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知事定例記者会見 令和5年7月19日(水曜日)

更新日:2023年7月20日更新 印刷

知事定例記者会見 令和5年7月19日(水曜日)

この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。

この知事記者会見録の模様は、  ふくおかインターネットテレビ  で動画配信しています。

発表事項

(1)「福岡半導体リスキングセンター」オープン!(技術人材育成室、新産業振興課)

記者発表資料(「福岡半導体リスキリングセンター」オープン!) [PDFファイル/191KB]

(2)東峰村、添田町でAIR(Artist In Residence)事業をスタートします!(政策支援課)

記者発表資料(東峰村、添田町でAIR事業をスタートします!) [PDFファイル/320KB]

(知事)

 まず初めに、7月7日からの豪雨により福岡県内各地で大変な被害が発生しています。この災害によりお亡くなりになられた方々に対し、謹んで御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 また、今回の災害に際し、応急対応に当たっていただいた消防本部、消防団、県警察、陸上自衛隊の皆さん、そして気象台や九州地方整備局をはじめとする関係機関の皆さん、市町村職員の皆さんに対し、心から感謝を申し上げます。

 加えて、多くの災害ボランティアの皆さんに、現在もなお、浸水した畳や家具の片づけに従事いただいています。心から感謝を申し上げますとともに、引き続きの支援をよろしくお願い申し上げます。

 また、一つ御報告させていただきますが、14日、世界水泳選手権福岡大会の開会式に御来県された秋篠宮皇嗣同妃両殿下から、私に対して直接、今回の災害へのお見舞いのお言葉を賜りました。この場をお借りして、被災された皆さんにお伝えいたします。

 14日には、県の災害対策本部が取り組んできた応急対策から災害復旧・復興本部に移行し、全庁を挙げて、一日も早い被災地の復旧と復興、そして、被災された方を支援するために、補正予算での事業費の計上や国の支援制度の活用など、万全を期して取り組んでいくこととしたところです。

 特に甚大な被害が生じている公共土木施設、農地・農業用施設等の災害復旧及び商工業者の皆さんへの支援策等については、早急に被害状況を把握し、激甚災害の本激として早期に指定していただけるよう、県議会と共に国に要望を行う考えです。

 県では、一日も早い被災地の皆さんの生活の再建と、農林漁業事業者の皆さんの事業の再開、そして継続に向けて、国、市町村、関係機関と連携し、復旧・復興に全力を挙げて取り組んでまいります。

 これからも毎日暑い日が続きます。後ほど熱中症についての呼びかけもさせていただきますが、今も被災地で日々復旧活動に当たられている皆さんにおかれては、くれぐれも体調管理に気をつけていただき、特に熱中症には十分に御留意いただきたいと思います。

 

 それでは、発表事項に移ります。

 1番目ですが、半導体人材を育成するための「福岡半導体リスキリングセンター」を、8月23日水曜日にオープンします。コロナ禍による本県、そして我が国のデジタル化の遅れを痛切に感じたところです。現在、急速なデジタル化の進展に伴って、半導体の需要も高まっている。また、台湾の世界最大の半導体製造企業であるTSMCの九州・熊本への進出と、それに関連した企業の進出も予定されており、半導体の関連投資が相次いでいる状況です。一方で、国内の半導体人材不足は、まさに喫緊の課題となっています。

 このため、県としては、福岡県はもとより、九州あるいは全国で活躍する半導体人材を育成する「福岡半導体リスキリングセンター」を、福岡市早良区百道に開設します。

このセンターでは、企業の技術者の方々の学び直しや最新技術の習得を支援し、半導体やデジタル産業分野の基盤技術から応用技術まで、幅広い人材を育成します。

 本センターのセンター長として、国内はもとより世界的に著名な半導体の研究者である、東京大学大学院工学系研究科の黒田忠広教授に、このセンター長をお引き受けいただくことになっています。

 黒田教授は、国内では世界最先端の半導体の量産製造を目指す「Rapidus(ラピダス)」を研究開発面で支援する「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」で半導体回路設計の技術責任者を務めておられ、国の半導体プロジェクトでも活躍されています。また、半導体のオリンピックと称される国際会議ISSCCにおいて、この60年間に最も多くの論文を発表した研究者としても有名な方です。まさに世界で活躍されている半導体分野の第一人者と言っても差し支えないと思います。

 また、黒田教授は、東京大学と全国の大学や高専、企業との産学連携による高度な半導体技術人材の育成にも取り組んでおられます。

 我々としては、この黒田新センター長に、国内外の半導体の動向、業界の動向というものを見据えた講座全体の統括を行っていただく。また、講座の構築に向けて、大学などの教育研究機関や公的研究開発機関、企業などと調整を行っていただく。このような役割をお願いしているところです。

 このセンターでどういう人材を育てるのかということですが、このリスキリングセンターの講座は、県内の半導体関連企業へニーズ調査を行い、これを踏まえて、黒田センター長監修の下で、基礎技術から応用技術まで最新の技術が学べる講座を設けます。

 講座体系としては、大きく「作る側」と「使う側」の二つに分けています。よく半導体の技術者というと作る側のほうが着目されますけれども、そちらばかりではなくて、使う側も必要だということで着目しています。

 作る側は、半導体の設計、製造、テストなど、生産工程別の講座を設けます。そして使う側ですが、本県を含む北部九州は、イギリス1か国に匹敵する自動車の生産能力を持つ地域です。こうした本県の基幹産業である自動車分野をはじめ、半導体の組込分野など5つの分野で、半導体を使うための基盤となる技術を学べる講座を設けます。

 受講される方もそれぞれのレベルがありますから、受講者のレベルに合わせて複数の講座を準備し、若手技術者からトップレベルの方まで幅広い人材を育成してまいります。

 本県には、半導体関連企業だけでも400社の企業がありますが、ほとんどが中小企業です。ロボット、IoT、AIなどの分野で優れた技術を持つ企業も立地されていますが、このような中小企業の皆さんにおいては、人材を育成したいというニーズ、思いは強く持っていますが、人も限られていますし、お金もかかる。こういう人材育成の費用が二の足を踏む一つの要素にもなっています。

 このため、本県としては、福岡県内の中小企業は、この講座の受講料を全て実質無料とします。ぜひ企業技術者のリスキリング、人材育成に、この半導体リスキリングセンターを活用していただきたいと思っています。

 講座は、対面方式はもちろんですが、このほかにも、全国から受講できるよう、eラーニングも行います。eラーニングについては、8月23日から受付、受講ができます。

半導体入門講座などの対面講座やオンラインの講座は、9月から受付を開始し、10月から受講を開始する予定です。講座の概要や受講方法などについては、今日から、ふくおかIST(アイスト)のホームページでお知らせします。

 この福岡半導体リスキリングセンターのオープンを記念して、8月23日にキックオフ・フォーラムを開催します。

 このフォーラムでは、これからの半導体人材の育成と題して、黒田センター長に基調講演を行っていただきます。それから、パネルディスカッションを予定しています。これからの半導体産業と福岡県の持つポテンシャルをテーマとして、黒田センター長とRapidusの小池淳義代表取締役社長、経済産業省の金指情報産業課長など、5名でこのパネルディスカッションを企画します。参加料は全て無料です。今日から申込みを受け付けますので、ぜひ御参加いただきたいと思います。

 このような人材育成の取り組みを紹介していますが、これからの技術人材の育成・確保のほか、新製品や新技術の開発支援、また、各企業のビジネス展開支援などの取り組みを展開し、福岡県の半導体デジタル産業のさらなる振興を図り、グリーンデバイスの一大開発・生産拠点化を目指してまいります。

 

 2点目の発表事項ですが、「アーティスト・イン・レジデンス」という事業を7月21日金曜日にスタートします。場所は、東峰村と添田町です。

 アーティスト・イン・レジデンス。頭文字を取ってAIR、略してエアーです。

 このアーティスト・イン・レジデンス事業ですが、移住・定住の促進を目的とするもので、地域の外から訪れる皆さんがわくわくするような地域をつくる。それから、地域の外から訪れる方々を温かく迎えるアットホームな受入環境づくり。県ではこの二つを目指しています。この二つが揃うことで、より多くの皆さんがその地域を訪れて、地域住民の方と交流し、その地域に対して愛着、愛情を持っていただくことができるのではないかと考えています。この積み重ねが移住・定住の促進につながるものと考えています。

 この一つの事業手法として、今回新たにこのAIR事業に取り組みます。

 このAIR事業は、芸術家の方が一定期間ある場所に滞在して、地域住民の方との交流を行いながら、芸術活動を行っていくというものです。今回の場合は、5名程度の作曲家の方に、東峰村、添田町に1か月滞在して作曲活動を行っていただくことを考えています。そして、作品については、九州交響楽団とのコラボによる演奏会を予定しています。年度末になろうかと思いますが、そこで作品を披露していきたいと思っています。

 また、アドバイザーの方を2名お願いしています。このアドバイザーの方には、まず、5名の作曲家を選んでいただきます。それから、滞在中、この5名の方々が作曲活動を行いますが、作曲に対するアドバイスや、九州交響楽団とのコラボによる演奏会の演出について御協力をいただきます。

 アドバイザーのお一人は、宮川彬良さんです。皆さんもよくテレビ等で御存じかと思います。マツケンサンバ2、3や、宇宙戦艦ヤマト2199、2202といった作曲などを手がけた有名な方で、舞台やコンサート、テレビ、ラジオなど多岐にわたるジャンルで活躍されています。

 それからもう一人は、演奏家、バイオリニストの西本幸弘さんです。西本さんは、九州交響楽団や仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めています。バイオリニストであり、各種施設での訪問ボランティア演奏にも積極的に取り組んでいらっしゃる方です。

 このお二人にアドバイザーをお願いしながら、7月21日から作曲家の皆さんの公募をスタートします。専用のホームページから応募をいただきたいと思っています。応募は9月20日に締め切り、9月中には5名を選考します。

 選ばれた方には、その後、10月から12月までのうちの約1か月間、東峰村あるいは添田町に滞在して作曲活動を行っていただきます。そして、年度末の来年3月31日には、添田町のオークホールで九州交響楽団のプロオーケストラとコラボした演奏会を開催し、完成した楽曲を披露していただきます。

 この3月31日の演奏会のほかにも、気軽に音楽に楽しむ機会を提供しようということで、沿線地域の公民館などでミニコンサートをやろうと思っています。プロの演奏家の方をお招きして、3回行う予定です。1回目は8月6日に、添田町の中島家住宅と東峰村のアクアクレタ小石原で、西本幸弘さんをはじめとする弦楽四重奏のコンサートを予定しています。

 県ではこのAIR事業を通して、地元自治体の皆さんと連携して、わくわくする地域づくりとアットホームな受入れ環境づくりの二つを進めていきます。そして、移住・定住の促進につなげていきます。ぜひ、このAIR事業に参加しようという作曲家の皆さん方の応募をお待ちしています。

 

 最後になりますが、最近暑い日が続いています。私から、熱中症の予防について県民の皆様に呼びかけをしたいと思います。

 熱中症は7月から8月にかけて多発する傾向があります。

昨年は、1か月に1,000人を超える方が熱中症によって救急搬送されました。熱中症による救急搬送のうち、53パーセント、半数以上が高齢者の方となっています。しかも、搬送された高齢者の方のうちの半分以上は、自宅で熱中症になっているということです。

 熱中症というと、外の日差しの中でというイメージがありますが、このように家の中での熱中症も多発しているということで、十分に注意をしていただく必要があると思います。

 どうしても高齢者の方は、若い方よりも体内の水分が不足しがちです。そして、暑さを感知しにくいとも言われており、特に注意していただきたいと思います。また、高齢者でなくても、子どもさんや障がいのある方も熱中症になりやすいと言われており、より注意が必要です。ぜひ、こういった方々の周囲にいる皆さんからも、小まめな水分補給など積極的な声かけをお願いします。

 熱中症を予防するためには、喉が渇いてから水を飲むのではなくて、喉が渇いたなと思う前に、渇いていなくても小まめに、定期的に水分補給していただきたい。

 それから、気温や湿度の高い日には我慢をせずに、適度にエアコンなどを使っていただきたいと思います。

 それと、私たちも注意しなければいけませんが、日頃からの体調管理。規則正しい食事と睡眠で体調を整えていただきたいと思います。お互いに注意してまいりましょう。

 それから、特に暑くなると予測された日には、熱中症警戒アラートが発表されます。今日も、県内にこの熱中症警戒アラートが発表されています。7月で3回目になります。このアラートが発表された場合は、不要不急の外出や屋外での運動を中止、あるいは延期するなど、危険な暑さを避けていただくことが必要です。

 冒頭、災害についてのお話の中でも言いましたが、このたびの豪雨災害で復旧作業をしていただいている方も大勢いると思います。作業する際には、この熱中症に十分御注意をお願いします。

 ぜひ、特に高齢者の皆さんについて、周りの方も声かけなどしていただいて、みんなで気をつけていきましょう。よろしくお願いします。

質疑応答

(読売新聞)半導体リスキリングセンターについてですが、受講する対象者はどういった方を想定しているのでしょうか。県内だけでなくて全国の企業からも受講が可能ということでしょうか。

(知事)はい。我々としては、県内、九州、あるいは全国的にも半導体関係の人材不足というものが深刻な課題になっていることから、この人材を育てようということですので、全国から受講可能としています。特に、eラーニングを活用して全国から受講していただければと考えています。

(読売新聞)今、半導体の人材不足により、色々なところで訓練施設ができていたと思いますが、福岡県としてこういう全国の人材を育てるというところの狙いについて、どういった効果を期待するかお聞かせ願います。

(知事)今、九州もシリコンアイランド九州の復活だと言われています。大きく言えば、我が国の中でも人材不足というものが一つの大きな課題になっており、この問題の解消に、我々としても一助をなしたいという思いがあります。

それと、先ほども申しましたように、世界的なシェアを誇る企業をはじめとして、約400社の半導体企業があるわけです。今回新たに立地される企業もありますが、我々の地元で育ってきた企業の皆さん、半導体の関連企業をしっかりと守り、そして育てていく、強くしていくことが重要です。このためには、「企業は人なり」と言われますが、やはり半導体人材、技術系人材というものがしっかりと確保されなければなりません。こういったことから、このセンターを通して、県内企業の皆さんの半導体人材の育成を行っていきます。また、本県は、グリーンデバイスの一大開発生産拠点というものを目指しているところですので、この推進の取り組みの一つともしたいと考えています。

 

(読売新聞)災害についてお伺いします。被害額が現段階ではまだ分かっていないと思いますが、目途として、いつぐらいに被害額が明らかになる想定なのか教えてください。

(知事)今回、久留米はもとより、広範な地域において、住戸の被害や農地農業用施設等の被害が発生しています。先ほど本激の申請をすると申し上げました。激甚災害の申請をするにしても、少なくとも概算の被害額を把握する必要があります。我々としても、早期の被害額の把握が重要ですので、今、所管の各課、また、各出先の事務所において被害額の把握に努めています。まだ現地に入れていないところもあるため、いつというのは現段階で申し上げられませんが、実態を把握次第、公表していきたいと思っています。

(西日本新聞)災害の関連ですが、先週の対策本部では速報値で被害額が商業被害4億円と公表されました。あと、文化財30件という数字が出てきていますが、農業機械がまだまだ出てこないと。その中で、先ほど少しおっしゃいましたが、現地に入れていないというのは人手が足りないのか、それとも、被害が大き過ぎて手が回らないのか。もしそういう現状であれば、県として激甚指定に向けて早く数字を出したほうがいいと思いますが、県として何かできることはありますか。

(知事)被害の把握については現場でも市町村と連携して取り組んでいます。先ほど入れていないと申し上げたのは、物理的に、農地や園地に行くための作業道が寸断されていて入れないところがあります。そういうところについては、なかなかまだ現地に到達できてないところもあります。

 人的な問題はどうですか。

(農林水産政策課)人的な問題は、出先機関も市町村と連携して被害の全容把握に努めているところですが、知事が申したとおり、特に山のほうにまだ入れていない、現地までたどり着けないという箇所があります。そのようなところの被害状況の把握に今、努めているところです。

(知事)ある程度の段階で、推計を用いることも必要になってくるかと思います。

(西日本新聞)関連ですが、関係として激甚の基準を満たせば、本当に全体像が100%分かる前の時点でも申請というのは一応できるのでしょうか。

(知事)もちろん。激甚の申請については、まずは概算数値で行いたいと思っています。

 

(時事通信)リスキリングセンターの関係で、先ほど黒田センター長は講座全体の統括云々という役目があるとおっしゃっていましたが、実際にこの講座の教える側、いわゆる講師陣は、どのような方々がなられるのでしょうか。

(技術人材育成室)リスキリングセンターの講師の方々については、大学の先生や企業の技術者の方々にお願いをすることにしています。

(知事)九州大学の井上教授にもお願いしています。

 

(時事通信)アートの関係ですが、先ほど地域の魅力発信ということもおっしゃっていたと思いますが、これは選ばれた5人の方がSNSか何かを使って情報発信するということでしょうか。いわゆる移住定住につながる部分のところをもう少し説明いただければと思います。

(知事)芸術家の方も色々いらっしゃいますので、我々としては、条件としてSNS等での発信をお願いするつもりはございません。あくまで作曲活動をしっかりやっていただきます。あとは、その中で「イン・レジデンス」です。地域に住んでいただき、その地域の風や風土、それから人々との交流といった中で作品のイマジネーションを得ていただくということです。この土地で自分たちがつくった作品というものを1か月、実際に作品として出来上がるのはもう少しかかるかも分かりませんが、作曲活動してつくっていく。このことが作品の土壌になった地域の魅力というものを伝えることになると思っています。

 

(西日本新聞)関連して、リスキリングについてお伺いします。これは首相がリスキリングという言葉を使い始めて色々動き始めていますが、その一環ということでしょうか。

(知事)総理がお使いになっているのでその一環、ということではありません。我々としてもリスキリングという考え方、取り組みというのは必要であるということで、ネーミングとして使ったところです。リスキリングのみならず、先ほど申しましたように、新しい技術の習得ということもやっていただこうと思います。

(西日本新聞)関連して、eラーニングでも学べるということで全国、場合によっては海外の受講者もいるかもしれませんが、目的としては福岡の半導体の人材育成ということだと思います。eラーニングを受講した人が、必ずしも福岡もしくは九州で半導体の企業に就職して根づくということが必ずしも言えるとは思えませんが、福岡県内に限らない理由は何かあるのでしょうか。

(知事)やはり日本全体で、半導体の産業をこれからしっかりと育てていく。その中で九州、また福岡県というものも当然あるわけです。もちろん県のセンターですから、そういう意味で、我々の県内に今育ってきている400社の中小企業の皆さんについては受講料も無料にして、そこの若い人材を育てるという取り組みです。それ以外にも九州、日本全体の人材を育てることによって、それがひいては九州または福岡に効果を及ぼすような大きな捉え方をしています。

(西日本新聞)他県でリスキリングセンターをつくって、しかも半導体に特化したものをやろうとしている例はあるのでしょうか。

(技術人材育成室)半導体に特化して各県が何か取り組みをやられているということはないと承知しています。

(朝日新聞)リスキリングセンターに関して、リスキリングと聞くと、企業内で違う技能を習得させるというようなイメージがありましたが、この発表案件を聞いていると、講座を受けてもらって、それで終わりというふうに思いました。何かその後、就業支援などのリスキリングはありますか。そういう御説明があればいただければと思います。

(知事)それはこのセンターの機能というよりも県の施策、政策としてどうかということになろうかと思います。今おっしゃったように、必ずしも企業に所属していない方もいるのではないかということですね。そういう方については、我々としても、過去の結果を見ると人材が不足しているという状況です。これは県内の400社の企業も同じ状況です。また、半導体関連企業のみならず、県内の様々なデジタル社会を支えるような企業においても人材不足は顕著だということで、こういう企業とのマッチングは我々もしっかり進めていきたいと思います。

 

(西日本新聞)大雨の関係ですが、県内で今回5人の方がお亡くなりになられていて、県ではそのうち御遺族の同意が取れたお二人の方の氏名を公表していると思います。その公表の在り方について何点かお伺いします。

 まず、お二人の方の氏名を報道機関の問合せに対して口頭で答えられている点です。今日まで特にペーパーを出されているわけでもなく。

 もともと県の方針では、災害時の死者等の氏名の公表の方針で原則公表だという考えで規定されています。御遺族の同意があったり住基台帳の閲覧制限がなかったりというときにはですね。ただ、原則公表と書いてあると、何かしらペーパーで発表したり各社に投げ込みをしたりされるのかと思っていたら、個別に聞いたら答えるという対応だったみたいで、公表にかなり後ろ向きかとも思うのですが、今回の発表の在り方について、知事はどうお考えですか。

(知事)基本的に、お亡くなりになった方の氏名等の公表について、県として後ろ向きであるということはありません。災害時における人的被害の公表要領に基づいて、住民基本台帳の閲覧制限がある方、あるいは御遺族が公表しないでほしいという方については公表できませんが、そういうことがなく、同意が取れている場合には公表していくということです。氏名、年代、現住所、発見場所、発見日時等について公表することとしています。

 今回、誠に申し訳なく思っていますが、御遺族の皆さんの意思が確認できた後に報道機関の数社からお問合せがあって、そこに災害対策本部の職員がその場で答えてしまったということがあり、私からも、報道機関の皆さんには一斉に、公平に情報提供しなければいけないということを、改めて指導したところです。

(西日本新聞)今回亡くなった方のうちのお一人の場合、性別を市町村のほうでは事前に報道に答えていたのに、県が発表されたときは、性別は答えられないということで、事前に出ている情報よりも県が発表された内容のほうがやや後退しているように思ったのですが、その点はどうですか。

(防災企画課)性別については、昨今、LGBTQなどもあり、名前について非公表にしていただきたいという遺族の方の希望もあります。名前が出ると、性別が分かるということがあり、これについては公表しない場合もあります。

(知事)今の性別について言えば、現在の性の多様性についての問題といいますか、状況というのを踏まえて、あえて性別は公表しないという考え方を取っています。

(西日本新聞)昨日、防災担当にも問い合わせたのですが、遺族の同意というのが大きなところになっています。専門家の中には、大きな災害になり、捜索にも公費が投じられて、また、激甚指定されたらまた公費が入ってくるということで、かなり公共性が高い話題である中で、遺族の同意というのが言い訳みたいになって、そういう社会性、公共性がある、お名前を出すか出さないかという話題、それが遺族の一存でそんな簡単に決められていいのかという御意見もあり、昨日県に問い合わせると、市町村が遺族のどなたにどういう文言で確認したかというのは、把握されていないと答えられたのですが、状況が変わったらそれでも公表することになることもあると思っています。

(知事)今回の場合もそうですね。

(西日本新聞)今、残りの3名の方は同意を得られていないとありますが、今後また県のほうでお願いして、お名前を出したりするために努力されるような予定はあるのですか。もう1回市町村が対応されたら、その後はそれで決着というか、それで終わりということになるのですか。

(防災企画課)公表については市町村に確認いただいて、御遺族の御希望をお聞きして、公表するかどうかお決めいただいています。市町村から御遺族の方々に確認していただいたもので、後日、公表してよいということになることは、御遺族の希望が変われば別ですが、普通はないのかなと考えています。

(知事)公益性の問題と個人情報、さらには御遺族の気持ちや感情、そういったことの非常に難しい問題があろうかと思います。公表については、もちろん災害対応等で極めて公益性が大きい場合のことを、先ほど専門家の方の御意見としておっしゃったと思いますが、その取扱いについては非常に慎重に考えていかなければいけないと思っています。

(西日本新聞)今回報道機関の目から見ている中で、氏名公表関連は二つ課題があると思っています。先ほど上がった一つ目が、遺族の同意が取れたにもかかわらず積極的に公表していない、つまり報道資料を出したりして記者のほうに伝わってきていないこと。問い合わせした記者には答えたのですが、公平性とか一斉にとか、そういう問題ではなくて、公表というのは、聞かれたら答えるではなくて、主体的に同意が得られたら速やかに出す、しかも亡くなった方のお名前なので、口頭ではなくて、文書で出していただかないと、漢字を間違えたりとか、色々な問題が出てきますので、その辺りというのは、どうしていただけるのでしょうか。

(知事)公表という言葉を用いているわけで、今回の情報提供の在り方については問題があると思っています。先ほど、今回のいきさつの関係から、「同時に」とか「公平に」という表現をしましたが、それ以前に、やはり同意が取れた情報については、正確を期すためにも、文書等で発表していきたいと思います。

(西日本新聞)二つの課題のもう一つですが、公表要領を読んだのですが、発表内容が5項目あって、氏名、年代、現住所の大字までと、色々あります。先ほど性別の話もありましたが、もちろんLGBTQの話は分かりますが、遺族が別に性別を公表してもいいよと言えば、それは発表項目に入れてもいいと思いますし、5項目をもう少し広げたりとか、そういうことによって、そもそもなぜ氏名を公表するかという目的、報道機関であっても公的機関であっても、なぜ公表するのかという目的によると思うのですが、そもそもなぜ公表するのかを県としてどういうふうにお考えになっているか。あと、それを、今回の報道を受けて、その目的を達成するために、例えば、性別を増やしたりとか、公表項目を見直すお考えがあるかお伺いします。

(知事)氏名を公表することについては、災害対応を行っていく上での必要性、公益性を踏まえながら考えています。

 それと、今後の公表項目については、今回、この場においても問題提起がありましたので、再度、我々としても考えたいと思います。

 

(RKB)先日、博多祇園山笠の追い山で、痛ましい死亡事故が起きてしまいました。地元の夏の風物詩でこういった事故が起きたことについて、知事としてどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。

(知事)今回の追い山で1名の方がお亡くなりになり、また、そのほかにもけがをされた方がいらっしゃると伺っています。そもそも人々の安寧を願う神事が博多祇園山笠ですので、このような事故が起こったことを大変残念に思います。今後、山笠振興会においても、このような事故が再び起こることのないように十分に検討を行うと聞いていますので、しっかりとした再発防止対策を検討していただきたいと思っています。

 

(西日本新聞)災害に関して、事業費の計上という話をされていましたけれども、9月議会の補正予算、もしくは、前倒しで早めに対応するための臨時会での補正の見通しというのはありますでしょうか。

(知事)今のところ、それをここで言う段階ではないと思いますが、ただ、これから被害状況も明らかになっていく中で、被災者の皆さんへの支援、また事業再開の支援について、緊急を要するものについては、新しい予算措置もございますが、既定予算の中でも対応できるものは、それを活用していきたいと思います。必要に応じて、議会とも御相談しながら対応を取っていきたいと思っています。

 

(西日本新聞)大雨関連でもう1点お伺いします。東峰村のBRTは、今、被災が確認されていますが、予定では8月末の開業予定で、県としては沿線自治体と一緒に振興協議会もつくって、待望の開業だったと思うんですけど、今のところスケジュールはどのような状況なのでしょうか。

(知事)そもそも8月28日が開業予定でした。県としても大きく待ち望んでおりましたし、また、我々以上に住民の皆さんが心待ちにされていたと思います。その中で、今回の雨で専用道の一部が崩落し、倒木等も数か所起こっているということで、非常に残念です。ただ、人を乗せて走る道路ですので、何といっても安全が確保されなければならない。このことは地元住民の方も同様の思いだと思います。

 JR九州においては、8月28日に予定どおり開業できるように努力していると今おっしゃっていただいています。我々としても、もちろんそれはお願いしたいと思いますけれども、同時に、まずは安全の確保に万全を期していく。それと同時に、地域住民の皆さんが不安に思うようなことがないように、十分な説明をJR九州において責任を持って行っていただきたいと考えています。

 

(読売新聞)大雨関連で、まだこれからだとは思うのですが、雨が毎年続いていて、先日大臣に会われたときに、流域治水というものをしっかりと考えていかないといけないという御発言があったかと思うのですが、広い流域治水について、今後どのように考えていきたいかというのがあれば。

(知事)もう既に流域治水プロジェクトというものをつくっていますので、久留米の筑後川に流れ込む河川について、この流域治水の取り組みを進めていきたいと思っています。

 流域治水は従来の河川改修だけではやはり無理だということで、色々な公共施設を用いた調整池や公園の下に地下調整池、あるいは田んぼを活用した田んぼダムにするということとしますが、流域の関係者の皆さんの御協力がないとできないところは多いため、まずは御理解をしっかりといただきながら、進めていくことが必要です。

 この流域治水は、ハード的なイメージが強いと思いますが、ハード・ソフト両面の総合的な治水という考え方の下で行っていかなければいけないと思っています。

 

(NHK)大雨関連でもう1点。漁業関係なんですけれども、大雨で筑後川の上流側からゴミが流れ込んでいるとおっしゃられたと思いますが、今回筑後川からゴミが流れて、佐賀のほうにもかなり漂着ゴミがあって、福岡県の漁協の方が漂着ゴミを回収したり処理したりとか、どういう対応を行っているか教えて下さい。

(知事)現時点では、状況を見ますと、佐賀の福岡に近いほうの漁港に主に風に引き寄せられてごみが集積していると伺っています。ただ、現時点で、佐賀の漁業者の皆さんや佐賀県から福岡県に対して具体的にそのような要請は行われていません。

 しかし、有明海の我々のエリアにおいても、一定のごみがありますが、今は漁船がごみによって出航できないという状況にはないです。漁港に漂着したごみ、流木等を順次回収しているという段階です。かつ、今、漁業者の皆さんは、有明海がクラゲ漁の最盛期であり、大変お忙しいということもあります。7月いっぱいクラゲ漁が続くということですので、これが終了した後、毎年、海苔の前にやっていますが、一斉清掃を実施します。これに合わせて、ごみの回収・処理も行っていきたいと思っています。

 

(西日本新聞)亡くなった方のお名前を出す、出さないの問題の続きですが、先ほど知事は、個人情報や、御遺族の気持ちが、とおっしゃられたと思いますけれども、災害で亡くなられた方については個人情報保護法の適用外になっていて、今、各都道府県はそれぞれ色々な要領をつくったりつくっていなかったり、また、出し方も違いがあるのですが、そういう形で統一のルールがないということについて、知事御自身はどう思われますか。また、都道府県ごとに色々な対応がある現状については、どうですか。

(知事)国のほうで、このような公表の基準をつくっていたと思います。今の段階では、それぞれの都道府県の考え方で、となっているので、今、この考え方の中で我々もしっかり考えて対応していくしかないかと思います。

(西日本新聞)今回を踏まえて要領を見直されるなどということは特になさらないですか。

(知事)今回の公表の仕方は、誠に申し訳ないと考えており、そこはしっかりとやっていきます。また、公表内容について、今いただいた問題提起も踏まえて、我々としても少し考えたいと思います。

 非常に繊細な部分もあります。御遺族のお気持ち、それぞれの御事情、色々あるので、我々が一方的にはなかなか言いづらいところもある。ただ一方で、公益的な必要性とのバランスをどう見ていくのかと。また、公表することの必要性。性別についてもですが、それがどういう必要性を満たすことになるのか。そういうこともよく考えていかなければいけないと思います。もちろん、亡くなった方には個人情報はないとおっしゃられればそうですけれども、しかし、人として生きてこられた方に対して大事にしなければいけないところはあると思います。そういうのも十分真摯に考えながら、御遺族の思いも大切にする中で、やっていきたいと思います。

 

(終了)

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