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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
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令和6年度12月補正予算について(財政課)
令和6年度12月補正予算について [PDFファイル/923KB]
その他
福岡県とバンコク都の協力によるワンヘルスの推進に合意!
福岡の魅力を紹介する「福岡フェア」と本県の観光・食のトップセールスを実施しました!(国際交流課)
福岡県とバンコク都の協力によるワンヘルスの推進に合意!福岡の魅力を紹介する「福岡フェア」と本県の観光・食のトップセールスを実施しました! [PDFファイル/1.39MB]
(知事)皆さんおはようございます。今日は私からの発表事項は2点です。
まず、12月2日に招集する県議会に提案する「令和6年度12月補正予算」について、概要を説明します。補正予算の規模は116億1,100万円です。その内訳は、県民の皆さまの安全・安心の確保のための経費として1,600万円、県行政の将来を担う人材の確保のために1,400万円、県議会議員の補欠選挙に要する経費として4,200万円、それから職員の給与改定に要する経費として115億3,900万円を計上しています。この財源は、国庫支出金や昨年度からの繰越金のほか普通交付税を計上しています。
なお、11月22日に国において経済対策が閣議決定されたところです。現在我々も、経済対策の内容について、鋭意、情報収集に努めているところですが、今後、この経済対策の裏付けとなる補正予算が国会において審議されます。この審議状況を注視しながら、県民の皆さま、事業者の皆さまに寄り添う姿勢で、機動的な対応を図っていきます。
それでは今回の補正予算の内容について説明します。
まず、県民の安全・安心の確保についてですが、平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会を開催するための経費です。厳しい財政状況が続いている平成筑豊鉄道ですが沿線の市町村から、沿線地域に関する地域公共交通計画の作成とそのための法定協議会設置の要請をいただきました。
市町村ごとに抱える課題や取り巻く状況はそれぞれ異なるわけですが、そういった中で、広域にわたる地域公共交通を持続可能な形で維持・確保していくためには、具体的な事実とデータに基づいて議論を行い、その上で、相互に理解を深めていくことが重要です。このため、市町村の皆さんの要請に基づき、県が法定協議会を設置し、地域公共交通計画の作成に向けた課題分析調査の内容を検討します。この法定協議会においては、持続可能な住民の皆さまの移動手段の確保に向けて、沿線市町村の皆さまをはじめ関係の皆さまのお考え、ご意見をしっかり伺いながら、丁寧な合意形成を図ってまいりたい。
次に、嘉麻市の産業廃棄物に係る問題です。この嘉麻市の産業廃棄物中間処理施設においては、産業廃棄物を過剰に保管する違法状態が継続しています。県ではこれまでも、事業者、そして排出事業者に対しても、措置命令を発出しています。
しかし、この命令の履行に向けた動きが見られず、産業廃棄物が残置することがほぼ確実な状況です。このまま放置すると、今、夏の間の気温が非常に高いということもあり、猛暑時に火災が発生する可能性があり、地元の皆さまから、早期の解決に向けた要望も行われています。そこで、現在の状況を把握するため、まず、廃棄物の量、そして形状に関する測量を実施するとともに、施設内の地下水モニタリングを実施するための経費を計上しています。
次に、県行政の将来を担う人材の確保のための経費です。今、民間企業の皆さんの採用活動が非常に活発化・早期化している状況です。こういった中で、我々、福岡県庁としても優れた人材の確保に努める必要があります。このため、春季の採用試験を新たに設けます。今までは夏だけでした。この試験の実施に向けて、戦略的に広報を実施していこうということです。
具体的に申し上げると、まず学生の皆さんなどに、県の職員として働くことに関心を持ってもらうことが第一ですので、SNSや公共交通機関等での広告を行います。それから2番目ですが、県職員として働く魅力を知っていただくことが必要です。このため、PR動画をSNSで発信していこうということです。そして3番目には、皆さんに受験していただかなければいけないので、まず受験につなげるということで、若手の現職の県職員が、やりがいなどを紹介し、県庁の仕事についての疑問に答えるライブ配信型のウェブセミナーも開催します。このような取り組みを行い、県民の皆さまのために働いていただく優れた人材を確保していきたいと考えています。
補正予算については以上です。
次に、11月19日から22日までの2泊4日の日程で、本県が友好提携を締結しているタイ王国・バンコク都を訪問したのでご報告します。今回のバンコク都訪問の第1の目的は、ワンヘルス分野において両地域の新たな協力関係を築くことでした。そして、その他の目的として、観光セミナーや福岡フェア、県産農林水産物のPR試食会などを開催して、バンコク都、タイの王国の皆さまに、本県の認知度を上げていくことを目的としていました。
スワンナプーム国際空港に到着し、私も驚いたのは入国後、バンコク都のチャチャート都知事ご自身に、わざわざお出迎えしていただいたことです。バンコク都と友好提携して、これまで長くお付き合いしてまいりましたが、都知事自らお出迎えいただいたのは初めてのことです。翌日都庁における会談も含めて、空港でもしばらくお話することができましたので、おかげで二度にわたって意見交換を行うことができました。
私からは、「ワンヘルスについて、我々が3年あまり苦しめられたCOVID-19のパンデミックがあったが、次なる感染症の脅威にも備えなければいけない。そのためにも、ワンヘルスの取り組みを世界に広げていく中心地として、我々福岡県が役割を果たしていきたいと考えている。その意味からも、バンコク都とワンヘルス推進に係る基本合意書を締結することは非常に意義深く、また、ワンヘルス推進にとって大きな力となるものである。」ということを申し上げました。
このバンコク都には、世界獣医師会の藏内勇夫次期会長が、先月までアジア獣医師会連合の会長を努めていましたが、そのアジア獣医師会連合の本部がある場所です。そういったこともあり、チャチャート都知事もワンヘルスについては、以前から非常に高い関心を持っていました。
都知事からは、「バンコク都においても、野良犬・野良猫に起因する感染症といった社会問題が深刻になっている。」という話がありました。代表的な犬の感染症というと狂犬病です。日本ではもう封じ込めたことになっていますが、バンコク都は非常に野良犬が多いということで、そのような脅威があるということでした。「こういった社会問題の解決が必要と考えていて、ワンヘルスの推進に福岡県とともに取り組んで、両地域、世界へと広げていきたい。」というお言葉をいただいたところです。
そして人材育成や普及啓発など連携して取り組む分野を見出して、ワンヘルスを具体的に進めていこうという覚書、MOUの締結に向けて、今後協議を進めていくことに合意しました。県議会の皆さんに立ち会っていただき、基本合意書に私と都知事で署名して、握手しているところです。今後実務レベルでの協議を経て、MOU、覚書を締結し、具体的な取り組みを進めてまいります。同じ日に、福岡県議会においても、バンコク都議会議長との間で香原議長がワンヘルス分野を含んだ協力関係確立に関する協定を締結されました。県と議会と都とが同じ方向を向いて、両地域のワンヘルス分野で協力を進めていくことになったわけで、今後の実効性のある取り組みにつながると考えています。
それから、もう一つ、私都知事との会談の中で交わした話はスタートアップの支援です。我々が昨年度新たに締結したMOUに基づき、アントレプレナーシップにあふれた人材を育てていく予定で、今年度から大学生や社会人の相互訪問、交流を行っていきます。これを踏まえ、一歩進めて、スタートアップ企業の育成ということについて意見を交わしました。
私からは、「CIC、ケンブリッジイノベーションセンターが福岡市に開設される。我々はCICとも連携を図り、福岡にできるCIC福岡は、アジアを睨んだ展開を非常に重視しているとCICの梅澤高明会長からもお聞きしている。こういうことも踏まえ、ぜひ来年度はバンコク都のスタートアップ企業に福岡県に来ていただいて、本県の企業やスタートアップ企業の間でのビジネスマッチング、あるいは、国内に限らず、海外のベンチャーキャピタルも含めて、そういったところからのリスクマネーの獲得、資金調達に係る協力体制を作っていきたい。」と申し上げました。この提案に対して、都知事からも、「スタートアップ企業を福岡に送り込むのを全力で協力したい。」と力強いお返事をいただきました。
それから2番目は観光セミナーですが、現地の旅行会社、メディア関係者の皆さんにお集まりいただき、本県の食や観光をPRしました。私も少しお話させていただきました。昨日終わった大相撲九州場所ですが、ロンドンを訪問したときの観光セミナーでロンドンの旅行会社の方と九州場所を盛り込んだツアーを作っていただきたいとの話で、昨日の九州場所千秋楽にはロンドンから3社の旅行社がお見えになっており、千秋楽が終わった後、ぜひ商品を作りたいというお話を直接私も伺いました。こういったこともありますので、大相撲九州場所の観戦とか、あるいはタイの方は自然が好きですから、柿やぶどう、いちごなど、そういったフルーツ狩りを好んでいますので、こういうアクティビティを紹介しました。また八女茶とかイカの活き造りなど、本県の食の魅力ももちろんPRさせていただきました。
この後、交流会を行い、さらに、県内の観光事業者の皆さん12社に行っていただいていましたので、現地の旅行会社との間でBtoBの商談会も、バンコクでは初めて開催しました。延べ宿泊者数にすると、200人ぐらいになる宿泊の問い合わせ、あるいは20人を超える団体体験予約を複数受注したという成果が早速上がったという報告を受けています。参加された県内の事業者さんからは、「たくさんのタイの旅行会社と直接商談することができた。こうして直接話ができる機会は非常にありがたい。」というお声をいただきました。こういう成果も早速出ているところです。
それから、もう一つは、福岡フェアを福岡県とバンコク都との共催で11月21日から24日までの4日間、大型ショッピングモールが立ち並ぶ繁華街において開催しました。開会式には非常にたくさんの方に来ていただきました。チャチャート都知事もお見えになり、一緒に登壇していただきました。また、八幡中央高校書道部の皆さんによる書道パフォーマンス披露は大好評だったほか、書道体験教室の開催や忍者体験もあり、4日間を通じて、福岡を知り、楽しんでいただけたのではないかと思っています。
それから、訪問の最後に、バンコクの5つ星ホテルのマンダリンオリエンタルバンコクのドミニク総料理長にご協力いただき、外食事業者、現地メディア、インフルエンサー等約70名の皆さんをお招きし、県産農林水産物を使ったPR試食会を開催しました。本県が誇る種無しの甘柿「秋王」、博多和牛、福岡有明のり、天然マダイ、八女茶、県産酒等の福岡の食を堪能していただき、「食の王国」福岡をPRしてまいりました。この中でもワンヘルス農林水産物を数多く活用し、我々が推し進めるワンヘルスの意義や「福岡県ワンヘルス認証制度」についてもご紹介をしたところです。参加者の皆さんからは、「食材の風味が豊かで、タイの人にも好まれる」と高く評価をいただきました。今後のタイへの県産農林水産物の輸出を更に拡大をしていきたい。特に今タイでも人気の「博多和牛」の輸出を拡大していきたいと思っています。
最後は、在タイ日本国大使館の大鷹大使と意見交換会を行いました。現在のタイの社会経済政治情勢や、タイ人から好まれる和食の傾向やお店の状況など、大鷹大使から幅広い情報を直接お聞きすることができました。我々が考えているものと実態はかけ離れているということも実感いたしました。我々としても、観光客の誘致、あるいは先ほどから申し上げている県産品の販路拡大などについても申し上げ、今後ご協力をいただくとお約束を交わしたところです。
以上が今回の出張の成果としてご報告させていただきます。タイの皆さんは親日の方も多く、また、今、為替の関係もあり、日本は安いという感覚を持っておられる方も多いため、こういったことも一つのチャンスとして、福岡への訪問客を更に増やしていきたいと考えています。
私からの報告事項は以上です。
(RKB)補正予算に関して、平成筑豊鉄道の関係で、現状様々な課題があるかと思いますが、知事が今考えている課題、そしてこれから、その課題を解決するために必要な分析とか検討がどういったものなのか、その辺りの考えをお伺いしたいと思います。
(知事)まずは経営ですよね。これから通常の運行経費に限らず、車両の更新や線路、枕木もですが、信号などの安全装置といったものの更新が次々と出てまいります。さらにまた、先ほど申し上げた基礎的な運営経費がかかる。こういったことから、平成筑豊鉄道としては今後毎年10億円の赤字が発生すると試算されていると。それも結構前の試算ですので、今の物価上昇、あるいは賃金の上昇等を考えますと、それ以上の赤字が発生するおそれもあるわけであり、経営が最大の課題だと思います。
それと同時に、色々と先ほどから持続可能な住民の皆様の足をと申し上げております。当然様々な利用をされているわけですが、その中でも、平成筑豊鉄道を利用されている方を見ると、半分ぐらいは高校生の皆さんの通学に使われています。だから、今後移動手段を考えていく上でも、JRの日田彦山線のときもそうだったのですが、高校生の通学の定時性をちゃんと守っていくためにはどうすればいいのかということも大きな問題だと思います。
このように今後検討していくに当たっては、本当にどういう方が、どういう目的で、どこまで利用されているのかとか、そういう分析が必要です。それでさっきから申し上げておりますが、具体的な事実とデータに基づいて議論をしようということです。
お金、経費の問題だけではなくて、住民の皆さまが現実に今どう利用されているのか、その足を守っていくことが必要なわけであり、これをしっかりと客観的な事実、データに基づいて議論していって、そして、前提条件を置かずに議論していきたいと思います。
(毎日新聞)今の平成筑豊鉄道に関連してお尋ねしますが、知事はそういう年間10億円の赤字、もしかしたらそれ以上かもしれないとお話されました。早急、つまりスピーディーに議論すべきという意見もあると思いますが、具体的にどのぐらいのスケジュール感で結論を出すみたいな見通しを持っていますでしょうか。
(知事)現下の会社の経営状況、それからまた、今年も追加で負担されていますが、沿線市町村の皆さんの財政負担も考えますと、早急に地域公共交通計画の検討には着手しなければいけないと思っています。
今回、この補正予算を議会に提案しますので、県議会で御議決いただいたならば、速やかに手続を進め、可能な限り早い時期、当然年度内に法定協議会を立ち上げたいと考えています。
(毎日新聞)結論というのは、例えば、来年度とか再来年度とか、どのぐらいまで議論するかはなかなかまだということですか。
(知事)そうですね、今まだ私のほうからスケジュールは。協議会を立ち上げ、委員の皆さまに現状を御説明した上で、所要の検討期間も出てこようかと思いますので、その上で対応します。しかし、それにしても、状況はさっきから申し上げているように変わらないので、スピード感を持って進めていく必要があると思います。
(西日本新聞)年収103万円の壁が見直された場合の税収減について伺います。県と県内市町村の税収への影響、これは県で試算されているのでしょうか。また、このことについての知事の見解と、仮に見直しということになれば、政府に求めること、福岡県として要望していくなど、そういったお考えを聞かせてください。
(知事)今、国、地方を通じて大きな議論が、あるいは県民も含めて議論を呼んでいる問題で、非常に難しい問題でありますが、まず年収の壁について私の考えを述べさせていただきます。物価も上がってきている、それから最低賃金も上がっていることは、いいことです。ただ、こういうように物価、最低賃金が上昇している中で、税制を見ると対応し切れていないなと思います。そういう状況の中で皆さんお仕事されているので、当然103万円、あるいは106万円もありますが、雇用時間の調整、いわゆる働き控えということもせざるを得ない。そのことが今度は企業、事業者の皆さんの人手不足も呼び起こしているという状況に今なっていると思います。この辺は皆さんも同じように受け止めているのではないかと思います。
だから、仮にこの壁が引き上げられる場合には、つまり手取り、収入が増えますよね。手取りが増えれば、それが色々な消費に回ることで経済効果も生まれ、先ほど申し上げた企業、事業者の皆さんの人手不足の解消にも効果が見込まれるわけです。だから、私としては年収の壁の引上げについては必要なものであると考えています。
一方で、御質問があったように、そうは言うけれど、県の税収が減るということになります。試算を申しますと、仮に所得税などの基礎控除を178万円に引き上げた場合、今、国と地方の税収は年間7兆円から8兆円程度減少すると言われています。この政府の試算と同じように算定すると、福岡県においては県市町村合わせた個人住民税は最大で約1,577億円減少します。このうち県分は467億円減少します。要するに、1,577億円のうち市町村分が1,110億円、県分が467億円という内訳になります。
税というものは、私が地方財政を今さらここで言うまでもなく、社会保障費の増加への対応や人口減少対策、あるいは物価高騰対策など、色々な地域の実情に合わせてきめ細かな行政サービスを行っていく上での貴重な財源なわけです。だから、この壁の引上げで急激に税収が減少すると、行政サービスの水準の低下を招くおそれがあると考えています。それは収入の面から今申し上げたわけです。
今度は歳出の面も、我々が色々な行政サービスを行う上で、所得を基準にして行うことがある。例えば、今政府が経済対策の中で3万円給付と言っていますが、あれも住民税非課税世帯についてとおっしゃっています。そしたら住民税の非課税のラインが上がるわけですよね。だから、様々なそういう方々に対する支援策というのも、これも今のラインで考えますと対象が増えますので、歳出が増える可能性があるわけです。このときに、そのラインをどうするかという検討をすることになるのかもしれませんが、今、予断を持ってどうこう言うわけにいきませんので、単純に今のままでいけば、歳出面も増えるおそれがあるということです。
こういった歳入・歳出の両面で、地方財政に与える影響は大きなものがあると考えています。今、自民、公明、国民民主、この3党合意がされたわけであり、先般私からは総務大臣に対しても、年収の壁の見直しをするに当たっては、こういった影響もあるので、財政措置について国がしっかり取ってくれということは申し上げています。この3党合意に基づいて、これから詰めた議論がされると思います。ぜひ、この3党合意で引き上げることは合意されたのでしょうから、私も冒頭申し上げたように壁の引上げは賛成ですが、どこまでとか、あるいは補塡をどうするとか、そういうことについて国が責任を持って考えていただきたいと思います。
(西日本新聞)そうすると一気に178万円に引き上げるのではなくて、もう少し、緩やかにと。
(知事)色々な手法があると思います。今の178万円というのは、所得税と住民税と両方セットですが、そもそも所得税と住民税は違うものですので、今一部そういう案も出ているとお伺いしていますが、住民税は低くするとか差を設けるとか、色々な手法があると思います。だから、そういうやり方も含めて、しっかりと検討していただきたい。その際には、地方の財政に与える影響というよりも、むしろ地方の住民の皆さまに対する行政サービスが低下しないように、しっかりと国においては財政措置を考えていただきたいです。
(読売新聞)先ほど、県の財政では467億円の減少というお話でしたが、これは税収全体でいえばどれぐらいのインパクトになりますか。何%ぐらい減るとか。
(知事)私の今の記憶では、我々の地方税は7,300億ほどになります。
(税務課)当初予算ベースで7,424億円になり、大体6.3%を占めます。
(知事)たしか住民税は1,400か1,500億円くらいですよね。
(税務課)均等割、所得割だと、当初予算で1,266億円になりますので、その36.9%を占めます。
(読売新聞)これも、政府にきちんとその分の補塡をしっかりしてほしいということですかね。
(知事)はい。色々な団体があるわけで、我々ももちろん交付税の措置があります。しかし、その交付税もご存知のように措置されるのは75%です。あとの25%はどうするのかということです。だから、そこのところもしっかりと政府には考えていただいて、補塡措置を考えていただかないと、各団体も今の行政サービスを維持するのが難しくなってしまいます。それは本末転倒の話ではないかと思うので、そこをしっかり考えていかなければならないです。
ただ、手取りを増やす、そして人手不足を解消することも非常に重要な課題ですから、この両立をうまく図っていくことを国においても非常に悩ましく考えていると思いますが、ぜひ地方の声も聞きながら検討していただきたいと思っています。
(読売新聞)130万の壁とか、そういう社会保険の方は。
(知事)それも総合的に考える必要があると思います。税のほうだけ言っても結局、国民年金、社会保険料が変わらないということになると、かえって手取りは減るということになってしまいますから、この税の問題と社会保険料の問題、これをトータルで考えて、本当の意味での働く皆さんの手取りが増える形、そのやり方を探っていくことになろうかと思います。
(毎日新聞)今の話に関連しますが、県が467億円、減ってしまった場合というのは、ものすごくインパクトがあると思いますが、行政サービスの低下というのは例えばどういうことが考えられますか。どういうことができなくなるとか、具体的に何か知事の中であるものがあれば教えていただきたいです。
(知事)今のところは、具体的にそういう見直しとか、あるいは削減ということを検討しているわけではないので、軽々に申し上げることはできないと思いますが、相当大きな規模なので、これは我々としても今から発生する状況に応じて慎重に検討していきます。
(読売新聞)非課税世帯が増えるという話ですが、特に今後どのぐらい増えそうという試算があるわけではないですか。
(知事)これもラインがどこに行くかによって変わってくると思います。
(朝日新聞)先ほどから知事からもお話があった、所得税と住民税の分離案についても一部検討がなされているというお話で、少しややこしくはなるけれども、これも知事としては一案かなとお考えですか。
(知事)これはおっしゃったように、私も一案だと思っています。もともと住民税は所得税とはもちろん違うので、住民税は創設以来、所得税よりも基礎控除額は低く設定されており、イコールではありません。もともと段差があるのです。だから、そこの取扱いを分けて、一方はこうするけどもう一方は据え置くとか、あるいは少なくするとか、そういうやり方はあると思います。これは税法上の検討をして考えられたのだと思いますが、そういう案もあるとは思っています。
(共同通信社)マイナ保険証についてお伺いしますが、保険証を政府が12月2日で現行の保険証を廃止すると、そしてマイナンバーカードに一本化するとしていますが、期日が迫っている一方で、紐づけのミスとか窓口のトラブルとか相次いでいて、県の保険医協会などが現行保険証をまだ残してほしいと要望しているところです。現行保険証の廃止や今後マイナ保険証への一本化について、知事の受け止めを教えてください。
(知事)マイナ保険証は確かに色々メリットがあると思います。結局そういうデジタルで登録しておけば、データがあれば、今までどんな診療を受けて、どんな薬を投薬されてきたかなど、そういう情報が入っているため、今よりも安全でいい医療が受けられます。また、今まで高額療養費の限度額適用認定書が必要でしたが、マイナ保険証であれば必要なくなります。それから、マイナポータルから簡単に、確定申告の医療費控除の申請手続ができるとか、非常に自動的に、簡便にできるようになるというメリットが色々あるわけです。
でも、今おっしゃったように、利用率が伸び悩んでいます。これはこういったメリットをよく伝えられてないというのも一つあると思います。だから実感できない。それと、紐づけが間違っていたとかカードリーダーが上手くいかなくて窓口で困ったとか時間がかかったとか、そういったことの不安が色々伝えられて、何か面倒くさいのではないかとか、色々な不安があるということだと思います。こういったことも、国民の皆さんが、さっきも申し上げたようなメリットをちゃんと理解していただいた上で、不安を感じることなくスムーズに移行していくことが必要なので、国においてはもう少しその辺を丁寧に周知を図られる、広報を図られることが必要であると思います。このことについては、県からも国には要望しているところです。
(時事通信社)選挙戦におけるSNSの活用について伺いますが、東京都知事選やこの間の兵庫県知事選でも、結構SNSが投票行動に影響を及ぼしたというのが話題になっていますが、もちろん手軽に情報を得られるというメリットがある反面、どれが本当の話か分からないという悪い面もあると思います。知事はこういうSNSについてどういう御所見を持たれているか、お考えあれば教えてください。
(知事)まさに今おっしゃったとおりだと思います。我々、国民は表現の自由は憲法で保障されているわけですよね。また、これが民主主義の根幹でもあるわけです。
こういう中で、選挙においては、候補者の皆さんは公職選挙法の範囲、法律で認められている範囲内で色々な情報を発信して、有権者はそれを受け止めて投票するわけですが、今、公職選挙法自体が時代に追いついていない、そういう広報手段を想定し得ていない規定になっていると思います。
そういう中で、結局SNSについては自由に使える形になっているので、先ほどおっしゃったように、本当なのか嘘なのか、フェイクニュースじゃないのかということも含めて、断定的に発信が行われたり、あるいはSNSというものがそういうリスクというか、特性もあるということを受け止める側もよく理解ができていないということです。
そういうこともあるので、まず公職選挙法自体が早くこういう今の現代の色々な情報通信技術を踏まえたものに見直されるべきだと思いますし、また、今の段階においても、候補者の皆さんは正しい情報をきちんと発信するということが必要だし、その責任があると思います。その上で、有権者の皆さんもしっかりと真偽を見極めた上で判断していただくということが必要になるだろうと思います。
非常に難しい話ですが、表現の自由は守りつつ考えていく。我々もそうですが、SNSに限らず、インターネットで見て、確かめたのかと言われると、そうでもない情報も信じ込んでしまう場合もありますよね。だから、そういうことを、特に選挙においては、通常の広告・宣伝とは違い、国の将来を決める、地域の将来を決める非常に重要なものでありますから、正確な情報に基づいて有権者の皆さんが判断できる仕組みを早く作るべきであると思います。
(終了)