日本は、西洋以外の地域で初めて、幕末から明治期という、極めて短期間のうちに近代工業化を果たし、飛躍的な発展を成し遂げました。その原動力となったのが、九州・山口および関連地域における「造船」「製鉄・製鋼」「石炭」産業の技術革新です。
福岡県では、関係自治体と連携し、技術立国・日本の礎を築いたこれら一連の資産群を、未来に残すべき遺産として、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の名称で、平成27年の世界遺産登録を目指しています。
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6-2、6-3 三菱重工業株式会社長崎造船所
8-1、8-2 新日鐵住金株式会社八幡製鐵所
- 萩反射炉
- 恵美須ヶ鼻造船所跡
- 大板山たたら製鉄遺跡
- 萩城下町
- 松下村塾
- 6-1
- 6-2
- 6-3
- 6-4
- 6-5
- 6-6
- 6-7
- 6-8
- 小菅修船場跡
- 三菱長崎造船所 第三船渠
- 三菱長崎造船所 ジャイアント・
カンチレバークレーン
- 三菱長崎造船所 旧木型場
- 三菱長崎造船所 占勝閣
- 高島炭坑
- 端島炭坑(軍艦島)
- 旧グラバー住宅
- 三池炭鉱・三池港(宮原坑、
万田坑、専用鉄道敷跡、三池港)
- 三角西(旧)港
- 官営八幡製鐵所(旧本事務所、
修繕工場、旧鍛冶工場)
- 遠賀川水源地ポンプ室
世界遺産とは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が、「国境を越えて人類が共有し、次世代へ受け継いでいくべき価値がある」と認めた遺産のこと。建造物や遺跡などの文化遺産、自然や生物などの自然遺産、それら両遺産の特徴を持つ複合遺産があり、日本では、富士山や平泉など13件の文化遺産と、北海道の知床や小笠原諸島など4件の自然遺産が登録されています。
高度な技術と美意識を併せ持ち、世界から「ものづくりの国」と高く評価される現代の日本。その礎を築いたのが、幕末から明治期にかけて行われた近代工業化です。鎖国状態にあった江戸時代を経て、西洋諸国に門戸を開き、日本は「富国強兵」「殖産興業」の政策を推進しました。西洋の先進国の書物、機械を輸入し、日本の伝統的な匠の技と融合させ、試行錯誤を繰り返す。その最たる例が、「造船」「製鉄・製鋼」産業と、その燃料である「石炭」産業の技術革新です。
日本が成し遂げたこの近代工業化を、現存する建造物などによって証言しているのが「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」です。
構成資産は、九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島)・山口を中心に、静岡県や岩手県に立地し、全国8県11市に分散しています。それぞれが、相互に結びついた密接な関係性から「一つの価値ある資産群」として、今年1月、政府から、ユネスコに世界遺産登録に係る推薦書が提出されました。