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知事定例記者会見 令和7年12月23日(火曜日)

更新日:2025年12月23日更新 印刷

知事定例記者会見 令和7年12月23日(火曜日)

この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。

この知事記者会見録の模様は、  ふくおかインターネットテレビ  で動画配信しています。

報告事項

  • 今年1年を振り返って(県民情報広報課)

  • 食の都”パリで福岡県の食・伝統工芸品・観光をPRしました!(観光振興課)

  食の都”パリで福岡県の食・伝統工芸品・観光をPRしました! [PDFファイル/644KB]

  • 下関北九州道路の実現へ前進!ルートなどを盛り込んだ都市計画が本日決定(道路建設課)

  下関北九州道路の実現へ前進!ルートなどを盛り込んだ都市計画が本日決定 [PDFファイル/545KB]

​(知事)

 皆さんおはようございます。今日は私の方から3点あります。

 まず、もうあと10日ほどで年も改まるというところです。令和7年、今年1年を振り返ってということで少し振り返らせていただきたいと思います。

 今年も我が国、我々超少子高齢社会の只中にあって、そしてこの人口減少という問題、これは地方の疲弊を生み、あらゆる分野で人手不足、人材不足というものが顕在化している。また経済面で言いますと、エネルギー価格や原材料価格、こういったものが高止まりしているという状況が続きました。そういう中で、春には、アメリカのトランプ政権による米国の関税措置の問題が発生しました。そしてその関税措置というのも、国際的な関係の中での問題でありますが、やはり安全保障の問題というのも、世界を見ますと、イスラエルとパレスチナの紛争、ウクライナの紛争は未だ収束せず、また我が国もこれまでになく厳しい安全保障情勢の中に置かれている。こういう内外に、いずれも非常に複雑かつ困難、そしてまた先送りすることが許されない問題に直面している、この状況の中にある1年であったと思います。こういう中ですが、私事になりますけれども、3月の知事選において、2期目に挑戦をさせていただきました。そして県民の皆様方からの大いなるご信任をいただきまして、2期目の福岡県政、服部県政をスタートさせていただくことができました。誠にありがたく思うと同時に、やはり福岡県の県政を担うものとしての責任の重さ、大きさというものを改めて実感した年でした。この2期目ですが、もちろん1期目と引き続きといいますか、変わらないところ、これはもちろん県民の皆様方の命を、健康を、生活を守る、このことが第一である、ここは何ら変わることはありません。この考え方のもとで、様々な施策というものを、着実にまた果敢にチャレンジをさせていただいた年でした。まだ選挙前でしたが、年頭会見では今年のテーマ、その字を躍動の「躍」とさせていただきました。そういった「躍」という字にふさわしく、大きく躍動した年であったというふうにも思います。こういった観点から、県政のトピックスについて時系列で少しお話をさせていただきます。

 まず年明け早々の1月ですが、大気汚染の問題が深刻化しているということで、全国の自治体で初めて、このPM2.5等々の問題に対して、AIを活用した「大気汚染予報」というものの発信をスタートさせました。地域別に3日先までの大気汚染の見通し、これを5段階で確認できるというものでして、特に春先、PM2.5、皆様方も報道の中で取り上げていただいていますが、このPM2.5の濃度が上昇しやすい時期です。これに先駆けて、1月にAIによる大気汚染予報の発信を始めたところです。これからも皆様方の健康を守るために、ぜひこの予報を活用いただきたいと思っています。

 そして2月になりまして、これも全国初ですが、県と九州大学病院等の医療機関との連携による、遠隔手術の指導システムを構築しまして、リアルタイムでの遠隔指導による手術を実施いたしました。これは先般、これに携わっていらっしゃる先生方もお見えいただき、特別会議室で手術の映像等も交えながら、皆様方にもご説明を申し上げたところです。

 熟練した指導医がカメラやカメラ映像、音声、これを通じて離れた場所から手術を行う医師に対してリアルタイムで指導するというものでして、非常にあのときの映像でも確認できましたが、鮮明でまた時差もなく的確に行われていました。11月末の時点において、すでに17件の遠隔指導による手術が実施をされています。この福岡県、全国的に見ると医師が多数県だと言われますが、あれは「なべて」の数字でして、福岡の中を見ても、地域によって様々な偏在があります。特にやはり外科医の不足というのは非常に顕著になっていまして、若い外科医の皆様方がその地域で対応していただく上においても、こういうふうな遠隔指導というものが、これから患者さん方の安心のためにも非常に重要になってくると思います。ゆくゆくはこの円滑手術というところまで発展していくかと思いますが、まずはこの遠隔手術の指導システムというものがスタートできたと。この福岡モデルをぜひ、全国に広げていきたいと考えています。

 それから県内のインフラ整備、福岡空港の第二滑走路が3月に供用開始となりました。これにより、容量の拡大が図られたわけであり、同時に、国際線ターミナルは非常に利用客に比べて狭いということでしたけども、この増築改築も行われまして、非常に充実をした施設となりました。現在利用客の皆様も非常ににぎわっている状況です。そして同じ3月ですが、北九州の「都市計画道路戸畑枝光線」、それから「北九州高速5号線」の牧山~枝光間が開通しました。これも北九州における道路の循環型のネットワークを構築していく上で極めて重要な路線でして、この開通はさらにはまだ一部区間、今事業を進めているところで、非常に効果の大きいものであると思っています。また8月ですが、東南アジアや欧米などを結ぶ新たな国際フィーダー航路が開設をされまして、国際物流拠点としての重要性が高まっています。今後もこの三池港について我々も非常に重要な港であると思っております。物流の効率化、利用者の利便性の向上というものに取り組んでいきます。

 それから4月、新学期が始まるということで、県内の不登校の児童生徒さん増加に対応するため、公立高校としては全国で初めて「学びの多様化学校」というものを県立小郡高校の中に開設しました。学びの多様化学校とは何かということですが、改めて申しますと、きめ細かな配慮や支援、というものがあれば全日制の高校に通学できる、あるいは通学したいというニーズがあるわけでして、このニーズにこたえるために設置しました。現在40人の生徒さんがこの小郡高校の学びの多様化学校で学んでいます。不登校を経験した生徒さんが自分らしく学んで、そして社会で自立するための新たな選択肢として活用されるということを期待しているところです。まずはこの小郡高校からこの学びの多様化学校というものをスタートできたということで、我々もこの効果をしっかりとこれからも注視していきたいというふうに思っています。

 それから同じく4月ですが、米国の関税措置がありました。これに対してやはり県内の企業の皆様、わけても中小企業の皆様を支援する必要がある。この迅速に対応を図りました。まず関税導入が発表された翌日直ちに、業績低迷を不安視する企業の皆様方向けに金融相談窓口を開設しました。そして、全国の自治体に先駆けて、県、国の機関、商工関係団体で構成します総合対策協議会を設置しました。トップには江口副知事を据えたところです。国や県の取り組み状況をお伝えする、それから業界の皆様の生の声をお聞かせいただくということで、お互いの情報共有を図ってきたところです。そして、5月には資金ニーズに早急に対応する必要があると考えまして、県独自の米国関税対策特別融資制度を創設しました。同時に、やはりこの関税措置の影響というものがどれだけあるのかということを把握しようということで、1万社を対象としたアンケート調査を実施しました。8月にはそのフォローアップ調査も行ったところです。今後もこのような調査を行いまして、県内の中小企業の現況というものを把握してきめ細かく対応を図っていきます。

 それから次です。本県経済産業の原動力、これは中小企業の皆様であるというまでもありません。またスタートアップはその経済発展の起爆剤となるものです。この支援拠点というものを次々とオープンをさせました。まず5月ですが、4月にオープンをいたしました「CIC Fukuoka」。この中に「グローバルコネクト福岡」という県としては初めてのスタートアップ支援拠点を開設しました。県の職員が6名常駐しまして、スタートアップエコシステムを形成するという考え方のもとで取り組んでいます。すでにこれまでに5月の開設以来、半年ちょっとですが、相談をいただいた件数は800件を超えていまして、職員も大忙しという状況です。また、この「CIC Fukuoka」と連携しまして、投資家などに向けてスタートアップがビジネスプランを発表する、資金調達やビジネスマッチングのための「F★Pitch」というものを開催しています。国内外の大企業の皆様、代表的な今年おいでいただいたのはエヌビディアさんに来ていただきました。また経団連の方にも来ていただきました。こういった大企業等と連携したビジネスマッチングイベントを開催しています。こういった取り組みによりまして、グローバルなスタートアップエコシステムを福岡に形成するということを目指していまして、スタートアップの成長を促し、そして県内の産業に新たなイノベーションを生み出していきたいと考えています。

 それから8月ですが、日曜日に林総務大臣もご視察をいただきました、超集積半導体ソリューションセンターというものを糸島に開設しました。これは今、半導体の前工程というものの微細化がもう限界を迎えつつある。前工程は代表的なファンドにTSMCがありますが、これから後工程の重要性というものが非常に注目されています。福岡県はもう既にこの後工程という部分について着目していまして、特にこの半導体の積層技術、いわゆる3次元の積層に取り組んでまいりました。今はこの3次元積層プラス、横につないでいく、コンパクトに半導体を繋いでいくチップレットという技術も含めて、半導体後工程の先進技術開発を強力に支援するためのセンターです。3次元センターの当時から言いますと、もう4,000件を超える企業の研究開発案件を支援しています。

 そしてまた同時に、下の方に少し図がありますが、我々、百道に半導体のリスキリングセンターを持っています。これは人材育成の方であります。リスキリングセンターも既に我々の予想の5割増しの1万5,000人の方の受講をいただいているところですが、リスキリングセンターと超集積半導体ソリューションセンターを連携させ、国内で初めてとなる後工程を体系的に学ぶことができる実習講座を新たに開設しまして、技術人材の育成に着手しているところです。それから10月です。中小企業の皆さん方の生産性の向上、収益力の向上のためには、やはりデジタル技術を活用した業務プロセスの改善、あるいはビジネスモデルの変革が必要です。このことから、福岡県中小企業DX推進センターを吉塚駅前の我々の総合庁舎の1階に開設しました。DXの専門アドバイザーが伴走型で中小企業のDX推進をきめ細かくサポートしているところです。

 それから、警固界隈の問題でして、7月、この警固界隈に集まるこどもさん、若者の皆様を守ろうという取り組みをスタートさせました。県警察、そして行政機関、NPO法人などで構成します協議会を設置して啓発活動を行うとともに、アウトリーチ支援として「こころの窓口」を設けるということで、通称「ここまど」と呼んでいますが、これを開始しました。さらに10月には、緊急的にこどもたちが避難できる「こども若者シェルター」を設置しました。一番右側にその部屋の様子が写っています。こういった取り組みにより、この警固界隈に集まるこどもや若者たちを大人の悪の手から守っていく。これをしっかりやると同時に、こどもや若者たちの一人一人の悩みに向き合って、安心した生活を営むことができるように支援を続けてまいります。

 それから次に、災害です。今年は梅雨時にはあまり大きな激甚災害はなかったわけですが、本県では8月9日から線状降水帯による豪雨災害が発生しました。今回は宗像、福津、県北の玄界灘の沿岸に6度にわたり線状降水帯が発生しました。この災害に対して、農林漁業者の皆様の事業再開継続に向けた緊急支援を行いました。そしてまた、河川の災害、氾濫が発生した箇所の再発防止対策、また、被災した新原・奴山の古墳群の世界遺産について、この復旧支援を現在行っているところです。また、福津市に対しましては、被災された皆様方の生活支援のために、災害救助法を適用しました。引き続き、1日も早く復旧・復興に全力で取り組んでまいります。

 それから次です。これは8月ですが、去年の7月に官民の連携組織であります「GBNet福岡」というものを設立しました。このEVバッテリーの資源循環システムを作ろうということで、これを「福岡モデル」として作っていこうと。これはもう全国に先駆けてというか、自治体としてやっているのはおそらく福岡だけではないかということで、経産省さんや環境省さん、あるいはカーメーカーの皆様からも驚かれたのを記憶していますが、しかしこれから、やはりサステナブルな社会の実現を掲げて、その中でもカーボンニュートラルに向けての環境性能に優れたEVの普及のためには、こういった資源循環の仕組みが必要なわけです。こういう中で我々が着目したのは、EVが使われた後どうなっているんだということです。これを調べますと、今ロシアに対しては、輸出が禁止されている、禁輸措置がとられていますが、そういった中でも、8割の中古EVは海外に流出しているという状況である。こうなりますと、やはりここに積まれているバッテリー等に含まれるレアメタルが当然出ます。そしてまた我々は、海外からレアメタルを高い値段で買わなければいけない。やはり国益を損なう状況になっている。経済安全保障上の観点からも、これは問題であると考えます。このためには、やはりEVの中古市場というものを活性化させる必要がある。十分乗れるわけですね。ただ何故かというと、やはりこのバッテリーの劣化の不安というのがあります。このバッテリーの性能大丈夫なのかということがありましたので、これを払拭して、これについてちゃんとチェックをして、保証してリースをしていただくということをやろうということで、この中古EVをサステナEVと名付けて、新出光さんと連携して、全国初のリース事業をスタートしました。どうだろうかと思いましたが、想定以上の応募をいただきまして、先日は八女の蓑原市長と県庁の玄関において一緒に式典を行いましたが、八女市長の公用車としてもお使いいただくということになりました。「GBNet福岡」の取り組みは全国知事会の先進政策大賞にも選ばれています。冒頭申し上げましたが、全国の行政、そしてまた産業界からも、大きな注目を集めている取り組みです。今後も「GBNet福岡」の取り組みを通じて、ずっと申し上げていますが、環境と経済が相対するものではなくて、環境と経済の好循環を生み出す、その中からグリーンな成長を引き出していくんだと、この考え方で取り組みを進めてまいりたいと考えています。

 それから次です。まちづくりということになろうかと思いますが、障がいのある・なしに関わらず、誰もが遊べるインクルーシブな遊具広場の整備を進めています。まず一番最初に、8月に筑豊緑地に開設しました。11月には大濠公園。それから12月には春日公園。この3つの県営公園にインクルーシブな遊具広場をオープンしました。あと、筑後広域公園、東公園、それから北九州の中央公園、この3つの公園にも整備してまいります。こどもをはじめ、誰もが集い、楽しむことができる、こんな公園を目指し作ってまいりたいと考えています。

 今年もスポーツの力というのは皆様方も報道していただいていますが、私たちに元気をいただく、あるいは感動をいただく、勇気をいただく、こんな力を持ってるんだと思います。9月には「アジアBMXフリースタイル選手権」、10月には「クライミンググランドファイナルズ」を、そして12月には「世界プレイキン選手権」、こういった、県内で初めて開催されるアーバンスポーツの大会が続けてありました。そして10月には、ツール・ド・九州。もう3回目になりました。今年は福岡県は筑後市から八女市にかけての120kmあまりのコースで行いました。私も筑後のスタートから八女のゴールまで行きましたが、もう沿道も本当にたくさんの皆様にご声援いただき、そして八女の黒木の、旧黒部線の駅の、の広場ですが、そこにも本当にすごい人が集まって、またいろんな地元の皆様方が手づくりの食事も振舞っていただき、大変な盛り上がりでした。選手の皆様も福岡県のフレンドリーな対応について、感動しておられたところです。そして九州場所が11月にはありましたが、九州場所も非常に人気でして、去年の九州場所は確か場所が始まる1週間前ぐらいに全部売り切れ、札止めになったんですが、今年は販売して1時間半で、15日分がすべて売り切れた、札止めになったということで、相撲協会の皆様方も初めてだと大変喜んでおられました。後程少しフランスでの出張プロモーションの話もしますけど、九州場所は特に私からもお願いをして、外国人の方のための先行チケット販売を日本で九州場所だけやっていただいて、これが非常に好評でして、私も千秋楽の表彰式で待機していましたが、欧米の方もたくさんいらっしゃったのを目の当たりにしたところです。日本の方にも人気ですけども、欧米の皆様方にも人気がある、この九州場所をさらに盛り上げていきたいと思っています。12月には福岡国際マラソン2025を開催しました。数多くの国際大会を開催することができました。そういった中で、ソフトバンクホークスが5年ぶりに日本一を奪還した。福岡の街が歓喜に溢れたところです。残念ながら私は優勝パレードには参加できませんでしたが、本当に沿道にもたくさんの皆様が来て、声援を送っていただいたということをソフトバンクの皆様からもお聞きしたところです。それから11月、デフリンピックがありまして、このデフリンピックには14名の本県ゆかりの選手の皆様が出場し、このうち10名の皆様がメダルを獲得されました。いずれの競技でも、選手の皆様が諦めずに、日頃の努力・精進の成果をここに発揮しようと本当に一生懸命、試合に望んでいらっしゃる姿、本当に努力することの大切さというものを我々は学んだんではないかというふうに思います。

 それから次です。同じく9月で挙げていますが、多子世帯の負担を軽減して安心してこどもを産み育てられるという状況、環境を作りたいということで、第3子以降の保育料無償化を実施しました。これは市町村を通じての支援になりますので、第3子以降の保育料を無償化するという市町村に対して我々は支援する形でスタートさせました。それから、保育の問題で申しますと、保育士の皆様の不足というものも顕著です。こういう保育人材の確保を図ろうということで、11月には、全国で初めてですが、地域限定保育士試験に向けた認定を国から受けました。来年の試験実施に向けて今着実に準備を進めているところです。

 次です。やはり福岡の魅力というのは、これは「食」にありと言っていいのではないかと思います。これまでも様々な機会をとらえて、国内外に「食の王国・福岡」というものを発信してきました。このような中で今年は大阪・関西万博がありました。これに九州7県合同での出展というイベントがあり、これに対して、主に福岡の食というものを真ん中に据えたブースを設けまして、お弁当も販売しました。それから福岡のお酒の試飲、それから八女茶玉露の試飲、そういったものを行いました。大変な盛況でありまして、特にやっぱりお酒のところは、5種類の試飲ができ、選んでいただくということでしたので、時間もかかったせいもありますが、非常に長蛇の列ができまして、7県の各ブースの中で福岡県、非常に好評をいただいたところです。それから10月ですが、生産者が立ち上げました博多和牛が20周年を迎えるということになりまして、記念イベントを開催いたしました。それから、一番右にお酒の図があります。先般、Kura Master ( クラマスター ) で、株式会社喜多屋さん、それから株式会社篠崎さんが受賞されたということで訪問いただきましたが、この福岡県の日本酒につきましては、酒類の地理的表示(GI)に指定されました。このGI指定を一つの弾みとして、これから福岡の酒というもののブランド力を向上させる。そして、国内は言うに及ばず、輸出の拡大というものにもさらに取り組んでまいりたいと思っています。

 次がワンヘルスの推進についてです。先ほど申しました大阪・関西万博でも、これは別の日でしたが、ワンヘルスシンポジウムというものを、シャインハットという大きな会場で行いました。私も登壇いたしまして、1万人のクリーンアップ作戦などの海を守る取り組みを紹介いたしました。その他にも、森を守るというテーマでのトークセッション等々を行ったわけですが、3,600名を超えるご来場をいただきました。非常に暑い盛りの万博であり、もう後半でしたから、皆様はパビリオンに行くことが目的でお見えになるわけですから、どれだけの方に聞いていただけるんだろうと正直言って不安がありましたが、このテーマについて、やはり3,600名を超える皆様が来ていただき、しかも私も壇上からおいでいただいた方々を見ながらお話をさせていただきましたけれども、皆様やっぱり真剣なまなざしで話を聞いていただいていました。やはり環境を守るということについても、国民の皆様方の意識の高さ、そういった中で福岡県のこのワンヘルスというものの取り組みって一体何だろう?というふうに思っていただき、聞いていただいたのかなと思っています。10月には、県内の全市町村が主体的にワンヘルスに取り組むという推進宣言を表明していただきました。ワンヘルスの取り組みも、新たなステージに移行したなと思っています。こういったワンヘルスですが、やはりもっともっと県民の皆様方にご理解いただき、そして自分ごととして日頃の生活行動の中で取り組んでいただきたい。こういうことから、11月には「ワンヘルス未来会議」というものを立ち上げました。高校生、大学生の皆様、市町村の皆様にもご参加いただいて議論をスタートさせています。5月にはこの未来会議からの提案というものを取りまとめていただいて、冒頭申しましたような自分ごととして取り組んでいくために何を県民の皆様にお示ししていくか、提案していくか、こういったことを決めて、そして取り組みを前進させていきたいと思っています。さらに加えて、11月には中核拠点となる全国初の「ワンヘルスセンター」の建設工事を開始しました。図面だけでは分かりにくいかもしれませんが、今太宰府にあります保健環境研究所、そして筑後市にあります家畜保健衛生所、いずれの施設も法律上、県に必置義務があります。この2つの建物、いずれももう半世紀以上経っていまして、非常に老朽化しています。今回この老朽改築というものをするにあたり、このワンヘルスという考え方のもとで、この両研究所を連携して、人と動物、そして環境、この3つを守っていくワンヘルスのセンターとして、建設を今進めているところです。こういったことについて、国会においても、代表質問に対し、高市総理が、「福岡のワンヘルスセンターの取り組みを参考にしながら、人獣共通感染症の脅威に対応していく」と答弁をされるなど、ワンヘルスへの関心が高まっています。先般、国の方に提言、当初予算に向けても要望活動を行いましたが、その際も各省庁の皆様方とお話する中で、正直言って私が思っている以上にこの認識というものが高くなっているなと思ったところです。そういう中で、まずは先ほど未来会議のお話をしましたが、我が福岡県において、県民の皆様方の理解をさらに広げ、そしてワンヘルスを実践していくという一つのうねりというものを生み出して、そして本県から九州、そして全国へと広げていく、こういった考え方で進めてまいりたいと思います。息の長い取り組みになっていくと思っています。

 それから10月です。九州国立博物館が開館20周年を迎えました。これまで博物館を支えていただきました皆様方、地域の皆様方含め、多数お招きして記念式典を開催しました。20年というものを振り返りますと様々なことがあり、本当に地域の皆様に支えられて、この素晴らしい博物館がこれまで歩んでこられたと思っています。心から感謝を申し上げたいと思います。11月には、入館者数が2,000万人を突破したということで、下の方の写真になりますが、熊本からのお客様で、ご夫婦でいらっしゃいましたが、2,000万人突破の記念式典も行わせていただきました。これまでにも増して、これから文化財を通じて感動を共有して、ワクワクする博物館、こういうことを目指して、皆様とも一緒に取り組んでいきたい。全国で唯一、県と国がともに運営をして、そもそも建築も合築方式、この運営も県と国とで共同してやっているという珍しい国立博物館です。強みを生かしながら取り組みを進めてまいりたいと思います。

 それから11月です。国際交流ということで、この11月には海外福岡県人会世界大会を6年ぶりに福岡で開催しました。20カ国地域の27の県人会から、約370名の方に福岡にお出でいただき参加いただきました。記念式典はもちろん、それぞれのゆかりの地を訪れていただく「ふるさと巡り」や海外県人会フェア等も開催いたしまして、絆を深めたところです。今後も、各地の県人会、県人会といいましても2つ種類がありまして、かつて国策で移住をした皆様方の県人会、それから企業の皆様などがそれぞれ支社を作って駐在して、あるいはもう現地で起業されてる方もいらっしゃいます、そういうふうな県人会と、ざっくり分けると2つあるわけですが、いずれも我々にとって大切な組織です。こういった皆様方とも、これからネットワークを強固にし、そしていろんな県人会の皆様に福岡県の高校生や大学生を受け入れていただいて、海外のビジネスの現場を体験させていただいたり、いろんなご協力もいただいています。未来を担う世代を育成していく、さらにはビジネス交流、こういった幅広い分野での交流を促進してまいりたいと思います。それから、時系列的には逆になりましたが、4月には在福岡インド総領事館が開設されました。

 インドの非常に強い意向というものがあって、これが始め報道されたときは我々も全く聞かされておらず、非常に驚いたというのが正直なところでありましたが、いまラムクマール総領事も非常に精力的に活動されています。これから高度な人材交流、そしてまた総領事館ですから、福岡以外のこの九州エリアも担当いたしますけれども、いろんな経済産業分野での交流、こういったことについて拡大していきたいということで、本当にラムクマール総領事の精力的な活動には敬意を表します。それから8月には、インドのモディ首相が来日されました。一番右側がその時モディ首相とお会いしたときの写真ですが、国内の数県の知事をお招きいただきまして、意見交換をさせていただく機会を得ました。こういった国家元首の方と我々地方自治体の長、県知事が意見交換するというのは珍しく、あまり聞いたことがありませんが、これはモディ首相の強い意向に基づくものでありまして、やはりモディ首相は長く州知事をされていて、このときのお話の中でも、インドの現在の発展、この基礎は州にあるというふうに考えていらっしゃいました。日本という国家が発展していくためには、この都道府県というものの発展が必須である、こういう考え方から、ぜひ皆様と意見交換をしたかったんだということを、モディ首相はおっしゃっていました。非常に鋭いまなざしの方でいらっしゃいましたが、席上においても、「福岡からは元気を感じる」というお話をいただきまして、今後我々も総領事館とも連携して、先ほど申しましたが、高度人材交流や福岡県の強みであるIT、バイオ、半導体等の分野での産業の育成というものを進めてまいりたいと思っています。

 最後になりますが、先日、土曜日に新しい福岡武道館が誕生いたしました。11月に竣工しましたが、先日開館記念式典を行わせていただきました。もう皆様方も中はご覧いただいたとおりだと思います。県産木材をふんだんに使った内装になっていますし、現在の武道館と比べても充実した施設になっています。特に特徴的なのは、地下1階にバスケット等ができる体育館の施設を設けています。これはやはり隣に福岡市民体育館があるので、福岡市民体育館で様々な大会等がある場合に、そのサブコートとしても使っていただくことができます。また、県民の皆様方が多様なスポーツで活用していただくことができる、こういうことを目指して、もちろん武道というものが中心でありますが、そのような機能も持たせた体育館としています。駐車場も市民体育館と一体運用するなど、福岡市の市民体育館と連動させて、協力しながら、武道そしてスポーツの振興に大いに役立てていきたいと思っています。また警察の皆様にとっても、県庁から歩いて行くことができますし、また特に多く使っていただいております、第一機動隊千早の皆様も今よりかなり距離も近くなるということで、県警の皆様にとっても利便性が上がると考えています。

 今年1年を見てまいりました。まだまだいろんなことを申し上げたい、あるいは申し上げなければならないこともあるとは思いますが、来年も様々な施策をスピーディーに立案し、そして実行していく、そして未来に駆け上がる飛躍の年となるように全力で取り組んでまいりたいと思っています。よろしくお願いします。

 

 次に、先月の23日から27日の日程、往復を除きますと実質現地では3日間ほどでしたが、フランス・パリでプロモーション活動などを実施しましたのでご報告申し上げます。

 まずですね、これが主目的ですが、食の王国福岡というものをフランスの皆様にもPRしていこうということで、まず訪問の初日ですが、世界的なグルメ情報サイト「ラ・リスト」、こちらが主催するイベントに福岡県ブースを出展しました。ブースといっても、非常に華やかな、後ろに映っていますけど、フランスの外務省ってすごいなと思いましたけども、この一室をですね、ほぼすべて福岡県にお貸しをいただいて、出展することができました。ですからフランス外務省の庁舎で開催をされたわけでございます。大体フランス、ドイツなど世界25カ国以上からトップシェフの皆様、ホテルやメディア関係の皆様など、500名を超える皆様が参加されていました。ヨーロッパでもですね、非常に格式の高い美食の祭典です。この福岡県ブースですけれども、ここで参加されている方にお勧めしておりますが、福岡は去年、ガストロノミーの地として「ラ・リスト」から国内授賞式で麻布のフランス大使公邸で私特別賞をいただきました。今年はですね、福山剛さん、フレンチシェフが「ラ・リスト」からこの今回のイベントの中において特別賞を受賞されました。この福山剛さんの監修によるゴマサバ風の鯖寿司やあまおうとフォアグラを合わせたもの等々ですね。それから珍しいのはめんたいをからすみ風にして、60日間乾燥させて。からすみって、めんたいをああいう風に作ったのは初めて私も食べましたが非常にぴりっとしておいしいものでした。こういうふうなものを使って、魅力溢れる料理をご提供いたしました。もちろんサンプル的なものですから1つずつは小さいものですが。それから八女茶も玉露・煎茶いずれもご提供し、さらには県産のお酒についてもご提供いたしました。たくさんのお客様方においでいただきました。あわせて、小石原焼や高取焼などの器の紹介、さらには博多人形師中村信喬さんの作品の展示、それから、博多織・久留米絣の作家の皆様の作品も展示をいたしました。

 私も、対応させていただきましたけれども、福岡の部屋が一番すばらしかったという評価を、たくさんの皆様からいただき、美しいと。特にああいう着物・織物も、美しいということで「触っていいか」っていうんで、「これはシルクか」「これはコットンか」と。「どうやってこの模様を久留米絣に作るんだ」とかいろんな具体的なご質問をいただいた記憶がございます。福岡ならではの魅力を味覚と視覚の両面から発信することができたと思います。

 それから、この「ラ・リスト」の代表の方で、フィリップ・フォールさんという、この方は以前の駐日フランス大使でいらっしゃいますが、フォールさんからは、「ラ・リスト」と連携した食のイベントを福岡で開催してはどうかというご提案もその日いただいたところです。

 それから次でございます。今回の視察の中でフランスの茶商の方との意見交換を行いました。八女茶をですね現在も取り扱っていただいております。ル・パルティ・ドゥ・テ社のルブラン代表と会談をいたしました。お店の様子がこの右側にありますが、非常に美しい。日本ではあまりこういうイメージのお茶の展示というか、並べ方というのはないと思います。また、非常におしゃれな、やはりフランスだなあというふうな器も作っていらっしゃいましたけれども、ルブランさんとお話をして八女茶の販売状況、マーケットでの評価、それから消費者層の傾向、こういったものを詳しくお話を聞かせていただきました。そして同時に、今後効果的なプロモーションをやるにはどういう手法がいいのかということについて意見交換を行いました。ルブランさんはですね、抹茶というものを、私もたまたまぷらっと入ったカフェで抹茶ラテっていうのが普通に出て、いるのには驚きました。そんなに高くないんですね、向こうのお茶も。そしておいしかったです。これだけ抹茶がポピュラーになっているんだなというのを、直に感じ取ったんですけれども。こういう抹茶も確かに人気であり、ただやはりルブランさんは日本の茶道とかそういったものの本当のものを知っていただいた上で、でもみんながみんな、日本人もそうですけど、毎日お茶をちゃんと、とはできない。でも手軽に楽しむ方法があると。こういうちゃんとしたことを、正しいことを知っていただいた上で、フランスの皆様にも手軽に楽しんでもらえる手法・方法を提案していくことがこれから必要だというふうにおっしゃっておりまして、またそういった取り組み方については、ルブランさんともこれから協議をしながら進めてまいりたいと考えております。

 それから、水素モビリティでございます。もうすでに報道を一部されたことがございますが、水素モビリティの新興企業で「ハイセットコー」という会社を訪問いたしました。パリからちょっと出た郊外にある会社ですが、このハイセットコー社は、トヨタ自動車とフランスのガス会社、それからエネルギー会社などが出資する合弁会社です。この水素ステーションの整備、それから水素の製造、それから燃料電池タクシーの運行、そしてそういった車両のメンテナンスまで、一貫して一体的に手がけている会社です。車両は、ちょっと色が見えませんけれど、トヨタのミライなどを中心に800台のFCVを運行されている会社です。ロイック・ヴォアザンさんという社長さんにご案内いただき、私の後ろに立っているちょっと背の高い方が、社長でいらっしゃいますが、この水素モビリティの本格普及に向けた取り組みについて意見交換を行いました。水素燃料電池の車というのは、水素の値段っていうのもまだ高い。普及の最大の課題になっています。どうやってこれをクリアしていくかというのを意見交換、かなり長い時間を行わせていただきましたが、ハイセットコーではですね、車両メーカー、トヨタ自動車、800台と聞いておりましたが、少なくとも600台から800台の規模で今導入しておりますトヨタのミライですね、こういうスケールメリットですね、まとまった台数を導入することによって、車の値段も抑えている。それから水素も、製造する会社としてまとまった量を供給することで、この水素の供給価格というものも抑えられる。また、フランスは、原発が非常に多い国、もうご存じのとおり。やはり電気料金も比較的安い。これが水素の、水電解しなければいけませんから、グリーン水素をつくる上において、非常に安くできる理由でもあるというご説明でございました。こういうふうな、合弁会社としての特性を生かして全体的なコストを下げることができていて、こういうものを生かしながらマーケットへの普及を今進めているということです。やはりこういう連携、我々も今まで取り組んでまいりましたが、ステーションはステーション、車の運行は運行どういうふうになっている、ということは我々ももう1回考え直さなきゃいけない。いわゆるパートナーシップというものの重要性を改めて認識しました。

 それから次でございますが、観光戦略。観光プロモーションを行ってまいりました。現地の旅行会社やメディア関係の方約70名にご参加をいただきまして、大相撲九州場所、非常にフランスは相撲人気が高い。シラク大統領は相撲が大好きだったいうのもありますが。また来年の6月には大相撲のパリ公演が行われます。今年はロンドン公演で大人気だったと。実際行かれた山本さんとか大学の後輩なんで、お聞きしましたけれども、パリはさらに盛り上がるだろうという予想が立っております。こういうものをまた弾みにして、ぜひ九州場所を目当てにしておいでいただく、そういうツアーを、商品を作ってもらえないかということも各社の皆様にも提案をいたしました。非常に関心高くて、何席用意できるか、というふうなお話も具体的にいただいたところでございます。それからサイクルツーリズムについても、ツール・ド・九州とかもやっているし、我々の福岡県には非常に美しいサイクリングロードがあるということもご紹介いたしました。

 その他フランス人のプレゼンターの方達からネイティブ目線で、福岡の自然や工芸、食文化などの魅力を発信いたしました。セミナー後の交流会で、県議会の皆様とも一緒に福岡県のPRを行ったところですが、先ほどのような相撲に関するご質問や積極的なご提案もありましたし、それから「アジアと福岡は近いじゃないか」、「なぜ自分たちに東京から来いというのか」と。「なぜわざわざ、もう東京何回も言ったことがあるリピーターが東京まで行ってから行かなきゃいけないの」と。「むしろ韓国と福岡を結ぶツアーを作るべき」というご提案もいただきました。確かに、これに先立って私、日韓知事会議にもまいりましたけど、仁川で行われました。仁川と福岡の間には1日20便、今飛んでいます。こういう利便性も考えたときに、フランスの方々から見て、世界感から見て、そうだなというふうに思いました。仁川で韓国、ソウル観光をして、そして次には福岡に入って福岡九州の観光をすると、こういうツアーを提案すべきではないかというご指摘もいただいたところで、ぜひそういう商品を作ってもらいたい。ということで仁川の市長とも、日韓知事議会のときにお話をしたわけですけれども、彼も同じ意見を持っているところです。ぜひこれからのアジアの玄関口であり、今も全く近い、東京より近いわけですから、この特性を生かした、ヨーロッパのお客様の呼び込みというものを、工夫をしていかなければいけないと思っています。それから複数の現地メディアの皆様からはぜひ福岡に直接行って、取材をしたいというお申し出もいただいたところです。

 それから次は、国際獣疫事務局、WOAHの本部がパリにございます。こちらに藏内議長とともに、モンセラート・アロヨ副事務局長さんに、2028年に予定されておりますワールド・ワンヘルス・コングレスっていう世界の大会がございますが、このワールド・ワンヘルス・コングレスを福岡に誘致したいということで、これに向けての支援を要請しました。副事務局長アロヨさんからは「ぜひ支援させていただきたい」という力強いお言葉をいただきました。それから福岡県のワンヘルス国際フォーラムについてもご存じでいらっしゃいまして、こういうことについても「私たちが目指す方向と合致をしているので、これからも協力していきたい」というご発言もいただいたところです。今回のパリへの訪問、プロジェクトを通じて、食を核にしながら、伝統工芸あるいは文化、スポーツ、こういったものを組み合わせることによって、ヨーロッパに対して確かな発信力を我々は持っているっていうことを実感をいたしました。今後先ほど申し上げましたラ・リストとの連携の強化、あるいはヨーロッパをターゲットとしたさらなる誘客促進策、そういったツアー商品の造成等について検討を進めてまいりたいと思います。2点目は以上でございます。

 

 3点目は、先ほどインフラ整備のお話もいたしましたが、下関北九州道路の都市計画決定に係るお話でございます。本日、都市計画決定権者である山口県と北九州市、両県市で具体的なルートやインターチェンジの位置、それから道路幅員などを盛り込んだ都市計画が決定されました。下関北九州道路は九州と本州を結ぶ新たなルートとして、もうすでに皆様ご存じのとおり、関門橋、新しいようでも、もう52年経っています。半世紀以上。関門トンネルに至っては67年経過ということでして、非常にやはり今後の老朽化に伴ういろいろな支障というものが懸念されます。この関門トンネル関門橋の代替路としての役割を担うとともに、この小倉から彦島を結んで、そしてぐるっと向こうの方のインターも、下関インターに繋がるわけですが、こういうふうな循環型のネットワークがまた新たに形成をされる、このことによって、北九州下関地域に、一体的な発展のためにぜひ必要な道路であると考えております。我々も2県2市、力を合わせてこれまで取り組んできました。まさに我々の悲願として、国にも強く申し上げ、今年は初めて東京で建設促進大会の開催をし、地元のみならず東京でのこの建設に向けての機運の醸成に努めているところです。

 またこの道路は、半導体あるいは自動車、こういったものを我々は「グリーン成長プロジェクト」として取り組んでおりますが、この「グリーン成長プロジェクト」についても、企業の誘致、あるいは設備投資を後押しする交通インフラとして期待されるものです。今回の都市計画決定は下関北九州道路の早期の事業化に向けて大きな前進であると考えており、これまでの両地域の皆様方、関係者の皆様方のご理解とご協力に対して深く感謝申し上げます。

 引き続き、山口県、北九州市、下関市、そして経済界の皆様方と連携をして、下関北九州道路の早期事業化に向けて国への要望活動などに取り組んでまいります。私からは以上です。

質疑応答

​​(西日本新聞)今お話しになった下関北九州道路についてお伺いします。
 この道路については、関係自治体などが早期の事業化を目指していますが、事業主体も事業手法も未定で、事業化の判断は見通せていません。さらに、2020年度の計画時点よりも大幅な費用膨張が予想されます。知事としては、事業化を進める上で最もハードルになるのは何だと考えますか。また、今年度中の事業化の可能性はあるのか、所見をお伺いします。

(知事)まず、最後のほうの答えになるのかもしれませんが、事業主体、それから整備手法、そして完成の予定時期というのは現段階で未定という状況でして、今それについて、これが悪いと申し上げることはできないと思います。
 ただ、我々も東京で整備促進大会を開いたわけです。我々の総意として、やはり利用者負担を基本とした有料道路事業を最大限に活用するということ、こういったことによって効果的な整備手法を決定するということ、それから、新規事業化に向けた手続を着実に進めていただきたいということ、このことを国に要望を今年も行ったところです。しっかりと政府機関、また関係国会議員の皆様に対しても働きかけを行っていきたいと思います。
 この事業手法、これに伴って事業主体というものも自ずと決まってくるわけですが、これを早期に決めていただきたい。これは我々、国土交通省のみならず財務省等にも要望活動を行いますが、そういった際にもお願いをしているところで、やはり、利用者負担を基本とした有料道路事業と申し上げているこの手法を早期事業化、そして早期の完成を目指す上においては、一般公共事業だけでは予算の確保等々の問題があって、かなり時間がかかってきますので、この有料道路事業というものを入れてスピードアップするといいますか、早期の事業化、完成というものを目指していくということが我々の念頭にはあるところです。

 

(NHK)今年の漢字は「熊」ということで、ちょっと福岡は縁が薄いかもしれないんですけど、まずこういうふうに今年の漢字が決まったことについての受け止めと、その上で、幅広く鳥獣被害対策という点について、福岡も、熊はいないですが、鹿とかイノシシはいると思うので、その課題感や、県としてどういうふうに取り組みたいかということを一言お願いします。

(知事)熊は、九州においてはツキノワグマが絶滅したということで今現在いないということでありますが、熊による被害に非常に悩まされていらっしゃる地域もたくさん増えてきて、お見舞いを申し上げますというか、我々としても、そこについては非常に心配をしているところです。
 でも、やっぱりこの熊の問題、それからついでに申し上げますが、イノシシや鹿の問題、野生鳥獣による農作物、それから人的な被害。猿もそうでしょう。こういったことも、やはり自然の中で我々は生きているわけですけど、人と動物との適正な距離というものが乱れてきている。やっぱり動物だって、リスクを冒して人里に下りてきたくはないと思うんですよね。撃ち殺されるかもしれない、罠にかかるかもしれない。だけど、やはり熊にしても、冬眠前に脂肪分のある餌を蓄えておく必要がある。冬には餌がないという前提で、だから冬眠するわけですけど。ところが、山の自然が荒れて、そしてドングリとか、そういうものがなくなって、餌がないと。それでやむなく下りてくると。そこで人間とのトラブルというものになっている。
 やはりこれも一つワンヘルスという観点から、人と動物との関係、バランスというものをしっかりと保っていくことを考えていかないといけないんだと思います。我々も同じ生き物として地球の上に暮らしている。人も動物も、やはり生きとし生けるものがこれからこの地球の上で暮らしていく上において、地球の環境を守っていくということ、これは我々の責務ですから。広葉樹林を、必要はあったといっても、木材を採るために針葉樹に入れ替えてきたことによって引き起こされてる問題もあると。やはり人間がなしてきた影響は大きいわけですよ。だから、こういうことを我々もしっかり考えていかないと。これからは、そういうふうな山里の話プラス、海もそうですよね。魚の重さよりも海洋プラスチックの重さのほうが重くなると言われてると。こういうことを放置しておいて、それがいずれは人間がそういうマイクロプラスチックを自分たちの体内に食べてしまうということにつながるわけですから、やはりこういう自然界のバランスというものをしっかりと保っていく、そして、自然、人も動物も地球も健康にしていくということ、この取り組みを我々はずっと続けていかなきゃいけない、息の長い取り組みになると思うんですけどですね。
 そして、鳥獣被害の問題を申しますと、我々もずっと防護柵とか、あるいはそういったものについての捕獲とか、こういう取り組みをやってきました。大体年間、どうですかね、9億円内外の予算は毎年、ずっと措置をしてやっています。防護柵もやっぱり古くなりますから、老朽化対策もしていかなきゃいけない。こういうふうに経費の面でも相当かかるわけです。それでもやはり、鳥獣被害というのが各段に下がってるかというと、一定は下がってますけど、やはり横ばいの状態にありますので、これからしっかり農家の皆様方が丹精込めてつくったものが荒らされるということがないように、このことはやっぱり同時に取り組んでいかなきゃいけないというふうに思います。

 

(西日本新聞)議会事務局の契約事務について知事にお尋ねします。議会事務局のこととは思うんですが、お金としては県のお金が出てると思うので、御回答いただければと思います。
 先日、弊社の情報公開請求による開示資料から、議会事務局が実施した海外視察において、旅行会社との業務委託契約が、いわゆる少額随契の範囲で契約されてから増額が繰り返されていることが発覚しました。違法ではないとはいえ、脱法行為に近いと思います。このような不適切な事務について知事は認知していたのか、教えてください。

(知事)今回の情報公開、記事の対象にされている経費というのは委託費。その中身は大体、通訳さんの経費とか、あるいは移動用のバスなどの車両の借り上げ経費とか、あるいは添乗員の経費とか、あるいは向こうでの会場の借り上げ経費とか、そういったものを対象とした経費について調査をされたというふうに認識しています。
 こういうふうな経費について、随意契約をされていて、その後、変更しているということで、この中身がどういう理由によって変更が必要であったのかということについては、私も逐一承知していませんので、今ここで個別にお話しすることはできませんが、やはり先ほどおっしゃったように、契約行為については、当然、法令、規則に基づいて適正に行われるべきものですから、県議会においてもそれを踏まえて契約関係の事務というのは執り行われていると思います。しかし、今回の御指摘を踏まえて、どのような状況であったのかということを、これは県議会において再度検証をされるべきものであるというふうに思います。
 我々の知事部局でも、やはり出張に際して、今申しましたような経費については、委託をする必要がありますからやっているわけですが、同様に令和6年1月以降の状況を調べてみますと、このうち、随意契約を結んだうちで、令和6年1月以降、知事・副知事の出張に関して11件ありました。このうち随意契約で結んだ事例は8件ありまして、このうち契約後に増額した事例は2件、それから、減額をした事例も2件あります。やはりこのように、訪問先の事情等の変更によって色々な行程が変わることもあります。そして、通訳の人数が必要である場合、車両の追加手配が必要になる場合、そういう場合には増額契約を行っていたと。そして、逆に、色々な行程変更とか、場合によっては通訳さんもここまでの数は要らないということであれば、そこは落として、減額変更を行っていたと、こういうふうに、知事部局においては適正な対応を取っていたという報告を受けているところです。

(西日本新聞)知事部局は適正な対応だったということですが、県議会のほうについては、仮に通訳さんが必要になったとかいう話になっても、契約額が10倍になるとか、一般的に考えて、専門家に聞いても1.5倍以上になることというのは別の契約に近いという意見も聞いたりとかしているのですが、そういった大幅な増額について適正だったかどうかというのは、今後、知事部局としても県議会の契約事務について調査をしたりとか、そういうお考えはあったりされるのでしょうか。

(知事)これは、監査とかもありますので、そこの中できちんと確認をされるべきであるというふうに思いますし、県議会の事務局もありますけども、議長の下で運営をされているわけですから、その下において適切に調査をされ、検証されるべきものであるというふうに思っています。

(西日本新聞)その調査、検証の一つになるとは思いますが、委託が、どうしても海外視察という特性もあるとは思いますが、特定の業者に集中している様子がうかがえました。いわゆる談合とか、そういう疑いに関しては、ないというふうに言い切れますか。もし分かれば教えてください。

(知事)そこも今の段階で、冒頭申しましたように、具体的な契約変更の必要性、内容等についても我々承知していませんので、それに、さらに業者の選定等についても、どういうふうな理由をもって選定をし、随意契約を結ばれていたのかということについては、議会事務局のほうで再度検証されたいというふうに思っています。随意契約というものが、法令上、それができる条件というのは定められていますから、我々もそこは今後しっかりと確認をしながら処理をしていきたいというふうに思います。

 

(朝日新聞)先ほど少しお話があった八女茶の海外展開の関係でお伺いできればと思います。
 12月議会の追加提案の中でも、オーガニック化の促進に予算を入れられていました。海外需要を見込んだものだと思いますが、一方で、成り手不足であるとか、農地の荒廃といったことも生産者さんからは聞きます。こうした問題含めて、どういうふうに今後県として取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせください。

(知事)今回はパリでやりましたが、これまでもニューヨークとかロンドン、あるいはタイのバンコクとか、色々な機会を捉えて、八女茶のトップセールス、また、現地の茶商等、取り扱っていただいてる方々との意見交換等を行ってきました。
 去年のロンドン訪問では、今、少しお話しいただきましたが、現地の茶商の方々からのニーズといいますか、非常にオーガニック栽培のお茶に対するニーズが強いということをお聞かせいただきました。そういうことがあって、昨年度、2月補正でございましたが、令和6年度の2月補正で、八女茶のオーガニック栽培を促す、このための支援策を講じまして、八女の生産農家の皆様と県と協力して、なかなかオーガニックといっても土づくりからやっていく必要がありますので、着実にこれを進めていこうということを今やっているところです。今回の12月補正でも予算措置をしまして、継続的な支援を行っているところです。
 それから、同時に、抹茶もオーガニックというのもありますが、やはり抹茶需要が国内外で急激に伸びておりまして、今、福岡の茶商さんの店頭にも「抹茶はございません」という張り紙が出ていたりします。今年度の当初予算で、抹茶の原料となります碾茶、この生産を拡大する、この支援策を今年、令和7年度の当初予算で措置をいたしました。
 そういうことも踏まえながら、新たにイギリスでもプロモーションを行い、そして、茶商の皆様を八女の現地にお招きして、これは私が副知事のときにもかつてやって、あのときはフランスとドイツの方を呼んだと思うんですが、その皆様が今のお取り引き願っている茶商の皆様であると。今回のフランスで訪問した会社も、そのときに最初にやったときに八女に来ていただいた方なんですね。そこからお取引が始まっている。非常に現地に来ていただくということは、彼らが言うのは、そこの土地の土を見て、そして空気を吸って、水を飲んで、これでどんなところでどういう栽培の仕方をしていって、これを見ることが非常に重要だとありますので、この茶商の皆様の招聘というのも引き続きやっていきたいと。これは非常に効果的であると思っています。
 ぜひこういうものをやっていくこと、それと出口のところでは、今回もやりましたような色々なプロモーションを通じてもっともっと知っていただく。非常にグリーンティーの人気というのは高いものがありますけども、やはりその中でも福岡の八女茶というものを選んでいただく必要がありますから、今後も効果的なプロモーションというものをやっていきたいというふうに思っています。だから、やっぱり生産現場を強くする。生産現場も、要するにマーケットのニーズに合わせてというか、ニーズをちゃんと踏まえて生産をしていくということ、その体制をつくる。そして同時に、出口のほうの消費、販売の出口を大きくしていく、この二本柱、これを八女茶においてもしっかりやっていきたいと思います。

 

(TNC)給食費の無償化についてお尋ねさせてください。先日の3党合意で、費用について、国、都道府県で費用を折半、ですが地方交付税で自治体補助という形になりました。改めて、知事の受け止めをお願いいたします。

(知事)そもそも今回の教育の無償化に係る進め方というのは、非常に我々知事会としても疑問に思っておりまして、しかも時間的余裕もない中でというのもありますし、また、我々に最初提示されたのは、あくまで政党の皆様、3党の形で提示された。やはりこういうのは今までにないわけでして、こういう進め方については今後やめていただきたいということは、全国知事会として申し上げております。
 そういう中でありますが、我々としても緊急にウェブを使った会議を開いて、私もそこで8項目にわたって色々な意見といいますか、反対も含めて言わせていただきました。大きくは、やはり教育の無償化という取組について別に反対するものではありません。ただ、そういう進め方の問題と、それとやはり財政措置というものを、特に今回初めて、給食というものに都道府県が2分の1を負担するんだという話になったということであれば、その財源措置というのは、的確に、確実に、そしてかつ恒久的に行われなければならないわけでして、この辺を私も強く求めてきた。これについて、国の交付金以外の都道府県が負担する分については、国の交付税措置によって地方財政措置をきちんとやるということが示されましたので、ここについては一定評価をしたいというふうに思っています。
 ただ、交付税であれ、国庫補助であれ、基準額というのが、最初に示されたのが4,700円と到底低い。私としては。色々な市町村長さんからお聞きすると、どこも5,000円代という状況でして、4,700円という単価では到底賄えないわけです。そして、かつ給食の無償化とおっしゃっている。学校給食法を変えないわけですから、今回。じゃあ、保護者負担という規定はそのままになる。基準額はそうやって低い。じゃあ、市町村の皆様、市町村長の皆様は、どうするのと。非常にそのはざまに立って、厳しい局面に立つであろうと。また、保護者の皆様からも、無償化という言葉が誤解を招きかねないということもあります。そういったことから、まず、無償化という表現はやっぱりおかしいんじゃないかということで、今回、「学校給食費の抜本的な負担軽減」というふうに改められましたので、ここについても一定評価をいたしております。
 そして、かつ基準額についても、4,700円から5,200円というふうに一定の引上げがされました。しかし、これは令和5年度の国の調査に対して現在までの物価高騰を加味したと言われておりますが、ただ、令和8年度の予算に対して、物価高騰の率というのが少しまだ十分に反映されてないんじゃないかと、思っていますので、さらに引き続き、市町村が求める水準、何より大切なのはこどもたちの給食の質を落とさない、確保するんだと、このことが大事ですから、このために十分な基準額であるのか、ここは国においても引き続き検証をしていただいて、そして基準額の見直しもためらうことなく行っていただきたいというふうに思っているところであります。

 

(TVQ)会見の冒頭にもあったんですけども、改めて来年への抱負というところをちょっとお話しいただけますか。

(知事)2期目をスタートさせていただき、福岡県知事というものの職の重さ、大きさというものを改めて感じています。そういう中で、年が改まろうがどうしようが、やはり県民の皆様方の命と健康を守る、そして生活を守っていく、働く皆様方、生活者の皆様方の暮らしを守っていく、ここは何ら変わらず、年が改まっても最大の取り組み、第一として取り組んでいきたいと思います。
 同時に、私も、今掲げております、福岡県がこれから発展していく上において必要な基礎を築くということで、礎を築くということを令和7年度は取り組んでまいりました。先ほども御説明したように、色々なことにおいてそれは前進していると思います。しかし、なお、やはり人を育てると。教育であれ、あるいは産業人材の育成であれ、全ての基礎は人でありますから、人を育てていくということ、これをやはりさらに強力にしっかりと継続して行っていかなければいけない。こどもたちも生まれて育っていきます。世代はどんどん替わっていきます。このこどもたち、若者たちのやはり大いなる夢を叶えることができるような、チャレンジを応援する、そんな取り組みもしっかりこれから引き続きやりたいと思いますし、県内どこにいても充実した教育が受けられる、この環境整備をやはり考えていかなければならない。そういう中で、当然、勉強もですけども、体育館のエアコン施設の整備等々についても、今、色々な調査と計画づくりをやっていますので、それにのっとって進めていきたいと思っています。

 

(終了)

 

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