県内には、豊かな郷土色と昔ながらの
技法を守り継ぎながら、作り続けられている
伝統工芸品が数多くあります。
「県知事指定特産民工芸品」の中から、
これからの季節を涼やかに彩る
工芸品をご紹介します。
所在地 八女郡広川町太田428
電話0943-32-1141
ファクス0943-32-3500
奈良・平安時代、貴族がハレの日に来客をもてなすためにしつらえていた調度品・御簾(みす)。その流れを汲(く)むといわれる『八女すだれ』は、八女産の竹を原料に地元で作られていることや、足踏み織機を用いねじり編みという技法で織られていること、縁が手縫いされていること、といった特徴を持っています。
入念に節と色を揃えた竹ひごを、職人が1本1本向きを変えるなどして織機に差し込み、丁寧に織り上げていく八女すだれ。100年以上の歴史を持つ株式会社 鹿田産業(広川町)で、営業担当として25年、さらにすだれ職人として25年勤める椿和幸(つばき かずゆき)さんは、「真竹の節を生かした美しい波模様は国産すだれならでは。しかも純手織りは国内でも希少です」と言います。
「海外で注目されることで、あらためて日本人にもその価値を再認識してもらえるきっかけになれば」と話す鹿田和正(しかだ かずまさ)社長。「八女すだれを通して地域の、そして日本の伝統文化の素晴らしさを広く伝えたい」。その思いを胸に、伝統を守り継ぐだけでなく、海外へも販路を広げるなど挑戦を重ねています。
住まいと自然を隔てることなく仕切ることができるすだれには、昔ながらの日本人の知恵と美意識が息づいている
所在地 福津市宮司3-18-2
電話0940-34-5370
ファクス0940-34-5371
1400度もの溶解炉から、熱くアメ状に溶けた数種類の色のガラス生地を鉄製のパイプに繰り返し巻き取り、小気味よい手さばきで思い描く形へと作り上げていく。その見事な職人技の結晶ともいえる『福岡積層工芸ガラス』は、幾つにも重なる色ガラスと光の反射が織りなす豊かな表情が特徴です。透き通る鮮やかな色と美しい曲線は、人々の目を楽しませてくれます。
「伝統の技術を守りながら、常に今見る人に新鮮な感動を与えることができるデザインやモチーフを追求し続けています」。そう話すのは、有限会社マルティグラス(福津市)で工場長を務める杉岡良紀(すぎおか よしき)さんです。この道43年のベテランクラフトマンは「100年近く受け継がれてきた匠の技をともに継承し、発展させてくれる仲間を育てたい」と、後進育成への思いも語ります。
同じモチーフであっても、そこには作家それぞれの個性が映し出されるという福岡積層工芸ガラス。室温が40度を超える工房では、今日も杉岡さんをはじめ熟練の職人たちが一つ一つ丹精込めて手作りしています。
ヴェネツィアンガラス風に作られた金魚の置物。色使いが斬新
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