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特定商取引に関する法律に違反した訪問販売事業者に対する業務停止命令、業務禁止命令及び指示を行いました
福岡県は、本日(令和5年2月6日)付けで、会員制コンサルティング契約の訪問販売事業者である「株式会社Iron」に対して、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「法」という。)第8条第1項の規定に基づき、令和5年2月7日から令和5年11月6日までの9か月間、訪問販売に係る業務の一部を停止するよう命じるとともに、旧法第8条の2第1項及び法第8条の2第1項の規定に基づき、事業者の代表者及び経営者に対して、当該停止を命ずる範囲の業務を新たに開始することの禁止(9か月間)を命じました。 あわせて、事業者に対して、法第7条第1項の規定に基づき業務改善を指示しました。 認定した違反行為は、勧誘目的等不明示、勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りしない場所における勧誘、不備書面の交付及び不実告知です。 |
注 旧法・・消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第72号)(令和4年6月1日施行)による改正前の特定商取引に関する法律
1 事業者の概要
(1) 事業者名:株式会社Iron(法人番号4290001081924)
(2) 代表者:代表取締役 山本 哲也(やまもと てつや)
(3) 所在地:福岡市中央区舞鶴一丁目2番8号セントラルビル5階B室
(4) 設立:平成30年6月20日
(5) 取引類型:訪問販売
(6) 役 務:会員制コンサルティング契約(以下「本件役務」という。)
(7) 従業員:4名(代表者を除く。)(令和4年8月末時点)
2 処分の原因となる事実
(1) 勧誘目的等不明示(旧法第3条)
事業者は、勧誘員がマッチングアプリで知り合った消費者とメッセージアプリで「今週空いてたりしますか??ご飯かカフェに行きませんか??」などと、本件役務提供契約の締結を勧誘するためのものであることを告げずに面会を求め、約束を取り付けた後、天神周辺等で合流後、居酒屋や喫茶店等に行き、同所において「無料相談だけでもいいから、明日一緒に行ってみない」などと説明するだけで、本件役務提供契約の締結を勧誘することが本来の目的であることを明らかにしていなかった。
(2) 勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りしない場所における勧誘(旧法第6条第4項)
事業者は前項記載のとおり、マッチングアプリで知り合った消費者とメッセージアプリを利用し、勧誘目的を告げないまま、天神地区等の特定の場所に呼び出し、合流後、居酒屋等において「無料で相談できる」などと甘言を用い、本件役務提供契約の締結を勧誘することが目的であることを明らかにしないまま、後日、公衆の出入りする場所以外の場所である事業者の事務所へ同行(誘引)させ、本件役務提供契約の締結を勧誘していた。
(3) 不備書面の交付(旧法第5条第1項)
ア 記載不備~クーリング・オフに関する事項~
事業者は事務所において、本件役務提供契約を締結した消費者に対し、クーリング・オフに関する事項が記載されていない契約書を交付していた。
イ 虚偽記載~担当者の氏名~
事務所において勧誘及び契約締結を担当していた代表取締役が、架空の人物の氏名を騙り、入会申込書の担当者欄にその氏名を記載していた。
(4)不実告知(クーリング・オフ妨害)(法・旧法第6条第1項第5号)
本件勧誘行為は、法に規定する訪問販売に該当することから、消費者は正当に権利を行使できるにもかかわらず、事業者は、クーリング・オフを申し出た消費者等に対して、「店舗販売なのでクーリング・オフはできない」などとクーリング・オフの行使を妨げるため不実のことを告げた。
3 処分の内容
(1) 業務停止命令(法人)
令和5年2月7日(命令の日の翌日)から令和5年11月6日までの9か月間、事業者が行う法第2条第1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
ア 役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ 役務提供契約の申込みを受けること。
ウ 役務提供契約の締結をすること。
(2) 業務禁止命令(代表取締役山本哲也、経営者會野英雄)
令和5年2月7日(命令の日の翌日)から令和5年11月6日までの9か月間、法第2条第1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、事業者に対して行う上記3(1)の業務停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を含む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止すること。
(3) 指示(法人)
事業者は、次の事項を遵守すること。
ア 今回の違反行為の発生原因について、調査分析の上検証し、その検証結果について、命令の日の1か月後までに、福岡県知事宛てに文書により報告すること。
イ 今回の違反行為の再発防止策及びコンプライアンス体制を構築し、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、命令の日の1か月後までに、福岡県知事宛てに文書により報告すること。
4 相談状況(令和2年2月以降) 34件 ※平均年齢 23.8歳
5 取引事例
株式会社Ironの取引事例
事例1
令和4年5月頃、消費者A(以下「A」という。)が、異性との出会い目的で、自身のスマートフォンで有料のマッチングアプリを利用していたところ、事業者のZ(以下「Z」という。)と知り合い、メッセージアプリで連絡を取るようになった。 5月末、Zは、本件役務提供契約の締結を勧誘するためのものであることを告げず、メッセージアプリでAを食事に誘い、福岡市中央区天神のショッピングセンター前で待ち合わせの約束を取り付け、後日、Zから電話を受けたAは合流後、近くの居酒屋で食事をすることになった。Zとの会話でAは、一人暮らしか否か尋ねられたので、実家暮らしであることを告げると、Zから「〇〇歳で実家暮らしはやばいよね。社会人なら一人暮らしがあたりまえ。なんで一人暮らししないの」などと言われた。その後、Zから、投資の経験がないか尋ねられたのでAは以前友人から誘われて出資した会社への投資の話をした。すると、Zは、「一人暮らしのサポートとか、投資の話とか、何でも聞いてくれる会社があるよ。その会社のおかげで私変われたよ。私と一緒に話を聞きに行こうか」などと誘った。この時、Zは、「その会社のおかげで毎月8万円の貯金ができるようになった。福岡市内で一人暮らしできるようになった」などと話していた。Zは、その場で電話をかけ始め、予約を取り付けた。 Zとの一連のやり取りの中で、Aは、事業者の名称は聞いておらず、本件役務の内容や金額、事務所に行けば本件役務提供契約締結の勧誘が行われるとの説明は一切受けていなかった。 5月末、Aは、前回と同じ場所でZと待ち合わせをし、そこから事業者の事務所が所在するビルまで徒歩で赴いた。エレベーターで事務所に案内されたAは、Zとともに個室に案内され、しばらくすると、事業者の代表取締役Y(以下「Y)という。)が現れ、世間話の後、Yは「〇〇歳で一人暮らしじゃないのはどうかと思う。自分を変えた方がいい」などと話した。さらにZから、「そういえば投資の話もしよったよね。そのことも話してみたら」と促されたAが、友人に誘われて出資した話をすると、Yは、「投資は知識がないから失敗する。勉強した方がいいよ」などと話し、そこから、本件役務提供契約の締結に関する勧誘が始まった。 Yは、「うちの会社のこと知らないよね。うちは、投資、起業、一人暮らしなどの相談を受けたら、助言だけじゃなくその人の思う人生になるよう解決してあげます」などとパソコンでスライドを見せながら説明した。 一通り説明が終わると、Yは、そこで初めて本件役務提供契約に必要な代金について、「料金は110万円。普通のコンサルなら月に20万円から50万円掛かるけど、うちは1回110万円払うだけで永遠に相談に乗り解決に導く」などと説明した。 そこで初めて代金が必要なことを聞いた上、さらに高額であることに驚いたAが、Yに「一回帰って考える」と帰宅することを申し出たものの、Yは「一回帰る意味がないよね。今決めよう。自分を変えよう。110万円は高いと思っているでしょ。友達と飲みに行ったり、車やバイクなど、意味がないことに金を使うなら、うちに払った方がいい」と言われ、その後も、一人暮らしの話を延々とされたAは、次第に疲れと恐怖を感じるようになった。 さらにYは、「110万円だけど、貯金で足りない分は、消費者金融で借りれる」などと話し、年収や月収、利用希望額、利用目的など消費者金融における借入審査で必要な事項を詳細に説明した。 借入れを躊躇するAにYは、「とりあえず審査をやってみて。お金に困っているなら俺が10万円は出すから100万円でいい」などと、契約金の減額を示唆した。 その後、Yから「Z、ついて行ってやれ」などと消費者金融まで同行を指示されたZとともに消費者金融の無人契約ブースに案内されたAであったが、借金することに悩み、逃げ出したい気持ちであったが、仕方なく手続を進め、現金を準備してから事務所に戻った。 Aが、用意した現金100万円をYに手交すると、契約関係書類を記載する手続になった。契約関係書類の説明を受ける際、Yから、クーリング・オフに関する説明はなく、実際Aが受領した契約関係書類にクーリング・オフに関する記載は認められなかった。 Aは、Zから事前に勧誘が行われるとの説明がなかったことから、印鑑を持参しておらず、Yから「印鑑いるとか何も聞かされてなかったから知らんよね。指印押しとって」などと言われたため、指示に従い、朱肉で指印した。 また、Yは、自身を「鈴木」と名乗っており契約書にも「鈴木鉄也」と署名した。 Aは、本件役務提供契約を締結後、消費生活センターに相談し、さらに行政書士を頼り、事業者に対し、文書によりクーリング・オフを申し出たところ、6月中旬、事業者から「Zは弊社のお客様であり弊社とは無関係なこと。事実を立証する証拠もないので、契約書類に記載の通り、契約解除に対しての返金につきましてはお受けすることができない決まりになっております」などと記された文書が送付されてきた。 |
事例2
令和4年5月頃、消費者B(以下「B」という。)は、友達付き合いできる知り合いを探す目的で、自身のスマートフォンからマッチングアプリを利用していたところ、事業者のX(以下「X」という。)と知り合い、メッセージアプリで連絡を取るようになった。 Xは、Bに対して、「今週空いてたりしますか??ご飯かカフェに行きませんか??」などとメッセージを送信し、本件役務提供契約の締結を勧誘するためのものであることを告げずに福岡市中央区での面会を求め、その約束を取り付けた。 後日、Xと福岡市中央区の居酒屋で食事をすることになった。Bが一人暮らしや転職について悩んでいることを話したところ、Xは、「何か行動しなければ変わらない。今のままではいつまで経っても貯金できない。一人暮らししたいんやったら、変わらないと」と話した上で、「一人暮らしとか株式とか、そういう分野に詳しい人を紹介する。無料相談だからお金はいらないから。明日、事務所に一緒に行こう」などと、知人を紹介してくれると話した。 Xにスケジュールを確認されたBは、翌日、事業者事務所に行くこととした。 Xとの一連のやり取りの中でBは、事業者の名称は聞いておらず、本件役務の内容や金額、事務所に行けば本件役務提供契約締結の勧誘が行われるとの説明は一切受けていなかった。 翌日、Bは、福岡市中央区天神のショッピングセンター前でXと待ち合わせをし、同所からXの案内で事業者の事務所に徒歩で赴いた。 事務所では、パーテーションで間仕切りされた個室に案内され、しばらくすると、Yが部屋にやってきた。世間話の後、Bが、転職等の悩みについて話したところ、Yが、「貯金をするには、株に回すか、コツコツ貯めるか、転職して給料をあげるか。今の給料は低すぎる。転職した方がいい」などと転職を勧めてきた。 さらにYは、パソコンの画面で投資に関するデータを見せながら、「うちと契約したら、これくらい利益が出る。50何万円も儲かった人もいる」などと話した後、「このまま何もしないままでは変わらない。自己投資と思ってコンサルの先生を頼って、株とかの勉強を始めた方がいい。契約金を払えば、無期限でずっと使える。契約すると、不動産契約のお金を安くしたり、車を買う時に安くしたり、貯金や転職するときの相談ができるようになる」などと、本件役務提供契約の締結について勧誘した。 さらにYは、「契約金110万円。10万円は出世払いで、今日は100万円でいい。最初に一括で払ってほしい」と代金の説明をした。あまりに高額な支払いだったためBは一旦断ったが、Yは、「これくらい払えないなら学べない。借りたお金は株式で返せるようになる。銀行じゃ審査が厳しいから、消費者金融でお金を借りられる」と消費者金融での借入方法を説明した。さらにYから、Xとともに無人契約機を回り、不明な点があればメッセージアプリで連絡を取るよう指南された。 Yから上記文言で勧誘を受けたことで、投資で利益が出るのであれば消費者金融への返済も可能であると考え、Bは本件役務提供契約を締結することを決断し、Yに「そしたら頑張ります」と告げ、そのままXとともに福岡市内の消費者金融2社から合計100万円を借金し、事業者事務所へ戻った。 事務所に戻りBが、Yに現金100万円を手交すると契約関係書類を記載する手続になった。 契約関係書類の説明を受ける際、Yから、クーリング・オフに関する説明はなく、実際Bが受領した契約関係書類にクーリング・オフに関する記載は認められなかった。 Bは、Xから事前に勧誘が行われるとの説明がなかったことから、印鑑を持参しておらず、契約書には朱肉で指印した。 また、Yは、自身を「鈴木」と名乗っており契約書にも「鈴木鉄也」と署名した。 契約後、Bは、多額の借財を背負ったことに不安を覚え、消費生活センターに相談し、事業者宛てに解約通知書を送付した。さらに消費生活センターの職員が、事業者のW(以下「W」という。)に対し、アポイントメントセールスに該当するため、クーリング・オフの適用がある旨を告げたところ、令和4年6月下旬、Wから折り返しの電話があり「店頭販売なので、クーリング・オフの適用はない」と回答がなされた。 |
事例3
令和4年4月上旬、消費者C(以下「C」という。)は、異性と出会う目的で自身のスマートフォンでマッチングアプリを利用していたところ、事業者のV(以下「V」という。)と知り合い、メッセージアプリで連絡を取るようになった。 同時期、Vは、Cに対して、メッセージアプリのメッセージ機能を用い、食事に誘ったが、その際、本件役務提供契約の締結を勧誘するためのものであることを告げないまま、福岡市内での面会を求め、その約束を取り付けた。 食事の際、Vは、Cにしつこく悩みがないかを聞き、答えに窮したCが、家族からの借金がある旨を答えたところ、Vは、「何でも相談に乗るIronという会社がある」と事業者があると説明し、Cが断ったにもかかわらず、「予約しとくね。一度この会社の説明を聞いてみて」などと一方的に事務所に行く予約をした。 Cは、説明を聞いてみるだけならと思い、事業者の事務所に行くことを承諾したが、Vとの一連のやり取りの中で、事業者の名称は聞いたものの、本件役務の内容や金額、事務所に行けば本件役務提供契約の勧誘が行われるなどの説明は一切受けていなかった。 後日、Cは、福岡市中央区天神のショッピングセンター前でVと待ち合わせをし、そこからVの案内で、事業者の事務所に徒歩で赴いた。事務所では、パーテーションで間仕切りされた個室に案内され、C、Vのほか、新たにYが部屋にやってきた。テーブルに着くと、Yが、「この会社がどんなのか教えるけん」などと言った後、パソコンを見せながら会社概要を説明した。Yは、事業者の会員になることで、株式取引や転居時の家賃の減額交渉のほか、借金を抱えた人の債務整理などのサービスが受けられると説明した。 Cは、一通り説明を聞いたが、自分には必要ないものだと考えて、帰ろうとしたところ、Yは引き続き、「全部でトータル110万円いる。100万円とりあえず今から準備しようか。持ってないと思うから、消費者金融で審査通るか先に行ってきて」と代金を準備するような話をした。VもCに「何とかなるよ。入ってみれば」などと背中を押すような話をしてきた。 Cが、一旦帰宅して考えてもよいかを確認したが、Yは、「決めるのはあなた次第やから」などと契約を迫った上、「とりあえず審査が通るかわからないから、行ってきて」などと、Vとともに消費者金融を回るよう指示してきた。 Yの押しの強さに抵抗できず、Cは、消費者金融2社を回り合計100万円を借金し、事業者事務所へ戻った。 事務所に戻りCが、Yに現金100万円を手交すると契約関係書類を記載する手続になった。 契約関係書類の説明を受ける際、Yからクーリング・オフに関する説明はなく、実際Cが受領した契約関係書類にクーリング・オフに関する記載は認められなかった。Cは、Vから事前に勧誘が行なわれるとの説明がなかったことから、印鑑を持参しておらず、印鑑を取りに帰ることを口実に事務所から離脱しようとしたが、Yから、「指でいいから押してくれ」などと指示され、契約書には朱肉で指印した。また、Yは、自身を「鈴木」と名乗っており、契約書面にも「鈴木鉄也」と署名した。 事業者と契約した後、Cは、多額の借財を背負ったことに不安を覚え、Yにメッセージアプリを用いて、クーリング・オフ制度の適用について尋ねたところ、Yから、「うちの会社は店舗契約になるからクーリング・オフっていう制度がない」旨の返信があった。 |
事例4
令和4年4月頃、消費者D(以下「D」という。)が、異性との出会い目的で自身のスマートフォンでマッチングアプリを利用していたところ、事業者のU(以下「U」という。)と知り合い、メッセージアプリで連絡を取るようになった。 令和4年4月初旬、Uと食事をすることが決まり、Uと福岡市中央区天神のショッピングセンター前で待ち合わせをして、近くの居酒屋に行った。 Uとの食事の席で一人暮らしの話題になったので、Dが、将来的に一人暮らしをしたいと話したところ、Uは、「一人暮らしを手伝ってくれる良いところがあるよ。無料相談だけでもいいから、明日一緒に行ってみない」と誘われた。Dは、無料相談という言葉を信じて、Uが勧める所に行くことにした。 Uとの一連のやり取りの中で、Dは、事業者の名称や本件役務の内容、金額、事務所に行けば本件役務提供契約締結の勧誘が行われるなどの説明は一切受けていなかった。 翌日、Dは、福岡市中央区天神でUと待ち合わせして、そこからUの案内で、事業者の事務所に徒歩で赴いた。事務所では、色付きの間仕切りがある部屋に案内され、D、Uのほかに新たにYがパソコンを持って部屋にやってきた。 テーブルに着くと、Yは、事業者のコンサルティング契約について、「不動産を借りるときや車を買う時の値段交渉を行う」などと事業内容を説明したり、パソコンで株の値動き等を見せながら、投資についても説明した。 そこでYは、「Ironに入会するとずっとサポートを受けられる。頭金として100万円が必要である」と説明したが、Dはここで初めて金額の話を聞いた。 Yからの勧誘を受け、本件役務に興味を持ったDが、Yに100万円を持ち合わせていないことを告げると、「じゃあ消費者金融に借りに行こうか」と言われ、Uとともに福岡市内の消費者金融に行き、借入審査を受けた。 消費者金融の無人契約機で借入審査を受けていたが、Dは、50万円しか審査が通らなかったので、貯金と合わせて90万円を準備した。 Dが、90万円しか準備できなかったことをYに伝えると、Yから、「残りは俺が出すからいい」などと言われ、事務所へ戻ってからYに90万円を手交し、申込書などを記載し、領収証を受け取った。 契約関係書類の説明は、Yが行い、契約書面にも「鈴木鉄也」と署名した。 |