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新春 知事対談

福岡県出身のニュースキャスター 佐々木理恵さんをお迎えし、福岡県の魅力や県がこれから目指す姿について語っていただきました。

福岡県知事 服部 誠太郎とニュースキャスター 佐々木 理恵さん 写真

ニュースキャスターを目指したきっかけ

知事:NHKの朝の顔であり、ニュースキャスターとしてご活躍されている佐々木さんですが、どのようなきっかけでこの道を目指されたのですか?

佐々木理恵さん(以下、佐々木):小さな頃から音楽や絵が好きで大学は音響設計を専攻しました。デザインを軸に理系も文系も幅広く学べて楽しかったのですが、卒業後の道は迷いましたね。そんな中で出会ったのがニュースキャスターの仕事でした。人の幸せや社会のための伝え手として全力で迫ってみたいと、道が開けた当時の気持ちを覚えています。

知事:大学で培った多様な視点と、人の幸せを願う情熱が、佐々木さんのご活躍のきっかけとなったのですね。福岡県で過ごしてこられた佐々木さんは、福岡県のどのようなところに魅力を感じられますか?

佐々木:おおらかでオープンなところですね。天神の街を歩くとホッとするんです。もちろん「食」も。スーパーに並ぶお刺身もおいしい。地域の農業や漁業が生み出す多彩な食材と食文化は大きな魅力ですね。

知事:本県の農林水産物の質の高さ、豊富さは世界に誇れるレベルです。「博多和牛」、「はかた地どり」、「福岡有明のり」、「鐘崎天然とらふく」、「あまおう」、「秋王」、「早味はやみかん」、「八女茶」など、まさに「食の王国・福岡」です。私も多いに国内外に発信していきます。

佐々木 理恵さん 写真
佐々木ささき 理恵りえさん
福岡市出身のニュースキャスター。気象予報士、防災士、芸術工学修士、MBA(経営学修士)の資格を持ち、NHK「おはよう九州沖縄」では、ニュースキャスターと気象予報士の一人二役で番組の進行を務める。

キャリアや子育てについて

知事:いつも生き生きとしたお姿を拝見していますが、最も印象に残っている仕事や、ご自身の成長につながったと思える経験について教えてください。

佐々木:九州北部豪雨や熊本地震など被災地に足を運び続けたことが大きな経験となっています。「命を守るために伝えたい」という思いが強まったからです。もう1つはコロナ禍ですね。“わからない”ことがいかに人に恐怖心を与え、社会に混乱を生むかを実感しました。伝え手自身が根拠や理解を深めることで安心感や冷静さにつなげたい、言語外のところも響いてほしい。仕事の合間になんとか時間をつくってMBAを取得しましたが、原動力はこの経験だと思います。大きな話になってしまいますが、人類が直面する課題に対し、情報の最前線から未来を切り開いていきたいという思いは強まるばかりです。

知事:さまざまなリスクに対しては、正しい情報に基づいて行動することが大切ですね。佐々木さんはお子さんもおられますよね。仕事と子育ての両立について、日々の生活の中で意識されていることや、子育てについてメッセージがあればお願いします。

佐々木:子育ては天から与えられた修行で、「人に助けられて生きていることを学べ」と言われている気がしました。ご近所の方や親戚、職場、皆さんとの縁によって日々前に進めています。心掛けているのは「自分の時間の確保」です。心に余裕がなくなると子どもにも良くないと思います。そのために行政のサービスも活用していますし、さらに充実してほしいと思っています。

知事:子育てには周囲のサポートが必要です。しかし、核家族化や地域との関わりの希薄化などから、孤立してしまう場合もあります。県では、子育てに関する相談窓口の充実や、病気の子どもを一時的に預かる病児保育の無償化、多子世帯の経済的負担を軽減するための第3子以降の保育料無償化など、誰もが安心して子育てできる環境づくりを進めているところです。

福岡県のこれから

福岡県知事 服部 誠太郎 写真
福岡県知事 服部 誠太郎

知事:佐々木さんは気象予報士や防災士の資格をお持ちだそうですね。

佐々木:はい。災害は激甚化し“想定外”も起こります。自然の力に畏怖の念を持ちながら、その一部として謙虚に人の営みを進めていくことがベースになると思います。自然は到底コントロールできません。伝え手としてのこれまでの教訓ですが、災害への備えとしては、やはり「自助」が最も重要ですし、多くの人々の防災意識を高めることは簡単ではないと実感しています。私も活用していますが、スマホのアプリなどで日頃から防災情報に触れる習慣を持つこともおすすめです。

知事:おっしゃるとおり、災害の規模と頻度が増大しており、意識をもって備えておくことが大切ですね。本県でも、災害への備えと、いざというときに適切な行動をとっていただけるよう「ふくおか防災ナビ・まもるくん」というアプリで、防災情報を発信しています。持続可能な社会を築く上で、「ワンヘルス」への関心も高まっていますよね。

佐々木:人、環境、動物の健康は、例えば異常気象が与える農産物の不作のように、互いに影響し合っています。ただ、こうした“つながり”は実感しづらいですよね。福岡県でも取り組みが進んでいますが、あまり理念的になりすぎると自分ごととして捉えにくい面もありますので、具体的なデータや身近な事例で「見える化」する仕組みや工夫が必要だと思います。

知事:私も「ワンヘルス」を実感できることが大切だと思います。県民の皆さまがワンヘルスの取り組みを話し合い、一人一人が自分ごととして取り組んでいただくための「ワンヘルス未来会議」の開催などにより、人と動物の健康と環境が調和した社会を未来につないでまいります。最後に、佐々木さんが考える「理想の福岡県」とは、どのような姿ですか?また、新年を迎えるにあたり、県民の皆さまへのメッセージをお願いします。

佐々木:福岡県は九州をリードするだけでなく、九州全体を“つなぐ”役割が期待されるのではないでしょうか。農業や工業、観光など多くの魅力がある一方で、人口減少や働き手不足など地域の課題もさまざまです。「夢を見るから、人生は輝く」とはモーツァルトのことばです。誰もが希望をもって前に進むことができる“つながり”と新しい“仕組み”が福岡県から生み出され、たくさんの自分らしい幸せが輝く。そんな福岡県であってほしいです。“皆さんの新たな年が、良い1年となりますように!”

知事:ありがとうございます。九州のみんなと手を携えて大きなパワーを生み出し、誰もが輝く未来を切り拓いてまいります。今後ますますのご活躍を期待しています。

福岡県知事 服部 誠太郎 写真
福岡県知事 服部 誠太郎