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2020 夏号 SUMMER 通巻599号 令和2年6月19日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

この思い、来年へ ふくおかの祭り

 
戸畑衹園大山笠
 
福岡県地図上での位置

例年7月の第4土曜日を挟む3日間で開催
1980年 国指定重要無形民俗文化財指定
2016年 ユネスコ無形文化遺産登録

 
戸畑衹園大山笠振興会会長の麻生渡(あそう わたる)さんの写真

昨年の大山笠競演会であいさつする戸畑衹園大山笠振興会会長の麻生渡(あそう わたる)さん

来年こそは素晴らしい祭りを

 「提灯山(ちょうちんやま)」の愛称で広く親しまれる戸畑衹園大山笠は、飛幡(とびはた)八幡宮、中原(なかばる)八幡宮、菅原(すがわら)神社の三社の夏祭り。村で発生した疫病の平癒(へいゆ)を祝って、1803年に始まったといわれています。

 祭りは、7月の第4土曜日を挟む3日間。2日目の夕刻からは、戸畑区役所前などで「大山笠競演会」が行われます。東、西、中原、天籟寺(てんらいじ)の4基の大山笠と、各地区の中学生が担ぐ4基の小若(こわか)山笠の計8基が勢ぞろいする様子は、祭り一番の見どころです。

 また、戸畑衹園大山笠は、昼と夜でその姿を大きく変える珍しい山笠ということも特徴の一つ。美しさと勇壮さを見事に融合させています。

 「昼は、金糸を使い武者絵などの刺しゅうを施した絢爛豪華(けんらんごうか)な幟(のぼり)山笠。これが、夜になると12段309個の提灯で彩られた光のピラミッドに姿を変えます。その高さは約10メートルで提灯山笠の中では日本最大規模。姿替えそのものも戸畑衹園の大きな見どころの一つです」と話す会長の麻生渡さん。

 競演会では、全8基の幟山笠が一斉に提灯山笠に。5段57個の提灯を付けた角錐(かくすい)型の先端部を一気に担ぎ上げ、続いて6段目以降の提灯を素早く組み上げていくその手際の良さは見事です。約2.5トンの山笠を数百人の担ぎ手が交代しながら、鉦(かね)や太鼓のお囃子(はやし)に合わせて「ヨイトサ、ヨイトサ」の掛け声とともに勇ましく担ぎます。

 「5月、山笠関係者や来場される観客の皆さまの安全を第一に考えて、振興会の役員会および臨時総会において中止を決定しました。非常に残念ですが、来年こそは新型コロナウイルス感染症の収束を祝して素晴らしい祭り行事が開催できるものと信じています。どうぞ来年の戸畑衹園を楽しみにしていてください」と、そのまなざしは先を見据えています。勇壮で華やかな提灯山笠の姿を来年、存分に堪能したいものです。

幟山笠の様子

大きな12本の幟と、絢爛豪華な幕類や装飾が特徴の昼の幟山笠