの食品ロスが減らないということで、日本は「お持ち帰り」、アメリカはドギーバッグと言いますが、あれが普及してないということで、食べきれなかった料理を持ち帰る「持って帰っていいと(eat)ボックス」という名前を付けていますが、この「持って帰っていいと(eat)ボックス」を飲食店の皆様に配付し、そして利用実態を調査する。この調査事業ですが、100店舗ほどを選択してやってみたいと思っています。10月から12月が食品ロスの削減月間から忘年会シーズンに当たりますので、この期間ぐらいにこの調査を実施したいと思っています。

 それから、犬猫の致死処分ゼロを維持しようということです。一昨年度、令和5年度、本県では初めて、犬猫の致死処分ゼロを達成しました。保護犬や保護猫のさらなる譲渡につなげ、致死処分ゼロを維持するために人に慣れさせる訓練を行う動物愛護団体を支援してまいります。やっぱりなかなかこう人に慣れない、見ず知らずの方には、っていうのがありますので、動物愛護団体の皆様に訓練していただく。

 それから次は、脱炭素化の取り組みでございまして、今後、かなり増加が見込まれる使用済EVバッテリーの資源循環システムを全国に先駆けて作ろうということで、昨年、GBNet福岡を設立しました。もうすでに参画企業は32社を数えています。このGBNet福岡での議論を行っておりまして、やはり中古のEV車のリースを通じたバッテリーの安定回収、これに関する実証をする必要があります。それからリユース蓄電池マーケットへの県内企業の参入を促進する必要があります。それから、使用済みバッテリーからの高純度なレアメタルの抽出技術を確立する、この支援をする必要があるということで、これらに取り組んでまいりたいと思っています。

 それから、国内外において、プラスチック再生材、この利用義務化の動きがあります。県内から排出される使用済プラスチックの資源循環の仕組みを作ってまいります。いわゆる「プラスチックRe:bornプロジェクト」を新たにスタートします。この一環として、令和7年度では、製造業における再生プラスチック仕様のニーズあるいはプラスチックの排出状況を調査いたします。同時に、事業者や研究機関等による共同研究チームを発足させます。

 それから次に、ペロブスカイト太陽電池です。もう皆様ご存知のとおり、非常に軽くて柔らかい。今までつけられなかった壁とかにもつけられて、非常に優れ物と言われています。これを普及していこうということでございまして、まず県有施設の方に率先導入を、まずは1カ所でございますが、県立学校の体育館の屋根。体育館の屋根は薄いので今までソーラーをつけられなかった。こういう軽いのであればつけられるということで、まず1か所やってみようということです。それから、博多駅のホームの屋根とかバスの屋根、こういったところに貼り付けて実証をしている民間事業者の皆様に助成金を出します。

 それから、次はワンヘルスでございまして、ワンヘルスの取り組みを皆で推進しましょう、まずはワンヘルスを理解しようということです。幼児期から学齢期におけるワンヘルス教育を推進いたしますため、幼児向けの絵本を作ったり、あるいは教員を対象としたセミナーなどを実施してまいります。また、特別支援学校におきましては、児童生徒の皆さんの障がい特性に合わせたワンヘルス教育を推進してまいります。こういった中では、ドッグセラピーを実施して動物介在教育の効果を検証したり、あるいは色んなカリキュラムの開発を実証したりするということです。それから、ワンヘルスを実践しようということで、みんなでやろうよということでございます。もっと県民の皆様にワンヘルスの取り組みというものを身近に、自分事として、日常生活の中でワンヘルスの取り組みを行っていただくためには、どういうことを提唱して、呼びかければいいか、こういうご提案をいただこうということで、「ワンへルス未来会議」というのを開催したいと思います。一般県民の方、あるいは学生の皆さんとか、ワンヘルスの宣言事業者の皆様とかにご参加をいただいて、ご議論いただいて、ご提言をいただきたいと思っています。身近なワンヘルスの取り組みというものを、みんなでやろうよという雰囲気の中で取り組みを進めてまいりたいと思っています。

 次に、「防災・減災対策」です。地震・津波に対する備えの強化でございまして、佐賀県、長崎県と連携して実施をいたしました海域活断層予備調査の結果に対する専門家のご意見を踏まえまして、地震による被害想定を調査し、県や市町村の地域防災計画に反映してまいります。それから、県民の皆様への啓発ということでは、「ふくおか防災ナビ・まもるくん」というアプリを作っていますが、ここに地域別の想定震度を掲載することといたします。それからもう1つは津波、この海域活断層による予備調査の結果、この点についても専門家の方からご意見をいただいていますが、津波による被害想定の基礎となる浸水想定調査というのを実施してまいります。前段に申しましたのが、地震による揺れの被害、今申しましたのが津波の被害。能登半島地震は揺れによる被害で、東日本は津波による被害というものが大きかった。この大きく分けて2つのことをやっていきます。それからもう1つは、災害対応の人材ですが、これについてもやはりジェンダー平等の視点を持って対応できる人材を育成していこうということです。避難所運営の実動訓練あるいは図上訓練を、こういう視点を持って行っていきます。そして、そういうことができる方、人材を育成していこうということです。自主防災組織のリーダーの皆様100人程度を対象と考えています。

 それから次は盛土の問題です。この盛土の監視をするために、ドローン画像の解析ソフトあるいは可搬式カメラ、運搬ができるカメラ、こういったものを導入して盛土の監視体制を強化してまいります。結局、こういうので監視をして、そして盛土の動きとかを解析をして把握をしておく必要があります。

 次は、グリーンインフラの整備です。グリーンインフラとは何かというと、例えば道路でいうと、中央分離帯に植樹帯を置く、あるいは車道に浸透性の側溝とか、あるいは歩道を透水性の舗装にするなどです。流域治水対策の強化を図っている、毎年大きな洪水被害を受けている久留米市において、自然環境を活用した道路、いわゆるグリーンインフラを整備して、この減災効果の実証を図っていきます。

 次が防犯です。近年、暴力団には該当しないけれども、ニセ電話詐欺などを広域的に行う匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウ、これが我々の生活にとって大きな脅威となっています。このトクリュウの犯罪被害の予防対策として、県警の防犯アプリ「みまもっち」に各種詐欺被害の手口を動画などで疑似体験できる機能を追加します。そして、被疑者の早期検挙に向け、防犯カメラにより高度な画像解析装置を導入します。それと同時に、犯罪組織の資金源を剥奪するため、集団民事訴訟の提起、つまり弁護士費用を支援します。

 次に自転車事故防止について、県警に「自転車指導警告部隊」というものを発足させ、交通指導や啓発活動を強化していきます。中央警察署、博多警察署、小倉警察署、久留米警察署、この4警察署にこの警告部隊を配置する予定です。

 次が、困難を抱える人の支援です。様々な事情を背景に不登校の子どもさんが増えています。不登校の児童生徒の中には、「家から出ることができるけども、学校にはいきたくない、だけど通う場所がない」という子どもさんたちもたくさんいます。地域住民の皆様、PTAの皆様、NPOの皆様等が連携して、不登校の児童生徒が気軽に立ち寄ることができて、そして学習とかいろんな体験活動、これを通じて社会的な自立心を育んでいこうと、このサポートスポットと言われる場所を設置して、支援していこうと考えています。例えば、公民館や図書館など、皆様方のお住まいの町内にも身近にあるような施設を想定しています。今年度中には1市町村3か所ぐらい、96か所ぐらいを作っていきたいと考えています。

 それから、いじめ重大事態への対応の強化です。なかなか学校だけでは解決が困難な問題もあります。このため、そういった場合には専門家を派遣するということとしたいと考えています。いじめ重大事態では調査委員会を設置する場合があります。この設置した学校に、第三者委員として専門家を派遣します。

 最後に、警固界隈の問題です。家庭や学校に居場所のない子どもたちが警固公園に集まってきており、犯罪に巻き込まれるなど社会的な問題となっています。この被害を防ぐため、まずSNSや、デジタルサイネージなどで上映する動画を作り、配信をしたいと考えています。また、1人1人の悩みに寄り添って相談しやすい環境が必要であることから、相談窓口を作る、あるいはアウトリーチによる支援をしようと考えています。警固公園の近辺の貸し会議室等を借り上げ、夜間に相談窓口を開きます。公園の中でアウトリーチの声掛けをし、相談窓口につないでいく、案内をしていくという取り組みを考えています。さらに、虐待などによって帰る家がないこども・若者の緊急避難場所が必要だということで、「こども若者シェルター」を設置して、一時的な居場所の提供や、その中で相談支援を実施します。

 それからもう1つは、ヤングケアラーについてです。ヤングケアラーの皆様の心理的負担を軽減しようということで、自分もヤングケアラーだったという経験者の方が、勉強の問題、あるいは先々の進路の問題、友人関係の問題、こういった悩みにオンラインで相談に乗るという、「ヤングケアラーほっとサロン」を毎月第4土曜日の19時から21時まで、夜間に開設します。

 予算の規模、また主な事項は以上です。こういった施策を力強く展開し、未来の福岡への礎を築いていきたいと思っています。

 

 2番目に、令和6年度の決算についてですが、令和6年度の県税収入が過去最高となりました。県税収入はこの4年間右肩上がりでずっと増えてきています。令和6年度は8,074億円となり、初めて8,000億円を超えることとなりました。これは、やはり企業業績が好調であったこと、また県内の消費が増加したことが大きな要因であると考えています。前年度と比較しますと573億円の増となっています。

 内訳ですが、本県の基幹税目は法人県民税と法人事業税、いわゆる法人2税と言われるものです。これは令和5年度と比較しますと261億円の増となっています。法人2税については、平成20年以降、一部は国税化され、減収となっていますが、これまで最高だったバブル期の平成3年度をさらに上回る額になりました。税収が増加した主な要因についてですが、半導体不足で車両の販売台数が減っていましたが、この半導体不足が解消されて販売台数が増え、輸送用機械器具製造業が好調であったこと、不動産市場の活性化、工事の受注の増から不動産業や建設業が好調であったこと、それからインバウンド需要等、消費の増による小売業が好調であったことが要因となっています。これらは主に、国内外からの企業誘致ですとかインフラの整備、また観光キャンペーンの実施や旅行需要の喚起による国内外からの観光客の誘客、こういった取り組み、施策が効果として表れたものだと考えています。

 次の税目は、個人県民税です。県民の皆様方に納めていただく、個人県民税、これも令和5年度と比較しますと10億円の増となっています。令和6年度は定額減税が行われましたので、この影響を除きますと113億円の増となっており、これは好調な企業業績を背景に、賃上げの動きが本格化をして、個人所得が増加したということです。さらには、国の経済政策の柱の1つである「貯蓄から投資へ」の流れによって、株価が上昇し、株式取引が増加した。株式譲渡所得割もこの個人県民税に含まれますので、この影響もあります。

 それから、次の税目は、地方消費税、これは297億円の増となっています。半導体部品等にかかります輸入額が高水準で推移していることや、県内における消費支出の増加によるものです。

 それから、次の税目は宿泊税です。宿泊税は、インバウンドの増加などによりまして宿泊数が増加しました。前年度と比べますと1億4,000万円の増となっています。

 このような税の状況でして、いずれの税も県民または事業者の皆様方から納めていただいた貴重な県税でございます。この県税を活用して、先ほどご説明しましたような「未来への礎を築き、飛躍・発展する福岡県」に向けた様々な取り組みを実施したいと考えています。

 

 次に、我々県は、県民の皆様の文化芸術活動の裾野を広げ、そして新しい県民文化を創造しようということで、「ふくおか県芸術文化祭」というものを昨年度から開催しています。これは、10月から12月にかけて県内各地で多彩なイベントを開催しているものです。このふくおか県芸術文化祭を、もっと多くの県民の皆様方に知っていただく、そして参加していただくため、そしてこの文化祭の開催事業、これについて一体感を生み出していこうということから、今回ロゴマークを作成いたしました。

 今年1月に、県内の法人及び個人を対象にした企画提案を募集いたしました。20のデザインの提案をいただきまして、昨年度のオープニングフェスの企画運営に携わっていただいた大学生の方とかデザイン分野の専門家の方などによる選定委員会の審査を経て決定いたしました。

 このコンセプトが、「見て、聞いて、触って、文化芸術の秋を五感で楽しもう」ということでしたので、五感のうち、視覚、聴覚、触覚をモチーフに作成したものです。そして色について、福岡県の花は梅で、福岡県の鳥はうぐいす、これをイメージして、ピンクと緑を使用しました。芸術文化祭が、参加した全ての方にとって心が揺さぶられるような体験となってもらいたい、そんな思いを込めて、躍動感のあるデザインとしたものです。

 今後は、このロゴマークをパンフレットやSNSなどで発信し、全ての関連事業に掲出します。県民の皆様には、このロゴマークを目印に、ぜひ各地のイベントにご参加をいただきたいと思っています。皆様、ふくおか県芸術文化祭をどんどん盛り上げていきましょう。

 私からは以上です。

質疑応答

​(NHK)予算について2点伺いたいのですが、まず一つ目が多子世帯の保育料無償化。知事が選挙のときの公約に掲げてきた項目だと思うのですが、改めてどういう課題意識でこの施策を今回予算計上したのかというのを教えてください。

(知事)多子世帯の皆さんというのは、経済的な負担が大きいと思います。こういった中で子どもさんを保育所にお預けになって、第三子はタダだなと思っていると、当然子どもも大きくなっていくと。小学校に上の子が上がったら、ああ、今までタダだったのが2万円かかる、こういうことになってくるんですね。こういうふうな経済負担をできるだけ軽くしていく。そして、3人以上の子育て世帯というものが減ってきているんですね。ぜひ、子どもさん、できる限りそんな子育てというものを負担感なくやっていただくことができればと考えたところです。

(NHK)ワンヘルスなんですが、知事選挙のときにこのワンヘルスの進め方というのが一つの争点になったと思うんですけども、そういうことを踏まえた上で、今回ワンヘルスの予算を計上するに当たってどういうことを重視されたんでしょうか。

(知事)ワンヘルス、ワンヘルスと唱えてみても、やはり県民の皆様が日常の生活の中、あるいはそれぞれの色々な活動の中で自分事として捉えていただいて、それぞれができることから、身近なことから取り組んでいただくということが非常に重要だと思っております。これはSDGsなんかも同じようなことだと思うのですが。

 そういう中で、今回の予算を組むに当たって、今おっしゃっていただいたように、知事選の中でも色々な議論があったと思いますが、やはり我々もワンヘルスの関連事業というもの、この内容についての御説明が分かりにくかったと、不足しておった、こういうことの反省がございました。それと、今申しましたようなワンヘルスの取り組みというものが自分事として捉えられていないと、県民に。こういうふうなことがございました。

 こういう議論を重ねまして、そして今回のワンヘルスの関連事業というものにつきましては、ワンヘルスというのはどうしても分野横断的な取り組みになりますので、分かりやすく、それぞれの個々の分野に、以前はワンヘルスというように整理していたものも、分かりづらいというものも多かったので。以前から取り組んでいるような既存事業もありました。これは、やはり分かりやすく個々の分野にもう1回再整理をし、そしてまた、最終的なワンヘルスが目指すところは、人の命と健康を守るということですから、今回これに直接つながる事業、それからワンヘルスについての理解というものをしていただく、これにつながるような事業、これをワンヘルス関連予算として整理をし直して、そしてお示しをしているものです。

(NHK)そうすると、前年度まではワンヘルスの関連事業として計上していたものでも、今年度は例えば農業とか環境とかというふうに割り振っているということですか。

(知事)本来的な目的、例えばワンヘルスセンターもそうですが、保健環境研究所と家畜保健衛生所、いずれも法令上は我々県に設置義務があるわけですが、この二つとも50年以上経つ、老朽改築をしないといけないということでやっていくわけですが、その二つの研究所、施設とも、主たる取り組みというのはワンヘルスのことだけではなく、様々な水質検査とか土壌の検査とか色々なことをやるわけでありますから、もともとの機能というものにもう一度整理をする。ただ、ワンヘルス体験学習ゾーン、これはワンヘルスの理解につながる施設として、ワンヘルスの理解を促す事業として整理をする、こういう整理を細かくやっていったということです。それから農業についても、従来からずっと8億、9億の予算で、有害鳥獣、イノシシや鹿の防護柵を立ててきた。これをワンヘルスに区分していましたが、これは別にワンヘルスでなくても、農作物を、農家の皆様を守るという点でずっと取り組んできた事業なので、これについては本来の農林水産の区分、事業のほうで整理をするということです。そうしないと結局、極端に言えば、環境部の事業は地球環境と人と動物と地球環境の健全となり、環境部の事業にワンヘルスじゃない事業があるのかという議論にもなりかねない。だから、やはりその辺をきちんと整理をしていく必要があるのではないかということを我々のほうも議論をし、今回のような整理をしたということです。

 

(西日本新聞)先ほどのワンヘルスのお話で補足で聞きたいんですが、先ほどワンヘルスの推進という項目について事業を整理して、本来目的のものは本来目的の項目に、枠組みに再編したということだと思うんですが、じゃあ何でこれまで本来目的の事業に当てはまるようなものもワンヘルスの枠組みに入っていたのかというところを教えていただけないでしょうか。

(知事)関連事業の区分、整理について、我々のほうもやはり反省すべきは、明確な基準、線引きというものがない中で区分をしてしまっていた。この辺がやっぱり反省すべき点だと思いますし、そういったことが色々な誤解、あるいは分かりづらいといった御意見にもつながったと思っております。そこで、今回、直接、人の命と健康を守るということにつながるもの、あるいはそういったワンヘルスの理解のための教育とかケアですとか、こういった事業にワンヘルスの推進事業を整理したということです。

(西日本新聞)先ほど、昨年度まではワンヘルスの推進に組み込まれていたけど今年度から他の枠組みに入れたという事業が何個かあると思うんですけど、一方で終わった事業とかやめた事業はあんまりないなと思っています。ワンヘルスの枠組みに入っていたけど、今年度からこれは終了しようとか、見直しましょうという事業はあんまりない印象がありまして、中にはワンヘルスと銘打ったものでもワンヘルスの枠組みから外れているものとかあったりしたんですが、すごい穿った見方になるんですが、ワンヘルス予算を小さく見せたいとか、そういう恣意的なものではないかというふうに思ってしまうんですが、それについて知事はどう思われますか。

(知事)別にワンヘルスの予算を小さく見せるとか、そういう意思等は働いていませんが、事業の本来的な目的というものをもう一度よく検討して、それぞれの項目で計上するということです。

 終わった事業というのがどうかというのは、詳細には分かりませんが、防護柵を立てるとか、あるいは特定外来生物の対策費とか、こういったものは従来から対応してきており、また今後も必要な事業でありますので、これについては、今、説明したような区分に直したということです。

(西日本新聞)知事選のときにワンヘルスに関して色々な議論があったと思いますが、先ほど発表された予算に関しても、先般発表されたワンヘルスボンドに関しても、県はワンヘルスの新たな取り組みを含めて進めていらっしゃると思います。知事選で服部知事は、ワンヘルスの取り組みには県民の理解促進が必要だとおっしゃられていたと思いますが、そういった意味で、現時点で県民への理解の進み具合は、知事はどうお考えになっていますか。

(知事)やはりこれまでワンヘルスというものも非常に、分野横断的と先ほど言いましたが、非常に範疇が広いです。SDGsと似たようなものがありまして、だから、捉えにくいという御意見がやはり多かったですね。だから、もっと身近な、具体的な取り組み、簡単に言えば、ごみのポイ捨てはやめましょうとか、あるいはこういうことに気をつけようとか、身近なペットとの触れ合いの問題でも、自分たちの健康を守るためにはペットとの距離感をどう保てばいいか、そういうことも今までなかなかデータとして示されたこともありません。そういうことをもっと示してほしいという御意見は結構いただきました。

 そういうことを踏まえて、今回、未来会議というものを設けて、県民の皆様にも御参加をいただいたそういう会議の中で、県民が分かりやすく取り組みやすい、そういうものをまず提唱していき、具体的に進めていく、これが必要なんじゃないかと思っています。一つずつ、一歩ずつ、長い取り組みになるでしょうから、まずはこういうことをやっていこうよ、その次はこういうことをやっていこうよと段階的に進めていくべきものだと思います。

 そういうことの中で、身近に取り組むことによってワンヘルスというものの大切さ、未来に、我々の地球環境を守り、そして人々の命を守っていくための取り組みの大切さというものを子どもから大人まで、私たちも含めて理解をもう一度していく。こういうことを繰り返し繰り返しやっていく、こういうことだろうと思っています。

(西日本新聞)今回の予算には、知事が知事選で公約に掲げていらっしゃった事業が多く含まれていると思いますが、公約の中にあったワンヘルス専門職大学院は、これは今後実現させようと考えていますか。

(知事)それはまだ少し検討が要ると思っています。何百人とか何十人規模じゃない、専門職大学院ですので、5人とか6人とかの規模になるんでしょうが、ただ、それもいきなりそういうものをつくると言ってもできませんので、そういうことについては検討をこれから進めていくということです。まだ予算化するのは時期尚早であると思っています。

 

(KBC)関連の質問になります。県民の皆様もこの会見を見ていらっしゃると思いますので、端的に、ワンヘルス関連予算というのは幾らで、それで、今まで予算ついてた分が幾らほかの予算に回ったというのを教えていただけますでしょうか。足してどうこうは現状ではいいと思うんですけれども、予算的な枠組みの付け替えというか、どういうふうに動いたかというのを教えてください。

(知事)金額的な御説明をまず。ワンヘルスの関連予算としては、これも課ごとにまたがっているのがありますが、我々としてワンヘルスの推進という区分でしておりますのが5億1,900万ほど。今まで色々出ておりました、例えば鳥獣被害の柵を立てるのが8億6,000万ほどとか、あるいは保健環境研究所の建設が46億ほどとか、こういったものについてはそれぞれの項目に入れまして、それが64億5,000万ほどということでございます。

(KBC)ワンヘルスセンターの整備費と、知事からの先ほど御説明にありましたワンヘルスセンターの中でワンヘルスに特化したフロア、その事業費というのはワンヘルスの予算のほうには今組み込まれていないと。

(知事)いや、入れてます。ワンヘルスの体験学習ゾーン、これは外でいわゆる里山を再現するような、いわゆるビオトープみたいな、イメージとして。そういうものですが、これが2億円ほどです。これはワンヘルスの推進の費用のほうに記載しています。保健環境研究所の本体部分の改築費、これが先ほど申しました46億3,000万ほどでして、これは通常事業費の区分としています。

(KBC)予算区分としてはどこについてるんですか。

(財政課)会計としては感染症対策の推進のほうに計上しています。

(KBC)保健のほうになるんですか。

(財政課)保健のほうに入ります。

 

(朝日新聞)半導体関係なんですけど、後工程に特化した事業というのがあると思うんですけど、先ほど県内企業の参入状況が比較的低いということを一つ理由に挙げられたと思うんですけど、もうちょっと詳しく教えていただきたいのと、あと、TSMCは前工程、今の時点では前工程の工場だと認識しているんですが、そことの連携というか、後工程をこちらで受注するというようなイメージがあるのかという。

(先端技術産業振興課)後工程にということでございますが、やはり県内企業は力がある企業がたくさんいらっしゃるというところがございまして、なおかつ私どもは、先ほど新しいセンターの名前がございましたが、三次元半導体研究センターというものがありまして、これが後工程に非常に特化してやってきたということがございますので、この特徴を生かして、さらに県内企業の皆様の参入を図っていきたいということで、今回、後工程の補助金などを用意させていただいたというところでございます。

 また、前工程という話がございましたが、昨年来、知事がお話しさせていただいておりますように、前工程としてTSMCで、熊本で作られたものが、後工程という形でまた福岡で受け皿として回っていくということで、一つのサプライチェーンというのが完成していくだろうという狙いがございまして、県内企業の皆様に参入を促進していきたいという狙いがございます。

 以上でございます。

(終了)

 

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