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令和6年度「命と生活(くらし)を守る新国土づくり研究会」(13県知事)の懇談概要について
昨日、標記研究会を対面及びWEB会議形式にて開催し、「気候変動下における防災・減災、国土強靱化に向けた流域治水の加速化・深化、自分事化 ~地域の持続的・安定的な発展に向けて~」をテーマに国土交通省へ提言書を提出しました。
本研究会での発言要旨は以下のとおりです。
(参考)本研究会は、洪水、土砂災害等から人命・財産を守り、安全で安心して暮らせる国土をつくること等を目的として、平成6年9月に発足。現在、全国13県の知事により構成し、今までに27回の会議を開催。
【13県の構成】岩手県、埼玉県、千葉県、富山県、福井県、岐阜県、兵庫県、島根県、広島県、徳島県、福岡県、長崎県、鹿児島県(福岡県は、今年度から参加)
1 日時
令和6年9月24日(火) 13時15分~14時15分
2 場所
東京都千代田区霞が関2-1-3 国土交通省(中央合同庁舎3号館)11階
特別会議室及びWEB会議
※その他の会場は下記に記載
3 主な発言内容
(会長・達増拓也 岩手県知事)
近年、気候変動の影響により、水災害が頻発化・激甚化している。
今年も、7月の梅雨前線による大雨や、8月の台風第10号等において、河川の氾濫や土砂災害により、全国各地で甚大な災害が発生した。
本研究会は、自然災害から人命・財産を守り、安全で安心して暮らせる国土づくりを進めるため、自然災害を背景とした様々な課題について取組を進めてきた。
頻発化・激甚化する水災害に備え、今年度は、気候変動下における防災・減災、国土強靱化に向けた「流域治水」の加速化・深化、自分事化をテーマに、議論を深めていきたい。
(こやり隆史 国土交通大臣政務官)
引き続き、災害への備えを万全にするとともに、激甚化・頻発化する豪雨災害から、国民の命と生活(くら し)を守るためには、抜本的な治水対策が急務であり、流域のあらゆる関係者の協働による流域治水への取組みを強力に推進していかなければならない。
国土交通省としても、国土強靭化のための5か年加速化対策を引き続き推進するとともに、今後策定される国土強靭化の実施中期計画に基づき、5か年加速化対策後も切れ目なく、継続的・安定的に国土強靭化を推進していく。
首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模広域災害時にも、官民が連携し、機動的に対応できるよう、TEC-FORCEの体制等の充実・強化に努めていく。
4 各県意見発表内容
(服部誠太郎 福岡県知事)※ビデオメッセージ
福岡県では、流域治水を加速化するため、「5か年加速化対策」予算を活用し河川整備を進めている。
また、近年、一級河川筑後川の支川では、本川の水位上昇に伴う内水による浸水被害が頻発しており、支川の対策と併せて、本川における河川整備や浚渫などの治水対策を行うことが重要である。
こうした取組を進めるため「5か年加速化対策」予算の確保及び「国土強靱化実施中期計画」の早期策定を国へお願いする。
(達増拓也 岩手県知事)
岩手県においても、近年、気候変動の影響により経験のない豪雨による災害が頻発している状況。
このことから、流域のあらゆる関係者が協働して行う「流域治水」の考え方を踏まえ、防災・減災対策を推進している。また、これまで整備を進めてきた河川やダムにより浸水被害が解消されるなど、「流域治水」の取組は効果を発揮している。
今後も、「流域治水」を実践し、さらに深化を図るため、国においては、資材価格の高騰や賃金水準の上昇、気候変動下においても、必要な対策が推進できるよう、予算・財源を例年以上の規模で確保することを要望する。
また、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」以降も、継続的・安定的に国土強靱化の取組を進めるため、改正「国土強靱化基本法」に基づく「国土強靱化実施中期計画」をできるだけ早期に、必要な事業規模と期間を盛り込んで策定することを要望する。
(後藤田正純 徳島県知事)
未来に引き継げる徳島の実現に向け、「流域治水」の推進の流れを県政運営の指針となる「徳島新未来創生総合計画」に反映し、官民連携による推進体制の強化や国土強靱化予算を積極的に活用した氾濫防止対策を進めている。
国においては、国土強靱化の「地域格差」を是正し、気候変動を踏まえた「流域治水」の加速化・深化を図るため、「流域一体整備」の継続的な推進、「物価・人件費高騰」を考慮した必要な予算の継続的かつ安定的な確保をお願いする。
(大野元裕 埼玉県知事)
激甚化・頻発化する自然災害に対し、地域の国土強靱化の取組を進めるため、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策完了後においても、必要な予算・財源を、当初予算において通常予算とは別枠での確保をお願いする。
また、流域治水の推進に必要な財源の確保や、田んぼダム等の取組に流域全体で支援する制度の創設などをお願いする。
更に、専門的知見や経験を有するTEC-FORCEによる被災自治体に対する技術的な支援のため、地方整備局等・研究機関において必要な人員や体制の充実・強化をお願いする。
(鷲頭美央 福井県副知事)
福井県では、平成16年7月の「福井豪雨」から今年で20年となる。近年の水災害の激甚化・頻発化に対し、事前防災対策の強化、流域治水の取組拡大等に努めている。
国には、5か年加速化対策最終年度となる令和7年度の必要予算・財源の確保、国土強靭化実施中期計画の早期策定および必要予算・財源の確保、ならびに緊急自然災害防止対策事業債・緊急浚渫推進事業債の継続をお願いする。
(河合孝憲 岐阜県副知事)
本県では、徐々に治水対策への理解が深まる中、引き続き、「治水を自分事と捉えること」を更に浸透させ、「流域治水」を広げていくことを目指している。
国には今後も、流域治水の理解促進と中長期的な視点に立った財政的な支援をお願いする。
(服部洋平 兵庫県副知事)
防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算を活用し、前倒しで事業完了させた河川において、今年度、過去に被害を受けた際と同等以上の降雨が発生したが被害がなく事業効果を実感した。
激甚化・頻発化する水災害も備えるため、5か年加速化対策後も事業費の確保が必要である。
改正国土強靱化基本法に基づく国土強靱化実施中期計画の策定には、資材価格の高騰や賃金水準の上昇による影響を適切に反映することをお願いする。
(馬場裕子 長崎県副知事)
気候変動の影響を踏まえた流域全体の治水対策、河川事業・砂防事業の推進、施設の老朽化対策に努め、災害に強く、安全・安心で強靱な県土づくりを進める必要があることから、国には財政的、制度的な支援を引き続きお願いする。
※ 福岡県を除き掲載順は当日の発言の順番となっております。
5 出席者
(1)関係県知事等
達増岩手県知事(会長)、大野埼玉県知事、鷲頭福井県副知事、河合岐阜県副知事、服部兵庫県副知事、後藤田徳島県知事、馬場長崎県副知事
(2)国土交通省
こやり隆史 国土交通大臣政務官、藤巻浩之 水管理・国土保全局長ほか
6 懇談テーマ
「気候変動下における防災・減災、国土強靱化に向けた流域治水の加速化・深化、自分事化 ~地域の持続的・安定的な発展に向けて~」
7 研究会後の提言活動
鈴木俊一財務大臣に、岩手県知事・徳島県知事から、提言書の手交及び要望を行いました。
(1)日 時 : 令和6年9月24日(火)14時45分~15時00分
(2)場 所 : 財務省2階 財務大臣室
(3)出席者 : 岩手県知事(会長) 達増 拓也、徳島県知事 後藤田 正純
<同時発表>
国土交通記者会、国土交通省建設専門紙記者会
都道府県記者クラブ
岩手県政記者クラブ、埼玉県政記者クラブ、千葉県政記者クラブ、富山県政記者クラブ、福井県政記者クラブ、岐阜県政記者クラブ、兵庫県政記者クラブ、島根県政記者会、広島県政記者クラブ徳島県政記者クラブ、福岡県政記者クラブ、長崎県政記者クラブ、県政記者クラブ青潮会(鹿児島)
<各県問い合わせ先>
岩手県河川課 019-629-5905 (本年度幹事県)
埼玉県河川砂防課 048-830-5162
千葉県河川整備課 043-223-3172
富山県河川課 076-444-3325
福井県河川課 0776-20-0480
岐阜県河川課 058-272-8585
兵庫県河川整備課 078-362-3527
島根県河川課 0852-22-6747
広島県河川課 082-513-3929
徳島県河川整備課 088-621-2570
福岡県河川整備課 092-643-3671
長崎県河川課 095-894-3083
鹿児島県河川課 099-286-3586