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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ で動画配信しています。
(知事)
発表事項は1件です。
皆さん、ESG債という債券を御存じかと思います。環境面や社会面の課題を解決するために発行する債券です。
今日の発表事項ですが、福岡県としてグリーンボンドを発行します。今申しましたESG債の一つの類型です。グリーンボンドの発行は、我が県としては初めて、九州の県としても初めての発行となります。
ESG債の種類、資金使途について少し御説明します。
今回福岡県が発行するグリーンボンドですが、これは施設の省エネ化、LED化、気候変動対策としての水害対策や高潮高波対策などといった事業の財源として充当するものです。
また、ソーシャルボンドというものもあります。これは、児童福祉施設や教育関連の施設の整備などにその資金を充当するものです。
それから、グリーンボンドとソーシャルボンドの両方の性格を併せ持つサステナビリティボンドというものもあります。
ESG債にはこういった3種類の債券があります。このうちのグリーンボンドを、今回我が県として初めて発行します。
発行に至る考え方ですが、昨年の3月、福岡県では、福岡県地球温暖化対策実行計画(第2次)を策定しました。この中で、2050年度までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すとしています。このカーボンニュートラルの目標に向け、脱炭素化の取り組みを進めることとしており、必要な資金を調達しようということで、今回のグリーンボンドを発行するものです。
では、どういう事業にこのグリーンボンドの資金を充てるのかを説明します。
一つは新福岡武道館。福岡市民体育館の横に建設を進めており、今年の10月から建設工事に着工します。この福岡武道館は、省エネルギー性能に優れた建物であるZEB認証を得て、環境に優しい施設とすることとしています。ZEB Oriented以上の認証を取るということです。令和5年度については、今回の発行調達額の中から約19億円をこの福岡武道館の建設費の財源として充てることとします。
それから、太陽光パネルの設置に約1億2,000万円を充当します。令和7年度までに111の県有施設に太陽光発電設備を整備するという計画で進めています。令和5年度は県の糸島総合庁舎や久留米高等学校など、23の施設の整備を行う予定で、この財源に充てるものです。
三つ目です。同じく県有施設のLED照明の更新としています。県としては、2030年までにLED化100パーセントを目指しており、令和5年度は、飯塚総合庁舎や博多警察署など、10施設のLED化に約5億円を充当します。
それから、公共事業です。最近は気候変動の影響もあって、全国的に災害が激甚化、頻発化しています。こういった気候変動への対応策ということで、河川の河道掘削、護岸の整備、ため池や用排水路等の農業用の水利施設の改修など、水害対策として約84億円。砂防、地滑り関係の施設、急傾斜地の崩壊防止施設といった土砂災害対策に約60億円。海岸堤防のかさ上げ、補修など、高潮高波対策に約8億円と、合わせて、水害等の対策として152億円を充当することとしています。
これが今回のグリーンボンドによって調達した資金の充当先の主なものです。
このグリーンボンドの発行概要を説明します。まず、どういう債券なのかということですが、機関投資家の方々向けの市場公募債として発行をします。発行時期は来月、今年の5月です。発行年限、期間ですが、10年債と考えています。発行額は200億円です。この200億円というのは、令和5年度で本県が予定している市場公募債の規模は2,100億円でして、約1割に相当するとお考えいただければと思います。
次に、このグリーンボンドの発行条件についてです。直近3月の他団体での発行実績を見てみると、このグリーンボンドだと、通常の債券と比べて0.02パーセント低い金利で発行できるということになっています。有利な条件で発行できるわけです。こうすると、200億円を10年間借りるわけですので、10年間で計算すると、約4,000万円の利子の削減効果が見込まれるということになります。
また、こういった環境をテーマとした債券ですので、このグリーンボンドを購入いただいた投資家の皆さんについては、県のホームページで御紹介をすることによって、機関投資家の皆さんが環境問題へ貢献されているのだということを広く周知していきたいと思っています。
このようなことで、このグリーンボンドの発行により調達した資金を活用して、脱炭素化の取り組みを着実に進めてまいります。
あわせて、本県のこういった債券をお買い求めいただく投資家層の拡大を図り、本県の財政面で安定的な資金調達、この基盤強化につなげていきたいと思っています。
グリーンボンドについての説明は以上です。
(RKB)グリーンボンドの狙いを改めて伺いたいのですが、やはりこの時期に発行というのは、先ほどおっしゃったようなカーボンニュートラルの動きが喫緊の課題であるという背景からということなのでしょうか。
(知事)そうですね。もちろん今の潮流として、カーボンニュートラルは色々な産業界においても当然大きな流れです。
また、少し具体的に申しますと、日本銀行が、企業のグリーンボンドなどを投資促進のために金融機関に貸し付ける制度があります。金融機関に対して金利ゼロで貸し付けるオペレーションなのですが、この残高は令和3年12月頃は2兆円ぐらいだったのですが、今年1月の残高を見ると、もう2倍以上、4兆4,000億円に拡大しています。つまり、グリーンボンドに対する投資家の需要も高まっていて、本県に対しても、グリーンボンドを発行してはどうかという声をいただいているという背景があります。
それと、直近の金利情勢を見ても、現段階では、先ほど申したように、通常債より0.02パーセント低い、有利な条件で発行できるということもあります。
そういったことも兼ね合わせて考えながら、この段階でのグリーンボンドの発行に踏み切ったところです。
(RKB)九州の県では初めてということですが、投資家に向けてどう購入を呼びかけたいと考えていますか。
(知事)当然、このグリーンボンドは環境改善の課題解決にこの資金を使うということが義務づけられる、特定されるわけです。そして、この資金の充当事業やその効果というものを発行後には公表することも求められますので、投資家の皆さんに募集をかけるに当たっても、我々がどういう事業に具体的に使うのかをちゃんとお示ししながら、そのことによって、大きな目的として先ほど申した2050年のカーボンニュートラルというものを県としても目標に置いて取り組んでいくということをしっかりと御説明して、調達を図っていきたいと思っています。
(西日本新聞)調達した資金の使い道として先ほど色々挙げられましたけれども、当初予算の発表時などに含まれていたものも幾つかあると思うのですが、もともとこのグリーンボンドを財源として位置づけることを予定していたという話なのでしょうか。
つまり、資金が足りなくなったからグリーンボンドを発行するわけじゃなくて、当初予算を組む段階からグリーンボンドを財源とすると決まっていたんですか。
(知事)資金が不足したから、この起債を充てるということではありません。
予算を編成する際には、財源構成として、補助金と交付金、そして地方負担については起債の充当、そして一般財源等々を充てていくわけです。だから、起債を今御説明した事業の財源として充当していくことは決めておりました。
ただ、債券の種類として、どのような債券を充てていくのかというのは色々あるわけです。金融機関から調達するものもあります。今回はこの中で、グリーンボンドの使途として適切な事業について、200億円の規模でグリーンボンドを発行して充当していくと決めたところです。
(時事通信)先ほどグリーンボンドの充当事業を幾つか紹介されておりましたけれども、事業自体は複数年度にまたがるものがあろうかと思うのですが、グリーンボンド自体の発行は、令和5年度のみですか。それ以降も継続して発行を続ける考えは今のところありますか。
(知事)先ほどもお話がありましたように、現在、カーボンニュートラルという大きな潮流の中で、我々もそれに向かって取り組みを進めている。こういう背景を考えたときに、このグリーンボンドの発行は、基本的には継続していきたいと思っています。
ただ、発行条件等がございます。やはり、財政面も考えたときに、有利な発行条件ということも一方で考えていく必要がある。その辺も見合わせながら考えてはまいりますが、基本的には、今回は第1回目ということで、今後もグリーンボンドの発行については積極的に考えていきたいと思っています。
(西日本新聞)九州の県で初ということは、基礎自治体では例があるのでしょうか。
(知事)はい。グリーンボンドで申しますと、福岡市が令和3年度から発行しています。発行規模は令和4年度が90億円です。
(西日本新聞)九州内で見たときは。
(知事)九州内では、県、政令市で見ると、福岡市のみです。
(朝日新聞)今回の発行額を200億円と設定した理由は何かありますでしょうか。
(財政課)充当事業が大体それぐらいの規模になっており、そこを見合わせると大体200億円。
(時事通信)九州の県では初ですが、全国の都道府県レベルだと何番目かというのは分かりますか。
(知事)全国の都道府県で言えば、本県が11番目の発行団体となります。
(時事通信)統一地方選の前半戦、県議選が終わったところですが、県議選の受け止めを。特に投票率が40パーセントを5ポイントほど割り込んで過去最低になったことと、一方で、無投票当選の選挙区の数が44のうち14もあったのですが、その点について何か、知事として御感想、受け止めがございましたら、お聞かせ願えますか。
(知事)今回の県議選の結果についてですが、まずは今回、激戦を勝ち抜いて当選された皆さんにお祝いを申し上げたいと思います。これから、それぞれの選挙区の発展はもとより、福岡県の飛躍・発展のために大いに御活躍いただきたいと思っています。
選挙結果の受け止めについてですが、やはりこれは、それぞれの選挙区の有権者の皆さんがしっかりとお考えになり、そして判断されて投票された結果であり、私からその結果について云々と評価をするということは差し控えるべきであると考えています。
いずれにしても、知事と県議会は二元代表制という下で県政を進める車の両輪であり、その目指すところは県民福祉の向上ということで共通しているわけです。これからも県議会とは、お互いの信頼関係をベースにして、かつ、適切な緊張関係を保ちながら連携を図って、県民の皆さんをど真ん中に置いた県政を共に進めてまいりたいと思っています。
それから、投票率が過去最低であったことについてです。県選挙管理委員会におかれては、藤井委員長の下で、グーグル、ヤフー、ユーチューブでの動画広告の配信などに、熱心に取り組んでもらいました。令和元年の参院選以来となる街頭イベントも行われ、選挙というのは、子供から大人に、未来へバトンを渡すんだ、託すんだということで、鉛筆をバトンに見立てたイベントなど、様々な啓発に取り組んでこられたわけですけれども、今回、過去最低の投票率となったということは、やはり民主主義の根幹を成す選挙への関心が低いということになり、極めて残念だと思っています。
今後、議員の皆さんも、それから我々首長も、やはり市民、県民の皆さんから直接選挙で選ばれるわけです。政治、また行政といったものを身近に感じてもらう、関心を持ってもらう、このためには、私たちも、また議員の皆さんも、日頃からどんな取り組みを行っているのか、どんな政策を進めているのかを、様々なツールを活用しながら発信を行って、県民、市民の皆さんに知ってもらうということが重要であると思います。そのような努力をしていかなければいけないということを私自身も思ったところです。
(西日本新聞)関連して、今回、選挙の結果で特徴的なのが、女性が増えたことと、福岡の県議会で初めて維新の会が3人当選したことで、この二つに関して、特に維新とどう向き合っていくかも含めて、お願いいたします。
(知事)先ほどの繰り返しになりますが、女性議員の方々、あるいは日本維新の会の方々が当選されたという結果については、選挙区の有権者の皆さんの御判断の結果ですので、それについて云々というのは差し控えたいと思います。
ただ、女性議員について、客観的な数字を見ると、まず候補者の段階から、前回は12人でした。それが今回は19人候補者の方がいらっしゃった。その結果、前回は9人だった当選者が、今回は13人と過去最多になりました。
私は、自分自身の公約の中でも、ジェンダー平等、女性活躍の推進を掲げ、取り組みを進めています。その中で、女性で県議会議員を目指す方が増えたということは大変良いことだと思います。今後は、当選された皆さんとも、こうしたテーマについて大いに意見交換をしていきたいと思っています。
こういった結果の一つの背景として考察するところは、福岡県議会において、議員提案によって議員関係ハラスメントを根絶するための条例が制定され、性別にかかわらず公職を目指すことができる環境整備が進んだということがあると考えられます。
維新の会の皆さんについては、これから会派を結成され、また、色々な政策について御意見も賜ると思いますので、しっかりと対話をしていきたいと思っています。
(毎日新聞)先日、総務省が2022年の10月時点の総人口を発表しました。福岡県を見ると、人口の増減率としては0.15パーセント減ですけれども、自然増減率については拡大しています。今後、県としてどのように人口減少対策に取り組むかということを改めてお願いします。
(知事)今回、東京都以外は全て減っているという結果になったと速報値的なものが公表されました。本県にも、やはり少子高齢化が進んでいるということは事実です。これを踏まえながら、やはり一つには少子化対策、どのような対策が効果的かは、国も含めて大いに難しいテーマですが、そういった中で、県として、あるいは市町村の皆さんとも連携しながら、少子化対策をしっかり進めていく必要があると考えています。
また、高齢者の皆さんについては、やっぱり健康で長生きをしてもらうことが大切です。健康づくりについても、しっかり取り組んでいきたいと思います。
それから、福岡県に住みたいという方々を増やしていく。また、福岡県で学んだ方が福岡県で仕事をしながら暮らしていく。そして、安心して子供を産み育てていくことができる。こういう地域をつくっていかなければいけない。このためには、やはり地域に仕事、雇用がなければなりません。ですから、農林水産業も含め、産業の振興、雇用の拡大についてもしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
(FBS)新型コロナに関して、マスクの着用が任意化されてから1か月たったというところで、改めて現在の福岡県の状況をどう御覧になっているかという点と、来月には5類への引下げがありますけれども、改めて、ゴールデンウイークも近いということもありますが、県としてどう対応していくか、現時点でのお考えはありますでしょうか。
(知事)マスクの着用については、3月13日を迎える段階で、県民の皆さんに、政府としても推奨されている、マスクをつけたほうがいいですよという場面も御紹介しながら、子供たちの育ちなどにも十分配慮しながら対応していこうと呼びかけしてまいりました。
現段階でマスクの着用率がどうかという具体的な数字は私も持ちませんが、やはり皆さんはまだまだ慎重に、特に、混雑した公共交通機関の中などではしっかりとマスクをつけていらっしゃると思いますし、場面に応じて県民の皆さんが自ら御判断されてマスクを着用されていると受け止めています。
今後、コロナの感染状況等も皆さんは見ながら、マスクの着用についても御判断をされていくものだろうと思っていますし、我々も引き続き、適切なマスクの着用についてはお知らせしていきたいと思います。
それから、5月8日に5類への位置づけの変更が予定されています。5類に位置づけが変更されると、当然、感染症法上の位置づけ変更ということになり、法律上、外出の自粛要請がなくなる、あるいは医療費の公費支援についても変更がある。色々なことがあります。しかし、一番重要なことは、やはりコロナがなくなるわけではない。コロナウイルスが死滅するわけではありませんので、県民の皆さんが必要なときに適切な医療というものを受けられることが大切であると考えています。
では、今後医療提供体制はどうなるのか。大きな言い方で言いますと、今は、入院措置など、行政が関与した形になっており、限られたコロナ対応医療機関、病床を持った医療機関で特別な対応をしてきたわけですが、これが幅広い医療機関で自律的に入院調整等を行っていただくという対応に変わってきます。こういった入院体制、入院調整等も含めて、厚生労働省から、今後の県としての具体的な方針や目標を示した9月末までの移行計画の策定を県に求めてきています。今、それを策定中で、今後、専門家の皆さんや大学病院の皆さん等の御意見も伺いながら、4月21日までにこの移行計画を国に提出したいと考えています。
5類変更に伴う具体的な県の対応については改めてお知らせをしたいと思っています。ただ、体調が急変したときどうしようとか、そういう時の相談窓口は5月8日以降も引き続き閉じることなくやっていきます。それから、外来に対応できる医療機関というものも引き続き公表し、県民の皆さんに不安なく生活していただくことができるように努めてまいります。
(終了)