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福岡県情報公開審査会答申第116号

更新日:2015年4月14日更新 印刷

「市立学校の教職員数に関して県への要望を集約した書類の非開示決定処分に対する異議申立て」の答申内容を公表します。

答申

1 審査会の結論

 福岡県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、平成17年12月20日17教教第2977号で行った非開示決定(以下「本件決定」という。)は妥当である。

2 異議申立てに係る対象文書の開示決定状況

 異議申立てに係る対象文書(以下「本件文書」という。)は、北九州市立A中学校区のA中学校、B小学校及びC小学校(以下「A中等」という。)の、2005年度国庫少人数加配等に関して県への要望を集約した書類(第1次集約表及び第2次集約表)である。

 実施機関は、本件文書は現時点において文書の取得を確認できず、存在しないとして、福岡県情報公開条例(平成13年福岡県条例第5号。以下「条例」という。)第11条第2項の規定により非開示決定を行った。

3 異議申立ての趣旨及び経過

(1)異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、実施機関が行った本件決定の取消しを求める、というものである。

(2)異議申立ての経過

ア 平成17年12月13日付けで、異議申立人は実施機関に対し、条例第6条の規定に基づき本件文書について開示請求を行った。

イ 平成17年12月20日付けで、実施機関は本件文書が存在しないとして本件決定を行った。

ウ 平成18年1月15日付けで、異議申立人は、本件決定を不服として、実施機関に異議申立てを行った。

4 異議申立人の主張要旨

(1)異議申立人は、要望書が福岡県教育委員会に例年、提出されていることを知りうる立場にあった。また、平成16年度に、A中等の各校長の指導の下、特定の教員の手で要望書の原案が作成されたことも知っているし、要望のために校長らが公務で福岡県教育委員会に出張していることも知っている。

(2)加配要求の流れとして、中学校長、PTA会長等で構成する○○から、人権教育に関する要求として、福岡県教育委員会に行く流れと、北九州市教育委員会が校長から要望を集約したものが福岡県教育委員会に行く流れという、二つの流れがあると考えている。

(3)要望書は、今までの経緯を見ても、出しているのではないかと思う。福岡県の立場からしても、出ていることを認めているのではないだろうか。

(4)2004年度(16年度)の要望書には、実際に「2004年度要求何次集約表」という文書が添付されていた。

(5)○○「2006年度人権教育推進に関する要求書」(以下、「18年度××要望書」という。)は部分開示されたが、児童生徒支援加配の要望についてのみ開示されており、国庫少人数に関する文書はない。学校現場では、児童生徒支援加配、県単少人数加配、国庫少人数加配という形で議論され、集約され、一覧にされている。

(6)1次集約表は、実際は学校の人権担当者が作成するが、校長の意を受けて、学校が主導して作成する形になっている。「18年度××要望書」は児童生徒支援だけを要求している形だが、実際は加配全体をトータルに議論する。それを集約したものを10月と12月の要望書提出時に付ける。

(7)「平成17年4月に廃棄しているため、上記件名の書類の提出があったかどうか確認さえ出来ない」という実施機関の主張は、公務員としての職務の怠慢であり、情報公開法・条例の精神を理解しない行為である。

(8)陳情書であり、公の文書であるものを、作業が3月で終わったから、4月にすぐ捨てた、また取得していたかどうか確認さえできませんというのはおかしい。やはり捨てる場合だったら、どういうものを捨てたということを記録に残しておくべきである。

5 実施機関の説明要旨

(1)本件文書は、□□により教職員定数要望資料として任意に提出され、北九州市内の各学校分をとりまとめた「2005年度人権教育推進のための学習会」と題する文書の中に含まれていたものと推測される。

(2)福岡県教育委員会としては各種団体から要望があればお聞きするものの、本件文書のような要望書等については特段に提出を求めていない。

(3)本件文書の要望する内容については、北九州市教育委員会より市内の要求等をとりまとめた同様のものが提出され、それを基に事務処理を行っている。本件文書については、その要求対象である平成17年度の教職員定数配当が終了した後に、要望書等とともに廃棄した。

6 審査会の判断

(1)本件文書の内容及び性格について

ア 市町村立学校の教職員数決定について

 実施機関は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和33年法律第116号。以下「標準法」という。)の規定に基づき、県内市町村立学校の標準となる教職員数を算出するとともに、これに一定数を加算して、福岡県市町村立学校定数条例(昭和39年福岡県条例第50号)の改正案を例年作成し、県議会に提出している。同条例は県内市町村立学校の教職員総数を定めるものであるが、実施機関は、同条例改正案可決後に、次年度の各市町村立学校への教職員数の配分を決定する。

 標準法第7条第2項及び同法第15条は、標準法施行令第2条の2または同令第5条各項に掲げる要件のいずれかを満たす場合、文部科学大臣が定め、同法に基づき算定した数を標準となる教職員数に加算するという規定である。この教職員数の加算は、一般に「加配」と呼ばれ、実施機関は各市町村立学校の要求に基づいて加配数を決定している。

イ 「加配」の要求について

 実施機関は、次年度の加配を要求する市町村立学校に対して、例年10月、国庫少人数については「指導方法工夫改善実施計画調書」、県単少人数については「指導方法工夫改善(県単)実施計画調書」、児童生徒支援については「児童生徒支援加配校の状況」という所定の様式による文書を、あらかじめ政令市教育委員会及び各教育事務所を通じて実施機関あて提出するよう求めている(以下、上に掲げる加配要求のための文書を総称して「計画調書」という。)。また、実施機関は、計画調書を提出させる際、所定の様式以外に特段の書類の添付を求めていない。

 一方、加配要求については、実施機関の求めによらないものもある。この際、実施機関は、各団体が任意に作成した文書を直接受領する。通常当該文書は前年度の11月から2月にかけて提出されているが、その他の時期に随時提出されるものもある。実施機関は、このように任意に提出された加配要求文書を「要望書」と総称し、各地域の実情を知る参考資料として受領している。実施機関は、計画調書が提出されていれば、要望書が提出されなくても加配要求があったものと認めている。

ウ 本件文書について

 本件文書に相当するものとして、異議申立人から「2004年度(16年度)要求1次集約表」と題する文書が提出されている。当該文書は計画調書とは異なる様式で作成されており、同文書中にはA中等の加配要求数とみられる情報が記載されている。異議申立人の説明によれば、本件文書は、当該文書と同様の形式であって、A中等の平成17年度の加配の要望書に添付され、実施機関に提出された文書である。

(2)本件文書の取得について

 当審査会が見分したところ、実施機関は、A中等の平成18年度の加配の要望書として「18年度××要望書」を保有しており、それ以外にA中等に係る要望書の存在は確認できない。「18年度××要望書」は、北九州市内の複数の校区から提出された要望書の集合物である「2006年度人権教育推進のための学習会」と題する文書の一部として、□□という団体から実施機関に提出されたものである。

 実施機関は、「2006年度人権教育推進のための学習会」中に「18年度××要望書」が含まれていたことから、過去にA中等の平成17年度の加配の要望書も□□から受領していたと推測している。この点、異議申立人も、○○からの要望書が実施機関に例年提出されていたと主張しており、両者に異論はない。

 仮に実施機関が本件文書を取得していたとすれば、○○から実施機関が受領した要望書に添付されていたと考えるのが妥当である。

(3)本件文書の不存在について

 実施機関は、本件決定時には、取得した平成17年度の加配の要望書をすべて廃棄していたため、本件文書も存在しなかったと主張している。

 実施機関は、福岡県教育庁文書管理規程(平成16年福岡県教育委員会教育長訓令第1号)において、福岡県文書管理規程(平成16年福岡県訓令第1号。以下、「文書管理規程」という。)を準用している。文書管理規程では、第53条で文書の保存期間を所属長が定めることとし、第52条第1項で、文書の保存期間の種別を長期から1年未満まで段階的に設定している。

 実施機関の市町村立学校の教職員数決定事務においては計画調書の提出を各校からの加配要求と認め、要望書は任意に提出される参考資料として取り扱われている。ここから、実施機関は、要望書の保存期間を1年未満として、教職員の人事決定後に随時廃棄すべきものとしている。平成17年4月22日、実施機関は、それまでに取得していた要望書その他不要な文書を廃棄している。

 また、本件決定時、実施機関は取得した平成17年度の加配の要望書をすべて廃棄していたと認められ、特にA中等の平成17年度の加配の要望書や本件文書のみを選び取って保存する特段の事情も認められない。

 よって、本件決定時に本件文書を保有していなかったという実施機関の主張は妥当であると判断される。

(4)異議申立人のその他の主張について

 その他、異議申立人は、自ら本件文書の作成過程を知るに至った事情等に関して種々主張しているが、当審査会は実施機関が本件決定において示した本件文書の不存在の妥当性を判断するものであり、当該主張は当審査会の判断を左右するものとは認められない。

 以上の理由により「1 審査会の結論」のとおり判断する。

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