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2020 夏号 SUMMER 通巻599号 令和2年6月19日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

この思い、来年へ ふくおかの祭り

 

風治八幡宮 川渡り神幸祭

 
福岡県地図上での位置

例年5月の第3土曜日とその翌日に開催
1970年 福岡県指定無形民俗文化財登録

 

来年は心機一転、
かつてない盛大な祭りに

 川渡り神幸祭は、永禄年間(1558年から1570年)、伊田村(現在の田川市)に疫病が流行した際に、村の氏神である風治八幡宮(ふうじはちまんぐう)にその収束を祈願し、成就のお礼として奉納されたことに始まるもので、以来今日まで450年以上も続く歴史と伝統を誇る祭りです。

 祭りの一番の見どころは、60人担ぎの大神輿(みこし)に導かれるように彦山川の川瀬を練り渡る幟(のぼり)山笠。20メートルほどの本ザシと呼ばれる中央の柱に、稲穂を模した五色のバレンが取り付けられ、山笠屋上部を囲むように赤の幟旗が飾られます。この勇壮華麗(ゆうそうかれい)な幟山笠を、若衆たちが前後左右に揺すって気勢を上げ、互いに水しぶきを掛け合うシーンは祭りのクライマックス。まさに初夏を彩る一大絵巻といえるものです。

 今年の開催中止について、風治八幡宮宮司の宇都宮誠さんは「長い歴史の中でも、疫病による中止は初めての事態。今年はオリンピックが開催される予定だったこともあり、国内だけでなく、海外からのお客さまのご来駕(らいが)も楽しみに半年近く準備を重ねてきただけに残念です」と話します。

 かつて火災に見舞われ、社殿のない状況でも懸命に開催を続けてきた神幸祭。今年は5月に疫病退散祈願大祭として例大祭(れいたいさい)のみ少人数で行われました。

 大神輿が1920年に新調されてから来年で101年。「心機一転、疫病退散成就の神幸祭をかつてない盛大なお祭りにしたい」と宇都宮さん。「神輿も山笠も十分に英気を養って来年は皆さまに田川の川筋気質(かたぎ)の元気を味わっていただきたい」と力を込めます。筑豊の初夏を告げる勇壮で豪快な姿を、来年は多くの人の目に焼き付けてくれることでしょう。

風治八幡宮 宮司 宇都宮誠(うつのみや まこと)さんの写真

風治八幡宮 宮司 宇都宮誠(うつのみや まこと)さん