小特集
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、2022年7月に世界遺産登録5周年を迎えます。
1600年以上続く”信仰の伝統“を未来へ
「神宿る島」沖ノ島への信仰は、厳しくも豊かな海と人々の関わりの中で生まれ、長い間大切に受け継がれてきました。
九州本土から約60キロメートル離れた宗像大社沖津宮(沖ノ島)をはじめとする宗像大社の境内と、沖ノ島での祭祀(さいし)を担った豪族・宗像氏が眠る新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群から構成されるこの遺産群は、古代から現在まで連綿と継承されてきた「神宿る島」沖ノ島を崇拝する文化的伝統の存在を示す、紛れもない証しです。
沖ノ島には、東アジア諸国間の活発な交流に伴って行われた、航海安全に関わる4世紀後半から9世紀末の祭祀遺跡が、ほぼ手付かずの状態で残されています。このような沖ノ島に対する崇拝は、宗像大社三宮における宗像三女神への信仰という形で、現在まで受け継がれてきました。
「ふるさとの宝を守り伝えたい」という、市民の思いから始まった世界遺産登録活動が結実してから5年。「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群を、人類共通の宝として未来へ守り伝える活動が今も続けられています。
- 現在、世界では毎年800万トンのごみが海に流出しているという。海を漂うごみは、美しい風景や生き物を傷つけるだけでなく、信仰を守り伝えてきた漁師たちの仕事の妨げにもなっている。「海を守ることは、世界遺産を守ること」を合言葉に、地域の人々を中心とした海岸清掃が定期的に行われている
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群公式HP 観光情報など
こちらからINTERVIEW
藤原実咲(ふじわらみさき)さん(宗像市出身)
小学5年生のとき、友人の誘いで見に行った『むなかた三女神記』に感動して出演者の一人に。主人公を始め、多彩な役で毎年出演
市民参加型ミュージカル『むなかた三女神記』は世界遺産登録の大きな一歩に。地域の誇りをこれからも
大陸と九州を結ぶ海の道に祭られた3人の女神様(宗像三女神)の物語を伝える『むなかた三女神記』は、市民参加型で作り上げたミュージカル。
友人の誘いで見に行った初回公演(2009年)に感動した藤原さんは「私もこの感動を伝える側になりたい!」と、オーディションを受けることを決意します。以来、毎年舞台に立つほど夢中に。
「この舞台に参加したことで、宗像の歴史や文化を知ることができました」と藤原さん。それまで何気なくそこにあった宗像大社や大島が、誇らしく大切なものに変わり、宗像への愛が一層深くなりました。
世界遺産登録の際に、ユネスコの諮問機関であるイコモスの調査員の前でミュージカルを披露したことも大切な思い出。「神宿る島」沖ノ島への信仰が今日まで継承されてきたことを、歌と踊りに乗せて伝えました。
「地元の誇りである世界遺産のことをもっとたくさんの人に知ってほしいと思います」と語る藤原さんは、世界遺産を未来へ継承する活動をこれからも手伝っていきたい、と意気込みます。