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福岡県労働委員会委員コラム 第26回
第26回
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「労働組合の役割と労働委員会」
労働者委員 高田 章男
このコラムをご覧の皆さまにおかれましては、日々それぞれのお仕事に、ご尽力されていることと存じます。 福岡県労働委員会は、労働組合と使用者間のトラブル(労働争議)を円満に解決するようお手伝いをしたり、労働者の団結する正当な権利が侵害された場合(不当労働行為)には、これを排除し、公正な労使関係を形成したりすることなどを目的として、労働組合法に基づき設置された行政委員会です。 さて、労働者の皆さん、労働組合に入っていますか? 厚生労働省が、令和6年12月に発表した「労働組合基礎調査」によると、令和6年6月30日現在で、労働組合に入っている人の数(労働組合員数)は、約991万人、推定組織率は16.1%となっています。つまり、労働者の8割強は、労働組合に入っていないことになります。 では、労働組合に入っていない皆さんは、労働組合に、どんなイメージをお持ちですか?あるいは、どのようなものかご存じですか? 労働組合は、「働く人たちが団結して、自分たちの働く環境や条件を良くするために活動する団体」です。日本国憲法第28条では、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」とされ、労働者が集まり、使用者に対して団体で交渉したり、必要に応じてストライキなど行動したりする権利を認めることで、労働者の立場が守られています。 また、労働組合法では、「労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう」とされています。 つまり、労働組合は、労働者が集まり、力を合わせて、働きやすい職場をつくるための、ひとつの手段でもあります。職場の意見や要望をまとめ、団体交渉や労使協議会などを開催し、使用者と交渉や協議を重ねることで、風通しの良い職場環境の実現にもつながります。労働者は弱い立場にあるからこそ、仲間と共に集まり、労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を背景に活動するのが労働組合です。 もし、職場に労働組合がなければ、組合を作ってみてはいかがでしょう。二人以上の賛同者がいれば、組合を結成することは出来ますが、ポイントは、より多くの仲間を集めて作ることです。また、仲間が集まりにくい場合は、一人でも加入できる労働組合(合同労組や地域ユニオン)もあります。 そして、労働組合と使用者間の交渉や協議が、スムーズに進まず行き詰った場合や、当事者間での解決が困難な場合には、ぜひ労働委員会にご相談ください。 公正・中立の立場で、労働問題に詳しい公益委員・使用者委員・労働者委員がそれぞれの立場で、トラブルの円満な解決をお手伝いします。 |

