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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ で動画配信しています。
(知事)本日の発表事項は1点です。福岡県文化賞の受賞者が決定しましたので、お知らせします。
福岡県では、県民の皆さんの幅広い文化活動を促進し、本県の文化の向上・発展を図るため、平成5年度から毎年、文化振興に顕著なご功績のあった個人や団体に福岡県文化賞をお贈りしています。
これまで117の個人、団体に表彰を行ってきました。平成5年度からと申しましたが、今回が30回目となります。この30回目の福岡県文化賞ですが、市町村、文化関係団体、報道機関等からご推薦いただいた22の個人・団体の中から、外部有識者で構成される福岡県文化賞選考委員会の選考を経て、今回の決定に至ったものです。
表彰部門が3つあります。最初の部門が「創造部門」です。個性的、創造的な文化活動を行い、優れた業績を残し、県民文化の向上、発展に貢献されたということでして、今回は福岡県出身のアニメーション監督である湯浅政明さんにお贈りします。
湯浅さんは、九州産業大学の芸術学部をご卒業されており、「ちびまる子ちゃん」や「クレヨンしんちゃん」、よくテレビ等で我々も見ておりますが、この制作に参加するなど、長きにわたりユニークで魅力あふれるアニメ作品を制作されています。
これまで数多くの賞を受賞され、日本が誇るアニメ文化を世界に発信し続けることで、アニメ業界の隆盛に多大な影響を与えてこられました。昨年は、長編アニメーション映画である「犬王」が公開され、国内にとどまらず、海外からも高い評価を受けておられます。湯浅さんは、日本を代表するアニメ監督として、本県のメディア芸術の向上、発展に大きくご貢献を頂いています。
なお、今、私申しましたこの長編アニメーション映画「犬王」は、ちょうど今日10時に発表されるアメリカのアカデミー賞の前哨戦とされている第80回ゴールデングローブ賞にノミネートされています。受賞が大いに期待されるところです。
次は「社会部門」です。地域の特性を活かした活動を行い、個性豊かで潤いのある地域社会づくりに貢献をされた個人、団体にお贈りするものです。今回は、公益財団法人福岡文化財団にお贈りします。
この福岡文化財団は、福岡相互銀行、合併等もあり現在は西日本シティ銀行となっていますが、当時の福岡相互銀行の創立60周年を記念して、昭和60年に設立されました。まさに、本県における企業のメセナ活動、文化芸術支援活動の先駆けとも言えるものでして、その活動を見てみると、現在に至るまで、月に1回開催するクラシックコンサートや年末の音楽祭、また県内各地で受け継がれている、神様と一緒に踊るという神舞、あるいは神楽の上演など、全て無料で鑑賞できる文化イベントを開催していただいています。
つまり、県民が気軽に音楽や伝統芸能に触れることができる機会をご提供いただいており、本県の地域社会の文化の向上・発展に大きくご貢献をいただいている団体です。
最後は3番目の部門、「奨励部門」です。個性的または創造的な創作活動を行い、将来活躍が期待される個人、団体にお贈りするものです。今回は、人形師の中村弘峰さんにお贈りします。
大正時代から続く老舗博多人形の中村人形、この4代目の人形師でいらっしゃいます。伝統的な技術や文化を継承しながら、独創性の高いすばらしい作品をつくり出しておられます。特にスポーツ、野球選手やアーチェリー選手など、アスリートシリーズの作品。これは、これまでなかった日本人形の新しい世界観を演出しているものであると言われています。本県の伝統的工芸品である博多人形の普及・継承に貢献いただいているとともに、弘峰さんの今後の活躍、一層期待されるところです。
この3部門について、ただいま発表したお二人、一団体にお贈りします。今回の贈呈式は、令和5年3月18日土曜日、アクロス福岡において開催する予定です。詳細については後日お知らせします。ぜひ報道関係の皆さんもご出席、ご参加をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
(読売新聞)発表事項について1点質問させてください。
それぞれの部門の受賞者を発表されたかと思いますが、このタイミングでそれぞれ受賞者となった経緯はあるのでしょうか。
(知事)受賞のタイミングは、それぞれのご活動、ご実績を踏まえて、選考委員会での論点、議論の1つとなるものですが、基本的には、各種色々な団体からのご推薦やこれまでのご実績等を総合的に判断して決定されているもので、個別に特別の賞を取ったからなどということではありません。
(読売新聞)発表事項以外で、新型コロナについて聞かせてください。1万人を超える新規陽性者の日もあって、病床も77パーセントを超えている状況です。現在の発生状況の受け止めについて、お聞かせ願えますでしょうか。
(知事)令和5年、年が明けましたが、感染の拡大傾向は依然として続いています。1日の新規陽性者数は、第7波のピークに迫る日もあるなど、まさに現在、第8波のただ中にあると認識しています。
こういった中で、重症病床使用率を見ると、7.3パーセントと依然、低い水準にあります。一方で病床使用率は77.5パーセントという状況で、第7波のピーク時の78.3パーセントに近づいており、医療への負荷が高まっていると見ています。
先の3連休には、「はたちのつどい」等も行われ、接触機会も多かったと思います。また、学校も冬休みが明けました。今後、こういった影響が懸念されますし、また、インフルエンザも本県において流行期に入っていく状況ですので、この医療への負荷については、最大限の注意を持って見てまいりたいと思っています。同時に医療提供体制、検査体制の充実強化に引き続き努め、医療のひっ迫回避に全力を挙げていきます。
県民の皆さん、事業者の皆さんには、改めて感染防止対策の確認と徹底をお願いしたいと思います。また、ワクチンの早期接種。また、もし体調が悪いときには皆さんの年齢や持病の有無など重症化のリスクをお考えいただき、それに応じた受診、検査をお願いしたいと思います。
それともう一点、お願いがございます。ここのところ、救急搬送困難事例が増加傾向にあります。全国の状況ですが、消防庁によると、救急車で搬送された方の約半数は、結果的に入院を要しない、軽症であったという現状もあります。ぜひ、発熱等、コロナかなと疑われる症状が出て救急車を呼ぶかどうか迷う場合は、119番通報される前に、まずは24時間対応している受診相談センターにお電話いただければと思います。
それ以外の症状で判断に迷われる場合は、先日、デーモン閣下とも一緒にご説明いたしましたが、救急医療相談窓口「#7119」、子どもさんの場合は、小児救急医療電話相談「#8000番」といったものもぜひ、ご利用いただき、本当に救急車が必要な方が救急車を速やかに利用できるように、皆様のご理解とご協力を、何とぞよろしくお願い申し上げます。
(読売新聞)鳥インフルエンザが全国で発生し、殺処分数が過去最多となって、本県でも発生事例があります。現状のまん延状況についての受け止めと、あと、発生農家への支援への考え方を、改めてお聞かせください。
(知事)本県では、年末年始、正月にまたがって計3件の鳥インフルエンザが養鶏農家で2件、エミュー農場で1件発生しました。我々は、これに対して殺処分等の措置を行うと同時に、周囲の農場はもちろん、県内全域の畜産農家、養鶏農家等に対し、さらなる注意の喚起と同時に、消石灰や消毒薬の再配布に取り組んだところです。
養鶏農場の皆さんには、そういった消毒や防鳥ネットの再点検等も併せて行っていただくとともに、車や人間の靴底などによってウイルスが運ばれることも多いので、そのようなものの消毒。我々は、消毒ポイントも設け、畜産関係車両の消毒等もしっかりと行ってまいりました。ぜひ消毒にご協力いただき、最大限の注意を持って対応していただきたいと思います。
(時事通信)コロナに関しては、第8波のただ中で、インフルエンザとの同時流行という懸念があるということですが、先日、全国でも全国旅行支援が始まり、福岡でも避密の旅が再開されたと思います。これは、現時点で続行するということでよろしいでしょうか。お考えをお伺いします。
(知事)本県においても全国と足並みを揃えて、この旅行支援については、観光産業業界の支援、下支えということもありますので、継続をしていきたいと思います。
ただ、これを利用するに当たっては、ワクチンの接種証明、あるいは陰性通知等をご提示いただくこともお願いしていますので、その点はぜひ守って、皆さんで快適な、安全な旅行をお楽しみいただければと思っています。
(時事通信)そうすると、現時点では予算の範囲内で、3月末までは継続するという。
(知事)はい。国のほうも予算の範囲内でということですので、それがどれぐらいの期間になるかは分かりませんが、設定期間としては3月末までです。
(NHK)コロナについて、死者の数が第7波の時より少し増えている状況が先週あって、その辺りをどのように分析されていますでしょうか。
(知事)亡くなられた方が増加していることへのお尋ねと思います。この第8波の感染拡大に伴い、全国的にも死亡者数が増加しています。
本県の状況として、第8波の中では、この1月2日から8日の1週間を見てみますと、152名の方が、残念ながらお亡くなりになりました。第7波のときは、昨年8月26日から9月1日までの1週間が最も多く、この時は114名の方が亡くなられました。このように、第7波の時を上回る状況になっております。
現在の感染拡大の要素を見てみますと、第7波と同じBA.5系統のウイルスによるものです。つまり感染性、また重症化リスクは大きく変わらないと専門家の方もおっしゃっています。こういった中で、亡くなられた方はどういう状況であったかといいますと、98パーセントが60歳以上の方であり、その大半の方のお亡くなりになられた要因が、コロナによる呼吸器症状の悪化ではなく、糖尿病や腎臓病など、基礎疾患の悪化が主な要因となっており、これも第7波と同様の状況です。
そして、亡くなられた方の大半は、入院中、もしくは施設で療養中の方であり、自宅療養中に亡くなられた方についても、医療のひっ迫が原因で必要な医療を受けられずに亡くなられたといったケースは発生していない状況です。
引き続き、我々も医療提供体制をしっかりと強化してまいります。同時に、それぞれの皆さんが、ご年齢や持病をお持ちであるかどうかなど、自らの重症化リスクを判断していただき、体調の悪い場合には、そういう重症化リスクが高いと判断される方は、速やかに発熱外来等の医療機関を受診していただくことをお願いしたいと思います。
(共同通信)コロナに関して、先ほど緊急搬送の困難事例が増えているというお話がありましたが、それについて2点、お聞かせください。
例えばいつからいつまでの間に何件ぐらいあったとか、具体的な数字があればお願いします。
もう一点、例えば通常なら助かるはずだった命が亡くなってしまったであるとか、重症化せずに済んだのに重症化してしまったとか、そういった事例はありますか。
(がん感染症疾病対策課)緊急搬送困難事例の発表は、消防庁により毎週行っており、直近ですと令和4年12月26日(月)から令和5年1月1日(日)の1週間で、福岡市消防局で242件、北九州市消防局で75件となっており、福岡県で合計は出されていません。
(知事)搬送困難によって重症化したとか、あるいは残念ながらお亡くなりになったとか、そういう事例はありますかという質問ですが、それはないということですか。
(がん感染症疾病対策課)そのような事例は、まだ私どものほうにご報告はいただいていません。
(共同通信)細かくて恐縮です。今いただいた12月26日から1月1日の数字ですが、例えば第7波と比べて、多いとか少ないとか、そういった傾向はありますか。
(がん感染症疾病対策課)大体、ほぼ第7波と同様の数字になっています。福岡市においては、第7波のピークをやや上回っている状況で、北九州市は前の週に第7波のピークを上回っており、そこから若干下がっていますが、同様に第7波のピークを上回っている状況は続いているところです。
(共同通信)第7波のピークは、1週間で例えば何件という状況ですか。
(県民情報広報課)第7波のピークは、令和4年7月25日から7月31日の1週間で、福岡市消防局で217件、北九州市消防局で71件です。
(KBC)これまでのコロナに関するご発言を踏まえて、病床使用率が80パーセントに迫っていますが、医療非常事態宣言を出す状況にはないということでしょうか。
(知事)「医療ひっ迫防止対策強化宣言」については、新規陽性者数、あるいは病床の使用率といったものだけではなくて、発熱外来の逼迫状況、また社会経済活動の状況等にも着目して、総合的に判断して、ということを申し上げてまいりました。そういったことから申し上げますと、発熱外来のうち、3分の2の機関については診療受付が可能であるというご回答をいただいており、重症化リスクの高い方がすぐに受診できないというような状況にはないと判断しています。
入院調整については、7割台後半という病床使用率になっていますので、調整に時間を要するケースはあります。しかし、緊急度の高い方から優先的に調整を行って、順次入院をしていただくことができている状況です。
また、事業所の状況をみると、欠勤者が多数発生して、業務を継続できなくなった事業者が多く発生しているとか、そういう状況にはありません。こういったことを踏まえ、現段階で宣言の発出は考えていないということです。
(KBC)では、医療負荷増大期ですとか、医療機能不全期という状況に、県内は陥ってはいないという考えでしょうか。
(知事)医療負荷については、病床使用率が高くなっていますので、決して楽観する状況にはないとは思っていますが、しっかりとその点については医療機関とも協力しながら、後方支援病院との連携も円滑に行えるように、互いに支援しながら進めていきたいと思っています。
(KBC)併せてコロナの病床ですとか、コロナの診療はそういう状況にあるかと思いますが、一般の医療の負荷はどのようにお考えですか。
(知事)一般医療につきましても、発熱外来にお見えになる方は、必ずしもコロナだと確定してお見えになるわけではないわけで、風邪、あるいはインフルエンザの場合もありますが、その発熱外来の3分の2は診療受付をできているというご回答ですので、今現在、一般医療がコロナによって極めて圧迫をされている状況には陥っていないと思っています。引き続き、県医師会、また郡市の医師会を通じて、我々も各医療機関の状況は把握を続けてまいりたいと思います。
(終了)