県では、NPO・ボランティアや企業、行政など、多様な主体の「協働」による“新しい共助社会”づくりを進めています。このコーナーでは、毎号、新しい共助社会づくりに取り組む皆さんをご紹介します。
平成23年2月9日、粕屋町で起きた飲酒運転事故で高校生2人の尊い命が奪われました。
その被害者の一人の母親、山本美也子さんは、笑顔が似合う明るい息子さんと暮らした日々の思いを原動力に現在「NPO法人はぁとスペース」の代表として、飲酒運転撲滅を呼びかける活動を精力的に行っています。
「本当にたくさんの人に支えていただきました。皆さんが私のような悲しい思いをしないためにも、飲酒運転撲滅への思いを伝えていかなければと思ったんです」と山本さん。
ハートマークがあしらわれた「STOP!!飲酒運転」ステッカーを作成し、県内の中高生などに配布したり、全国各地で講演会を行ったりしています。
その講演を聴き感銘を受けた人たちを通じて、九州キリンビバレッジサービスの川村一路さんと出会い、売り上げの一部が設置先から「NPO法人はぁとスペース」の飲酒運転撲滅活動に寄付される支援自販機の取り組みが新たにスタートしました。
「STOP!!飲酒運転」のハートマークが描かれた支援自販機。平成24年1月、3台から始まった設置活動は、2年弱で県内外に190台まで広がっています。
「講演を聴いた社員はみんな心を打たれ、応援の輪を広げたいという気持ちになりました」と話す川村さん。全国に向けた設置活動に取り組んでいるキリンビバレッジ九州地区本部の清田冬樹さんも心を動かされた一人。「定期的に社員20〜30人で街頭啓発活動や講演に同行しています」と、グループでの取り組みを進めています。
今年4月には、支援自販機の売り上げの一部から寄付された約50万円で、中学・高校17校の生徒に3400枚のステッカーを配布。未来を担う生徒からは「社会に出ても飲酒運転は絶対しない」という嬉しいメッセージを受け取りました。
「活動を通じて社会が少しずつ動いていると感じます。悲しい事故を減らすため、残された家族の役割として、できる限り活動を続けていきたい」と、山本さん。飲酒の機会が増える年末に向け、一層の熱意を込めて活動に取り組んでいきます。