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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ で動画配信しています。
過去最高を更新!自動車税納期内納付率(R6年度)、県税収入(R5年度) [PDFファイル/363KB]
分身ロボットを活用した接客体験を実施します! ~障がいのある人が分身ロボットを操作してまごころ製品を販売します~ [PDFファイル/800KB]
譲渡可能な犬・猫の致死処分ゼロを達成! [PDFファイル/311KB]
(知事)皆さんおはようございます。暑い中、お疲れ様です。まず初めに、7月25日からの大雨により、山形県、秋田県を中心に被害が発生しています。お亡くなりになられた方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様方に対し、心からお見舞い申し上げます。復旧復興が一刻も早く進むことを、お祈りしています。
それでは、発表事項に移ります。
まず、1点目です。令和6年度の自動車税納期内納付率と令和5年度の県税収入が過去最高となりましたのでご報告します。
まず、自動車税の納期内納付率です。令和6年度の自動車税の納期内納付率は87.4%となり、過去最高を更新しました。これも県民の皆様方のご理解、ご協力によるものです。心からお礼申し上げます。
県においては、決済アプリなどの多様な納付環境の整備や、HKT48の皆さんと連携した呼びかけ、SNSやデジタルサイネージ等を使った広報を行ってまいりました。
今後も、県民の皆様方におかれましては、期限内納付へのご理解、ご協力をどうぞよろしくお願いします。
次に、県税収入です。令和5年度の県税収入は、3年連続で過去最高を更新し、7,501億円となる見込みです。これはまさに、県民の皆様がコロナ禍を脱出し、本県の経済活動の回復が着実に表れた結果です。令和4年度と比較して152億円の増となっています。
法人二税は、令和4年度と比較して14億円の増であり、コロナ前の令和元年度と比較して193億円の増となりました。
新型コロナ禍からの経済再開に加え、これまで県が進めてきた地域の消費需要を喚起するためのプレミアム率を高めた地域商品券の発行や「福岡の避密の旅」と言われる観光キャンペーン、本県への修学旅行に対する助成等による国内外からの観光客の呼び込みといった施策が効果として表れているものです。個人消費が増加したことにより、郊外型店舗、コンビニなどの小売業の皆様、人・モノの流れが回復したことで運輸業の皆様が好調であったということです。
それから次は、個人県民税です。県民の皆様に納めていただく個人県民税は、令和4年度と比較して59億円の増、コロナ前の令和元年度と比較しても126億円の増となっています。
先ほどの法人税にも表れているように、企業業績が好調であることも影響して、賃金の上昇に伴う、個人所得の増、さらに、国の経済政策の柱の1つである「貯蓄から投資」の流れにより、株価が上昇し、すでに4万円突破しています。株価上昇に伴い、株式取引が増加し、収入が増えたということです。
次に地方消費税です。地方消費税は、81億円の増となっています。
経済産業活動の活発化により、半導体部品や自動車部品などの輸入額が増加しました。輸入取引に課される地方消費税の貨物割が伸びたことによるものです。
それから次が宿泊税です。こちらも先ほどから申し上げているように、コロナ5類移行に伴い、旅行客の増加、インバウンドの回復により宿泊数が増加し、前年度と比較して4億円の増。率にして32%増となっています。
これも県民、事業者の皆様から納めていただく貴重な県税です。この県税を活用して、県民の皆様が安心して暮らせる、企業から、そして世界から選ばれる福岡県を実現してまいります。
2番目です。これが遠隔操作で話したり、身振り手振りで感情表現ができる分身ロボット「OriHime」です。OriHimeさん。
(OriHime)おはようございます。
(知事)「おはようございます」というふうに返事をしてくれます。このように、身振り手振りもできますし、今のような受け答えができるわけです。この分身ロボット「OriHime」を活用しまして、接客にチャレンジします。
障がいのあるなし、あるいは年齢・性別にかかわらず誰もが生き生きと働く、そして笑顔で暮らせる、輝くことができる、そんな社会を目指して今取り組みを進めていますが、今回はこの分身ロボットを活用して、障がいのある方に接客していただく。この事業を実施します。障がいがあるため通勤が難しい、あるいは、対面でコミュニケーションをとることはちょっと苦手だと思われる方もいらっしゃいます。こういう皆さんから、自宅や、入院している病院からテレワークであれば働ける、というお声もあります。環境が整えば働くことができるということになります。このときに、こういう先端技術を活用しようということです。
企業の方で言いますと、法定雇用率が引き上げられ、企業の皆さんはこれまで以上に障がい者雇用を推進していく必要があるわけです。こういう中で今年度から、週10時間以上20時間未満で働く障がいのある方も障がい者雇用率の対象となることになり、障がい者の皆さんにとっても、柔軟な働き方が可能になってきたわけです。
こういう状況をとらえ、特に重度の障がいのある方と、企業側の皆さん、この双方にメリットのある働き方を探そうということで、距離も障がいも乗り越える分身ロボットを活用した働き方について、実証事業をやろうということになったわけです。
この実証事業、二つございます。まず一つ、接客対応ということで、先ほどから少し実演してもらっていますが、障がい者施設で、訓練を行い、そして施設を利用される方が、この分身ロボットを活用して、販売会で接客を行っていただく。こういう実証事業をやってまいります。
もう一つは、県内の企業の皆さんにご協力をいただいて、この間、ARグラスを使った、西鉄さんたちと協力して業務の切り出しを、ということをお話ししましたが、これと同じように、県内の企業の皆さんから、この分身ロボットを使うことができるような業務はどんなものがあるかということを切り出していく、そして、障がいのある方への就労体験をしていただく、こういう事業を予定しています。2番目の就労体験の方は、業務の切り出しの段階ですので、詳細が決まり次第、お知らせをしたいと思います。
こういった事業の効果検証を行いまして、分身ロボットを使った雇用を広げ、1人でも多くの障がいのある方が、自分らしく働くことができる、そういった環境を作っていきたいと思います。
では接客体験とはどのようなものか。この事業は、大野城市にあります福岡県障がい者就労支援ホームあけぼの園、それから古賀市にあります福岡県障がい者リハビリテーションセンター、この2ヶ所において、7月上旬からすでに接客の訓練をスタートしています。この二つの施設それぞれで障がいのある方が、タブレットで分身ロボットを遠隔操作して、そしてロボットを介して、会場にいる皆さん方と、やりとりを行うというものです。
さっきもちょっと動かしてもらいましたが、両手をあげて「いらっしゃいませ」、それから、拍手。それから、「うーん」と考え込む。それから、「なんでやねん」というふうな、ツッコミを入れることができると、こういうことであります。本当に店の中にいるような感覚で接客を体験することができる。お客さんも楽しく、お買い物をしていただくことができるような工夫をしていきたいと思っています。
今は訓練の段階でありますが、分身ロボットを操作された障がいのある方からは、「話しながら動きもできるようになってきて面白い」とか、お客さんからは自分の顔が見えないので、緊張せずに話ができる」そういったお声もいただいています。
障がいのある方が、お客さんと交流する喜びや、働く喜びを感じていただいて、社会に参加する意欲を高め、そして楽しくて、生きがいのある日々を過ごしていただく。今回の「OriHime」を使った事業が、そんな就業への第一歩に繋がるといいなと思っています。
それで、いつやるのかということです。まごころ製品販売会を、県庁1階ロビーで、8月5日から9日、朝9時半から15時まで、最終日は13時30分まで、開催します。まごころ製品の販売会は、毎年にぎわっています。この中で、この「OriHime」を活用した接客の実証事業を行います。毎日11時半から13時半。2時間ですね。この分身ロボ販売ブースを設けまして、商品説明等を行います。
私も8日に販売会を訪れ、障がいのある方が操作する分身ロボットから商品の説明を受けてみたいと思っています。
皆さんぜひ、取材に来ていただいて、障がいのある皆さんがチャレンジするこの取り組みをぜひ県民の皆さんにお知らせしていただければと思います。
3番目の発表事項は、譲渡可能な犬・猫について、致死処分ゼロが達成できたというご報告です。福岡県では、このワンヘルスの基本方針である、「人と動物が共生できる社会づくり」、これを目的とし、犬・猫の致死処分ゼロを目指して、様々な取り組みを進めています。
令和5年度に県内の動物愛護センターなどに収容された犬・猫のうち、譲渡可能な犬・猫の致死処分が初めてゼロになりました。
スライドを見ていただきますと、致死処分を3色で分けてあります。一番上のオレンジ色が譲渡可能な犬・猫。そして、ブルーが治療の見込みがない、病気など譲渡することが適切でない犬・猫。そしてグレーが、保健所等が引き取り後に死亡した犬・猫。この3種類がありまして、平成30年度のときには総数で2218件。このうち、譲渡可能であったが、致死処分したというものが950件ありました。
これが速報値ですが、令和5年度、このオレンジ色の部分をゼロにすることができました。まだブルーとグレーの部分も残っていますが、これについては、後程少しお話をしたいと思います。
致死処分をゼロにできた主な要因としては、飼い主の方に返還、戻すということです。迷子になって連れてこられた犬・猫もいます。今、マイクロチップを入れていますから、これをチェックすると飼い主の方がわかります。そこで、連絡をして返還を、それができない等の犬・猫は、譲渡会を通じて譲渡するということです。
それから、地域猫活動について、当初予算等からもご説明しましたが、この活動の推進が功を奏したものだというふうに考えています。返還、譲渡の促進として、先ほど申しましたマイクロチップの装着も進めてきています。それから動物愛護団体の皆さんと連携をして、譲渡先探しをやっています。それから、猫と触れ合いやすいように、県の動物愛護センターの中の猫飼育施設をリニューアルして、猫を飼いたい人とマッチングしやすい環境を整えたところです。さらに、ホームページを充実し、譲渡情報をお伝えして、飼い主への返還も含めて、この譲渡を実施してきた。こういったことが、効果を上げたものと考えています。それから地域猫活動、これは福岡県獣医師会の協力をいただきまして、地域住民の皆さんが主体となるものですが、飼い主のいない猫に、不妊去勢手術とあわせ、餌やトイレの管理などを行って、一代限りの命を全うさせる活動です。こういう地域猫活動を支援して参ります。
それから、正しく飼っていかなければいけないということで、動物愛護フェスティバル福岡、あるいは街頭キャンペーンなどで、飼ったからには、最後まで、飼っていただくということ、それから、不妊去勢手術についても啓発をして参りました。それから、飼育放棄を防がなければいけない、ということで、保健所に引き取りを求める飼い主さんに対して、継続して飼い続けていただくこと、あるいは新たな飼い主を探していただくことについて説得をして参りました。
今後の目標ですが、先ほどの冒頭のグラフにもありましたように、この譲渡可能な犬・猫の致死処分がゼロにできたということで、この譲渡可能な犬・猫の致死処分ゼロ、これは維持していかなければいけないと思っています。
それ以外の犬・猫は、正しい飼い方の啓発、あるいは地域猫活動の推進によって、動物愛護センター等への引き取り数を減少させ、致死処分の削減に努めてまいります。
動物の命を尊重して大切に守る。このことは誰もが守っていくべきことだと思います。犬や猫は大体20年ぐらい寿命があると言われています。県民の皆様には、やむを得ず飼うことができなくなっても新しい飼い主を探していただくなど、一度飼ったからには、最後まで責任を持って飼っていただくようにお願いします。
みんなで、人も動物も幸せな社会の実現に向けて頑張ってまいりましょう。よろしくお願い申し上げます。
それから、あと2点。1つは、感染症対策です。7月15日から21日の福岡県内の新型コロナウイルス感染症の1医療機関当たりの定点報告数、これが前週の1.3倍の19.44、10週連続で増加をしています。
去年とも同じようにこの夏場に増加するという傾向になっており、これに加えまして、A群溶血性レンサ球菌の咽頭炎は27週、手足口病は6週連続で警報レベルが続いています。
こういう状況から、ぜひ県民の皆様には、基本的な感染対策をお願い申し上げます。外から帰ってきたとき、あるいはお子さんが手足口病にかかっている場合、おむつ等を処理した後、こういったときには必ず石鹸と流水による手洗い、手指消毒を実施していただきたいと思います。それから、やはり定期的に換気を行っていただくということがこのコロナ対策には非常に重要なことです。咳やくしゃみが出る場合や、医療機関を受診する際、あるいは高齢者施設に訪問するときなどはマスクを着用していただきたいと思います。
夏休み、お盆で高齢者の方と会う場合、あるいはご親戚、友人が集まって、大人数の会合もあると思います。今申し上げましたような感染予防を心がけて、感染防止対策を徹底していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
最後に、パリから大変うれしいニュースが入ってまいりました。昨日、日本時間の18時から開催された馬術競技の総合馬術団体戦において、日本チームが見事に銅メダルを獲得されました。おめでとうございます。
馬術競技でのメダル獲得は実に92年ぶりというまさに快挙であり、この快挙を達成された団体戦メンバーの田中利幸選手は本県出身であり、我々としても大変誇らしく、心からお祝いを申し上げたいと思います。
聞くところによると、田中選手は本大会にリザーブとして参加されていたが、急遽、最終種目に出場するという事態になり、見事な騎乗をされて、5位から順位を押し上げ、銅メダル獲得に大変大きな貢献を果たされました。控えの状況でも、気を緩めることなく準備をして、常に万全を期して備えていた、これは田中選手のまさにファインプレーだと思います。
福岡県知事として大変嬉しいニュースであり、県民の皆さんにも大いに喜んでいただけるものと思います。
今後も、オリンピック・パラリンピックは福岡県ゆかりの選手も多数出場します。本県ゆかりの選手の皆様がますます活躍されることを期待しています。
私からは以上です。
(共同通信)発表案件で2問お伺いします。1点目に、自動車税の納期内納付率が過去最高ということで、冒頭説明でアプリやデジタルサイネージの取り組みなどを幾つか例示いただきましたが、一番の要因というのはどのあたりにあるとお考えでしょうか。
(知事)一つは、近年の納期内納付率はずっと上がってきていました。これはやはり、発表の中でも申し上げましたが、スマホ決済アプリなど多様な納付環境の整備です。以前は納付書を持って銀行窓口やコンビニに行く必要がありました。これが自宅にいて、24時間いつでも手の空いたときに納めていただける環境を整えることができたというのが大きな要因だと思います。また、HKT48の皆さんのご奮闘によるものと感謝をしています。
(共同通信)続いて2点目、こちらも同じ案件ですが、県税収入が3年連続で過去最高を更新する見込みということです。経済・企業活動のコロナ禍からの回復傾向というのが出ているんだと思いますが、一方でコロナ感染というのはこの夏も広がりを見せています。この回復・増加傾向というのが来年以降も継続すると見ているか、知事の考えなどをお聞かせください。
(知事)特に今年度の税収等は、まだ年度前半でありますので、今、軽々に申し上げることはできません。しかし、企業の皆様からお話をお伺いするところでは、かなり好調な状況が続いていると思います。個人県民税も、先ほど申しましたように株価が一気に4万円を突破するということで、この辺の株取引に伴う収入というものも増えてくるでしょうし、近年に例を見ないような、賃上げの率も高いものがありました。こういったことを考えると、来年度に向けても県税収入というのは堅実に伸びていくのではないかというふうに思っています。
(毎日新聞)発表案件で、犬・猫の致死処分ゼロというお話ですが、この致死処分ゼロというのは殺処分ゼロということでいいのでしょうか。
(知事)致死というのは要するに殺すということですが、致死処分という言葉を使わせていただいています。殺処分ゼロで結構です。
(毎日新聞)犬・猫の種類を教えていただきたいのと、あとマイクロチップ装着によることが一つゼロにつながったというお話でしたが、具体的にこれがあったから飼い主に戻ったという件数はどれぐらいあったかというのが分かれば教えてください。
(知事)令和5年度は474のうち猫が444、犬が30で、最近はやはり圧倒的に猫が多いです。
(生活衛生課)マイクロチップの装着によって返還に至った数は、確実に増えていると認識をしており、マイクロチップだけではなく、迷子札等を装着することによって、元の飼い主に返還していく取り組みを続けていきたいと思っています。
(知事)迷子札とかも前からありますが、どうしてもちぎれたり取れたりするため、できればマイクロチップを装着していただければという取り組みです。そうすると、迷子ちゃんも戻ってくることができます。
(毎日新聞)474というのは、市町村でいうと福岡市と北九州を除いた数字ですか。
(生活衛生課)いえ、含めています。福岡市、北九州市、久留米市を含めた数です。
(毎日新聞)では、全県でということでいいですか。
(知事)全県です。
(毎日新聞)愛護センターは何か所ありますか。1か所ですか。
(生活衛生課)県の愛護センターは1か所です。
(知事)あとは保健所とかですかね。
(生活衛生課)保健所も9か所あり、あとは政令市、久留米市に1か所です。
(読売新聞)県税収入の件で、過去最高を更新しているということなのですが、今後も社会保障関係費とか、出ていくお金が増えていく中、今後も県税収入を増やしていくために、特に法人県民税のところでどういった施策が一番重要というふうにお考えでいらっしゃるのか。
(知事)おっしゃるように、やはり県税収入を増やしていく、我々の貴重な独自財源であります県税収入を増やしていくことは非常に重要です。ハードは色々な建物とか道路とか河川とか、これは起債が起こせますよね。公共事業債。しかし、ソフト事業、さっきおっしゃったような社会保障費ですとか、色々な人材育成とか、あるいは女性活躍の推進支援とか、こういったソフト事業というのは、我々起債を起こすことはできません。こういうことを進めていくためにも、貴重な自主財源、一般財源である県税というのを伸ばしていかなければいけない。これをやるためには、まず、法人二税がやっぱり基幹でありますので、企業の皆様、特に我々の地域は90%以上が中小企業です。この中小企業の皆様に元気になっていただく、伸びていただく、このことが重要なので、中小企業振興施策をしっかりやっていきたいと思います。
こういった中に、新しい分野にチャレンジする、先般発表させていただきましたが、アトツギベンチャー、サッシンベンチャー、こういう中小企業の新しいチャレンジを支援することも含めて、しっかりと中小企業の支援施策というのを進めていかなければいけない、これが基盤だと思っています。そして、さらに新しい企業を呼び込む企業誘致です。これは、今まさにシリコンアイランド九州と言われる、あるいは我々の強みであるバイオテクノロジー分野もありますし、あるいは自動車関係。先般、報道にもありましたが、これからの脱炭素化モビリティというものを睨んだところでのEVへの動き、こういったものに関連する工場、企業の誘致というのをしっかり図っていかないといけない。このことのためには、またさっきの話に少し戻りますが、戦略的なインフラ整備というものが必要となります。道路であるとか、あるいは港湾であるとか、あるいはその先の産業団地の造成、こういうことをしっかりと進めながら税源の涵養を図っていきたいというふうに思います。
(日経新聞)トヨタが県内にEV向けの電池工場を造るという報道が出ていると思うのですが、もし、進出した場合の県内産業への影響とかをどういうふうにお考えかというのを伺えたらと思います。
(知事)まだ、企業側のほうから発表があっていませんので、我々のほうから軽々に申し上げるわけにいきませんが、一般論というか、そういうことで考えますと、先ほど申し上げたように、バッテリーというのは次世代の脱炭素型のモビリティ、EV等に必ず必要になるわけです。この一大生産工場が立地するということになれば、当然、電動化への流れ、CASEと言われる今の100年に一度の自動車産業の大変革の流れというのが、この九州においても一気に激しい動きとなってくると思います。
これに向けて我々としては、県内のこれまでのガソリンエンジン車等に部品を供給していたサプライヤーの皆さんとかの電動分野への切替え参入というものをさらにしっかりと支えていく、進めていく、このことをやっていかなければいけないと思いますし、また、県内産業のみならず、関連して様々な企業が福岡に立地をされるということも期待されると思っています。
(時事通信)兵庫県知事の告発をめぐる問題について伺います。兵庫県の齋藤知事に対してパワハラなどの告発を行った前県民局長が懲戒処分をされた件なんですけど、この一連の対応についてどのようにお考えか、御所見があればお聞かせください。
(知事)兵庫県の事案について、経緯、事実関係等をつまびらかには存じ上げません。色々な報道を通じて知っておるということでありまして、これも軽々に申し上げるわけにはいかないと思っています。ただ、報道等を見る限り、今回の一連の事案に関連して兵庫県の職員の方がお亡くなりになった、報道では自殺、自ら命を断たれたということ、このことは極めて重大なことであると思います。お亡くなりになりました職員の方に心からお悔やみ申し上げたいと思います。
今後、一刻も早く事実関係というものが明らかにされる必要があると思います。そして、その上で兵庫県の職員の皆様が安心して業務が遂行される、またそのことによって県民の皆様も安定した行政サービスを受けられるようになる、そして県民の皆様が不安なく県政を任せられるようになる、こういう状況を早くつくっていかなければいけないと思います。事態が早期に収束されることを望みます。
(RKB) 今の質問に関連してなのですが、公益通報を行った職員が処分される事案が各地でありますが、県職員による公益通報について、知事としてどのように考えていますでしょうか。
(知事)この公益通報制度というのは、職務上の法令等に対する違反行為、この発生を防がなければいけないとか、あるいは是正をしなければいけないとか、こういう目的のために、それはすなわち公正な県政運営をするのだと、こういうことを目的として職員が通報を行うということでございまして、これは正当な行為として保護されるべきものであると考えます。当然、通報を行った職員が不利益な取扱いを受けることはあってはなりません。
そういったことから、本県としては、平成16年の9月に職員公益通報制度を導入しています。内部の通報窓口に加え外部窓口もつくっており、指定しておる弁護士の方に通報できる体制を整備しています。同時に、通報された方はいかなる不利益な取扱いも受けないということとしています。
引き続き、この公益通報制度の信頼性、透明性というものを確保していかなければいけないと思いますので、適切な運用を徹底してまいりたいと思います。
(RKB)2年前ぐらいに、福岡県でも県と関係者の協議記録を報道機関に送付したということで、課長級の職員の方が処分された事案があったかと思うんですが、今の「不利益を被らないようにする」というところにはちょっと反した部分があったのかなと思うのですが、その事案に関して、知事としてはどのように受け止められていますか。
(知事)不利益処分を被らない、これは先ほどから申し上げているように、あくまで公益通報というものに則っての話であります。それで、先ほどおっしゃいました事案ですね、令和4年の頃の事案と思いますが、本県の公益通報制度による通報ではなく、報道機関の皆さんに対して御本人から文書が送付されたというものであります。
この公益通報者保護法に規定する通報先というものは、事業者内部への通報以外にも、報道機関などその他事業者外部への通報というものもあります。しかし、その通報の要件としては、内部通報すると解雇その他不利益な取扱いを受けるおそれがあるとか、生命・身体への危害、個人の財産に対する損害が発生する急迫した危険があるとか、法で規定されている要件があり、このいずれも当該案件は満たしてなかったというものでして、また、当該職員の方からの聞き取りにおいても、公益通報という意図はなかったということを確認しています。このため、前提となる公益通報であるかどうかというと、ではないということになりますので、公益通報者保護法上の通報に当たらないということで、当時の対応に問題はなかったと考えています。
(毎日新聞) ちょっと今の話と関連しますが、福岡県の場合は、県職員の公益通報先として人事課と外部弁護士の2種類あると。この外部弁護士も結構前からあるようですが、知事は、県職員が通報しやすい環境というのは県では十分整えられているという認識なのでしょうか。もし、今回の兵庫県のことがあって、何か改善すべきとお考えだったら教えていただきたいと思います。
(知事)今、本県において人事課内部統制室とそれから指定弁護士と、内外にそれぞれ設けていまして、これで今、特に支障があるということは考えていません。
職員の方からも色々な、事業の見直しについても意見を上げてもらっています。そういう中で、もしそういうことについての意見があれば、我々も検討していきたいと思います。
(朝日新聞) 米軍関係の事件のことで、沖縄県で、6月ですかね、事件が起きていたのが県のほうに情報が提供されていなかったというようなことがあって、その後、全国で同じような運用で、知らされていないということがあったという報道があちこちで出て、福岡県でもあったというふうに担当課からお聞きしているのですが、そのことに関して知事の受け止めと、今後、国なり、知事会とか横の連携において何か求めていくことや確認していきたいと思っていることがあれば教えてください。
(知事)この件に関しては、既に国それから米国政府においても、今後の対応については自治体にも情報提供するとおっしゃっています。これまでそういうことが迅速・的確に行われていなかったということは極めて遺憾であると思います。今後は、今、発表されていますような取扱いをきちんとやっていただきたいと思いますし、また、この件について知事会の方で議論があれば我々もそれに参加をしていきたいと思っています。
(終了)