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令和4年人事委員会勧告
令和4年「福岡県の職員の給与等に関する報告及び勧告」の概要
本年の給与勧告のポイント
月例給、ボーナスともに引上げ
- 民間給与との較差978円(0.27%)の解消を図るため、初任給及び若年層の給料月額を引上げ
- 民間の支給割合に見合うよう、期末・勤勉手当(ボーナス)を0.10月分引上げ
(年間支給月数4.30月分 → 4.40月分)
1 人事委員会勧告制度の基本的な考え方
本委員会は、地方公務員法に基づき、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、民間事業所の従業員の状況、国及び他の地方公共団体の職員の状況等を考慮した上で、労働基本権制約の代償措置として、職員の給与等に関し、報告及び勧告を実施
2 民間給与との比較に基づく給与改定等
(1)職員給与と民間給与との比較
企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の県内の民間事業所1,994事業所から506事業所を無作為に抽出して調査を行い、把握した民間給与と職員給与を比較
ア 月例給
民間と県職員の本年4月分給与の額について、主な給与決定要素である役職段階、年齢、学歴を同じくする者同士を対比させ比較。職員給与が民間給与を978円(0.27%)下回る。
民間給与(A) |
職員給与(B) |
公民較差(A-B) 〔(A-B)/B×100〕 |
366,510円 |
365,532円 |
978円 〔0.27%〕 |
※職員給与:行政職給料表適用職員のうち、行政職俸給表(一)の適用を受ける国家公務員に相当する職員(平均年齢41.8歳、平均経験年数20.0年)の平均給与月額
イ 期末・勤勉手当(ボーナス)
昨年8月から本年7月までの直近1年間の民間の支給実績(支給割合)と職員の年間の支給月数を比較。職員の支給月数が民間の支給割合を0.10月分下回る。
民間の支給割合(A) |
職員の支給月数(B) |
差(A-B) |
4.40月分 |
4.30月分 |
0.10月分 |
(2)給与改定の内容(令和4年4月1日から実施)
ア 月例給
公民較差の状況及び人事院勧告における俸給表の改定内容を勘案して、給料表を改定。初任給を引き上げ、30歳台半ばまでの職員が在職する号給について所要の改定
イ 期末・勤勉手当(ボーナス)
民間の年間支給割合に見合うよう、0.10月分引上げ
・4.30月分 → 4.40月分(引上げ分は勤勉手当に配分)
[参考] 職員(行政職)の年間給与(月例給+ボーナス)の平均額
改定前 |
改定後 |
増減額 |
6,035,390円 |
6,089,630円 |
54,240円(0.90%) |
(3)社会と公務の変化に応じた給与制度の整備
本年、人事院は、能率的で活力があり、一人一人が躍動できる公務組織の実現に向けて様々な取組を進める中で、給与制度についても、社会と公務の変化に応じたアップデートを図っていく必要があると報告した。
この給与制度の整備については、今後、人事院の検討状況や他の都道府県の動向等を注視していく必要がある。
3 意見
(1)人材の確保及び育成について
ア 有為な人材の確保
職員採用を取り巻く環境は、今後一層厳しくなることが予想され、受験者の確保は喫緊の課題となっている。
本委員会では、社会に貢献できる県職員の仕事のやりがいや魅力を発信し、有為な人材の確保につなげるため、今後も任命権者と緊密に連携を図り、就職を意識する早い学年からセミナー等への参加を促すとともに、試験の受験者層ごとに効果的な情報発信を行うなど、より有効な受験者確保策に積極的に取り組んでいく。
イ 女性の活躍推進
任命権者においては、組織の活力向上及び政策方針決定過程への参画拡大を図るため、特定事業主行動計画に基づき女性職員の登用を行っており、一定の成果をあげているところである。
今後も引き続き、計画に基づき女性職員の活躍をより一層推進していく必要がある。
ウ 人事評価制度に基づく適正な人事管理
本県の人事評価制度は、全職員を対象に給与への反映がされており、既に制度として職員に受け入れられているところである。任命権者は、引き続き、運用実態の検証や評価者である管理職員のスキル向上などに努め、職員の理解と納得感を高めながら適正な人事管理を進めていく必要がある。
(2)働き方改革の推進と勤務環境の整備等について
ア 長時間労働の是正等
長時間労働は、職員の心身の健康を損なうおそれがあるのみならず、仕事と生活の両立支援や労働意欲保持に影響を及ぼすものであるため、組織を挙げて強い姿勢で、その是正に取り組む必要がある。
任命権者においては、業務量に応じた人員の確保や適正な配置に更に努めるとともに、コロナ禍を契機に事務事業の精選、効率化を一層進めるなど、時間外勤務の縮減に向けたより実効ある取組を実施・徹底していくことが必要である。
また、長時間労働に従事した職員が医師の面接指導を確実に受けることができるよう配慮し、医師の意見により必要な場合には、当該職員の実情に応じた措置を講じる必要がある。
年次休暇については、引き続き、使用しやすい職場づくりに努める必要がある。
イ 教員の働き方改革
教育の質の維持・向上のためには、教職員が限られた時間の中で児童生徒と向き合う時間を確保・充実させる必要があり、そのためには、個々の教職員の業務の見直しだけでなく、学校の組織マネジメントを強化する観点から校長等の管理職員をはじめとした教職員が一丸となって、働き方改革を進め、学校の運営体制の充実を図ることが必要である。
県教育委員会においては、現在実施している取組の結果を検証し、より効果的な取組を着実に推進していくことが必要である。併せて、市町村教育委員会と連携を図るとともに、市町村教育委員会や小中学校の取組を支援していく必要がある。
ウ 多様な働き方の推進及び仕事と家庭等の両立支援
任命権者においては、多様な働き方について、現行の制度の活用状況や職員のニーズを踏まえ、国や他の都道府県、民間労働法制の動向にも留意しながら、引き続き、検討し充実を図る必要がある。
また、男性職員の仕事と育児の両立のため、子育てに関する制度や、多様な働き方が幅広く利用されるよう周知を図るとともに、職場におけるサポート体制を整えていくことが必要である。
エ ハラスメント防止対策
職場におけるあらゆるハラスメントは、職員の人格や尊厳を傷つけるだけでなく、職員の心の健康を損なわせ、公務能率の低下や貴重な人材の損失につながりかねない重大な問題である。
任命権者においては、引き続き、職員への周知・啓発などの取組を行うとともに、管理職をはじめとする全ての職員は、誰もがハラスメントの行為者となり得ることを十分理解した上で、自らの言動に注意を払い、ハラスメントのない職場環境づくりに取り組む必要がある。
オ メンタルヘルス対策
任命権者においては、引き続き、互いに協力し合える風通しの良い職場づくり、メンタルヘルス不調を生じた職員の早期発見と早期対応、円滑な職場復帰のための支援、再発予防に向けた取組などを確実に進めていくことが重要である。なお、職員のメンタルヘルス対策の観点からも、長時間労働の是正やハラスメントの防止について、しっかりと取り組んでいかなければならない。
カ 会計年度任用職員制度の適切な運用
会計年度任用職員が意欲を持ち、安心して働くためには、勤務環境や勤務条件の確保は重要であり、任命権者においては、引き続き、適切に制度を運用していくとともに、昨年言及した特別給の在り方を含め、その勤務条件について、不合理な取扱いが行われることのないよう継続して検討していくことが必要である。
(3)定年の引上げに関する制度について
任命権者においては、組織全体の活力が維持できるよう、制度を確立するとともに、職員に対する情報提供等により、円滑な制度移行に向けて取り組むことが重要である。
なお、再任用職員の処遇については、フルタイム勤務が多いといった本県の実情も考慮しつつ、その在り方について検討を行う必要がある。
本委員会においては、任命権者と協議を行いながら、他の都道府県の動向を注視しつつ、関係規程の整備を行っていく。
(4)公務員倫理の徹底について
職員自身においては、県民全体の奉仕者であることや、自身の行動が県全体と県職員全体の信用に大きな影響を与えることをしっかりと自覚し、公務内外を問わず自らの行動を厳しく律する必要がある。
任命権者においては、引き続き、職員倫理に関する研修や啓発など服務規律の確保の取組を強く推し進めることが必要であり、また、管理職員は、風通しの良い職場環境の構築に取り組むことが重要である。