「こんなときだからこそ、花が持つ力で、人々の心を明るくできたら」と語るのは、胡蝶蘭(こちょうらん)の品評会で数々の受賞歴を誇る、糸島市の有限会社三坂園芸 三坂廣明(みさか ひろあき)さん。
実は、日本でも有数の洋ランの産地である福岡県。栽培は昭和30年代から始まり、今では胡蝶蘭を含む洋ランの生産面積は全国2位、出荷量は全国3位を誇り、糸島市をはじめ久留米市や朝倉市などを中心に栽培されています。
「冬に曇天(どんてん)が多い福岡県は、九州南部や東海地方に比べると、洋ラン生産の適地ではないのですが、その逆境に勝る先人たちの努力や技術で生産性を高めてきたことが、今につながっています」と三坂さん。
通常の鉢花は半年から1年で出荷するのに対し、胡蝶蘭は約2年から3年の長い歳月がかかります。大事にしているのは、水、光、湿度、肥培管理などの環境づくり。デリケートな花ゆえに、普通の花よりコストも手間もかかります。「大変ですが、失敗や苦労の分だけ、いい花を咲かせることができるのがやりがいです」とほほ笑みます。
一年中出荷できる胡蝶蘭ですが、本来なら春先が需要が最も高まる時期。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、イベントなどの中止・縮小が相次ぎ、出荷量は2カ月で半減しました。約2年半育てた花を廃棄することもあり、「正直この先どこまで需要が落ち込むかも分かりません」と、30年携わってきた三坂さんにとっても初めての経験。「今は誰かに会いに行くのは難しくても、花は贈ることができます。気持ちを届けることができます。これからも信頼される、喜ばれる花を作っていけたら」と三坂さん。
「幸せが飛んでくる」という花言葉を持つ胡蝶蘭。逆境を努力や技術で乗り越えてきた先人たちと同じように、これからも前を向いて、人々の心に幸せの花を咲かせていきます。
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