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福岡県労働委員会委員コラム 第21回

更新日:2025年6月4日更新 印刷

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第21回

 

 

「労働委員会とは?:健在な労使関係を築く「羅針盤」」

 

使用者委員  高松 雄太 

 

 私は企業の労務担当として、長年、職場のトラブル解決の対応を行っており、2023年に労働委員会の使用者委員を拝命しました。労働委員会は、職場でのトラブル解決を手助けする公的機関です。会社と従業員の間で問題が起きたとき、中立的な立場から解決策を提案してくれます。例えば、会社が労働組合の活動を妨害したり、組合員であることを理由に従業員を不利に扱ったりした場合、労働委員会はその是正を命じることができます。組合に入ったという理由で解雇された、組合活動をしている人だけ昇進できなかった、会社が組合との交渉を拒否したなどの不当な扱いがあれば、労働者や労働組合は労働委員会に救済を申し立てることができるのです。また、賃金や労働時間などについて労使間で意見が対立した時には、労働委員会が仲介役となって話し合いの場を設けます。「あっせん」では第三者が間に入って話し合いを促進し、「調停」では具体的な解決案を示して合意を目指します。「仲裁」では双方の合意に基づき判断を下すこともあります。

 労働委員会の大きな特徴は、「公益」「労働者」「使用者(会社側)」の3つの立場を代表する委員で構成されていることです。様々な視点から議論することで、偏りのない公平な解決策を導き出せます。実際の運用では、多くの場合、命令を出す前に当事者同士の話し合いによる和解が成立します。これにより、お互いが納得できる形での解決が可能になります。労働委員会を利用するメリットは、裁判より手続きが簡単で費用がかからないこと、専門家による適切なアドバイスが受けられること、労使関係の修復を重視した解決が図れることなどです。一方で、労働委員会には損害賠償を直接命じる権限はなく、救済命令が出ても会社が従わない場合は裁判所の力を借りる必要があるという限界もあります。

 職場で解決ができないトラブルが発生したとき、一人で悩まず労働委員会に相談してみましょう。近年の働き方改革によって、働く環境や労働条件に対する意識が高まる中、労使間のコミュニケーションがより重要になっています。そのような時代において、労働委員会は労使関係の専門家として適切なアドバイスを提供し、労使の考えの隔たりを調整し、円満な解決に導く役割を果たしています。中立的な立場から専門家が問題解決をサポートする労働委員会は、健全な労使関係を築くための「羅針盤」として、より良い職場環境づくりに貢献しています。困ったときの相談先として、ぜひ活用してください。私も労働委員会の委員や事務局のメンバーと事例にあたる上で、各自のこれまでの経験を踏まえた意見を聴き、また、議論を交わすことにより、多くの気づきや学びを得ています。​​​​​​​​​​​​​​​​

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