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情報流通プラットフォーム対処法

更新日:2025年7月22日更新 印刷

 令和6年5月に「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称:プロバイダ責任制限法)」の法律名が「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(通称:情報流通プラットフォーム対処法)」に改正され、令和7年4月1日に施行されました。

1 背景

 インターネット上の違法・有害情報の流通(SNS、掲示板の書き込み等)が社会問題となっています。

 プラットフォーム事業者の多くは、情報流通プラットフォーム対処法施行前も権利侵害情報の削除申出を受け付ける窓口を設定し、寄せられた削除申出について適否を判断し、投稿の削除等の対応を行っていましたが、「削除申出窓口が適切に機能していない」「判断結果及びその理由の通知が不足している」「削除等の基準がグローバルに適用される前提で作成されていて、基準が日本の法令や被害実態に則していない」などの理由から、被害者やその支援者から改善を求める声が上がっていました。

 このようなことを踏まえ、「被害者救済」と発信者の「表現の自由」という重要な権利・利益のバランスに配慮しつつ、プラットフォーム事業者がインターネット上の権利侵害等への対処を適切に行うことができるようにするための法制度が整備されました。

2 改正の概要

 本改正では、大規模特定電気通信役務提供者(大規模プラットフォーム事業者)に対して、課題となっていた「対応の迅速化」や「運用状況の透明化」を図るため、法律上の義務が課せられることとなりました。

 なお、「どのような情報を削除すべきか」という表現内容に立ち入る判断に行政が関与することは、表現の自由を確保する観点から適切でないため、引き続きプラットフォーム事業者が自ら判断することを前提とした仕組みとなっています。

 このため、本法律において課される義務は、被害者からの削除申出に対する通知義務などの手続的な義務を中心として構成されています。​

3 関連ガイドライン

 情報流通プラットフォーム対処法の施行に当たり、「法律の解釈を示したガイドライン」及び「違法情報ガイドライン」が策定されています。

法律の解釈を示したガイドライン [PDFファイル/383KB]

違法情報ガイドライン [PDFファイル/818KB]

 違法情報ガイドラインでは、どのような情報を流通させることが権利侵害や法令違反に該当するのかが明確に示されています。​

対象となる権利利益

 違法情報ガイドラインにおいて、例示されている権利・利益は次のとおりです

 名誉権、名誉感情、プライバシー、私生活の平穏、肖像権、氏名権、パブリシティ権、著作権及び著作隣接権、商標権、営業上の利益

大規模特定電気通信役務提供者の指定

 総務省により指定されている大規模特定電気通信役務提供者は、下記の総務省リンクから確認することができます。

 総務省ホームページ「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」​(新しいウインドウで開きます)

4 私生活の平穏(差別されない権利)に係る裁判例

 国が策定した違法情報ガイドラインでは「私生活の平穏」に関して、令和5年の東京高等裁判所の判決(東京高判令和5年6月28日判タ1523号143頁)が引用されています。同判決は令和6年12月4日、最高裁が双方の上告を棄却し、同判決が確定しており、「人は誰しも、不当な差別を受けることなく、人間としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送ることができる」という「差別されない権利」を認める画期的なものとなりました。

事案の概要

 平成28年2月、ある出版社が、かつて被差別部落があったとされる地域の所在を明らかにする情報を記載した著作物「全国部落調査」復刻版の販売予約を開始し、その内容や原告らの個人情報をウェブサイトに掲載するなどしました。原告らは、これにより、不利益を受けるおそれがあるなどと主張し、著作物の出版、販売又は頒布の禁止や損害賠償などを求めて提訴しました。

判決理由(抜粋)

 憲法13条は、すべて国民は個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する権利を有することを、憲法14条1項は、すべて国民は法の下に平等であることをそれぞれ定めており、その趣旨等に鑑みると、人は誰しも、不当な差別を受けることなく、人間としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送ることができる人格的な利益を有するのであって、これは法的に保護された利益であるというべきである。

 そして、本来、人の人格的な価値はその生まれた場所や居住している場所等によって左右されるべきではないにもかかわらず、部落差別は本件地域の出身等であるという理由だけで不当な扱い(差別)を受けるものであるから、これが上記の人格的な利益を侵害するものであることは明らかであるが、これに加えて、(1)上記のとおり、部落差別は我が国の歴史的過程で形成された身分差別であり、明治4年の太政官布告により制度上の身分差別はなくなったものの、今日においてもなお本件地域の出身等であることを理由とする心理面における偏見、差別意識が解消されていないことから認められる当該問題の根深さ、(2)本件地域の出身等であるという理不尽、不合理な理由に基づく不当な扱い(差別)がこれを受けた者のその後の人生に与える影響の甚大さ、そして、(3)インターネットの普及により、誰もが情報の発信者及び受信者になることができ、情報の流通範囲は広がったものの、その便宜さの反面において、誤った情報、断片的な情報、興味本位な情報も見受けられるようになったことから、これに接することによって差別意識が植え付けられ増長するおそれがあり、現にインターネット上における識別情報の摘示を中心とする部落差別の事案は増加傾向にあること等に鑑みると、本件地域の出身等であること及びこれを推知させる情報が公表され、一般に広く流通することは、一定の者にとっては、実際に不当な扱いを受けるに至らなくても、これに対する不安感を抱き、ときにそのおそれに怯えるなどして日常生活を送ることを余儀なくされ、これにより平穏な生活を侵害されることになるのであって、これを受忍すべき理由はない以上、本件地域の出身等であること及びこれを推知させる情報の公表も、上記の人格的な利益を侵害するものである。

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