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3.住宅宿泊事業者の責務
(1)標識の掲示
住宅宿泊事業者には、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示する義務があります。
標識は、届出住宅の門扉、玄関(建物の正面の入口)等に、概ね地上1.2メートル以上1.8メートル以下(表札等を掲げる門扉の高さから玄関ドアの標準寸法2メートルの高さ以内)で、認識しやすい位置に掲示してください。
また、本県では、独自の取組として、県ホームページ上で当該住宅が住宅宿泊事業法に基づく「届出住宅」であるかを確認いただけるよう標識内にQRコードを付けることとしています。
標識(第四号様式) [Wordファイル/76KB] 標識(第四号様式) [PDFファイル/105KB]
(2)宿泊者の衛生の確保
感染症等の発生を防止するため、住宅宿泊事業者には、宿泊者の衛生の確保が義務付けられています。
主な内容は次のとおりですが、詳細については【厚生労働省・国土交通省】住宅宿泊事業法施行要領ガイドライン [PDFファイル/25.81MB]をご参照ください。
・居室の床面積を宿泊者一人当たり3.3平方メートル以上確保すること。
・届出住宅の設備や備品等は清潔に保ち、定期的に清掃、換気等を行うこと。
・寝具のシーツやカバー等、直接人に接するものについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り換えること。
(3)宿泊者の安全の確保
届出住宅については、非常用照明器具の設置、避難経路の表示、その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を講じる義務があります。
具体的には、国土交通省告示第1109号(平成29年11月28日)で示されています。
(非常用照明器具の設置、その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置の概要は、表1のとおり)
安全措置の内容 (告示の条項) |
届出住宅の建て方と規模等 | |||
一戸建ての住宅、長屋 | 共同住宅、寄宿舎 | |||
家主同居※1で宿泊室の床面積が50平方メートル以下 |
左記以外 |
家主同居※1で宿泊室の床面積が50平方メートル以下 |
左記以外 | |
非常用照明器具 (第一) |
× | 〇 | × | 〇 |
防火の区画等 (第二) |
× |
〇 ※複数のグループが複数の宿泊室に宿泊する場合のみ |
× |
〇 ※複数のグループが複数の宿泊室に宿泊する場合のみ |
その他の安全措置 (第二第二号イ~ホ) |
〇※2 | × |
〇:適用あり(原則措置が必要) ×:適用なし(特段の措置不要)
※1 届出住宅に住宅宿泊事業者が居住しており、不在(法第11条第1項第2号の国土交通省令・厚生労働省令で定める一時的な不在は除く。)とならない場合を指します。
※2 宿泊者の使用に供する部分等の床面積や階数が一定以下である届出住宅の場合は不要となります。
※3 宿泊者の使用に供する部分等の床面積や階数が一定以下である届出住宅の場合は不要となります。
→ 避難経路の表示も含め、詳細については、【福岡県】住宅宿泊事業者の手引き [PDFファイル/6.79MB]P27~35「8 宿泊者の安全の確保について」又は【国土交通省】民泊の安全措置の手引き [PDFファイル/6.42MB]をご確認ください。
(4)外国人宿泊者への対応
住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者(以下「外国人宿泊者」という。)の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置として、以下のような事項を講じる必要があります。
・外国語を用いて、届出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること
・外国語を用いて、移動のための交通手段に関する情報を提供すること
・外国語を用いて、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすること
これらの措置にあたっては、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けるほか、タブレット端末への表示等により、外国人宿泊者が届出住宅に滞在する間に必要に応じて閲覧できる方法により行ってください。
医療相談や災害対応に関係する機関が作成した外国人向けの資料を以下のとおり掲載しておりますので、必要に応じてご参照ください。
外国人旅行者のための災害対応マニュアル [PDFファイル/7.8MB]
(5)宿泊者名簿の備え付け
住宅宿泊事業者は、宿泊者に関する次の事項を記した名簿を作成し、3年間保存しておく必要があります。
・宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日
・宿泊者の国籍及び旅券番号(外国人の場合に限る。)
※代表者だけでなく、必ず宿泊者全員を名簿に記載して保存してください。
※都道府県知事から名簿の提出を求められた場合は、開示する必要があります。
(6)周辺地域への悪影響の防止に関する説明
住宅宿泊事業者は、以下のような事項を宿泊者に対し(外国人宿泊者には外国語を用いて)、書面等により説明する必要があります。
・騒音の防止のために配慮すべき事項
大声での会話を控えること、深夜に窓を閉めること、バルコニー等屋外での宴会を開かないことなど、周辺地域の生活環境に悪影響が生じないよう宿泊者に説明する必要があります。
・ごみの処理に関し配慮すべき事項
住宅宿泊事業に起因して発生したごみの取扱いは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に従い、事業活動によって生じた廃棄物として住宅宿泊事業者が責任をもって処理しなければなりません。
周辺地域の生活環境に悪影響が生じないよう、ごみの処理が適切に行われるよう宿泊者に説明する必要があります。
・火災の防止のために配慮すべき事項
ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法及びその際の注意事項、初期消火のための消火器の使用方法や通報装置の使用方法等、火災や周囲への延焼等を防止するための対応について、宿泊者に説明する必要があります。
(7)苦情への対応
住宅宿泊事業者は、周辺地域の住民等からの苦情や問合せに対し、適切かつ迅速に対応する必要があります。
・深夜早朝を問わず、常時、応答又は電話により対応すること
・宿泊者が滞在していない間も、苦情及び問合せに対応すること
また、滞在中の宿泊者の行為により苦情が発生している場合において、当該宿泊者に注意等を行っても改善がなされないような場合は、退室を求めるなど、必要な措置を講じることが求められます。
なお、苦情および問合せの内容が緊急の対応を要する場合は、警察署、消防署、医療機関等への連絡や、現場で直接対応することも必要です。
※ 住宅宿泊事業を開始して以降、宿泊者による深夜の騒音やゴミ処理の不備に関して、近隣住民から苦情や問合せがなされる事例が多く見受けられます。近隣住民とのトラブルが生じないよう、住宅宿泊事業を始めるにあたっては、事前に周知するよう努めてください。
(8)定期報告
住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに当該年度の偶数月(6月、8月、10月、12月、2月、4月)の15日までに前2カ月(例:6月15日までに、4月1日から5月31日まで)における以下の事項を報告する必要があります。
また、定期報告は、原則「民泊制度運営システム」を利用して行うことになっています。
・人を宿泊させた日数
・宿泊者数
・延べ宿泊者数
・国籍別の宿泊者数の内訳
(9)民泊サービスと旅館業法に関するQ&A
法に基づく届出を行わずに宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業を行った場合、又は、届出住宅において年間180日を超えて人を宿泊させる事業を行った場合、旅館業法違反となります。
保健所設置市(北九州市、福岡市、久留米市)における旅館業法違反については、当該保健所設置市が対応することとなり、保健所設置市以外の市町村における旅館業法違反については、当該市町村を管轄する県の保健福祉(環境)事務所が対応することとなります。
詳細につきましては、以下の厚生労働省ホームページをご参照ください。