TSUYAZAKI NINGYO
鮮やかな色彩と素朴な形。一体ごとに違う表情が面白い
かわいらしく鮮やかな色彩に丸みのある素朴な形。津屋崎人形は、約240年前の江戸時代末期にさかのぼり、良質な陶土が採れたことが人形作りの始まりだそう。
かつて塩田※や海上交易で大いに栄え、千軒もの家がひしめいたという津屋崎千軒(つやざきせんげん)に残る「筑前津屋崎人形巧房」。8代目の原田翔平(はらだ しょうへい)さんは、先代の父・誠(まこと)さんに教えを仰ぎ、成形や型作り、色付けを行っています。「代々受け継がれた人形の型は約1500種類。同じ型から作られる人形であっても表情や装いに違いを持たせ、時代に合わせて変化し続けてきました。一つ一つ手作りなのが強みで、一体ごとに違う表情が面白いんですよ」と翔平さん。
2枚の型に親指で土を押し込む「手押し」をした後、それぞれの型を合わせて30分程度置きます。型を抜いて形を整えた後、乾燥させ約800度の窯で素焼きし、焼いた人形を白塗りした上から顔料やアクリル絵の具で彩色していきます。
最近はインスタグラムの配信にも力を入れ、テレビで紹介されるなど、かわいらしくてシュールな人形たちの人気が再燃しています。「津屋崎という地元の名前を持つ人形なので、地域のためにも頑張れるんです」。津屋崎人形の今後に目が離せません。
※塩田…海水から塩を取るために砂浜などに設けた場所
筑前津屋崎人形巧房
所在地 福津市津屋崎3-14-3
電話・ファクス0940-52-0419
「出番を待っている型を復活させたいですね」と8代目の翔平さん
2枚の型を合わせて成形する。土の厚みは手指の感覚で覚えていく
何ともいえない表情が人気の「ごん太」シリーズ
YAMEFUKUSHIMA BUTSUDAN
職人たちの思いを込め、80もの工程で一つの仏壇を
重厚な造りに精巧な細工の数々。豪華な装飾と黄金に輝く華やかさはまさに芸術品。江戸時代末期には、仏壇製造の基礎となる技術が確立されています。
仏壇造りは完全分業制。木地(きじ)、宮殿(くうでん)、彫刻、金具、漆塗り、箔押(はくお)し、蒔絵(まきえ)、仕上(しあげ)、それぞれの工程に高度な技術が必要。80の工程と2千ほどの部品が一つになって完成する、職人の力を合わせた工芸品です。
八女市にある「緒方仏壇本店」では、3人の若手が活躍中。箔押しを行う高山賢二(たかやま けんじ)さんは、漆の乾き具合を見ながら慎重に金箔を張り付けていきます。八女に魅了されて静岡から移住したという窪田伊麦(くぼた いむぎ)さんは蒔絵の技術を生かして花瓶やお皿などにも繊細な絵を描いています。「最初は仏壇を作るための道具作りから始めます。難しい作業だからこそやりがいを感じます」と話すのは漆塗りを行う緒方伸(おがた しん)さん。
職人一人一人が次の工程へ思いをつなぐことで、一つの八女福島仏壇が完成しています。
漆塗りの技術で抗菌・殺菌作用のある皿やスプーン
緒方仏壇本店
所在地 八女市本町397-3
電話0943-23-3367
ファクス0943-23-4258
箔押しを行う高山さん
蒔絵の技術で絵を描く窪田さん
一つ一つの部品を解体し、修復をする緒方さん
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