うどんにラーメン、もつ鍋、水炊き、焼き鳥、ごまさば、明太子、そして新鮮な刺身!!全国が注目する、ふくおか自慢の「おいしい!」にはしょうゆが欠かせません。
福岡県のしょうゆは、地元の新鮮な食材と料理を生かす名脇役。福岡県の食文化と結びついた「地しょうゆ」がたくさん。県内のしょうゆ蔵元数は約90社と、その数はなんと日本一!そう、実は、福岡県は「しょうゆ県」なんです。そんな福岡県のしょうゆ造りの現場を訪ねました。
福岡県醤油醸造協同組合
日本一の「しょうゆ県」は最高品質の生揚げしょうゆを造る醸造工場から
福岡県醤油醸造協同組合の熊抱貴士(くまだきたかし)さん(左)と脇山元気(わきやまもとき)さん(右)。熊抱さんはJAS登録認定機関「一般財団法人 日本醤油技術センター」にも所属し、しょうゆの品質向上と表示の適正化を計る審査員の資格を持ち、醤油品評会でも活躍。脇山さんは「しょうゆものしり博士」。しょうゆ普及のため各地のイベントでPR活動も行っている
甘くてうまいしょうゆの素「生揚げ(きあげ)」を製造
甘くてうまいしょうゆの理由
福岡県のしょうゆが甘いのは、歴史と食文化が深く関係しています。戦後の物資不足を背景に、昭和30年頃からアミノ酸液や甘味料を加えた「混合しょうゆ」が盛んに製造されるようになり、これが現在の九州しょうゆのベースとなりました。また、かつて長崎街道(シュガーロード)沿いで育まれた甘みを好む食文化も、その定着を後押ししました。この甘い味覚は、地元の食材とも密接に結びついています。例えば、関東では熟成させてうまみを引き出したマグロを塩味の強い本醸造しょうゆで味わうのに対し、福岡近海で取れる新鮮な魚を味わうには、甘くてコクのあるしょうゆがぴったりでした。
福岡県のしょうゆ造り
大豆や小麦の生産が盛んな福岡県は、古くからしょうゆ造りの基盤が整っており、現在もしょうゆの醸造元数は日本一を誇ります。全国的に蔵元が減少する中、福岡県で約90社もの蔵が個性を守り続けている背景には、福岡県醤油醸造協同組合による先進的な取り組みがあります。
筑紫野市にある組合の醸造工場では、加盟する約90社の蔵元の個性のベースとなる高品質な生揚げしょうゆを大規模に共同生産しています。この体制によって、個々の蔵元が伝統の味を守りながら、安定した品質のしょうゆを造り続けることが可能になりました。組合から届いた生揚げしょうゆに、各蔵元で職人がそれぞれの秘伝の配合で甘みやうまみを調え、地域に根差した唯一無二の地しょうゆが生まれます。
大規模な自動製麴室(せいきくしつ)では、蒸煮大豆、割砕小麦、種こうじを一つに合わせ、回転させながら適温でこうじ菌の増殖を促します。約45時間をかけてしょうゆの味の決め手となるこうじを大切に育てていきます。
しょうゆの造り方
福岡県のしょうゆ造りは大豆、小麦、こうじ、塩を仕込むことから始まり、蔵ごとの加工を経て完成します。
1. 原料処理
- 大豆から脂を抜いて加工した脱脂加工大豆を蒸します。
- 小麦をいって割砕(かっさい)しておきます。
2.こうじ造り
- 処理した大豆と小麦にこうじを加えて製麴室へ入れます。
- 約45時間かけて丁寧に混合し、しょうゆこうじを造ります。
3.発酵・熟成
- しょうゆこうじを塩水で仕込み、しょうゆの素となるもろみにします。
- 発酵を促すように温度管理したタンクで4カ月〜半年ほど熟成させます。
- 定期的に櫂(かい)やエアーポンプを使ってかき混ぜます。
4.搾り
- 熟成したもろみを圧搾機にかけ、搾れば生揚げしょうゆの出来上がりです。
- 残ったもろみ粕は乳牛の飼料にします。
5.出荷
- 品質チェックを経て、県内の各蔵へ生揚げしょうゆを出荷します。
6.加工
- 蔵ごとに甘みやうまみなど味を調えます。
7.商品完成
福岡県産しょうゆを認証する「福醤」マーク
梅の花のように描かれた丸みには発酵が育むうまみの膨らみ、造り手と使い手、地域と食文化のつながりを描いています。「福醤」マークは、安心して福岡県産しょうゆを選ぶための信頼の目印です。
しょうゆの種類
溜しょうゆ
普通のしょうゆより大豆の量が多く、水を少なめで仕込む。とろみと独特の香りが特徴。
再仕込しょうゆ
普通のしょうゆ造りで使う水の代わりに生揚げしょうゆを使うぜいたくなしょうゆ。深いコクと風味が特徴。
濃口しょうゆ
しょうゆの基本が濃口。色合いと風味のバランスが良く、どんな料理にも使われる。
淡口しょうゆ
主張しないしょうゆ味で、塩分は高め。だしの効いた味わいにぴったり。
白しょうゆ
大豆1に対して小麦9の割合で製造。コクが抑えられ、料理のうまみを引き立てる。

