本文
質の良い十分な睡眠を取るために
健康づくりにおける睡眠の重要性
睡眠は、こども、成人、高齢者のいずれの年代においても健康増進・維持に不可欠な休養活動です
睡眠不足は、多岐にわたる影響を及ぼし、事故等の重大な結果を招く場合があります。
・日中の眠気や疲労
・頭痛等の心身愁訴の増加
・情動不安定
・注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下
・学業成績の低下 等
睡眠の問題が慢性化すると健康へのリスクが高まります
睡眠不足を含め、病気の発症リスクの上昇や症状の悪化に関連し、死亡率の上昇にも関与することが明らかになっています。
・肥満
・高血圧
・2型糖尿病
・心疾患
・脳血管障害
また、うつ病などの精神疾患においても、発症初期から睡眠の問題が出現し、再燃・再発リスクを高めることが知られています。
このため、日常的に質(睡眠休養感)、量(睡眠時間)ともに十分な睡眠を確保することにより、心身の健康を保持し、生活の質を高めていくことは極めて重要です。
睡眠の質を上げるメリット(生活習慣病の予防)
良い睡眠
脳・心血管、代謝、内分泌、免疫、認知機能、精神的な健康の増進・維持に重要です。
労働災害や自動車事故など眠気や疲労が原因の事故や怪我のリスク低減にも役立ちます。
睡眠は、日中の活動で生じた心身の疲労を回復する機能、成長や記憶(学習)の定着・強化など環境への適応能力を向上させる機能をそなえています。
睡眠の悪化
様々な疾患の発症リスクが増加し、寿命短縮リスクが高まります。
成長や適応能力の向上を損なうことにつながります。
睡眠の質を上げるポイント
睡眠の基本的な特徴
1.眠ることができる時間には限りがあります。
2.必要な睡眠時間は、年齢によっても変化します。
3.必要な睡眠時間は、季節によっても変化します。
4.睡眠には、個人差があります。
5.慢性的な消耗性の病気を患うと、睡眠休養感がないのは睡眠に問題があるのか、病気の状態が悪いせいなのか区分が難しいこともあります。
良質な睡眠のための環境づくり
1.日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなります。
2.寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながります。
3.寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1~2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなります。
運動、食事、し好品等の生活習慣
1.適度な運動習慣を身につけることは、良質な睡眠の確保に役立ちます。
2.しっかり朝食を摂り、就寝直前の夜食を控えると、体内時計が調整され睡眠・覚醒リズムが整います。
3.就寝前にリラックスし、無理に寝ようとするのを避け、眠気が訪れてから寝床に入ると入眠しやすくなります。
4.規則正しい生活習慣により、日中の活動と夜間の睡眠のメリハリをつけることで睡眠の質が高まります。
5.カフェインの摂取量は1日400mg(コーヒーを700cc程度)を超えると、夜眠りにくくなる可能性があります。
6.カフェインの夕方以降の摂取は、夜間の睡眠に影響しやすい。
7.晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むこと(寝酒)は、睡眠の質を悪化させる可能性があります。
8.喫煙(紙巻きたばこ、加熱式たばこ等のニコチンを含むもの)は、睡眠の質を悪化させる可能性があります。
必要な睡眠時間はライフステージごとに変化します
子ども
1.小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を参考に睡眠時間を確保する。
2.朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化をさける。
厚生労働省リーフレット
こどものためのGood Sleep(ぐっすり)ガイド [PDFファイル/1.04MB]
成人
1.適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。
2.食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
3.睡眠の不調・睡眠休養間の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する。
厚生労働省リーフレット
成人のためのGood Sleep(ぐっすり)ガイド [PDFファイル/1003KB]
高齢者
1.長い床上時間は健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する。
2.食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
3.長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。
厚生労働省リーフレット
高齢者のためのGood Sleep(ぐっすり)ガイド [PDFファイル/987KB]
妊娠、子育て、更年期
1.女性の場合、睡眠は月経周期の影響を受けます。
2.妊娠中の睡眠は妊娠経過とともに変化し、胎児の健康にも影響する可能性があります。
3.子育て期の睡眠も健康増進・維持には重要です。こどもの睡眠は心身の成長に合わせて成熟が進み、思春期後半に概ね成熟家庭が完了します。こどもの不安定な睡眠への対処や心配が原因となり、養育者の睡眠も乱れがちです。
4.男性・女性ともに、更年期には睡眠の悩みが再び増えやすい傾向があります。
就業形態(交代制勤務)
1.交代制勤務では、睡眠の不調などの健康リスクに注意が必要です。
2.不眠や睡眠休養感の低下、業務中の眠気が続き、日常生活に支障を来している場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
睡眠障がいについて
1.睡眠に関連する症状は、「睡眠環境、生活習慣、し好品」によるものと、「睡眠障がい」によるものがあります。
(睡眠障がいの種類:不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群と周期性四肢運動障がい、睡眠不足症候群、過眠症(ナルコレプシー、特発性過眠症)、概日リズム睡眠・覚醒障がい など)
2.睡眠環境や生活習慣、し好品に起因する睡眠関連症状は、上記の「睡眠の質を上げるポイント」の実践で改善する可能性があります。
3.「睡眠の質を上げるポイント」を実践しても睡眠に関連する症状が続く場合、睡眠障がいが潜んでいる可能性があります。
4.睡眠障がいが疑われる場合は、速やかに医療機関を受診してください。