本文はこちら
グラフふくおか冬号ロゴ

2018 冬号 WINTER 通巻593号 平成30年12月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 

特集 共に生きる社会に向けて

 

福岡県では、障がいの有無にかかわらず、
誰もが人格と個性を尊重し、支え合って共生する社会を目指し、
障がいのある人の自立と社会参加を進めるため、
さまざまな取り組みを行っています。

障がいのある人が活躍する場面は、
社会の中で生き生きと働くことはもちろん、
スポーツや文化・芸術など、たくさんの分野で広がってきています。

誰もが自分らしくありのままに暮らしたい。
まごころあふれる温かい社会づくりは前へ進んでいます。
障がいのある人の活躍の一部をご紹介します。

 

社会参加へ生き生きと
〜障がいのある人がやりがいを持って働く〜

社会参加を促す就労支援の事業所では、障がいのある人たちが生き生きと活動しています。地域の理解やさまざまな支援があって、社会で必要とされる魅力的な「製品やサービス」=「まごころ製品」がたくさん生まれています。

 

豊前市 循環農法を生かした「里山プログラム」 ワークセンター栃(とちのき)

 

 豊前市に広がる丘を、そのまま就労支援事業に生かしたのがワークセンター栃。春は竹林でタケノコ狩り、丘の上で新茶を摘み、夏から秋にかけてナスやトウガラシ、サツマイモ、原木シイタケなど、季節に合わせた農作物の販売や加工を行っています。

 野菜作りは土作りから。腐葉土やシイタケ栽培が終わった原木、竹チップなどを堆肥にします。放牧した豚も草地をきれいに除草するだけでなく、そのふんが堆肥作りに役立っています。種植えから丁寧に苗を育て、収穫した野菜は学校給食や福祉施設に提供して地域貢献に。放牧豚は残った野菜やお茶などを無駄なく餌にして「どんちゃ香ポーク」として販売。豚肉を加工したジャーキーも人気商品です。

 「田舎で自給自足しているような就労訓練です」と笑顔で話してくれたのは副所長の中村高志(なかむら たかし)さんと管理責任者の木村文昭(きむら ふみあき)さん。「作ったサツマイモは焼酎に、その搾りかすは豚の餌に。放牧豚が畑を肥やし、大きく育ったらブランド豚として出荷します」。里山の恵みをうまく利用し、社会参加のプログラムの大きな柱として取り入れています。

 広い園内では就労訓練に取り組む利用者が暮らすグループホームや就労・生活支援の日用品販売所、さらに乗馬療法のために馬を飼育した牧場も営んでいます。利用者は季節ごとの作業を通して、仕事の役割と社会貢献という意識を育みます。ここで学んだそれぞれのスキルを身につけて一般就労へ。役割をしっかりと果たせる喜びが大きな一歩となっていきます。

野菜作りの様子

野菜が育つ姿に触れることも生き生きと暮らすための大きな学びに

中村高志(なかむら たかし)さん(左)と木村文昭(きむら ふみあき)さん(右)

「利用者同士の連携が社会とのつながりを学ぶ第一歩」と中村さん(左)と木村さん

放牧されているブランド豚の様子

「どんちゃ香ポーク」は、どんぐり、お茶、ハーブを餌にした放牧豚

 
 
ポークジャーキーの写真

人気の「ポークジャーキー」(500円)と肩ロース、豚バラ肉(各950円)。ふるさと納税の返礼品にも採用されている

手作りクッキーの写真

商品販売所「まきばまーと」では手作りクッキーも販売

シイタケを包装する様子

採れたての原木シイタケを手分けして包装

 
 

ワークセンター栃

所在地 豊前市大西1120

問い合わせ 電話・ファクス0979-82-0885

 

福岡市 欲しくなる木工雑貨を手作り 和白苑(わじろえん)

 

 人気商品はかわいらしい「ままごとキッチン」。蛇口のつまみが回るなど楽しめる工夫が満載。温もりがある木製で、角が丸くて安心。「色塗りが得意な人、やすり掛けが得意な人。利用者の皆さんの仕事が合体した当施設のメイン商品です」と、笑顔の小宮洋祐(こみや ようすけ)さん。いろいろな業務を請け負いながら、この施設のオリジナル商品を模索してきた中で、木工の雑貨づくりが生まれました。施設に隣接したショップ「和っしょい」での販売に加え、地域催事へ出店することで地元の皆さんと交流も。「同じものが2つとない一人一人の百点の出来のものが売れていくことで、社会参加する喜びが生まれたら」。小宮さんの言葉には、施設で働く利用者と分かち合う充実感にあふれていました。

木工細工の様子

ブラシを使ってきれいな色塗り

木工細工の様子

パーツを一つずつ丁寧にやすり掛け

 
 
オリジナル商品の写真
手作りマグネットの写真

手作りマグネットも1つずつ袋詰め

細かい工夫いっぱいの「ままごとキッチンDX」(写真左、12000円)。まごころ製品ショップ(ホームページ)でも購入可能

小宮洋祐(こみや ようすけ)さん

「地域と交流しながらステップアップしています」と小宮さん

 

和白苑

所在地 福岡市東区和白5-15-14

問い合わせ 電話092-605-5888 ファクス092-607-0886

 

福岡市 高品質の評価が大きな自信に アクト事業所

 

 市内のホテルや有名芸能人からもクリーニングの依頼があるアクト事業所。預かる一枚一枚を丁寧な手仕事で仕上げる品質が、高い評価を得ています。「障がいのある人それぞれの得意分野を生かして、自信をつけて働いてもらっています。シミ抜きやアイロン掛けなど技術的なこだわりはもちろん、集配や事務作業も全て分担しているんですよ」と、運営課長の橋本純太(はしもと じゅんた)さん。自信を持って働くことが自主性を育み、共に働く喜びがやりがいになる環境作りを大切にしています。集中して働いた後の休憩時間にはたくさんの笑顔が。「近い将来、障がいのある人だけで経営まで目指したい」という目標のもと、適材適所の仕事が連携した、お客さまが満足する一流のサービスが生まれています。

アクト事業所

所在地 福岡市東区松島2-3-36

問い合わせ 電話・ファクス092-624-0555

クリーニング後にきれいに包装されたシャツ
シーツの汚れをチェックする様子

シーツの汚れも丁寧な目視で確実に

テキパキときれいな包装を心がけます

 
アイロン掛けの様子

アイロン掛けも職人技

橋本純太(はしもと じゅんた)さん

「従業員の皆さんとのコミュニケーションを何より大事にしています」と橋本さん

 
 

「まごころ製品ショップ&デスク」をご利用ください

 

 福岡県では、障がいのある人が心を込めて作る製品や提供するサービスを「まごころ製品」と名付け、福岡県庁地下1階の「まごころ製品ショップ」で250から300種の商品を販売、提供しています。また、併設の「まごころ製品デスク」では、企業などからの発注をワンストップで受け付けています。ぜひお立ち寄りください。


まごころ製品ショップ&デスク

URLのQRコード
  • 所在地 福岡市博多区東公園7-7 福岡県庁行政棟地下1階南棟東端
  • 営業時間 9時から18時
  • 休館日 土曜・日曜祝日・年末年始
  • 問い合わせ 電話・ファクス092-632-7100
  • http://www.magokoro-ichiba.jp

「まごころ製品」大規模販売会

障がいのある人の自立と社会参加を応援する「第6回福岡県『まごころ製品』大規模販売会」を開催します。詳細は本誌の裏表紙をご覧ください。

ショップのなかの様子
「ラッキョウ」セルプちくほ(飯塚市)

「ラッキョウ」
セルプちくほ
(飯塚市)

「ストラップ」タイム(福岡市)

「ストラップ」
タイム
(福岡市)

「和紅茶」ワークスペース蓮(八女市)

「和紅茶」
ワークスペース蓮
(八女市)