今年で16回目となったサニックスワールドラグビーユース交流大会。今年は海外および日本国内から招待された高校生世代の計24チームが参加し熱戦が繰り広げられた
「ラグビーがあるけん福岡たい」
東福岡高校ラグビー部の藤田雄一郎監督は少し笑い、ぼそっと漏らした。そう、福岡はラグビーの熱狂地帯なのである。今年、ヒガシ(東福岡高校)は大優勝旗を持って、JR博多駅に凱旋した。群衆の拍手が今も耳に残っている。
「もう感無量でした。大優勝旗が関門海峡を渡るのはすごいこと。福岡のレベルの高さを証明できました」
ラグビーは1920年ごろ、東邦電力(現在の九州電力株式会社、西日本鉄道株式会社の前身)九州支店に配属された慶應義塾大学OBの若手社員によって九州に伝えられた。1924年、旧制福岡中学校(現・県立福岡高校)にラグビー部が誕生し、翌年の1925年には旧制中学修猷館(現・県立修猷館高校)ラグビー部が生まれた。
福岡高校ラグビー部の森重隆監督は言う。
「ラグビーは格闘技的要素が強いから、福岡県民の気質に向いていたんでしょ。指導者が熱心だから、チームが増え、レベルも上がった」
ラグビーは15人でチームを編成するスポーツで、それぞれのポジションに異なった役割がある。楕円球を持てば、ラン、パス、キックを自由に選び、仲間とトライを目指す。プレーする上で大事なことは献身と勇気。その象徴が、体を張るタックルである。福岡のラグビーはタックルが命。
4月29日から5月6日にかけて、世界各地から高校生の強豪チームが参加する「サニックスワールドラグビーユース交流大会」が宗像市のグローバルアリーナで開催された。
「こらぁ、タックルせんか」
スタンドから目の肥えたファンの声が飛ぶ。ヒガシの藤田監督もタックルを大事にする。モスグリーンのジャージのヒガシが、えんじ色のジャージの南アフリカチームの猛攻に耐える。
藤田監督が言葉に実感を込める。「下手でもいいから、ガツガツ向かっていくのが、ラグビーの本質と改めて感じました」