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天文ドームとオリオン座〈写真提供:星の文化館〉

特集

キラキラと降り注ぐような星空の写真

八女市星野村、星のふるさと公園の平和の広場から見える冬の星座。キラキラと降り注ぐような星空は瞬(まばた)きも惜しくなるほど〈写真提供:星の文化館〉

この冬は星空を眺めよう

冬は空気が澄んでいて、天体観測には絶好の機会。また、他の季節より一等星が多く見られるそうです。一年で最も星が輝いて見える冬に、身近な場所からはるかな星空へ、思いを巡らせてみませんか?

冬の星空を知りたい。まずは近くのプラネタリウムへ

何気なく眺める星空も、輝く星や星座の名前を知るだけですごく身近に感じられます。県内にはプラネタリウム施設が6カ所あり、施設ごとに星や星座を巡るプログラムもさまざま。今回は久留米市にある福岡県青少年科学館で、プラネタリウムが描く星空を見ながら冬の星座について伺いました。

オリオン座をたよりに「冬の大三角」と「プレアデス星団(すばる)」を巡る

「冬は湿気が少なくて空気が澄んでいるし、明るい星が多いんです」と、冬の星空がきれいな理由を話してくれた福岡県青少年科学館の牟田真希子(むたまきこ)さん。「オリオン座をたよりに他の星座も見つけられます。星座を見つけられると星空が一層楽しくなりますよ」。プラネタリウムの投映で冬の星座に近づいた気分です。

では、オリオン座をたよりに「冬の大三角」と「プレアデス星団」を探してみましょう。

オリオン座は、冬の南の空に見ることができる代表的な星座。等間隔に並んだ3つの星「三ツ星」と、それを取り囲む明るい4つの星が目印です。

三ツ星の左上で赤く輝く一等星ベテルギウスと、三ツ星を左下に伸ばした所でとても明るく輝く一等星・おおいぬ座のシリウス、正三角形を描くような位置にあるこいぬ座の一等星・プロキオン。この3つの星を結ぶと「冬の大三角」に。また、三ツ星を右上に伸ばしていくと、6個から7個の星が一カ所に集まって見えています。これが「すばる」という名前で有名なプレアデス星団です。

星座の名前を解説している図

プラネタリウムのドームに映し出されるさまざまなプログラム。生活に近しい生き物や道具を星座の名前にした昔の人の想像力に驚く

オリオン大星雲の写真

冬の代表的な天体「オリオン大星雲」。三ツ星の中央下にある「小三ツ星」付近にあり、肉眼で確認できることも

プレアデス星団(すばる)の写真

「プレアデス星団(すばる)」を双眼鏡で見ると、青白い星がたくさん集まっているのがわかる〈写真提供:天文ボランティア江上勝典さん〉

プラネタリウムで星空を解説している図

プラネタリウムでの星空解説。オリオン座の赤い一等星・ベテルギウスの下に輝くシリウスは、ひときわ明るくわかりやすいはず。こいぬ座の一等星・プロキオンと共に正三角形が描ける

牟田さんの写真

福岡県青少年科学館は今年で31周年を迎えた。宇宙コーナーで惑星の大きさなどを説明してくれる牟田さん

宇宙開発の歩みイラストパネルの写真

宇宙開発の歩みを紹介した大型パネル

惑星体重計の写真

青少年科学館オリジナルの「惑星体重計」。惑星によって重力が変わるので、自分の体重が惑星ごとにどう変わるのかを体験できる

スイングバイという技術を学べるゲームの写真

重力などを利用した「スイングバイ」という技術を学べるゲーム。自分で描いたイラストが探査機となり、ゴールとなる小惑星を目指す

  • 福岡県青少年科学館の外観写真
  • 福岡県青少年科学館

    久留米市東櫛原町1713(中央公園内)
    電話 0942-37-5566 ファクス 0942-37-3770

    コスモシアター(プラネタリウム)では学習番組と一般番組、10分間の無料投映「宙巡り」を投映。また5階・天体観測室では口径20センチメートルのクーデ式望遠鏡で観察することができます

さて、プラネタリウムでの星座探しはここまで。星に気持ちが近づいたら、次は、実際の星空で冬の星座を探してみましょう!

大自然に囲まれツイン天文台に星が降る

星が天文台を回っているような写真

カメラを固定し、時間をかけて撮影すると、まるで星が天文台を回っているよう

反射望遠鏡から見たオリオン座大星雲の写真

反射望遠鏡から見たオリオン大星雲

  • 八女市星野村に星マークがついた福岡の地図のイラスト
  • 八女市星野村 星の文化館

    大自然に囲まれた「星のふるさと公園」の丘に2種の反射望遠鏡を備えたツインドームの天文台が。澄んだ空の下、降り注ぐ星を楽しめる「星降る広場」も人気です。

峠の上に輝くオリオン座から冬の大三角の写真
  • 早良区脇山に星マークがついた福岡の地図のイラスト
  • 福岡市早良区脇山

    福岡市でも輝く星空が見られます。雲が晴れた油山と脊振山地の稜線の上にオリオン座が現れました。オリオン座の赤い一等星・ベテルギウスを頂点にするように、その右下で白く明るく輝くシリウス、左下で底辺をつなぐプロキオンが、はっきりと冬の大三角を描いています。

福岡の星空自慢 世界でも珍しい「北斗の水くみ」

福岡の星空の話題で忘れてはならないのが「北斗の水くみ」。北の空で輝く北斗七星が、まるで海の水をくむひしゃくのように水平線近くに姿を見せる様子をそう呼んでいます。「北斗の水くみ」は、北緯33~34度に位置し北に水平線があるという条件でしか観察できない珍しい天体ショー。この条件を満たすのは、世界でも北部九州の一部のみだとか!観察できる期間は9月~11月にかけてとなりますが、宗像市や岡垣町の海岸には「北斗の水くみ」を安心して観察できるよう、公園や観光施設を整備しています。

北斗の水くみの写真

波津海岸(岡垣町)で撮影された「北斗の水くみ」。玄界灘の海水をくむように大きなひしゃくが海に降りていく〈写真提供:岡垣町観光協会〉

「北斗の水くみ」スポットはこちら

岡垣町観光ステーション北斗七星の写真
岡垣町観光ステーション北斗七星

岡垣町原670-34
電話 093-281-5050(岡垣町観光協会)

北斗の水くみ海浜公園の写真
北斗の水くみ海浜公園

宗像市神湊1278-1
電話 0940-36-0037(宗像市商工観光課)

  • 岡垣町観光協会が作成した「北斗の水くみ」ガイドの写真
  • 岡垣町観光協会が作成した「北斗の水くみ」ガイド。
    観測日の日付を目盛りに合わせると「北斗の水くみ」の時間がわかる

身近で楽しめるプラネタリウム

県内各地の施設で、いつも暮らす地域に広がる星空に触れてみましょう。
※年末年始など休館日・営業時間は各施設へお問い合わせください

  • 大牟田文化会館の写真

    大牟田文化会館

    地域の文化活動の拠点としてコンサートや演劇など幅広く親しまれる文化会館。プラネタリウムではさまざまなプログラムとともに、わかりやすい季節ごとの星空解説の投映も用意。市民の星空への興味をサポートしています。

    大牟田市不知火町2-10-2
    電話 0944-55-3131 ファクス 0944-52-8651

  • 福岡市科学館の写真

    福岡市科学館

    宇宙飛行士の若田光一氏を名誉館長に迎え、2017年に開館。九州最大規模の25メートルドームを持つ最新設備のプラネタリウムで、ダイナミックな宇宙の姿を演出します。宇宙を身近に楽しめるプログラムに注目です。

    福岡市中央区六本松4-2-1
    電話 092-731-2525 ファクス 092-731-2530

  • 宗像ユリックスの写真

    宗像ユリックス

    スポーツやコンサートなど、文化と感動の発信地として愛される施設には、ドイツ・カールツァイス社製の高性能なプラネタリウムも。高精緻な映像と臨場感あふれる音響で、大人も楽しめるプログラムをお届けしています。

    宗像市久原400
    電話 ファクス 0940-37-2394

  • 星の文化館の写真

    星の文化館

    棚田や茶畑が広がる美しい山々に囲まれる「星のふるさと」。九州最大級の100センチメートルの反射望遠鏡を備えた天文台と迫力のデジタルプラネタリウムが人気。ホテルも併設しており、宿泊して星を楽しむことも可能です。

    八女市星野村10828-1
    電話 0943-52-3000 ファクス 0943-52-3001

天体Topics

2022年春オープン!北九州市新科学館「スペースLABO」

  • 1955年、日本初の子どものための科学館として誕生した歴史を持つ北九州市児童文化科学館が、2022年春スペースワールド跡地に移転しリニューアルオープン。ドーム径30メートル・250人収容の国内最大級の大きさで、本物の星空と高精細なデジタル映像を融合した最新設備のハイブリッドプラネタリウムが誕生します。月の石など宇宙にまつわる貴重な実物資料も展示され、今から開館が楽しみです。
  • 最新設備のハイブリッドプラネタリウムの写真

    ©GOTO

2 年末年始の流星群!新年早々が見どころ「しぶんぎ座流星群」

しぶんぎ座流星群は年間の3大流星群の一つで、例年1月にピークを迎えて多くの流れ星を見せてくれます。12月28日から1月12日までが活動期で、中でも1月4日の明け方に極大(きょくだい)を迎えます。放射点は北東の空、りゅう座の中にあって約60度付近の高さから四方八方、放射状に飛び出すように星が流れていくそう。空全体を広く眺められる場所で、しっかり防寒して観測を。条件が良ければ1時間に30~60個の流星が期待できます。

3 宇宙関連イベント情報

  • 2022年1月22日~

    ●福岡県青少年科学館
    金星探査機あかつき パネル展

    企画・製作:
    宇宙航空研究開発機構(JAXA)
    協力:全国科学館連携協議会

  • 2022年1月28日~2月1日

    ●福岡市科学館
    小惑星探査機「はやぶさ2」
    帰還カプセル特別公開

  • 小惑星探査機はやぶさ2の写真

    ©池下章裕