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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ で動画配信しています。
発表事項
(1)「福岡オミクロン警報」の発動について
(新型コロナウイルス感染症対策本部(事務局:がん感染症疾病対策課))
記者発表資料(抗原定性検査キットの配付を再開します) [PDFファイル/293KB]
(知事)先ほど、県の新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、11月21日に新設した「福岡オミクロン警報」の発動を決定しましたので、お知らせします。
まず、現在の感染状況等についてです。10月下旬ぐらいから、新規陽性者数は、緩やかなペースではありますが増加傾向が続いている状況です。それから病床使用率も徐々に上昇し、29日時点では30.8パーセント、30日時点では31.8パーセントになり、「福岡オミクロン警報」の発動目安である30パーセントを上回っている状況です。こういった状況ではありますが、重症病床使用率は極めて低い水準にあります。30日時点では2.3パーセントです。現在の状況を見ると、中等症者数が増えています。11月1日には68人でしたが、11月30日時点では、144名となっています。
今後の懸念材料を考えると、本県においてもオミクロン株の亜系統である、XBB系統またはBQ.1系統といったものが、新たに検出されています。今後、こういった亜系統に置き換わることが懸念されます。また、これからクリスマスや年末年始を控えており、人と人との接触機会が増えてくるだろう。さらには、季節性インフルエンザが同時流行する可能性もあります。コロナの感染拡大が収まらなければ、医療提供体制への負荷が高まるおそれがあるということです。
本日発動した「福岡オミクロン警報」についてです。現在の感染状況や医療への負荷の度合いを「福岡オミクロン警報」の指標で見てみると、発動の目安に達していると考えられるため、専門家のご意見、または市町村との協議を踏まえて総合的に判断し、本日、発動したものです。あわせて、国の分科会が示した新たなレベル分類に基づいて考えると、本県は今までは「レベル1」でしたが、本日から「レベル2(感染拡大初期)」となります。
なお、今後更に感染が拡大し、病床使用率が50パーセントを超えることになると、「医療ひっ迫防止対策強化宣言」を発することになります。そして、「レベル3」。この段階は、国の例示では混雑した場所や感染リスクの高い場所への外出など感染拡大につながる行動を控える要請を想定しているところです。この「レベル3」になった後に、感染拡大のスピードが急激な場合や感染拡大が継続している場合には、医療のひっ迫を回避するために「医療非常事態宣言」を発出するということとされています。この段階では、国の取る対策の例示としては、外出や移動は必要不可欠なものに限ることや、イベントの延期等の慎重な対応をとるなどの要請を想定されています。その後も感染が拡大して病床使用率が80パーセントを超える状況になった場合には、最終レベルである「レベル4」の医療レベル不全期に引き上げるということになります。対策については、医療非常事態宣言に基づく対策を取るとされていますが、具体的には、その時の感染状況、医療負荷の具合を見て、国としても検討することとされています。本県において、今後、医療ひっ迫防止対策強化宣言や医療非常事態宣言を発出する場合は、県民の皆さん、事業者の皆さんに対する要請内容については、今、国の想定として申し上げたようなもの、そしてまたその時点での本県の感染状況や医療への負荷の度合いを踏まえて、その都度具体的にどういったことを要請するかを検討し、お願いしていきたいと思っています。このような「レベル3」、「レベル4」といった状況にならないよう、県民の皆さんには感染防止対策を徹底して、感染の拡大を抑止していただきたいと考えています。
本日、警報を発動するに伴い、県の取り組みについて説明します。今後、県の新型コロナウイルス感染症の更なる感染拡大、また季節性インフルエンザとの同時流行も懸念されるため、引き続き県としては、県民の皆さんの命と健康を守るために、医療提供体制、検査体制の充実、強化に全力で取り組みます。
まず、ワクチン接種の促進です。市町村と連携して、オミクロン株対応ワクチンなどの接種を促進します。また、アレルギーがある方などのために設けているノババックス製ワクチンの接種は、県による接種を継続していきます。
次に、発熱外来等医療へのアクセスの問題です。発熱外来のひっ迫を回避する必要があるため、必要な方が適切に医療にアクセスできるようにするための取り組みを行っていきます。
県では、発熱等の症状のある方が、コロナとインフルエンザの検査を同時に受けることができる医療機関を「診療・検査医療機関」として指定しています。現在、2,026の医療機関を確保しています。これは、1か月前と比べると100機関ほど増やしてきたところですが、さらなる拡充を図っていきます。
次に、多数の発熱患者が発生した場合である「レベル3」の医療負荷増大期といった段階を目安にし、重症化リスクの低い方がオンラインで診療を受けることができるよう「新型コロナ自宅療養者オンライン診療センター」を新たに開設します。また、今後「レベル3」の段階においてインフルエンザ警報の発動があった場合、これを目安に、「インフルエンザオンライン診療センター」を新たに開設します。こういったオンラインによる診療センターを設けることにより、重症化リスクの高い方の発熱外来での受診機会をしっかりと確保する。同時に、重症化リスクの低い方にも必要な医療を提供できる体制を確保することを目指すものです。状況に応じて、今後、機動的に開設できるよう、現在準備を進めています。
さらに、患者の皆さんからの問合せなどに対応する医療機関の負担を軽くする必要がある。そして患者の皆さんの円滑な受診につなげる必要がある。こういったことから、発熱外来が今混雑しているかという状況をスマートフォン等で確認できるようなシステムを新たに構築します。
加えて、感染がさらに拡大した場合には、診療・検査体制を強化するために、新たに休日・夜間に開設している発熱外来や、この発熱外来から処方箋を受けて調剤を行う薬局に対して、協力金を給付します。
また、現在停止していましたが、65歳未満の重症化リスクの低い方で症状のある方や濃厚接触者の方に対する抗原定性検査キットの無料配付を、12月2日から再開します。
それから無料検査について。感染不安を感じる無症状の方を対象とした無料検査は継続して行います。現在県内の625か所で検査を受けていただくことができます。
次に、高齢者の皆さんを守るための取り組みです。入所系や通所系の高齢者施設等の職員の皆さんの検査について、週2回の頻回検査を実施します。また、高齢者施設における感染拡大を防ぐための指導・助言をおこなう医師・看護師を派遣します。また、今いらっしゃる高齢者施設でコロナの療養をされる方のために、医師・看護師を派遣して、往診等を実施します。こういったことに引き続き取り組んでいきます。
それから健康フォローアップセンターについてです。9月に全数届出の見直しが行われました。これに伴い発生届の対象外となった方々に対し、健康フォローアップセンターにおいて、自宅療養中に症状が悪化した場合の相談、それから宿泊療養施設へ入りたいと思われた場合の入所の受付、また一人暮らしで食料品等の入手が困難な方に対する食料品・日用品の支援、また自己検査で陽性となった場合に行う陽性登録。こういったことに対応するための健康フォローアップセンターを引き続き開設していきます。このような取り組みを県としてしっかりと進め、県民の皆さんの命と健康を守るために全力を尽くしていきます。
次に、県民の皆さんへの要請・お願いです。今回の「福岡オミクロン警報」発動に伴い、外出自粛等の行動制限は行いません。しかし、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図っていくために、県民・事業者の皆さまには、感染防止対策を改めて確認し、そして徹底していただくことをお願いしたいと思います。
これまでも県民の皆さんに取り組んでいただいていますが、マスクを正しく着用する、手指を消毒する、そして三密を回避するといった基本的な感染防止対策の徹底をお願いします。特に、だんだん寒くなってきました。今日は昨日よりも気温が下がっていると思います。寒くなると、どうしても窓を開けたくないのが人情です。そうするとやはり換気が不十分になります。定期的に、できれば2方向の窓を開けて換気していただくことをご自宅においても徹底していただきたいと思います。
それから、オミクロン株対応ワクチン等について。これは感染した場合に重症化を防ぐ。あるいは後遺症の問題から身を守るためにも、若い皆さんも含めて、早めの接種をぜひご検討いただきたいと思います。
また、インフルエンザワクチンの接種も行っています。65歳以上の方等、定期接種の対象の方をはじめ、皆さんには早めの接種をお願いします。
それから、万一、発熱などの症状が出た場合に備えて、コロナの抗原定性検査キットや解熱薬などを早めに購入してお手元に備えていただきたいと思います。その上で、発熱などの症状が出た場合、重症化リスクの低い方は、この抗原定性検査キットを活用してご自身で検査していただく。そして、陽性の場合には陽性者登録センター、いわゆる健康フォローアップセンターの方にお届けいただいて、自宅療養をしていただきたいと思います。
また、高齢者など重症化リスクの高い方は、もし発熱などの症状が出た場合は速やかに医療機関を受診してください。
それから先ほどもクリスマス、年末年始と申しましたが、会食などの機会も増えてくる季節となります。色々とご予定も入っているのではないかと思います。飲食店を利用される機会も多くなると思います。こういう飲食店の利用に当たっては、県の「感染防止認証店」をはじめ、業種別ガイドラインを遵守していただいている飲食店を選んでご利用をお願いします。
また、飲食の場面でも大声で会話をされますと、どうしても飛沫が飛ぶ、感染リスクが高まるということになります。こういった行動は控えていただきますようお願いします。
それから先ほど申しました無料検査所。625か所を開設していますので、感染不安を感じる場合には、是非、この無料検査をご活用ください。
次は事業者の皆さんへのお願いです。飲食店の皆さんに対してですが、先ほども県民の皆さんに業種別ガイドラインを守っているお店をご利用くださいとお願いしました。飲食店、事業者の皆さんも、この業種別ガイドラインをもう一度確認いただき、徹底をお願いします。
特に換気の問題です。お客様が寒いと言われることもあろうかと思いますが、定期的に窓を開けるなど、お店でも会社でも換気の徹底をお願いします。
それから、事業者の皆さんに対するお願いですが、さらなる感染拡大時においても社会経済活動への影響を最小限に抑えていかなければなりません。このため、事業者の皆さんの業務を継続するための体制。これを今一度点検いただき、確保していただきたいと思っています。
これから、素敵なクリスマス、また、楽しいお正月をみんなで迎えることができるよう、県民の皆さんの力をあわせて、感染を抑止してまいりましょう。
是非、ご協力をよろしくお願いします。
(TNC)2点質問させてください。1点目は、中等症の患者が増えているとありましたが、これまでの波の傾向などから、中等症の患者さんたちが重症化していくおそれもあると思いますが、そのあたりの医療体制の懸念というのはどのようにお考えでしょうか。
(知事)確かにおっしゃるように重症の一歩手前ということになりますので、中等症の患者の皆さんが増えているというのは注意を要する点だと思っています。今140人台ということですが、現在はコロナ対応病床を2,000床以上確保していますので、現段階では十分医療を提供できる体制にはあると思っています。今後も医療提供体制の拡充に努力してまいりたいと思いますし、患者の皆さんの重症度等については、引き続きデータを確認しながら、注視していきたいと思っています。
(TNC)もう1点がワクチンの接種についてなんですけれども、オミクロン対応のワクチンを希望する人が非常に多くて、一部のクリニックなどでは予約が取れないといった声もあります。また子ども向けの接種についても、やはり帰省の時期を前に、希望するけれども中々予約が取れないというような声も聞きますが、県として例えばこれまでの接種会場の確保であったり、市町村に対しての対応であったりとか、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
(知事)予約の状況を見ても、地域差が生じている状況にあると思っています。今後は県民の皆さんで接種を希望される方が円滑にワクチンを打てるように、診療所や集団接種会場等の状況を市町村の皆さんからお聞きして、機動的に対応していきたいと思っています。
(ワクチン接種推進室)県としては、高齢者の接種が10月下旬から始まったということと、感染者数が拡大したことで、予約がだいぶ多くなっているという状況を把握しています。しかしながら、市町村の方で現在対応できている状況ではありますし、市町村に対し、県から接種体制の拡充等のお願いをしていますので、現状、県としては県の接種会場を設置することは考えておりません。
(西日本新聞)3点お伺いしたいのですけれども。
1点目が、今の段階は第8波に入っているとお考えかどうか。
(知事)冒頭にも感染の状況をご説明しましたが、非常に緩やかな状況ではありますが、感染拡大傾向は続いている。やはり、第8波に差し掛かっているという捉え方ができると思います。こういう状況ですが、今後、この波をいかに小さくしていくか。大きなものにならないようにしていくか。ここが肝心なところで、まさに今、踏ん張りどころであると思うんですね。だから、しっかりと皆で力を合わせて感染が広がらないように。そういったことで今回この福岡オミクロン警報を出させていただいて、県民の皆さん、事業者の皆さん、そして我々も、しっかりともう一度感染拡大防止に取り組んでいこうということでお願い申し上げたところでして、そういうふうな考えでございます。
(西日本新聞)2点目が、先ほどのレベル判断指標として、レベル3と4についても、これは国の指標だと思うんですけれども、県としては、どの段階から行動制限が必要と考えていらっしゃるのでしょうか。
(知事)先ほどは、国が示したレベル3、レベル4になった時の対応策の例示をご説明しました。まさに今おっしゃったような行動制限。私権の制限にもつながることになり、県民、事業者の皆さんに負担をおかけすることにもなるわけですので、やはり社会経済活動を維持しながら感染の拡大を抑止していくという基本的な方向性は維持しながら、今申しました国の例示ですとか、あるいは本県での感染の特徴、医療への負荷の状況。こういったものをしっかりと踏まえて、その都度慎重に判断して、要請すべき内容を決定していきたいと思います。
(西日本新聞)現段階では、例えばレベル3になったから飲食店に営業時間の短縮を要請するとかそういうことまでは県としては考えていないと。
(知事)現段階でそのような案を持っていることはございません。
(西日本新聞)抗原定性検査キットは早めの用意を、という呼びかけもありましたが、県の無料配布の対象者は有症状者ということですけれども、これは例えば症状がなくても早めに入手したいという県民の要望にも応えることになるのでしょうか。
(知事)いいえ、無料配布の対象は有症状の方と濃厚接触者の方に限らせていただいておりますので、それ以外の方であらかじめ手元に置いておこうという場合は、薬局に在庫もあると思いますので、ぜひお買い求めいただくことでお願いしたいと思っています。