HAKATA NINGYO
心寄せられるかわいらしさ
素焼きの人形にそのまま彩色することで土の温もりと職人の人柄を感じさせる博多人形は、400年以上の歴史を持ちます。「繊細な表情の豊かさや表現の自由さが魅力です」と鶴田加奈子(つるた かなこ)さん。偶然知った「博多人形師養成講座」の参加をきっかけに人形師の道へ。「美人ものなど大きいサイズの一品作(いっぴんさく)だけでなく、小ぶりなサイズの動物なども製作しています。身近なお土産としてたくさんの人に触れてほしいんです」と話します。特に神社や雑貨店で販売している博多人形のストラップが人気だそう。時代の変化とともにかわいらしい手乗りサイズの作品も多く生まれています。
コロナ禍の中注目されるアマビエも
かなこ人形
所在地 福津市花見の里3-5-13
電話・ファクス0940-42-8014
小さなサイズのかわいらしい招き猫
鶴田さんは素焼きした人形に下書きなしで着色していく
MAGOJIDAKO
鮮やかでユニークな手作り凧
明治時代の終わり、海風が強く昔から凧揚げが盛んな北九州で「よく揚がる」と評判だった「孫次凧」。その名は竹内孫次(たけうち まごじ)氏が作り始めたことに由来します。戸畑区にある店舗では多彩な凧を一堂に見ることができ、大きな目のセミやフクロウ、ウサギ、カッパなど、愛らしいデザインが印象的。2代目の竹内義博(たけうち よしひろ)さんが地元の竹を使った屋台骨となる竹ひごを作って和紙を貼り、娘の梓(あずさ)さんが絵付けをします。「絵の経験はありませんでしたが、母が描いた絵を見よう見まねで必死に描きました」と梓さん。かつては泥絵の具で着色していましたが、食紅に変更したことで、より和紙に映える色合いになったそう。干支ものの凧や飾り用のミニ凧など新しい作品も生まれています。
飾り用のミニ凧
カイトハウスまごじ
所在地 北九州市戸畑区新地1-6-4
電話093-881-4537
ファクス093-881-4552
店舗には多彩な凧が並ぶ
伝統的なセミ凧を手に義博さん(左)と娘の梓さん
色鮮やかな絵付けは梓さんが担当
KOKURAORI
復活した美しくシャープな縞模様
江戸時代初期から小倉藩で作られ、袴や帯に使われた小倉織。経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が3対1の密度で織られ「槍をも通さぬ小倉織」といわれたほど丈夫な木綿布です。昭和初期に製造が途絶えましたが、染織家・築城則子(ついき のりこ)氏が偶然出会った一片の端切れから試行錯誤の末に1984年に復元。多様な経糸が美しい、シャープな縞模様が特徴です。築城氏の愛弟子である若手染織家の内山啓大(うちやま けいた)さんは「小倉織本来の手織りテイストを生かしながら、機械織りの可能性を広げ、さまざまなデザインを創造したい」と意欲十分。今ではシャツや風呂敷などの身近に取り入れやすい商品を展開する他、アート作品や建築・インテリアにも採用されるなど注目を集めています。
今治タオルとコラボしたハンカチ
株式会社小倉縞縞/小倉織物製造株式会社
所在地 北九州市小倉北区紺屋町13-1 毎日西部会館2階
電話093-561-0700
縞模様をほどこしたショルダーバッグ
「小倉織の縞デザインで世界へ」と内山さん
糸を先染めすることでしっかり色が付き、深みが出る
YAMECHOCHIN
盆提灯の技術をインテリアへ
およそ200年の歴史を持ち、盆提灯が有名な八女提灯。八女市は原料となる和紙の産地で、竹が多く採れることから提灯の生産が盛んに。細い竹ひごを螺旋(らせん)状に巻く技術や花鳥草木の繊細な絵付(えつけ)の火袋(ひぶくろ)が特徴です。職人が一度に10本ほどの火袋を並べ、「速描(そくびょう)」という技術で下描きなしに絵付けします。時に2本の筆を使いながら描く繊細な絵は、八女提灯を厳かに演出。絵付けを行う増永葵(ますなが あおい)さんは「最初の頃は『絶対に描けない』と思っていました。でも他の職人に負けたくなくて必死に練習を重ねました」と話します。今ではインスタグラムを通して多くの人に知ってもらうことで職人としてのやりがいも増えたそう。インテリア提灯やペット用提灯など時代に合わせた新しいスタイルの提案も始まっています。
モダンなデザインの盆提灯
シラキ工芸
所在地 八女市緒玉198-1
電話0943-24-3054
ファクス0943-24-4458
インテリア提灯も新しい提案
丁寧に素早く速描する増永さん
Copyright © 2020 Fukuoka Prefecture. All rights reserved.