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福岡県情報公開審査会答申第124号

更新日:2015年4月14日更新 印刷

「特定医療機関への指導等に関する公文書の非開示決定処分に対する異議申立て」の答申内容を公表します。

答申

1 審査会の結論

 福岡県知事(以下「実施機関」という。)が、平成19年3月19日18田保第48104号で行った公文書非開示決定(以下「本件決定」という。)は、要望及び指導事項の表中の「項目番号」、「項目内容」及び「要望理由等」の欄に記載された部分を除き、開示すべきである。

2 異議申立てに係る対象公文書の開示決定状況

 異議申立てに係る対象公文書(以下「本件公文書」という。)は、平成14年から平成16年において、福岡県田川保健福祉環境事務所(以下「保健福祉環境事務所」という。)が○○病院(以下「本件病院」という。)に対して指導等を行った事績に関する情報が記載された公文書である。

 実施機関は、本件公文書を、医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第25条第1項に基づき実施した立入検査に係る結果報告書(平成14年及び平成16年分)と特定し、当該公文書に記載されている情報は、福岡県情報公開条例(平成13年福岡県条例第5号。以下「条例」という。)第7条第1項第2号及び第4号に該当するとして本件決定を行った。

3 異議申立ての趣旨及び経過

(1)異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、実施機関が行った本件決定の取消しを求めるというものである。

(2)異議申立ての経過

ア 平成19年3月3日付けで、異議申立人は、実施機関に対し条例第6条第1項の規定に基づき、本件公文書の開示請求を行った。

イ 平成19年3月19日付けで、実施機関は、本件決定を行い、その旨を異議申立人に通知した。

ウ 平成19年3月22日付けで、異議申立人は、本件決定を不服として実施機関に対し、異議申立てを行った。

4 異議申立人の主張要旨

 異議申立人の主張を要約すると、次のとおりである。

(1)条例第7条第1項第2号該当性について

 法人その他団体に関する情報であって、公開することにより、法人等の競争上の地位、財産権その他正当な利益を害するおそれがあるという実施機関の説明は、医療過誤を隠蔽することによって医療法人を保護し、患者は保護しないというもので、不当である。

(2)条例第7条第1項第2号ただし書該当性について

 開示することによって、医療事故に遭う可能性を低めることができること、医療機関は適正な医療行為を行う可能性が高くなることから、開示しないことと比較衡量して、その利益が大きい。

(3)条例第7条第1項第4号該当性について

 抜き打ち的な立入検査が行われていることからすると、立入検査が国(県)と医療機関との信頼関係の上に成り立つとする非開示理由説明はおかしい。

立入検査の結果を公開して国(県)と医療機関との信頼関係が崩れることと、立入検査業務の適正な遂行とは無関係である。

5 実施機関の説明要旨

 実施機関が本件決定を行った理由を要約すると、次のとおりである。

(1)条例第7条第1項第2号該当性について

  国の通知等において、法人その他団体に関する情報であって、公開することにより法人等の競争上の地位、財産権その他正当な利益を害するおそれがあるものについては、原則非開示として取り扱うよう指導が行われてきた。

(2)条例第7条第1項第4号該当性について

ア 開示すると、公正かつ適正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となるおそれがある。

イ 国の通知等において、公開することにより、医療機関との信頼関係を損ない、立入検査業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものについては、原則非開示として取り扱うよう指導が行われてきた。

6 審査会の判断

(1)立入検査について

 法第25条第1項は、都道府県知事は、その職員に医療機関に立ち入り、帳簿書類等その他の物件を検査させることができる旨を定めている。

 国は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4に規定する技術的な助言として「法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱」を作成しているが、実施機関は当該要綱を参考に「福岡県医療監視実施要領(以下「要領」という。)」を作成し、病院に対して原則年1回の立入検査を行い、その結果不適切な点が認められた場合は、改善命令や指導等を行っている。

(2)本件公文書の内容について

 本件公文書は、保健福祉環境事務所の職員が本件病院に立入検査を行った結果に基づき、改善報告・計画を徴すべき事項等を通知するとともに、これらに対する措置状況の報告を求めた文書である。

 審査会が見分したところ、平成14年分及び平成16年分の結果報告書は存在するが、平成15年分には指導すべき事項がなく、結果報告書を作成していないことを確認した。

 本件公文書には、文書の日付、発信者名(保健福祉環境事務所長)の他に以下の事項が記載されている。

ア あて先名

 当該部分には、本件病院の開設者及び管理者の名称が記載されている。

イ 文書の本文

 当該部分には、立入検査を行った日、立入検査を行う根拠法令、立入検査の結果を通知する旨、改善報告・計画を徴する事項の措置状況についての報告を求める旨が記載されている。

ウ 改善報告・計画を徴する事項

 当該部分には、項目番号、項目内容、根拠法令等、不適合・指導理由等が記載されている。

エ 要望及び指導事項

 当該部分には、項目番号、項目内容、要望理由等が記載されている。

平成14年分の結果報告書には、当該部分の記載があるが、平成16年分には、当該部分の記載がない。

(3)条例の規定について

ア 条例第7条第1項第2号について

 条例第7条第1項第2号は、法人等又は事業を営む個人(以下「事業者」という。)の自由な経済活動その他の正当な活動を保障し、事業に関する情報の開示により不利益を与えることを防止するという観点から、事業者の非開示情報としての要件を定めたものであり、事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非開示とするよう規定されている。この「おそれ」の程度は単なる確率的な可能性でなく、法的保護に値する蓋然性が要求されている。

 また、条例第7条第1項第2号ただし書は、同号本文に該当する情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される事業者の権利利益とを比較衡量し、前者の利益が上回るときには、当該情報を開示しなければならないと定めている。

イ 条例第7条第1項第4号について

 条例第7条第1項第4号は、県の機関又は国等が行う事務又は事業の適正な遂行を確保する観点から非開示情報としての要件を定めたものであり、実施機関の事務の適正な遂行に実質的な支障を及ぼすおそれがあるものを非開示とするよう規定されている。この「おそれ」の程度は単なる確率的な可能性でなく、法的保護に値する蓋然性が要求されている。

(4)個別の記載内容の開示の可否について

 以下、各項目別の開示の可否について検討する。

ア あて先名

 本件病院の開設者は医療法人であり、その名称は本件病院のホームページにおいて公表されている。また、病院の管理者の名称は、法第14条の2第1項の規定により、病院内に見やすいように掲示することが義務づけられている。

 異議申立人が本件病院を指定して開示請求を行い、かつ、実施機関は本件公文書の存在を明らかにしていることから、本件病院の名称さえ分かれば識別される開設者及び管理者の名称について、非開示とする特段の事情は考えられない。

イ 文書の本文

 当該部分は、実施機関が各病院に対して結果を通知する際の定例的な文言であり、要領で定められた様式の記載事項である。

 要領は公にされていることから、当該部分について非開示とする特段の事情は考えられない。

ウ 改善報告・計画を徴する事項

 改善報告・計画を徴する事項とは、要領に規定された検査基準に適合しないものや病院の管理運営上重要な事項であって、改善を要するものである。

 指導等の内容が法令等の基準に則した客観的で明確なものであり、かつ、事前に病院担当者を集めての説明会が行われ、指導事項も周知されており、本件病院も立入検査前に基準に適合するよう改善等を行うことが可能であったことを考慮すれば、当該部分を開示することによって、本件病院の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。

 また、病院への立入検査は任意の調査ではなく、法に基づくものであることを考えると、当該情報を開示したからといって、今後、医療機関が虚偽の内容を回答する、又は、立入検査業務への協力を拒むといったおそれがあるとは考えにくく、立入検査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない。

 したがって、当該記載内容は条例第7条第1項第2号及び第4号に規定する非開示情報に該当せず、開示すべきである。

エ 要望及び指導事項

 要望及び指導事項とは、要領に「病院の管理運営上望ましいと考えられる事項」と規定されている。

 当該部分は、立入検査の目的である「病院を科学的で、かつ、適正な医療を行う場にふさわしいものとする」ために、病院の立入検査の現場での状況を踏まえて行われる、改善報告・計画を徴するまでには至らない助言的事項であるが、当該部分を開示することで、本件病院が重大な法令違反を犯しているような印象を与え、社会的信用を低下させる等の風評被害を招くおそれがある。

 また、当該部分は、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため公にすることが必要であるものとまでは認められない。

 なお、項目番号については、番号のみが記載されているが、これを明らかにすると、公にされている要領と照らし合わせることにより、どういう項目について指導が行われたかが明らかとなるため同様のおそれがある。

 更に、当該部分が開示されることになれば、「病院の管理運営上望ましいと考えられる事項」を積極的に記載するといった指導ができにくくなるおそれがあると考えられることから、今後の立入検査業務の適正な遂行に支障を及ぼすと認められる。

 したがって、当該部分は条例第7条第1項第2号及び第4号に規定する非開示情報に該当する。

 以上の理由により「1 審査会の結論」のとおり判断する。

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