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平成30年度環境保全団体交流会を開催しました!
活動報告
筑紫・糸島地区地域環境協議会(事務局:福岡県筑紫保健福祉環境事務所)では、管内における環境保全関連活動団体の相互間の交流や研鑽を目的として、毎年、環境保全団体交流会を開催しています。
今年度は、以下のとおり実施しました。
- 開催日時:平成30年11月4日(日曜日) 9時30分から12時15分
- 開催場所:クローバープラザ 4階 調理実習室(春日市原町3丁目1-7)
- 参加者数:15名(筑紫・糸島地区で活動する環境保全団体の構成員、福岡県地球温暖化防止活動推進員、市町村職員ほか)
- テーマ:「地産地消の消費スタイルで地球温暖化防止に貢献を」「食品ロス削減の工夫」
- 内容:
(1) 講演・実習
講師 篠原 貴美恵 氏(福岡県地球温暖化防止活動推進員/未来(みく)の会所属)
松井 久美子 氏(未来の会所属)
(2) 自由交流会
講演・実習
今回の環境保全団体交流会では、これまであまり取り上げてこなかった「地球温暖化対策」と「循環型社会の推進、特に食品ロスの削減」をテーマとし、これらの分野の啓発活動に精力的に取り組んでいる方を講師に招き、啓発活動の実践内容を披露していただきました。
-地産地消の消費スタイルで地球温暖化防止に貢献を-
食料の輸送が地球環境に与える負荷を把握する指標として、フード・マイレージがあります。これは、[食料の重量(t)×輸送距離(km)]で表される非常に簡略化された指標です。「二酸化炭素排出量」のように特定の項目の環境負荷を取扱う場合は、輸送手段によって異なる排出係数を掛ける必要があります。
日本の食料自給率は39%であり、食料の多くを輸入に頼っているため、フード・マイレージが世界一高いと言われています。
大豆は、日本の食卓に並ぶ様々な食品の原材料となっていますが、自給率は7%ほどです。
地産地消の消費スタイルでいかに環境負荷を減らせるか-
例えば、豆腐製造においてアメリカ産輸入大豆に替えて地元産大豆を使用した場合のケーススタディでは、フード・マイレージが約6000分の1、二酸化炭素排出量が約400分の1となることがわかりました。
この例にならい、食卓に並ぶ外国産の食べ物のうち2割を地元産に替えることにより、一人当たり年間約26kgの二酸化炭素削減になります。
このように、地産地消の消費スタイルにより、環境負荷の低減、地球温暖化防止への貢献ができます。
また、旬のものを食べることも、環境負荷の低減、地球温暖化防止につながります。
旬の食材のメリットである「新鮮でおいしい」「大量に出回って安い」「自然の営みに従って育つため省エネ」を享受しない手はありません!
-食品ロス削減の工夫-
食品ロスとは、「本来食べられるのに、廃棄されている食品」のことです。それは、食品の製造・流通・販売の各段階で規格外品や返品という形で発生したり、飲食店や家庭における食べ残し等により発生しています。
驚くべきは、その量です。
一人一日当たり約140g。これはお茶碗1杯のごはんに相当する量ですが、毎日国民全員がそれだけの量の食品を捨てているということになります。実にもったいない話です。
食品ロスについては、発生している各段階で対策の余地が十分にあると考えられますが、まずは、できることから取り組んでいくことが大切です。
福岡県では、「30・10運動」を推奨しています。これは、宴会で食べ残しをなくすためのルールで、乾杯後30分間と宴会終了前10分間は自分の席について、しっかり料理を楽しんで食べましょう、というものです。年末に向けて、宴会に参加する機会も増えると思いますが、ぜひ実践していただきたいと思います。
家庭でできる工夫の1つとして、上手な買い物と冷蔵庫の食材の管理が挙げられます。それをテーマとして取り上げた紙芝居「とまとくんの涙」を篠原講師に実演していただきました。
おいしそうなトマトとして買われたのに、冷蔵庫の片隅に忘れ去られてしまった「とまとくん」。いつか、おいしく食べてもらえることを願っていましたが、スーパーの安売りで新しいトマトが買われてきました。その時初めて、住民は冷蔵庫に「とまとくん」が残っているに気が付き、「とまとくん」を燃えるゴミの袋に入れてしまいます。「とまとくん」は、たとえ食べてもらえなくても、大地に還ることだってできたのに、燃やしてしまうなんて・・・と、焼却炉の炎の中で赤い涙を流す というお話です。
-味噌作り実習-
この実習は、フード・マイレージや食品ロス削減という本日のテーマについて考えるだけでなく、講師の所属団体「未来の会」の理念である「食を通して環境問題を考える」ことがあらゆる場面で感じられるものでした。
まずは味噌の原料。
大豆と麹は県内産のものを使用しました。地産地消の素晴らしさを実感します。
塩は海水成分そのものが濃縮された製品を使用しました。食の安全に配慮して、余計な成分調整が行われていないものを選ぶのですが、ミネラル分がたっぷりで味わい深い塩です。
味噌作り実習では、講師が3日前から大豆を水につけたり、煮たりして準備をしていただいているため、煮大豆と塩と麹を混ぜ合わせ、甕(かめ)に入れる作業を行います。
味噌作りのコツは、原料をよく混ぜ合わせることと、カビ対策を講じることです。
煮大豆は餅つき機を使ってペースト状にします。これをばんじゅう(いわゆるパン箱)に入れ、塩と麹をよく混ぜ合わせます。さらさらした塩とふわふわした麹がばんじゅうの隅に溜まりがちになりますが、指ですくい取って、体重をかけるようにしてまんべんなく煮大豆と混ぜ合わせます。
カビが発生する原因は3つ考えられます。「容器・器具の殺菌が不十分であること」「原料に空気が含まれてしまうこと」「菌の侵入対策が不十分であること」。
そこで、甕は焼酎をスプレー噴霧し、拭き取ってから使用します。
そして、混ぜ合わせた原料を手に取り、左右の手で交互にキャッチするようにしながら団子にしていきます。これで空気が抜けます。さらに、甕に詰める際も、叩きつけるようにして詰めます。これで空気の入る隙間なく詰めることができます。
詰め終わったら、表面を平らにし、甕の縁を焼酎で拭き、表面にふり塩をします。特に、原料と甕の境界は菌が侵入しやすい場所なので、塩を多めにふります。
最後に焼酎スプレーで消毒したビニールを二重にして張り、重し用の塩を詰め、蓋をして終わりです。
直射日光の当たらない風通しのよい場所に置き、4ヶ月ぐらいで食べられるようになります。
自由交流会
この日作った味噌は4ヶ月後に参加者に配付しますが、手作り味噌のおいしさを味わうため、講師があらかじめ作っておいた味噌を使って、味噌汁の試食をしました。
味噌汁を作る時は、食品ロス削減を念頭に置き、人数分の食材を準備し、また、可食部を最大限に利用して作ることを心がけました。
おいしい味噌汁を食べながら、自由に歓談していただきました。
まとめ
本日の交流会のまとめとして、事務局である筑紫保健福祉環境事務所から、生物多様性の保全も、豊かで安全な食の確保も、地球温暖化対策とつながっていることについて話をさせていただきました。
2015年に締結されたパリ協定で気温上昇を2℃未満にすることが国際的に合意されました。2℃を超えると、地球温暖化により起こりうる様々な被害のリスクがぐっと高まることになります。例えば、2℃を超えると「作物の生産高が地域的に減少する」、3℃を超えると「広い範囲で生物多様性の損失が起きる」というリスクが高まります。
しかし、これまでどおりのペースで二酸化炭素が排出されると、あと30年もしないうちに2℃に到達すると予測されています。
そこで、国民全体で省エネ・節電に取り組むため、国はCOOL CHOICE(賢い選択)を推進しています。温暖化が進行している中でどういうライフスタイルを選ぶべきか。温暖化をこれ以上進行させないために何をすべきか。
買い物をする時に、地元産の食料を選んで買うこと、これもCOOL CHOICEです。
子どもたちに未来を残していくために、一人ひとりがCOOL CHOICEを心がけていきたいものです。
福岡県では、家庭における省エネ・節電の取組みを応援するために、エコファミリー登録制度を設けています。この日も、新たに1名の方に新規登録の申請をいただき、エコファミリー応援キャラクター「エコトン」がプリントされたハンドタオル等の登録特典をお渡ししました。
参加者の声
<講演・実習> 満足度 平均4.8点(5点満点換算)
- 今まで体験したことのない切口でおもしろかった。
- 大人も子どももやはり体験型が楽しく参加できる。
- 食べ物から環境を考えることがよかった。
- 未来の会の先生方の説明はとてもわかりやすく、とても楽しかった。
- 身近なところから環境について考える、素晴らしい会でした。
<自由交流会> 満足度 平均3.9点(5点満点換算)
- 参加団体が少なかった。