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グラフふくおか 2013冬号 winter 通巻573号平成25年12月20日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

写真:グラフふくおか(2013 冬号)
写真:グラフふくおか2013冬号表紙

表紙紹介:みやま市 きじ車

白秋も愛した みやまの郷土玩具

写真:きじ車

きじ車 宮本
みやま市瀬高町下庄2189
☎0944-62-2555

 まんまるな目に、赤や緑の模様が描かれた愛嬌たっぷりのきじ車。 地域によっては「きじ馬」とも呼ばれ、さまざまな形で九州各地に伝わっています。きじ車の先端に紐(ひも)を結び、子どもが引いて遊ぶ玩具として、また、開運や縁結び、家庭円満のお守りとして親しまれています。
 みやま市瀬高町に伝わるきじ車は、「みやま市のある山中で、唐から帰国途中の伝教大師(最澄)を、一羽のきじが道案内をした」という伝説が由来となっています。柳川市出身の北原白秋が、「父恋し 母恋してふ 子の雉子(きじ)は 赤と青もて 染められにけり」と詩を詠んだことで全国的に知れ渡りました。
 特徴は、くぎを使わず組み立てる技法。作り手の宮本弥一郎さんは、地元で宮大工を50年以上勤めた後、制作を始めました。 現在、伝統工芸品清水きじ車保存会会長として、子どもたち向け色付け体験教室を開いている宮本さん。「来年は80歳を迎えますが、子どもたちから“いつまでも大切にとっておきたい”といった言葉をもらうと励みになりますね」と、目を細めます。
 平成23年には一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会が行う伝統的工芸品産業大賞の作り手部門功労賞を受賞。地域の人に親しまれてきた郷土の伝統を守り続けています。

写真:宮元弥一郎さん(1)宮大工としての経験を生かしつつ、来年で制作歴20年になる宮本弥一郎さん