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2016 秋号 AUTUMN 通巻584号 平成28年9月20日発行(季刊)
発行 / 福岡県 県民情報広報課

 
 
 
人づくりは未来づくり

大自然の中で、
人間力を学べ!

 

星と夢キャンプ

〜星の村チャレンジキャンプ&ラフティング〜

「ふくおか未来人財育成ビジョン」を掲げ、青少年の人材育成に取り組む福岡県。今回は、「ちくご子どもキャンパス※」の一環で、子どもたちが社会にはばたくための力を育む「星と夢キャンプ」の取り組みについてご紹介します。

※自然豊かな筑後全体を「子どもの大学(学びの場)」に見立てた事業。自然学習や農業体験など、多彩なプログラムが用意されている(筑後田園都市推進評議会主催)

 
 

体験を通じて感じる、力を合わせる大切さ

 

 八女市星野村を拠点に行われる9泊10日の「星と夢キャンプ」。「さぁ、行くよ」「1班、集まれ」「2班は、こっち」。まだキャンプ2日目ですが、登山口でも、沢登りの起点でも、指導者の声に子どもたちは班でしっかりまとまって動きます。

 今年の参加者は、小学5年生から中学生までの5班27名。福岡、北九州都市圏の子どもが多く、ほぼ全員が初対面です。「『みんなで協力しよう』と言っても伝わるとは限らない。みんなで力を合わせないと山頂に行けない、ゴールに着けないことを体感して初めて、『これが協力ということなのか』と分かるんです」と、キャンプ主催者の石川信男(いしかわ のぶお)さんは笑顔で話します。

ラフティング体験の様子

笑顔こぼれるラフティング体験。慣れないオールにあたふた

 
星野川の沢登りの様子

「きゃー、冷たい」歓声で始まった星野川の沢登り。速く厳しい流れに足を取られないように年長者がフォローしながら前進

 

身に付けてほしいのは「思いやりの心」

 

 「2泊程度のキャンプは楽しいだけで終わりですが、9泊10日となると、途中でうまくいかずに仲間とぶつかり、精神的にくじけそうになる場面が必ずある。そこを乗り越えられると、本当の仲間になれます」。ラフティング体験をはじめ、本格的なチャレンジが並ぶ「星と夢キャンプ」ですが、体力以上に精神力や社会性を身に付けることを大切にしています。また、陶芸・皮細工体験、天体観測などもあり、それぞれの子どもが得意なことを見つけて自信が持てる工夫も盛り込まれています。

 「キャンプを通じ、子どもたちに一番学んでほしいのは『思いやりの心』。自分だけが楽しくてもダメ。つまらなそうにしている人がいたら、そんな時どうすればいいか。さらには、全員が楽しくなるにはとも考えてほしい」と話す石川さん。最終日の前夜、手作りのキャンドルの灯に照らされた子どもたちはひと回り成長し、どの顔も自信に満ち溢れています。

山頂での記念撮影写真

みんなの表情にも達成感が溢れる石割岳(941.5メートル)登山の山頂記念撮影

 
石川信男さん

「かつての参加者が、スタッフとして戻ってきてくれているのもうれしい」と石川信男さん(自然体験クラブHoshino Nature’s Way)

 
 
「自然体験」と「人間関係能力」の関係(成人調査)

子どもの頃の自然体験が豊富なほど、大人になってから、あいさつや初対面の人とすぐ話ができるなど「人間関係能力」が高いという研究結果も

※数値は「あてはまる」と回答した数の合算

「自然体験」と「人間関係能力」の関係を示すグラフ

出典:国立青少年教育振興機構「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書(平成22年10月),p97

参加した子どもたちの声。写真右の太田帆香(おおた ほのか)さん「下の学年の人を支えてあげたい」。写真左の安井優(やすい ゆう)君「山登りはきつかったけど気持ちよかった」。

(写真右から)3回目の参加となる太田帆香(おおた ほのか)さん、友だちと初参加した安井優(やすい ゆう)君

 
 

先輩が教える 未来づくり

このコーナーでは、国際的な視野を持って、地域で活躍する福岡県出身の先輩から、子どもたちに向けてのエールを掲載します。

 

今回の先輩

KOO-KI
江口(えぐち)カン監督

KOO-KI 江口(えぐち)カン監督

 国内外の賞に輝く数多くの映像作品や、東京五輪招致国際PR映像を手がけた江口カン監督。「いたずらばかりして、5分に1回は先生に注意されるような子だった。オモシロイことをいつも探していた僕は、オモシロイ映像をつくるという好きなことを仕事にした。好きなことなら、一生懸命やってもイヤにならないと思ったから。それでも苦しい時はある。それは、どんなに一生懸命やっても、自分よりもすごい人がいると気付いた時。でも好きだから、少しでも一番に近づきたくて頑張る。そうしていると、一生キラキラと輝いていられるんだ」。

 
 
 

ふくおか未来人財育成ビジョン

 

 福岡県が策定したこのビジョンは、「学力、体力、豊かな心」、「社会にはばたく力」、「郷土と日本、そして世界を知る力」を育むための青少年育成策の方向を示しています。「社会にはばたく力」を身に付けるためには、困難な課題に対し、自分の知識や経験を生かしながら、深く考え抜くことが重要です。異なる価値観や個性を持つ人たちとの相互理解を深め、共感しながら、課題解決へと導く力を身に付けることが必要になります。