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福岡県労働委員会委員コラム 第27回

更新日:2025年11月26日更新 印刷

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第27回

 

 

「労働紛争を解決するには」

 

使用者委員  中村 年孝 

 

 労働委員会には、様々な案件が持ち込まれます。そこでまず行われるのは、労働者側と使用者側、それぞれの言い分を丁寧に聞くことです。意見が食い違っているからこそ労働委員会に話が持ち込まれるわけですが、多くの場合、その主張は真っ向から対立しています。それでも労働委員会としては、できる限り「和解」という形で解決につなげたいと考えています。では、そのためにどうすればよいのでしょうか。

 一つの方法は、法律や証拠をもとに判断することです。もちろん法律のルールに照らして正しいかどうかを確かめることは欠かせません。ただ、実際にはそれだけでは解決に至らないケースも少なくありません。たとえば、ある事実をめぐって労働者側は「これは不当労働行為だ」と主張しても、使用者側は自分に都合のよい点ばかりを強調し、相手の主張を軽く扱ってしまうことがあります。そこには無意識の思い込みや固定観念が影響していることもあります。結果として、両者が立場を崩さないまま法律論を戦わせても、歩み寄りにはつながらず、和解に結びつかないことが多いのです。

 労働紛争の難しさは、労働者も使用者も強い感情を抱え、その思いに基づいて主張を繰り返してしまう点にあります。労働者にとっては生活や尊厳に直結する切実な問題であり、使用者にとっては組織の秩序や経営の根幹に関わる重大な問題です。気持ちがぶつかり合えば、同じ事実を見ていても受け止め方は大きく異なり、話し合いはどうしても平行線になりがちです。では、どうすればよいのでしょうか。

 大切なのは、ただ「聞く」のではなく、しっかりと「聴く」ことです。相手の言葉だけでなく、その奥にある感情や思いまで受け止める姿勢を持つことが大事です。さらに、問いかけを交えながら確かめ合うことで、誤解や思い込みを少しずつ解きほぐすことができます。中立的な立場で双方の話を整理し、双方が受け入れやすい提案をする──そうした関わり方が必要になります。

 こうした姿勢が欠かせないのは、労働紛争が単なる「勝ち負け」で片づくものではなく、人と人との信頼関係の回復が重要だからです。真に持続可能な解決を実現するためには、話し合いを通じて双方が納得できる「合意づくり」を大切にする必要があります。労働委員会の役割の一つは、まさにその橋渡しを担い、和解という形で双方にとって意味のある解決を導くことにあるのだと思います。

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