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グラフふくおか 2014春号 spring 通巻574号平成26年3月20日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

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協働のススメ

県では、NPO・ボランティアや企業、行政など、多様な主体の「協働」による“新しい共助社会”づくりを進めています。このコーナーでは、毎号、新しい共助社会づくりに取り組む皆さんをご紹介します。

写真:まちの「色」を探したクレヨンづくりのワークショップ様子
クレヨンはかつて三池炭鉱専用の鉄道で使われていた電気機関車の赤や、有明海の青などの全6色。黒には石炭の微細粉を混ぜ制作した

歴史を後世に語り継ぎ、誇りと愛着を持てるまちに

県境を超えて手をつなぐ炭鉱のまち

 かつて日本一の出炭量を誇り、明治、大正、昭和の日本を支えてきた三池炭鉱とともに歩んできた大牟田市。その価値ある歴史を掘り起こし、市民の誇りとして皆で育んでいきたい─。

大牟田市の呼びかけに、同じ志を持つ「NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ」、「大牟田美術協会」、隣接する熊本県荒尾市の「万田坑ファン倶楽部」が集まり、平成23年10 月に発足したのが「三池炭鉱掘り出し隊」です。

 掘り出し隊では、三池炭鉱の関連資産群を後世に残そうと、定期的に資産群周辺の草刈りを行ったり、ウォーキングイベントの実施やサイクリングマップの作製など、県の枠を越えてPR活動に取り組んでいます。「一年後には、市民の皆さんと世界遺産登録の喜びを分かち合いたい」と、「NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ」理事の平島勇夫さん。世界遺産登録への推薦が決定したことで、さらなる活動への連帯感も深まっています。

写真:「炭鉱のまちの色を探そう〜三池炭鉱のクレヨンづくり〜」ワー
クショップの様子
「炭鉱のまちの色を探そう〜三池炭鉱のクレヨンづくり〜」ワークショップの様子
写真:三池炭鉱のレンガ、三池山、有明海をイメージした香り袋(サシェ) 三池炭鉱のレンガ、三池山、有明海をイメージした香り袋(サシェ)

みんなでつくる商品でまちを元気に

 郷土が持つ魅力を幅広い世代に伝えたいと、平成23年度に企画した「色と香り」をテーマにしたユニークなワークショップ。まちの「色」を探したクレヨンづくりでは、大牟田市内の中学生や市民と一緒に三池炭鉱をイメージした6色を作成。また、高校生と行った「香り」づくりでは、3種類のおしゃれな香り袋が形になりました。
   『灰色』の印象がつよい『炭鉱のまち』ですが、参加者と資産群を巡り、歴史や自然に触れてもらうことで、今まで気づかなかったまちの良さを知ってもらえたと思います」と話すのは「大牟田美術協会」事務局長の奥苑和司さん。
 「世界遺産になることがゴールではないんですよね。ここに暮らす一人一人に故郷の資産群を大切に受け継いでいきたいと思ってもらえるように、皆でアイデアを出し合って楽しい仕掛けをもっと作っていきたい」と、平島さんも意気込みます。
 徐々に活動の認知度も高まり、張り切る掘り出し隊の皆さん。つながる想いが、まちに新しい風をふき込んでいます。

写真:復元した炭鉱マンの作業服
炭鉱マンの作業服の復元を通して人の輪を広げたいと意気込む。また、昨年の「夏祭り大蛇山」では約20人が参加し、炭坑節を踊った
写真:三池かるた公募した読み句をもとに、大牟田美術協会が絵札を描いた「三池かるた」も根強い人気
※クレヨンと香り袋は、「NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ」で購入できます
NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまち
ファンクラブ理事
平島勇夫さん

人々の中にある炭鉱の記憶を後世に伝えていく趣旨で設立し、今年で13年目を迎えます。宮原坑では映画の上映会、ライトアップイベントなども催し、三池炭鉱の資産価値を伝えています。
万田坑ファン倶楽部 顧問
堀内敏彦さん

会員数35人のうちガイドは14人。私自身も炭鉱マンでしたから、ガイドの要請があれば万田坑だけでなく宮原坑などへも出向くなど、県の枠を越えお互いに力を合わせています。学校教育にも取り入れられ、今や子どもたちの方が郷土について詳しいんですよ。
大牟田美術協会 事務局長
奥苑和司さん

活動60周年を迎え、会員数は約200人。万田坑のお祭りでは、子どもを対象にスケッチ大会を開催しました。町の風景を描く機会を作ることで、子どもたちの心に郷土愛が芽生え、歴史の勉強にもなっているようです。
大牟田市役所 生涯学習課
田中優子さん

各団体の高い専門性や特技、ネットワークを生かすことで、市民への啓発に貢献していただいています。今後も一緒にまちを盛り上げていきます。
写真:NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ理事 平島勇夫さん 写真:万田坑ファン倶楽部 顧問 堀内敏彦さん 写真:大牟田美術協会 事務局長 奥苑和司さん プラス 写真:大牟田市役所 生涯学習課 田中優子さん

問い合わせ 福岡県NPO・ボランティアセンター ☎092-631-4411 福岡県 NPO