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この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理したものです。
この知事記者会見録の模様は、 ふくおかインターネットテレビ 動画配信しています。
発表事項
(1)福岡コロナ特別警報の発動について
(新型コロナウイルス感染症対策本部(事務局:がん感染症疾病対策課))
(知事)先ほど、県の新型コロナウイルス対策本部会議を開催し、「福岡コロナ特別警報」の発動を決定しました。まず、本県における現在の感染状況について説明します。新規陽性者数は昨日、過去最多の10,752人で、初めて1万人を上回りました。本日はさらに増加し、12,155人となりました。地域的にも県内全域で感染が拡大しており、まさに第7波のただ中にあると考えています。年代別に見ると、直近1週間では20歳未満が全体の4割を占める傾向が続いており、保育所、幼稚園、学校のクラス閉鎖、臨時休業が相次いでいます。
県内のクラスターも増加傾向にあり、高齢者施設でのクラスターは、6月は19件でしたが、今月に入って32件。医療機関では6月は7件でしたが、今月は22件クラスターが発生しています。なお、第6波の2月のピークと比較すると、60代以上の高齢者割合は現在では1割で、2月は2割でした。また、重症者数も2月は20人でしたが、現在は6人です。また、重症者と中等症者の合計は、2月は491人でしたが、現在は半数以下の213人となっており、いずれも少ない状況にあります。感染拡大に伴い、病床使用率や宿泊療養施設の稼働率は上昇しています。昨日時点で、病床使用率は56.3パーセント、宿泊療養施設の稼働率は45.3パーセントとなっています。
このような感染状況を「福岡コロナ警報」で設定している各指標で見ると、新規陽性者数の7日移動平均は増加傾向が継続しています。病床使用率は特別警報発動の目安である50パーセントを上回っています。しかし、重症病床使用率を見ると7月21日時点で2.7パーセントと極めて低い水準で推移しています。重症者数と中等症者数の合計はコロナ警報の発動時は59名でしたが、7月21日時点では213人と増加しています。また、ウイルスはBA.5系統への置き換わりが一段と進んでいます。国立感染症研究所の推計によると、今週時点では96パーセントに到達するという状況です。県では、これまで6回の感染の波を経験する中で、県民の皆さんの命と健康を守るための取り組みを積み重ねるとともに、医療関係者の皆さんのご協力の下、医療提供体制を段階的に充実・強化してきました。引き続き、コロナ病床の増床、陽性と判明したときのトリアージを徹底することによる医療資源の効率的な運用、入院・治療の必要のない軽症者の早期退院や宿泊療養施設への入所、回復された患者の後方支援病院への転院の促進などにより医療のひっ迫を何としても回避していきます。
しかし、このまま感染の拡大傾向が収まらなければ、高齢者の皆さんなどを中心に入院される方、重症となる方の増加が懸念されます。また、医療従事者の感染が拡大することにより、医療への負荷が極めて大きくなる恐れもあります。
本県では7月6日にコロナ警報を発動し、県民、事業者の皆さんに感染防止対策の徹底をお願いしてきました。現在の感染拡大状況をふまえ、一層の感染防止対策の徹底と、今後とも医療提供体制を確保していくため、専門家の皆さんのご意見や市町村との協議を踏まえ、総合的に判断し、本日、福岡コロナ特別警報を発動しました。
ただし、感染性は高いものの重症化しにくいというオミクロン株の特性、また、現段階では行動規制を行わないという国の新型コロナウイルス感染症対策本部で決定された基本的な考え方を踏まえ、今後も感染防止対策を徹底しつつ、社会経済活動、学校教育活動との両立を図っていくため、現段階では県民、事業者の皆さんに対する行動制限を行う要請は行わないこととします。
福岡コロナ特別警報ということですが、夏休みに入りました。また、これからお盆も控えていますが、これまで以上に人と人との接触機会が増えることが想定されます。こういった中で、県民の皆さんに最大限の警戒感を持って、感染防止対策を徹底いただきますとともに、可能な範囲で医療への負荷をかけないような行動をとっていただきますようお願いします。県は県民の皆さんの命と健康を守るために、引き続き医療提供体制の充実・強化に全力を挙げていきます。皆さんと力を合わせて社会全体でこの難局を乗り切っていきたいと思います。
県の具体的な取り組みについて説明します。まず、高齢者を守るための取り組みです。重症化リスクの高い高齢者の皆さんの命を守る対策に重点を置いて取り組んでいきます。
市町村と連携したワクチンの4回目接種を促進します。また、高齢者施設の職員の皆さんの検査について、これまで週1回のPCR検査でしたが、8月から週2回の抗原定性検査に強化します。さらに、高齢者施設の感染拡大防止を指導するための医師・看護師を派遣する体制を強化していきます。現在まで、登録者数は15人でしたが、7月15日から81人に増員しています。次に、高齢者施設で療養される方のために医師・看護師を派遣して往診を行います。登録いただいている医療機関数は93です。
それから健康観察について、65歳未満で基礎疾患のない方への連絡方法を電話からSMS(ショートメッセージサービス)に変更して、重症化リスクの高い高齢者の皆さんに対する健康観察に重点化を図ります。これは7月13日から既に開始しています。
次に、ワクチン接種です。本日、国において決定された医療従事者の皆さん、高齢者施設等の従事者の皆さんへの4回目の接種については、市町村と連携して速やかに接種を進めていきます。
3回目接種に関しては、県では、ノババックス製ワクチンの接種会場を天神、博多、北九州の3か所に設置しています。このうち、博多会場においては、設置期間を8月13日まで延長して接種を実施します。この延長期間中は予約なしでも接種を受け付けます。
次に無料検査です。感染について不安を感じていらっしゃる無症状の方を対象とした無料検査について、県内569か所の検査所における検査の体制を継続します。これに加えて、お盆の期間中、主要な駅・空港において検査を受けていただけるよう、8月5日(金)から18日(木)までの間、臨時の検査所を設置します。詳細については改めてお知らせします。
それから、病床の確保について、陽性と判明した時のトリアージをさらに徹底します。
また、入院が必要な方が確実に入院できるよう、病床確保計画のフェーズを「4」から最上位の「5」に引き上げ、即応病床はこれまで1,295床でしたが、1,681床に増床しています。
さらにこのコロナ対応病床を増やすため、全ての医療機関に対し、コロナ病床の増床を要請しました。
また、コロナ病床を効率的に運用するため、回復した患者の後方支援病院への転院促進なども関係医療機関に要請を行いました。
休日・夜間においても重症化リスクの高い、有症状の方が受診できる体制の整備を図ります。
それから、宿泊療養施設については、7月28日に休止していた最後のホテルを再開します。これにより、受入可能数は2,432室となります。
次に、県民・事業者の皆さんに対するお願いです。県民・事業者の皆さんにおかれましては、より一層の感染防止対策の徹 底と、医療を守るためにご協力をよろしくお願いします。
まず基本的感染防止対策の徹底です。ワクチンを打った方も含め、マスクを正しく着用していただき、手指の消毒を行っていただく。また、三密の回避に努めていただく。そして換気などの基本的な感染防止対策の徹底をお願いします。
特に換気については、エアロゾル感染を防ぐために、エアコンを使用中であっても十分な換気を行うようお願いします。これはご自宅であっても、また飲食店等の宴会場等においても、徹底をお願いします。
それから、会食や会合にあたり、人が集まる場所に参加される場合は、人と人との距離をしっかりと確保する。大声をだすなど感染リスクが高まる行動は控えるようお願いします。そして外食をされる時は、県の「感染防止認証店」など、業種別ガイドラインをしっかりと守っていただいている飲食店を利用してください。
それから、発熱等の症状がある場合、あるいは倦怠感を感じる場合など、少しでも体調が悪いなと感じた場合は、外出を控えてください。そして、医療機関を受診していただきたいと思います。
それから、熱などの症状はない、でも感染不安を感じる、あるいは里帰り、あるいは旅行、会食といった予定のある方は、県内569か所の無料検査所をご活用いただきたいと思います。
特に、里帰りなどで高齢者の皆さんと会われる場合も増えると思います。こういう場合は、自宅の屋内であってもマスクを着用していただく、あるいは窓をあけて換気を細めに徹底していただくなど、感染防止対策を徹底して高齢者の皆さんを守っていただきたいと思います。
それからワクチン接種です。3回目接種から5か月が経過した高齢者等の皆さんには、早めの4回目接種の検討をお願いします。
既に接種券がお手元に届いている方も多いと思います。早めの4回目接種をご検討ください。また、若い皆さんの3回目接種率は、依然として低い水準にとどまっています。感染による重症化、あるいは後遺症から自らを守るためにも、3回目接種がまだお済みでない皆さんは、早めの接種をご検討ください。
次に、県民の皆さんに、医療を守るための協力をお願いします。
まず、救急外来についてです。今、夜間・休日の救急外来の受診者が急増して、検査・診察までに長時間の待機を要しています。子どもさんや高齢者、基礎疾患を有する方の診療が困難な状況も見られています。軽い発熱や咳、喉の痛みといった軽度の症状の方で、平日の日中に受診が可能な方は、お近くの診療・検査医療機関の受診をお願いします。
また、コロナ陽性が疑われる方で救急車を呼ぶかどうか迷う場合は、119番通報をする前に、まず看護師が対応する24時間対応の「受診・相談センター」にお電話のうえご相談いただきたいと思います。
次に、自宅療養についてです。コロナに感染される方が増えているということで、自宅で療養される方が増えてきています。ご自身が陽性となり、自宅療養する場合に備えて、日頃から解熱剤や食料、日用品などの備蓄をお願いします。
自宅療養中にもし症状が悪化した場合は、平日の日中は保健所にご連絡ください。また、休日・夜間は専用ダイヤルにご連絡いただきたいと思います。
また、保健所からSMS(ショートメッセージサービス)により、療養上の留意事項の連絡等が届いた場合は、ご面倒でも必ずメッセージをご確認いただきたいと思います。
次に、飲食店を含む事業者の皆さんへの要請です。
改めて業種別ガイドラインを確認していただき、その遵守をお願いします。特に、今の季節、窓を開けると暑いとお客さんから言われることもあるかもしれませんが、エアコンの使用で窓を閉めきってしまうことがないよう、換気の徹底をお願いします。
次に、イベントについてです。祭りやコンサートなど、イベントを主催される方は、規模・内容により、「感染防止安全計画」または「感染防止策チェックリスト」を作成していただき、実施にあたっては、換気の徹底や来場される方の密集を回避するなどの感染防止対策の着実に実施していただくようお願いします。
我々県と県民の皆さん、事業者の皆さんと力をあわせて、コロナとの闘いに打ち勝っていきましょう。
皆さまのご理解、ご協力をよろしくお願いします。
(RKB)今回行動制限を伴わないということですが、特別警報発令で期待する効果などを改めてお伺いします。
(知事)既に「福岡コロナ警報」を発動し、県民、事業者の皆さんには感染防止対策の徹底等をお願いしてきました。しかし、感染拡大に歯止めがかからず、病床使用率も5割を超えるという状況になりました。このような感染状況を改めて県民の皆さんにお示しし、ご理解いただき、そして今後さらなる感染拡大による医療のひっ迫をなんとしても防ぐ。そして重症化リスクの高い高齢者の皆さんを守る。このことについてより一層県民の皆さん、事業者の皆さんにご理解をお願いしたい。そして最大限の警戒をもって感染防止対策を実施、徹底していただきたい。こういう思いで「福岡コロナ特別警報」を発動しました。
(西日本新聞)現時点で行動制限をとられないということでしたが、今後病床使用率や重症病床使用率がどういう水準になった場合に行動制限があり得るのか知事の見解をお願いします。
(知事)今回の特別警報の発動にあたり行動制限は設けていません。これは、オミクロン株の特性である、「感染力は強いけれども重症化しにくい」といったことにより、現段階では、医療提供体制がひっ迫するという状況にはありません。重症病床使用率は、前日時点で2.7パーセントと極めて低い状況で推移しています。重症病床が埋まっていくと、やはり命の危険に直結するということになります。県医師会のご意見も伺いながらやってきましたが、本県としても、重症病床使用率を最も注視していくべきであると思っており、今後も重症病床使用率の状況を見ながら判断していきたいと思います。
(西日本新聞)行動制限をどういう基準になったら示すのか。現時点でそのものさしがあるというわけではないということですか。
(知事)具体的に何パーセントというのは、今はありません。
(読売新聞)他県では、入院対象者を、中等症以上とする基準を設ける例が出てきていると思いますが、福岡県では、軽症も病床に受け入れるというのは、継続されますか。
(知事)大阪府や愛知県が入院基準を見直されるという報道は承知していますが、詳細は、まだ私も把握していません。
本県は、従前から、陽性判明時から血中酸素飽和度と病態に応じたトリアージを徹底しており、個々の症状に応じて、入院、宿泊療養、自宅療養を的確に調整をしています。こういったことから、これまでも適切な入院調整は行われてきたと考えており、現段階で、現在の運用を変更することは考えていません。
(読売新聞)自宅療養の方は、2万人を超えて昨日7千人増えているという状況があると思うのですが、ショートメッセージで健康確認をされるということで、なかなか目が行き届きにくいという懸念もあるかと思います。そこについての受け止めと、今後どういう対応をしていくのかお考えをお聞かせください。
(知事)確かに、自宅療養者が増えてきている。皆さんに対して、適切に健康観察をしていく必要があると思います。ただ、その数が非常に多く、我々としては重症化リスクのある皆さんに対する健康観察を重点的に、かつ、確実に行っていくため、重症化リスクの高い方にはこれまでどおり保健所から電話を入れて、直接お話しを聞き、状態を聞き取って、その上で、入院が必要か、宿泊療養施設への入所が良いのかをご本人の意向も伺いながら決めています。一方、重症化リスクが低い方でSMSによる健康観察を行っている方についても、症状が悪化した場合には、医療機関への外来受診や宿泊療養施設への入所のご案内をすべて行っているところです。
それから、独り暮らしの方など食料や日用品等が不自由になる場合があると思います。これまでも行ってきましたが、ご希望がある場合には、安心して自宅で療養できるように生活支援を行っていきます。食料支援の受付は、現在、保健所で行っていますが、保健所の業務も輻輳化してきていますので、新たに外部委託を行って、的確に対応ができるように調整を進めているところです。
(FBS)お盆期間のPCR検査を強化するということで、会場として具体的に検討している場所や施設等はありますか。
(知事)以前も設置しましたが、福岡空港、北九州空港、新幹線での乗降客が多い博多駅、小倉駅といったところを想定しています。ただし、これは場所の確保が必要なため、JRなど施設の所有者と協議を進めているところです。