〜田川・人財力育成プロジェクト〜
「ふくおか未来人財育成ビジョン」を掲げ、青少年の人材育成に取り組む福岡県。今回は、田川地域の中学生を対象に、将来さまざまな分野で活躍するリーダーを育成する「田川飛翔塾※」の取り組みについてご紹介します。
※福岡県・田川地域8市町村で構成する「田川広域連携プロジェクト推進会議」の「田川・人財力育成プロジェクト」の一環として、平成24年から毎年開催されている
4泊6日のサマースクールで、各界の第一人者の講師陣による講義や社会見学、体験ワークショップを通じて将来のリーダーとしての資質を磨いていく「田川飛翔塾」。今年は、田川地域の学校推薦を受けた31人の中学2年生が参加しました。
「田川飛翔塾」の特徴は、講義を終えるたびに6人程度の班でグループワークを行い、さまざまな問題の解決策などを探り、それを発表しあうことです。福岡県立大学などの学生スタッフがリーダーとして塾生たちの発言を引き出し、班ごとに意見をまとめるサポートをします。「英彦山青年の家」での合宿最終日、内田晃(うちだ あきら)北九州市立大学教授の「田川地域を読み解く」と題した講義が行われました。最後のグループワークが始まる直前に、「リーダーは各班から離れるように」との指示があり、どの班からも「エ〜ッ」と不安そうな声が上がりました。
「開塾5年目ですが、10年、さらにその先へと続けていきたい。大学生スタッフとして塾生が帰ってくる日は近いし、いつかは卒塾生の講師が生まれるといいですね」と内田教授
講師の話を聞き逃すまいと、
講義を真剣に聞く塾生たち
グループワークでは、リーダーとともに問題の解決策について話し合う
最後のグループワークのテーマは、「私たちが目指す未来の田川」。話し合いが始まると、塾生の表情から不安の色は消え、熱心な議論が交わされました。
「私はこれまで塾初日の講義を担当していましたが、今回初めて最終日の担当になりました。大学生スタッフが『塾生たちは毎日成長する』とよく話していますが、今日はその成長の跡を見ることができました」と、内田教授も活発な各班の話し合いに頼もしさを感じた様子。
自ら考え、他の人の意見を聞き、テーマを掘り下げ、目指すべきことを見つけていく。郷土について改めて思いを巡らせ、その未来を描く中で、リーダーに求められる資質をしっかりと身に付けていく「田川飛翔塾」。将来を担う人材を地域全体で育成する取り組みから、世界に羽ばたき、ふるさと・田川の未来を担う「人財」が生まれることが期待されます。
まだ出会って数日とは思えない一体感。真剣な議論を重ねた成果の輝く笑顔
(写真右から)
弓削田(ゆげた)中学校2年 江口海人(えぐち かいと)さん
伊田中学校2年 馬渡華音(まわたり かのん)さん
このコーナーでは、国際的な視野を持って、地域で活躍する福岡県出身の先輩から、子どもたちに向けてのエールを掲載します。
■今回の先輩
天神の水上公園に、7月に誕生した広場と新施設をデザインした建築家・松岡恭子さん。「『建物は総合芸術である』という言葉を知ったのが建築家を目指したきっかけ。建築家は、建物をどう形にするかだけでなく、建築に携わる人たちをゴールに向けて、リードしていく力も必要です。大変ですが、地元が豊かになるお手伝いができ、自分がデザインした空間で人々が楽しそうにしているのを見ると、やりがいと喜びを感じます。建築は、そのデザインで世界中の人とコミュニケーションが取れるいわば『海外へのパスポート』。どんどん外に出て視野を広げてほしいな」。
福岡県が策定したこのビジョンは、「学力、体力、豊かな心」、「社会にはばたく力」、「郷土と日本、そして世界を知る力」を育むための青少年育成策の方向を示しています。「郷土と日本、そして世界を知る力」を身に付けるためには、郷土と日本の歴史、文化、伝統などに対する理解を深めるとともに、広い視野を持って異文化を理解し、異なる習慣や文化の人々と共に生きていくための資質や能力を身に付けることが必要になります。
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