東京2020オリンピック バスケットボール女子 銀メダル 林 咲希選手 × 東京2020パラリンピック バドミントン男子シングルス 金メダル バドミントン男子ダブルス 銅メダル 梶原 大暉選手 × 福岡県知事 小川 洋

特別対談

 令和3年7月から9月にかけて、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催され、スポーツに対する注目が集まりました。今回は、福岡県民をはじめ日本中に勇気と活力を与えてくださった、バスケットボール日本代表・林咲希選手、バドミントン日本代表・梶原大暉選手をそれぞれお迎えし、服部知事とスポーツに対する熱い想いを語り合いました。

林 咲希選手

林 咲希(はやし さき)選手
糸島市生まれ。小学2年生から地元で競技を始め、現在はENEOSサンフラワーズ(千葉県)に所属。東京2020オリンピックでは全6試合に出場し、得意の3Pシュートを48.6%もの成功率で決め、銀メダル獲得へと導いた。

梶原 大暉選手

梶原 大暉(かじわら だいき)選手
福岡市生まれ。高校1年生のときパラバドミントンに出会い競技を始める。現在は日本体育大学に在学。東京2020パラリンピックではシングルス決勝で、これまで6戦全敗だった世界ランキング1位のキム・ジョンジュン選手を破り、金メダルを獲得した。

服部 誠太郎県知事

福岡県知事
服部 誠太郎(はっとり せいたろう)

世界初、コロナ禍での開催

知事:この度は、メダル獲得おめでとうございます。初めてのオリンピック、しかもコロナ禍の中で、コンディションの調整やモチベーションの維持が大変だったのではないですか?

林咲希選手(以下、林):コロナ禍では、自分と向き合うことが多かったですね。けがもしていたので、ケアに時間をかけつつ「自分を超えること」を目標に、シュート率を上げることに集中しました。開催されるか分からない状況でしたが、開催を信じて全力で練習に取り組みました。

梶原大暉選手(以下、梶原):体育館での練習ができなかったので、体力が落ちないようランニングや体幹トレーニングをしていました。1年の延期が決まった時は、自分はまだ実力不足だと感じていたので「1年間準備する期間が増えた」と前向きに捉えてレベルアップに励みました。

知事:お二人の努力と全力で戦う姿に、本当に感動しました。当日までの心境やメダルを獲得した時のお気持ちを教えてください。

:実は7月頃、スランプでシュートが全く入らなくなったのですが、私を信じてメンバーに選んでくださったトムヘッドコーチに感謝しています。銀メダルを獲得して表彰台に上がった時、皆さんの笑顔を見て改めて喜びを実感しました。

梶原:僕は大会1カ月前から夢に出てくるほど緊張していましたが、直前になると落ち着いて試合に臨むことができました。金メダルはもちろんうれしかったのですが、ずっと憧れであり、目標でもあるキム・ジョンジュン選手に勝てた喜びの方が大きかったです。

スポーツとの出会い

知事:競技を始められたきっかけは?

:父と二人の姉がバスケットボールをしていたので、自然の流れですね。気が付いたら始めていました。

梶原:もともと野球をしていたのですが、交通事故に遭ってたくさんの方に支えていただきました。その恩返しをしたいと考えていた時、ソーシャルワーカーの方からパラスポーツを紹介され、そこで当時のパラバドミントンの日本代表選手の動きに感激したことがきっかけです。

知事:子どもの頃の経験や周りの励ましは大切ですね。福岡県では今、将来のトップアスリートを育てるため、「福岡県タレント発掘事業」に取り組んでいます。子どもたちにさまざまな競技を経験してもらい、その子たちに合った競技を見いだす取り組みです。

:素晴らしい取り組みですね。自分に合った競技を見つける良いきっかけになると思います。その中で、「この競技楽しい!」と感じた時は、その感覚を大事にしてほしいですね。また、別の競技を経験することでいろんな体の使い方を学ぶこともできると思うので、ぜひさまざまな競技を楽しんで取り組んでほしいです。

梶原:パラスポーツは競技人口が少ないので、子どもたちがスポーツに触れるきっかけがあるとパラスポーツの普及にもつながります。僕もスポーツを通じて夢を持つことができたので、ぜひ子どもたちにも新たな刺激を発見してほしいと思います。

知事:私も、福岡県の未来を拓き、つくっていくのは「人」であり、子どもたちだと思っています。スポーツをはじめ、さまざまな分野で次代を担う「人財」の育成に力を入れていきます。

写真:長田洋平/アフロスポーツ

共生社会の実現に向けて

知事:次のパリ大会も近いですね。意気込みをお聞かせください。

:まずは目の前の皇后杯とWリーグで優勝すること、そして2月の世界選手権予選でメンバーに選ばれること、そこで結果を残すことを目標にしています。その先に、成長した自分がまたオリンピックで活躍できたらいいなと思っています。

梶原:まずは出場を目標に。そして、シングルス2連覇を目指します。今回、ダブルスは銅メダルだったので、次は出場する種目全てで金メダルを獲得できるよう励みたいと思います。

知事:お二人のお話を伺って私も元気と勇気をいただきました。コロナ禍の今こそ、スポーツの力で福岡県を元気にしたいと考えています。オリンピック・パラリンピックを目指す子どもたちをはじめ、県民の皆さまにメッセージをお願いします。

:周りの人に感謝しながら、努力を忘れずに一生懸命頑張っていたら、評価してくれる人はきっといると思います。私もそうやってオリンピックに出場できたので、子どもたちにもぜひ自分を信じて頑張ってほしいですね。

梶原:今回の大会でパラスポーツに興味を持っていただけたらうれしいです。辛いこともたくさんあると思うけど、努力をしたり、仲間に頼ったりして乗り越えたら、その経験が必ず活きてくるので、夢を持って、夢に向かって一途に努力してほしいと思います。少しでも興味を持ったら、気軽に近くのスポーツセンターに足を運んでみてください。一緒にパラスポーツ界を盛り上げていきましょう。

知事:お二人の言葉は、スポーツに限らず、生きていく上で本当に真をついたものだと思います。今回の大会を通じて、多様性と調和の重要性を大いに学ばせていただきました。この2つの大会の本当のレガシーは、これからの共生社会を実現していくことではないでしょうか。県としてもさまざまな取り組みを行ってまいります。林選手と梶原選手には、ぜひ力を貸していただきたい。今後ますますの活躍を期待しています。本日はありがとうございました。

写真:森田直樹/アフロスポーツ