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グラフふくおか 2013冬号 winter 通巻573号平成25年12月20日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

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黒田官兵衛と、ライバルたち─ 知られざる福岡藩270年

黒田藩ゆかりの地(北九州編)

城井ノ上城址(きいのこじょうあと)

写真:城井ノ上城址(きいのこじょうあと) 400年以上にわたって宇都宮氏が支配してきた城井谷(築上町)。支城の一つである城井ノ上城(築上町寒田)は周囲を巨岩に囲まれた天然の要塞で、三丁の弓だけで守れるといわれたほどでした。この難攻不落の要塞を黒田軍も攻めあぐねたと伝わっています。

築上町寒田

築上町商工観光課 ☎0930-52-0001(支所)

小倉城跡

写真:小倉城跡 九州平定後に秀吉が小倉城に立ち寄った後、豊前六郡を官兵衛に与えるとの知行宛行状(ちぎょうあてがいじょう)(領地を与える証文)を出しました。また、関ヶ原の戦いの際、西軍の石田三成側に属した小倉城主・毛利勝信を官兵衛が攻め、落城させたといわれています。現在の小倉城は昭和34年に再建されたもので、天守閣は「唐造(からづく)りの天守」と呼ばれ、4階と5階の間に屋根のひさしがなく、5階が4階よりも大きくなっているのが特徴です。また、城の石垣は切石を使わない豪快な「野面(のづら)積み」となっています。

小倉城

北九州市小倉北区城内2-1 ☎ 093-561-1210
9:00〜18:00〈入場は30分前まで(11月〜3月は〜17:00)〉
年中無休
一般350円、中高生200円、小学生100円

求菩提(くぼて)資料館

写真:求菩提(くぼて)資料館
提供:菩提資料館
 中津城の城主であった官兵衛とその従者が求菩提山(豊前市)を訪れ、桜狩(桜の花見)を楽しんだときに詠んだ歌が残されています。現在春の風物詩として日本各地で行われる「桜の花見」は、秀吉が広めたものとされており、九州で初めて花見を行ったのは秀吉の側近であった官兵衛ではないかという説があります。  資料館のある求菩提山は、5〜6世紀にさかのぼる山岳宗教「修験道」の九州における拠点であり、それらに関する資料も豊富です。

求菩提資料館

豊前市鳥井畑247 ☎ 0979-88-3203
9:30〜16:30(入館は16:00まで)
月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
無料

北九州市立いのちのたび博物館 自然史・歴史博物館

写真:北九州市立いのちのたび博物館 自然史・歴史博物館 官兵衛・長政の書状や秀吉からの知行宛行状、黒田二十四騎の久野重勝(ひさのしげかつ)、井上之房(いのうえゆきふさ)の甲冑(かっちゅう)などが展示されています。官兵衛、黒田家に関する貴重な史料が見学できる施設です。

北九州市立いのちのたび博物館

北九州市八幡東区東田2-4-1 ☎ 093-681-1011
9:00〜17:00(入館は16:30まで)
年末年始(12/29〜1/1)、毎年6月下旬頃一週間
一般500円、高校生以上の学生300円、小・中学生200円

黒田藩ゆかりの地(筑後編)

水田天満宮

写真:水田天満宮 関ヶ原の戦いの後、柳川の立花宗茂と佐賀の鍋島直茂が激突する八院の合戦(大川市)が起こりました。このとき、加藤清正とともに鍋島軍に加勢した官兵衛は坂東寺(ばんどうじ)に陣を張ったといわれます。その後、この合戦を終結させるために、加藤清正と官兵衛が水田口(筑後市)の水田天満宮で会見し、立花宗茂を説得して柳川城を開城させました。水田天満宮内の末社「恋木(こいのき)神社」は、日本で唯一、「恋命(こいのみこと)」を祭神としており、現在縁結びの神社として人気のスポットとなっています。

水田天満宮

筑後市水田62-1 ☎ 0942-53-8625

柳川藩主立花邸 御花

写真:柳川藩主立花邸 御花  立花家と黒田家は婚姻関係でも結ばれています。宗茂の孫娘が福岡藩四代藩主綱政に嫁ぎ、五代藩主宣政(のぶまさ)を産んでいますし、福岡藩六代藩主継高(つぐたか)の娘も、柳川藩七代藩主鑑通(あきなお)の正室として嫁いでいます。立花家の別邸であった建物や庭園は、現在一般公開されています。旧藩主の暮らしをしのばせる数々の収蔵品も見事で、冬は日本庭園「松濤園(しょうとうえん)」に野鴨も飛来し、柳川の冬を彩る風物詩となっています。

柳川藩主立花邸 御花

柳川市新外町1 ☎ 0944-73-2189
9:00〜18:00
一般500円、高校生300円 、小・中学生200円
※松濤園、立花家史料館、西洋館、大広間などの見学が可能です

取材協力:藤香会   |   出典 『福岡県史』、柳川市史別編『新柳川明証図会』、『久留米市史』