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パワーハラスメントを受けた場合
近年、ハラスメントに関する相談をお寄せいただくことが多くなっています。
ハラスメントといっても、パワハラ、セクハラ、マタハラなど多様なものがありますが、それぞれの定義は厚生労働省の「あかるい職場応援団」に記載されています。
今回はハラスメントの中でも、特に相談件数の多いパワーハラスメント(以下、パワハラ)について、当所に御相談いただいた際にお伝えしている内容を紹介します。
1 まずは職場内で解決を
事業主には、職場内でパワハラが起きないよう防止措置を講じることが法律(労働施策総合推進法第30条の2)で定められており、その具体的な内容については、厚生労働省から以下のように示されています。
また、相談等をした労働者に対する不利益な取り扱いは法律で禁止されています。
■事業主が講じるべき措置■
1)ハラスメントの内容、方針の明確化と周知・啓発
2)行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発
3)相談窓口の設置
4)相談に対する適切な対応
5)事実関係の迅速かつ正確な確認
6)被害者に対する適正な配慮の措置の実施
7)行為者に対する適正な措置の実施
8)再発防止措置の実施
9)当事者などのプライバシー保護のための措置の実施と周知
10)相談、協力等を理由に不利益な取扱いを行ってはならない旨の定めと周知・啓発
このため、職場でパワハラを受けたと感じた場合には、まずは職場内の相談窓口(総務や人事部署にあることが多い)に相談しましょう。
また、加入している労働組合がある場合は、そちらに相談されることも有効な場合があります。
2 職場内での解決が難しい場合
上記の「事業主が講じるべき措置」が取られていない場合や相談したことで不利益を受けた場合
職場への指導権限を持つ以下の機関に相談しましょう。
■厚生労働省福岡労働局雇用環境・均等部 指導課 092-411-4894
職場内の相談窓口に相談したが解決しない場合
■福岡県筑後労働者支援事務所 0942-30-1034
パワハラ等に関する相談を受け付けるほか、必要に応じて、個別労働紛争解決のための
「あっせん」を実施しています。あっせんとは、労働者支援事務所が労働者と使用者の間に立ち、
公正・中立な立場で意見の調整を図るものです。
※労働者支援事務所は県内4地域(福岡・北九州・筑後・筑豊)に設置されています。
■厚生労働省福岡労働局 総合労働相談コーナー 092-411-4764
パワハラ等に関する相談を受け付けるほか、必要に応じて、個別労働紛争解決のための
都道府県労働局長による助言・指導や紛争調整委員会によるあっせんを実施しています。
■福岡県弁護士会 法律相談センター 0570-783-552
労働者側の相談は3回目まで無料です。労働相談を受け付けるほか、相談後に弁護士に
労働審判等の手続を依頼することができるため、解決に繋がります(依頼は有料です)。
■日本司法支援センター 法テラス 0570-078374
国が設立した公的な法人です。経済的に余裕のない方には、無料で3回まで相談できる制度や
弁護士費用や司法書士費用等を立て替える制度があります。
※「経済的に余裕のない方」にあたるかどうかは、収入や預貯金額などで決まります。
詳しくは法テラスのホームページをご覧ください。
■合同労組(ユニオン)
職場に労働組合がない方でも、個人で加入することができる労働組合です。
加入すれば、職場と団体交渉をすることができます。団体交渉を申し入れられた職場は、
合理的な理由がない限り、交渉を拒むことはできません。
パワハラに該当するかの判断
個別事案について、パワハラの該当性を判断するにあたっては、 一律的に行うのではなく、業務上の必要性や行為の相当性などのほか、労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛の程度などを総合的に考慮して判断することが必要です。
また、争いとなった場合、最終的には裁判所が判断することとなります。
パワハラに該当すると考えられる例(厚生労働省告示) [PDFファイル/236KB]
もしも被害にあったら…
■記録を残す
ハラスメントが発生した日時、場所、具体的な状況(誰から何を言われたか、その場に誰がいたかなど)を記録しましょう。「暴言」には録音などの対応も有効です。職場や外部機関に相談するうえで、この記録はとても重要な証拠となります。
■相談する
ハラスメントは我慢していても解決しません。それどころかエスカレートする可能性があります。一人で悩まず、まず同僚や上司に相談しましょう。周りの協力を得ることで、ハラスメントを行う本人が自らの行為に気づく場合があります。
■心を休める
精神的にダメージを受けた場合には無理をすることは禁物です。精神的に辛い場合や身体的な症状が出た場合には速やかに専門医に相談しましょう。医師から休養を勧められた場合は、診断書を書いてもらい、まずは休むことが大切です。早めに対処しましょう。
※社会保険加入者が病気やケガで働くことができない場合は、傷病手当金が受給できる場合があります。
職場におけるハラスメント対策パンフレット
この他、ハラスメントに関する詳細は、厚生労働省のパンフレットをご覧ください。

