福岡県では、国際的な視野を持ち、地域で活躍する「人財」を社会全体で育むために、「ふくおか未来人財育成ビジョン」を策定しました。ビジョンでは、「学力、体力、豊かな心」、「社会にはばたく力」、「郷土と日本、そして世界を知る力」の3つの力を育むための、青少年育成策の方向を示しています。
青少年育成の第一弾として、みやこ町立黒田小学校が取り組んでいる「鍛えよう! ほめよう!」プロジェクトを紹介します。
黒田小学校の4年生から6年生が体験する「生き生き農業体験」プロジェクト。ゲストティーチャーを招いて行う農業プロジェクトの特徴は、本格的な手作業体験であること、そして体験の全体を通して子どもたちの自主性・主体性を大切にすることにあります。5年生は6月に手植えでの田植え、秋には鎌を使って稲を刈り、その稲を束にして天日干しの干し場にかけるまでの作業に、みんなで汗を流します。
黒田小学校6年生の3年間の調査では、回を重ねるごとに「自尊感情 ※2・学ぶ意欲」のポイントが向上し、成果が見えた
※1 …児童生徒理解のための尺度調査ツールのこと
※2…自分には価値があり、尊敬されるべき人間であると思える感情
平成20年から続く黒田小の農業体験は、前年に刈り取った稲から「もみ種」を採り、次の年へと引き継がれています。指導にあたる小松義広(こまつ よしひろ)さんは、「先輩から後輩に引き継ぐ責任感も生まれますし、身をもって生命のつながりを学ぶこともできます。また意味も分からずにするのと、理解してからするのでは達成感も違います」。特に田植え前の授業では、「おにぎり一つで3日間生きられる。でも、それが食べられない国もある」と、お米に関する話に熱が入ります。子どもたちの表情も真剣そのものです。
秋に収穫したお米は、11月の「黒田小学校こふん祭り」でカレーライスにして、自分たちで味わい、保護者や地域の方にも食べてもらいます。残りはお祭りで販売され、そこで得た収益金は東日本大震災の年には募金をするなど、毎年クラスで話し合って使い方を決めます。地域の方々からほめられることが励みになり、「来年は今年よりもたくさん収穫したい」など、子どもたちはこれからの活動に意欲満々。国際理解や社会参加などにもつながる農業体験は、子どもたちの未来を大きく広げています。
昨年米づくり体験をした二人
ゲストティーチャー・小松義広さん
黒田小学校PTA会長を経て現顧問。学校評議員も務める。同校の卒業生
作った野菜やお米は「黒田小学校こふん祭り」でも大好評。地域の人たちに喜んでもらったり、ほめられたりすることで、子どもたちのやる気につながっている
このコーナーでは、国際的な視野を持って、地域で活躍する福岡県出身の先輩から、子どもたちに向けてのエールを掲載します。
■今回の先輩
新元素113発見の
(北九州市出身)
すべての物質を作る基本の構成要素である元素。森田先生は、113番目となる元素を発見し、新元素の命名権をアジアで初めて獲得した研究チームのリーダーです。「条件が同じならば、科学は必ず同じ結果が出ます。だから、条件が同じかどうか確認をしながら、仲間と互いに信じ合い、一緒に結果を待ちました。発見には、9年もかかりました。子どもの頃から理科が大好きで、大好きだからこそ頑張れました。周期表で、日本の研究者が発見した元素を見て、理科好きの子が増えると、うれしいな」。
子どもの学ぶ意欲や自尊感情、向上心やチャレンジ精神など、子どもが自律的に成長するための原動力となる資質の育成を推進する「鍛えよう!ほめよう!」プロジェクト。この取り組みでは、学校教育での指導方法として「鍛(きた)ほめ福岡メソッド」が展開され、鍛えて、ほめて、子どもの可能性を伸ばす活動が、学校、家庭、地域の連携のもと行われています。
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