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ふくおか 新・日常の旅④

八女市本町の町並み写真
八女市本町の町並み写真

八女市本町

日常にある福岡の魅力を自分らしく再発見する「新・日常の旅」。今回は筑後エリアから八女市の知られざるスポットをご紹介。日本を代表する洋画家が愛した町で歴史や文化を感じる新たな体験ができました。

伝統と文化が交差する町で、
手すき和紙の体験を

江戸時代から続く町家が美しい八女市本町。
100棟を超える歴史的な建物が軒を連ね、中には内装をリノベーションし、雑貨店やカフェ、ベーカリーなどに生まれ変わったお店も。白いしっくいがまばゆい土蔵造りの建物はコントラストも美しく、一軒一軒が町の歴史や伝統の深さを伝えてくれます。仏壇やちょうちん、石灯籠など、多才な職人技が今も受け継がれるこの町で、誰もが気軽に触れられる伝統工芸「八女手すき和紙」に出会いました。

矢部川の豊富な清流と和紙の原料となる楮(こうぞ)が自生していたことで発展した八女の手すき和紙。最盛期には約2000戸の工房があったといわれています。白壁の町並みから少し南に下った先の八女伝統工芸館で和紙づくりを体験。「簀桁(すげた)」という道具で丁寧に紙をすく体験は、この町の伝統の一端に触れられる貴重な機会です。約1時間の体験で自分だけのうちわやはがきを作ることができました。

体験を終え、八女伝統工芸館からさらに南に行くと、「バルビゾン※の道」と呼ばれる廃線跡が。近代美術史に名を残す洋画家・坂本繁二郎(さかもとはんじろう)が、八女ののどかな風景に留学先のフランスを重ね、「東洋のバルビゾン」と称したことが名前の由来といわれています。晩年を八女で過ごしながら、多くの作品を残した繁二郎のアトリエ跡もすぐそばに。伝統工芸と近代絵画が交差した時代を思い歩くのも、自分らしい旅の形だと感じました。

※フランスのパリから約60㎞離れたところに位置する村。19世紀にミレーなど多くの風景画家が集まり、農民の生活などを描いたことで知られる。

「手づくりの和紙は仕上げも自分らしく」という文章と、押し花でデザインをしている写真
「手づくりの和紙は仕上げも自分らしく」という文章と、押し花でデザインをしている写真

「簀桁(すげた)」という道具で何度も手すきを繰り返し、十分な厚みになったら押し花でデザイン。オリジナルのうちわとはがきが完成

八女福島置屋ギャラリーの写真

「八女福島置屋」のギャラリーにはさまざまな器が並ぶ

無量寿院の境内の写真

町並みにある無量寿院(むりょうじゅいん)の境内もいい雰囲気

簀桁で手すきをしている写真
オリジナルのうちわとはがきの写真

「簀桁(すげた)」という道具で何度も手すきを繰り返し、十分な厚みになったら押し花でデザイン。オリジナルのうちわとはがきが完成

色とりどりの手すき和紙が並ぶ写真

現在も八女市で作られる手すき和紙は伝統工芸館で販売も

「バルビゾンの道」の看板がある風景写真

国鉄矢部線跡にできた「バルビゾンの道」は八女市の東西をつなぐ一本道

茶畑の写真

茶畑の向こうには南筑後の穏やかな稜線が続く

坂本繁二郎アトリエ跡地の写真

坂本繁二郎アトリエ跡地にて

●MAP

八女市本町マップのイラスト

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