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グラフふくおか 2015春号 spring 通巻578号平成27年3月11日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

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特集 みんなで育む、農林水産業

応援しよう! ふくおかの農林水産業

地産地消でエール!
 地域でとれた農林水産物をその地域で消費する「地産地消」。安全・安心・高品質な食材や木材を提供することにより県民の生活を支えるだけでなく、県内の農林水産業を元気にすることで、豊かな自然環境を守り育てることにもつながる大切な取り組みです。
 平成23年から始まった「ふくおかの農業応援団」。農林水産業や農山漁村に触れながら食育や地産地消を学ぶ体験ツアーに参加できる「農業応援ファミリー」は、今や登録数が2万2000世帯を超えています。また、県内の農林水産物を使用した料理などを提供する「農業応援の店」も900店を突破しました。「生産者から直接届けてもらう農作物もある」という「ビストロサイダ」(福岡市)のオーナーシェフ・才田隆司さんは、「県産の野菜は産地が近いので、どれも鮮度が高くて味もおいしい。これからもできる限り地元の食材を使って、農業を応援できれば」と話します。
 また、県では木材と親しむウッドフェスタの開催や県有施設の木造化など、木育や木材の地産地消にも力を入れています。
写真:「ビストロサイダ」(福岡市)福岡市にある「ビストロサイダ」はオープンして4年目の人気店。野菜を中心に、県産の農産物がさまざまな料理に生かされています
写真:「つやざき漁港食堂 空と海」料理長の三浦睛久さん飲食店や直売所で、県産の水産物を積極的に提供する「ふくおかの地魚応援の店」も増加中。「天然ものの新鮮な地魚を中心に、刺身や丼を提供しています」と語る、福津市「つやざき漁港食堂 空と海」料理長の三浦睛久さん
写真:九州大学伊都ゲストハウス多目的ホール県産材をふんだんに使用した九州大学伊都ゲストハウス多目的ホール
写真:牡蠣の体験ツアーの様子牡蠣の体験ツアーの様子。食べることや知ることから応援が始まる
写真:木工教室の様子木工教室で木のぬくもりを学ぶ
企業からのエール!
 県では、県産の農林水産物を社員食堂や贈答品に積極的に利用して、県内の農林水産業を応援する「ふくおかの農業応援団体」も募集中。また、農作業や里山保全などの協働活動に向け、都市の企業と農山村地域をマッチングする「農山村との絆」モデル事業も推進しています。株式会社技術開発コンサルタント(福岡市)も地域との交流や共助活動に取り組む会社のひとつです。
写真:株式会社技術開発コンサルタントの木原泰信社長株式会社技術開発コンサルタントでは、うきは市の休耕田でソバを栽培。「休耕田の活用は全社員で社会貢献に参加する良い機会にもなります」と語る木原泰信社長
写真:共助活動の様子共助活動の一環として、昨年10月には本社ビルでうきは市の野菜を販売、近隣の方にも好評でした
若者に、女性に。未来の担い手を応援
 農林水産業を元気にするためには、担い手の確保・育成も重要です。中でも、女性や若者の新規就業者の活躍に期待が高まっています。
「林業に携わるまではずっと事務系の仕事をしていた」と話すのは、福岡県広域森林組合の伊藤里美さん。子育てが一段落して始めた3カ月限定の仕事がきっかけで林業の世界にすっかり魅了された伊藤さんですが、体力や腕力が必要な現場だけに力不足を感じるときも。だからこそ「自分ができる精いっぱいの努力をしたい」と、現場作業の傍(かたわ)ら、適正な森林管理を行う「森林施業プランナー」の資格取得も目指しています。
写真:福岡県広域森林組合の伊藤里美さんまだまだ女性が少ない林業の世界で日々間伐(かんばつ)作業に奮闘中。「子どもたちも応援してくれる」とほほ笑む姿に母親の顔がのぞきます
写真:久留米市であまおうを栽培する中村由美さん6棟のハウスを夫と二人三脚で管理。こだわっているのは「どこから食べても甘いイチゴに育てる」こと。「将来は加工などにも取り組めたらいいですね」と、中村さん
 久留米市であまおうを栽培する中村由美さん。会社員だった夫とともに「もっと家族の時間が大切にできる仕事を」とUターン就農を決意しました。中村さんの実家はイチゴ農家ですが「まったく継ぐつもりがなかった」ので経験が乏しく、「何も分からないところからのスタートでした」と当初を振り返ります。栽培からパック詰めまでを夫婦二人で切り盛りするのは大変ですが「納得できるイチゴが収穫できた時の手応えはひとしおですよ」と話します。
写真:「株式会社藍島ぶらんど倶楽部」の皆さん
地元の農林水産物を使い商品開発・販売までを行う「6次産業化の取り組み」でも女性パワーが目立ちます(写真は「株式会社藍島ぶらんど倶楽部」の皆さん)
写真:福岡県農業大学校の学生たち「消費者に喜んでもらえる農作物を作ることが目標」と夢を語る福岡県農業大学校の学生たち
 また、本県の農業を担う新規就農者を育成する「福岡県農業大学校」では、技術習得のため、学生たちが毎日、実習などに励んでいます。
 さらに、県では新たに農林水産業を始めたい方を対象に相談窓口を開設したり、就農講座を開講したりするなどの就業支援を推進。加えて、女性の視点を生かした農業経営への参画促進などにも取り組んでいます。
研究開発面から支える
 県には、「農林業総合試験場」「農林事務所普及指導センター」など、調査・研究開発を通して農林水産業の振興をサポートする機関があります。そのひとつ「水産海洋技術センター豊前海研究所」では、豊前海の環境保全や資源管理に関する調査・研究だけでなく、水産物のブランド化なども幅広く手がけています。アサリの稚貝育成器「かぐや装置」の開発では、全国トップクラスの低コストと簡便さを実現しました。「漁業者の経営安定を応援することが私たちの使命」と、さらなる改良に今日も励んでいます。
写真:担当の大形さん竹筒のようなかごの中で稚貝を育てることから命名された「かぐや装置」。担当の大形さんは「近年不漁が続くアサリ漁復活を願って、研究を重ねたい」と語ります