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水質総量削減とは
1 水質総量削減制度の概要
水質総量削減制度は、人口及び産業の集中等により、生活又は事業活動に伴い排出された水が大量に流入する広域的な閉鎖性海域であり、排水基準(濃度基準)のみによっては環境基準の確保が困難である水域の水質改善を図るため、工場・事業場のみならず、生活排水等も含めたすべての汚濁発生源からの汚濁負荷量について、総合的・計画的に削減を進めることを目的とした制度であり、昭和53年に「水質汚濁防止法」及び「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正により導入され、これまで5年ごとに9次にわたり実施しています。
本制度においては、環境大臣が、指定水域ごとに、発生源別及び都府県別の化学的酸素要求量(COD)、窒素含有量及びりん含有量の削減目標量、目標年度その他汚濁負荷量の総量の削減に関する基本的な事項を総量削減基本方針として定め、これに基づき、関係都府県知事が、削減目標量を達成するための総量削減計画を定めることとされています。
総量削減計画に定められる削減目標量の達成方途として、下水道、浄化槽等の各種生活排水処理施設の整備等の生活系排水対策、指定地域内事業場(日平均排水量が50立方メートル以上の特定事業場)の排出水に対する総量規制基準の適用、小規模事業場、畜産業、農業等に対する削減指導等があります。
2 指定地域の概況
3 制度の沿革
第1次(昭和54年)から第4次までの水質総量削減は化学的酸素要求量(COD)を指定項目として、また、第5次からは窒素及びりんを指定項目に加え、これまで7次35年間にわたり、環境省が水域毎に定めた総量削減基本方針に基づき、関係都府県は総量削減計画を策定し、同計画に基づき、削減目標の達成のための総量規制基準の適用、下水道等の生活排水処理施設の整備等の施策を実施してきました。
その結果、指定水域に流入する汚濁負荷量の削減が図られ、瀬戸内海(大阪湾を除く。)の水質については、他の指定海域に比較して良好な状態となっています。
なお、第5次までの総量削減においては、環境省は、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海の3水域に対し同じ総量規制基準を設定していましたが、第6次からは「東京湾、伊勢湾、大阪湾」と「瀬戸内海(大阪湾を除く。)」の2海域に分け、総量規制基準を設定しました。
第8次についても、2海域に分け、対策の在り方及び総量規制基準について、中央環境審議会の答申がなされています。
基本方針策定 |
目標年度 |
対象項目 |
|
---|---|---|---|
第1次 |
昭和54年 6月 |
昭和59年度 |
COD |
第2次 |
昭和62年 1月 |
平成 元 年度 |
COD |
第3次 |
平成 3年 1月 |
平成 6年度 |
COD |
第4次 |
平成 8年 4月 |
平成11年度 |
COD |
第5次 |
平成13年12月 |
平成16年度 |
COD、窒素、りん |
第6次 |
平成18年11月 |
平成21年度 |
COD、窒素、りん |
第7次 |
平成23年 6月 |
平成26年度 |
COD、窒素、りん |
第8次 |
平成28年 9月 |
平成31年度 |
COD、窒素、りん |
第9次 |
令和 4年 1月 |
令和 6年度 |
COD、窒素、りん |