本文
この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ で動画配信しています。
(1)福岡県こども食堂応援プロジェクト(こども未来課)
記者提供資料(「福岡県子ども食堂応援プロジェクト」クラウドファンディング開始) [PDFファイル/288KB]
(2)「生成AI検討プロジェクトチーム」の発足(情報政策課デジタル戦略推進室)
(知事)おはようございます。今日は2件、発表します。
最初に、福岡県こども食堂応援プロジェクトについてです。
皆さん、こども食堂を応援しましょう。
本日から、こどもたちを笑顔にしたいという皆さんの温かい気持ちを県内のこども食堂の皆さんにお届けするために、クラウドファンディングでのふるさと納税による寄附を募集します。これを、福岡県こども食堂応援プロジェクトと称してスタートします。
現在、こどもの7人に1人が貧困状態にあるとされており、地域のボランティア団体の皆さんやNPOの皆さんが運営するこども食堂では、こどもたちに無料または少額で食事を提供していただいています。こうした貧困状態にあるこどもたちを救う取り組みとして注目されています。
では、県内にこども食堂が幾つあるのかということですが、昨年の11月時点で調査したところでは県内には281か所あります。これは3年前の117箇所と比べると、およそ2.5倍に増えています。
今、貧困状態にあるこどもたちを救うと申しましたが、こども食堂の活動、役割は、貧困対策にとどまらず大きな広がりを見せているところです。例えば、学年を超えて一緒にこどもたちが遊ぶ場。今、地域でもなかなか世代、年齢、学年を超えたこどもたちのつながりが希薄化していますが、こども食堂では、学年、年齢を超えた交流が行われています。あるいは、ボランティアの学生さんたちがこどもに勉強を教えたり、一緒に野菜の収穫体験を行ったりと、学びや体験の場にもなっています。このように、こども食堂は無限の可能性を持ったこどもたちの未来につながる活動の場になっていると考えています。
そのこども食堂はどのように運営されているのかということです。これは、食材の寄附や、こども食堂を開催する場所が必要です。食材の運搬や調理する作業も必要です。こういったことをボランティアの皆さんなど、人々の善意で支えていただいています。こうした支援の輪をもっと大きく広げて、たくさんの方々の善意をこども食堂に届けるために、今回、ふるさと納税を用いて寄附を募集することとしました。
具体的な寄附の募集の内容です。本日5月17日から、ふるさと納税による寄附の受付を開始します。個人の皆さんは8月14日まで、企業の皆さんは12月28日までです。目標金額は800万円としています。
皆さんの寄附金によって、我が県が誇るおいしい農林水産物を、福岡県こども食堂ネットワークを通じて、こども食堂にお届けします。このネットワークは、今現在、県内の多くのこども食堂が加入され、そしてまた、そのネットワークの輪を広げようと努力されているものです。この取り組みに対して、皆さんの御支援、御協力をぜひともよろしくお願い申し上げます。
本日は、このこども食堂の運営に携わられている方からメッセージをいただいていますので、御覧いただきたいと思います。大野城市にありますこども食堂「みずほ町」のスタッフの水城様からのメッセージを御覧ください。
(ビデオメッセージ:こども食堂「みずほ町」水城)大野城でこども食堂「みずほ町」を運営している水城です。
こども食堂はこどもも大人もみんな笑顔でいられる、こどもを真ん中に置いた地域の居場所です。物価高騰の影響もあり、運営がなかなか苦しい中、県でこのようなプロジェクトが立ち上がり、すごくうれしく思っています。こどもたちにおいしい県の食材を食べてもらうため、ぜひ寄附の御協力をお願いします。
(知事)多くの皆さんにプロジェクトの趣旨に御賛同いただき、こども食堂への支援の輪を広げていきたいと思いますので、御支援、御協力をお願い申し上げます。
このほか、こども食堂の皆さんが安定して活動を継続していくためには、食材の共同調達や、食材を保管する共同集積場所の確保など、こども食堂同士がつながって、市町村あるいは企業など多様な主体と連携をつくっていくことが必要です。このため、県では今年度から地域内のネットワーク化を進めています。
こども食堂が、こどもたちの居場所として地域で安定して運営できる体制づくりを進めていきます。皆さん一緒に、こどもたちのたくさん笑顔があふれる福岡県をつくりましょう。よろしくお願い申し上げます。
次に、2点目です。
先般の記者会見でも御質問がありましたが、インターネット上のデータを学習して、自然な文章や画像を自動で作るChatGPTをはじめとする生成AIが注目されています。政府においても、色々な観点から検討が進められていますが、先日の会見でも私から、この生成AIについて、庁内、あるいは市町村の皆さんと色々な検討を進めていくという考えをお伝えしたところです。
この取り組みですが、本県の業務に生かすためのルールづくりが必要です。こういったルールづくりなどについて検討を進める「生成AI検討プロジェクトチーム」を立ち上げることとしました。
生成AIは、有効に活用すると、業務の効率化や生産性の向上、県民サービスの向上につながる可能性があります。しかし一方で、AIというのは、入力された内容を学習し、その学習を積み重ねていくことによって、能力が向上します。学習した内容を利用して情報の生成を行うことになりますので、情報漏えいにつながるおそれがあります。このほか、著作権の侵害のおそれ。また、回答について取得したデータが新しいのか、古いのかという点もありますので、回答の正確性が担保されているかという課題もあります。このような生成AIが持つ効果と課題を考えていく必要があります。
いずれにしても、ChatGPTであれ、何であれ、生成AIはあくまでツール、道具です。これを我々がうまく使いこなしていかなければいけないわけです。そのために、個人情報保護などの安全性を前提として、利活用のルールや環境整備が必要となります。今回、この生成AI検討プロジェクトチームによって、この点を議論し、検討を進めます。
福岡県における検討の特徴的な取り組みは、大きく3つです。
1点目は、県庁職員がこのチームの中核をなしますが、これだけではなく、学識経験者として、情報科学分野や法律分野の専門家に加わっていただきます。
2点目です。部局ごとに様々な業務があり、県民の皆さんに対するサービスも様々あります。広く職員からアイデア、意見を集めて、活用案を作成します。
それから3点目です。両政令市においては既にチームの立ち上げを公表されており、様々な検討をスタートさせようとされています。両政令市とも検討状況を共有し、県内の市町村において生成AIの利活用ができるように、市町村を支援していきます。
5月26日金曜日にこのプロジェクトチームの立ち上げを行います。第1回目の会合は5月29日月曜日を予定しています。詳細は後日、担当部局からお知らせします。
(RKB)こども食堂応援プロジェクトですが、県内に200か所以上あるという中で、目標金額が800万円と設定されている、その金額の設定はどういった考え方でしょうか。
(知事)箇所数を県で調査し、こども食堂さんたちの運営に要する経費が全体でどれぐらいかかっているのか、任意でお答えいただいたところ、大体、県内全体で8,000万円かかっているという調査結果になりました。我々としては、この8,000万円のうちの10%、1割程度をふるさと納税で御支援できないかという考えで、800万円と設定しました。
もちろん、800万円を超えてたくさん御支援をいただければ、幸いとするところですので、よろしくお願い申し上げます。
(読売新聞)ChatGPTについてお伺いですが、これはこれから活用を検討していくということですけれども、導入することによって、現時点で知事が期待される効果は。例えば県民サービスの向上、あるいは業務の効率化等、どういったことが期待されると知事はお考えでしょうか。
(知事)もちろん、大きく言えばおっしゃったとおりです。我々の行政は誰のためにやっているかというと、県民の皆さんのためです。県民の皆さんにとって、様々な行政サービスが生成AIを使うことによって、よりスピーディーに、また正確に、そしてストレスなく利用していただけるということ、これが第一だと思います。それと同時に、我々の業務も同じように効率的、効果的に行うことによって、県民の皆さんの福祉の向上につながることになります。先ほど申しましたように、非常に広い分野にわたって我々の行政はあるわけです。あらゆる分野の職員からアイデアや提案、また課題意識といったものを忌憚なく出していただいて、それをこのプロジェクトチームの中で分類しながら、検討を進めていきたいと思っています。
(読売新聞)大体めどとして1年間でしょうか。
(知事)やはりスピード感は要ると思います。今日の新聞に載っているように、学校現場における生成AIの利用のルールづくりは夏場ぐらいをめどにということも伝えられています。色々な意見の集約等の時間もかかりますが、極力速やかに行いたいと思っています。
(デジタル戦略推進室)今のところの大まかなスケジュールですが、6月下旬までに職員からアイデアや意見を収集して、7月から8月をめどに取りまとめを行います。その後、検討を進めて、年度内には、と考えていますが、知事の発言のとおり、できるだけ早く報告書を出したいと考えています。
(知事)一方で、AIの技術、製品といったものもやはり日々、各社によって、ChatGPTの会社だけでなく、マイクロソフトならマイクロソフトで、色々な開発が行われている。我々の業務にもし使うとすれば、県民の皆さんの個人情報保護は非常に大きな問題です。また、我々が持つ業務上の秘密といったものはしっかり守っていかなければいけないわけです。そうしたときに、全くオープンな形で全てにつながっているAIというものを活用できるのか。活用できる場面、業務、あるいは、クローズドなAIを必要とする場合。外からの情報は取り込むけれども、内部の情報は出せないという場合もある。そういうAIについても今、研究開発が進められていると聞いていますので、各社のAIについての研究開発も一方で考え合わせ、そういう情報も取り入れながら、生成AIの活用については考えていく必要があると思っています。
(西日本新聞)関連して、今回の検討は、使う前提で検討するのか。つまり、検討した結果、やっぱり県庁としては色々問題があるから使わないほうがいいという結論に達する可能性もあるのでしょうか。
(知事)これまでもこれからも、こういった先端技術というものは生まれ、そして発展していきます。我々の業務、また県民の生活においてこういったものに背を向けるということはあり得ないと思います。これをツールとしてどう使いこなしていくかが極めて重要です。そういう観点で考えていますので、AIについても、これを全く活用しないという選択肢はないだろうと考えています。
(西日本新聞)例えば、ほかの都道府県知事や首長の発言を聞いていますと、場合によっては議会答弁の素案に使えるのではないか等と言われていますけれども、これから意見を集約すると思いますが、知事として、今、こういう場面で使ったら有効なのではないかというような、何か具体的なお考えはありますか。
(知事)AIなどの能力が一番優れているのは、やはり極めて短時間のうちに各種のデータを整理し、分析をしてくれるということです。そういったデータの活用という点では、非常に大きな活用の余地があると思います。ただ、議会の答弁にしても、どのように知事としての答弁、執行部としての答弁を行うかということになると、これは政策的な見地も入るわけですので、単純にAIが作った答弁案をそのまま読み上げるということは、適切ではないと思っています。
(時事通信)プロジェクトチームの関係で幾つか確認ですが、先ほど知事は生成AIにも色々あるとおっしゃいましたが、このプロジェクトチームの検討対象にしているものが、ChatGPT以外で、現時点でほかにもあるのであれば教えていただきたいのと、あと、検討の結果、例えば予算編成などの庁内業務で、適用する分野と適用しない分野の振り分けも方向性の中には含まれると考えてよろしいのでしょうか。
(知事)後段の質問からお答えしますと、様々な部局からの意見を集約した上で、我々としてどういう分野でこれを活用できるかということを整理していきます。その中で、今おっしゃったように、施策を形成していく上でのデータの活用、あるいは予算編成に当たっての判断の参考、様々な県民サービスの改善など色々な分野がありますので、それはこれからプロジェクトチームの検討の中で整理をしていきたいと思います。
どういう生成AIを対象にするかは、担当課からお答えします。
(デジタル戦略推進室)先ほど知事からChatGPTやマイクロソフトの話がありましたが、それに加えて今色々なサービスが出ていますので、単純にこれとこれに限定して検討を進めていくというのではなく、間口を広げ、製品のサービスも増えてくる前提で、我々が使うに当たって最適なものはどれか、もしくはあるのかないのか、そういうことを含めて検討していきますので、製品限定で考えているわけではございません。
(西日本新聞)こども食堂について、実際にどれぐらいこども食堂があるかの数字はあるのですが、県内でこれを必要としているこどもの人数とか世帯数とか、そこの数字は何かありますでしょうか。
(こども未来課)正確な人数は把握できておりませんが、昨年度、全国のこども食堂ネットワーク団体が実施した調査から推計いたしますと、年間の延べ利用者は約34万人、実人数ベースで1万4,000人を超える方が利用されているという調査結果が出ています。
(西日本新聞社)こども食堂を取り巻く今の運営の環境という意味では、先ほどの物価高騰のほか、コロナも関係すると思いますが、どういう実態があるのかといったことや、資金不足等の課題は何かありますか。
(知事)例えば昨年を思い起こしていただくと、県としても光熱費の高騰に対して、こども食堂を支援しようということで、一定の額を支援しました。このようにこども食堂において、食材の調達コストや運搬費も含めて上がっているので、ここについて、今回のこのプロジェクトで少しでも支援することができればということで、皆さんの温かい御寄附をお願いしたいと思っています。
(西日本新聞社)去年の光熱費というのはありましたけれども、県としてこども食堂を支援するために恒常的に予算が組まれているわけではないんですね。
(知事)それはございません。基本的にこども食堂は、それぞれの運営主体、中心になっている皆さんの理念、考え方があります。そういった中で、皆さんの御努力、またそれを支えていただいている方々の善意等によって運営を、というお考えのところも多くありますので、必ずしも公的な関与について全面的に期待をしているところばかりでもないわけです。そういったことも考え合わせながら、我々はこども食堂の皆さんとこれから取り組みを進めていく必要があると思っています。
(KBC)こども食堂に関してなんですけど、今回、1回のクラウドファンディングですが、今後についてはどうお考えですか。
(こども未来課)このクラウドファンディングは3年間継続してやっていく方向で検討しています。その後のこども食堂への行政の関わり方というのは、先ほども申し上げたとおり、食堂の意向や自主性、多様性を尊重しながら、どういった形で我々は御支援していくかということを食堂の方の御意見を踏まえ検討していきたいと考えています。
(知事)昨年も、電力・ガス等の高騰もありましたので、物価高騰に対する緊急支援ということで、こども食堂の皆さんに支援をさせていただいた。引き続き今も状態はあまり変わっていないわけですので、長引くこども食堂への物価高騰の影響も踏まえて、県としての支援が必要であるかどうかについて、現在検討を進めているところです。
(読売新聞)今月3日に県立の太宰府高校で野球部の練習試合中に生徒さんが亡くなるという事故が発生したというニュースがありましたが、県立高校ということで、知事の受け止めと、再発防止に関するお考えがあればお聞かせください。
(知事)今回、運動部活動の中で事故が発生し、生徒さんがお亡くなりになられたことについて、誠に残念に思っております。改めて御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対し心からお悔やみを申し上げます。
この事故の内容については、御遺族の方から詳細な内容については公表しないでほしいという御要望があると学校から聞いていますので、言及を控えさせていただきますが、このような事故について、我々としても、もちろん事故に遭われた生徒さんについては、先ほどお悔やみ申し上げましたけども、同じ学校に通われる生徒の皆さんの精神的なショックというものも大きいかと思います。これについては、学校側でも心のケアについて取り組みを始めていると聞いていますので、周囲の生徒さんたちの心のケアについてもしっかりと取り組みたいと思います。
教育委員会としても取り組みがあると思いますので、お願いいたします。
(体育スポーツ健康課)県教育委員会としましては、これまで、体育・スポーツ活動中の事故防止などについて、校長会などの研修会において、活動場所、設備などの安全確保や指導者及び児童生徒への注意喚起などの指導の徹底をお願いしてきたところです。今後とも、体育・スポーツ活動中の安全管理のさらなる徹底に努めてまいりたいと考えます。
(西日本新聞)今の御担当の方の説明に関してですが、確かに遺族のあまり細かいところは公表してほしくないという気持ちは分かりますが、安全管理を徹底するとおっしゃられても、何をどう改善すればいいのかというのが、現場、ひいては県民の人たちの安心感につながらないところがあると思います。具体的にどういうことをされていくのかというところを、改めて知事か御担当の方にお聞きしたいのですが。
(体育スポーツ健康課)知事のほうからも、この事故の詳細等につきましては、御遺族、関係者等への配慮という形で説明させていただきました。ただいまの案件について、具体的にこの場でどういった形の指導をするということになると、事故の詳細等が分かりますので、今後、引き続き、各学校側に対しても、県の高等学校野球連盟に対しても、県教委一緒になって防止策を考えていきたいと思います。
(終了)