日本で4番目の国立博物館として、2005年に太宰府天満宮横に開館した九州国立博物館。通称「九博(きゅうはく)」として、国内はもとより海外の方にも人気を博しています。
アジアやヨーロッパとの関係から日本文化を紹介することをテーマとした九博では、文化財の収集や魅力的な展示を行い、4点の国宝をはじめ、1600点を超える作品を収蔵しています。
今回は、九博の誇る収蔵品の中からよりすぐりの作品を、誌上で楽しんでいただきます。
国指定重要文化財
奈良時代
西海道(九州)の政治的中枢であった大宰府政庁の建物に用いられていたとされる鬼瓦。眉間に刻まれた深いシワに、かみつかんばかりに開いた大きな口、そして、カッと見開いて何かをにらみつけたような目。憤怒(ふんぬ)の表情が見事に表現されています。人の表情に近いリアルで立体的な造形は卓越した匠の技といえます。
国指定重要文化財
安土桃山時代から江戸時代
近世初期、日本から西欧に輸出されたキリスト教の聖画を収める祭儀具(さいぎぐ)。イエズス会の宣教師が京都の工房に依頼した特注品で、内部には聖家族と洗礼者ヨハネを銅板に描いた油彩画が収められています。
つややかな黒漆地(くろうるしじ)に蒔絵や螺鈿といった装飾技法で描かれた草花鳥獣(そうかちょうじゅう)文様には中国の染織品、隙間なく文様を描く表現にはイスラム美術の影響がそれぞれうかがえます。
さまざまな地域の美術様式を取り込んだ豪華さは、この時代に展開された国際交流のたまものといえます。
室町時代
永禄11(1568)年
日本では、中世まで病気は内臓に寄生するさまざまな「虫」により引き起こされるという考えがありました。針聞書は、その考えに基づいたはり治療を紹介した書籍で、江戸時代の医学書のルーツとなったものです。医学知識や治療法のみならず、当時の生命観や倫理観なども豊かに描き出されています。
この針聞書を元に誕生したのが九博オリジナルキャラクター「はらのむし」。昆虫や爬虫(はちゅう)類、魚類を掛け合わせたようなユーモラスなデザインが現代風にアレンジされてキャラクターとして活躍しています。九博のアニメや公式ソングに登場する他、グッズとしても販売されています。
王貞治(おう さだはる)氏寄贈
安土桃山時代
肥後熊本の大名、加藤清正(かとう きよまさ)のお抱え刀工(とうこう)として活躍した同田貫。この一派は、南北朝時代に九州南朝方の主力であった菊池(きくち)氏が京都より招いた名工、延寿太郎国村(えんじゅたろうくにむら)の末裔(まつえい)といわれています。
先の伸びる大鋒(おおきっさき)、やや浅い反りとともに身幅が広く、重ねの厚い作りが特徴です。華美を抑えた実用本位のもので、頑丈で切れ味の良い豪刀として知られています。
九州国立博物館
所在地 太宰府市石坂4-7-2
営業時間 9時30分から17時
休館日 月曜日(祝日・休日のときは翌日)
電話050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
ファクス092-929-3276
九博のTwitter公式アカウントでも
収蔵品を紹介しています。
ID @kyuhaku_koho
https://twitter.com/
Kyuhaku_koho
※来館される際は、開館状況について、あらかじめご確認ください
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