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グラフふくおか 2014冬号 winter 通巻577号平成26年12月20日発行(季刊) 発行 福岡県 県民情報広報課

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水素・燃料電池の先進エリア福岡県

特集 水素・燃料電池で、私たちの明日が変わる。

写真:小型製品から大型製品まで、目的に応じた20の試験室を完備した施設センサー、バルブなどの小型製品から、FCV用のタンク、水素ステーション用のタンク(長さ6m、直径80cm)などの大型製品まで、目的に応じた20の試験室を完備
写真:世界最大・最高水準の設備を擁する大型水素容器試験施設「CRADLE(クレイドル)棟」世界最大・最高水準の設備を擁する大型水素容器試験施設「CRADLE(クレイドル)棟」
写真:通常値の約4倍もの圧力を加えてようやく破壊された容器 通常値の約4倍もの圧力を加えてようやく破壊された容器。通常の使用においての安全性を証明するため、このような破裂実験も行っている
写真:HyTReCの渡辺センター長HyTReCの渡辺センター長(「CRADLE棟」の環境温度圧力サイクル試験室にて)
HyTReC(ハイトレック)世界最高水準の水素関連製品の試験機関

2010年3月に開設。水素関連製品の性能評価試験を行う全国初の公的施設。さまざまな水素関連製品の耐久性試験や共同研究開発を通して、中小・ベンチャー企業の新産業への参入を支援する

写真:公益財団法人 水素エネルギー製品研究試験センター
公益財団法人 水素エネルギー製品研究試験センター
糸島市富915-1 ☎092-321-2911
http://www.hytrec.jp/
写真:HYDOROGENIUSの杉村センター長HYDOROGENIUSの杉村センター長(水素環境摩擦試験を行う実験室にて)
HYDROGENIUS(ハイドロジーニアス)世界トップレベルの水素研究の拠点

水素利用技術に関する世界トップレベルの研究者が国内外から結集し、水素脆化(ぜいか)(水素により鋼材の強度が低下する現象)などの先端研究を行う

写真:国立大学法人 九州大学 水素材料先端科学研究センター
国立大学法人 九州大学
水素材料先端科学研究センター
福岡市西区元岡744 ☎092-802-3924〜3926
http://hydrogenius.kyushu-u.ac.jp/
写真:NEXT-FCの佐々木センター長NEXT-FCの佐々木センター長(九州大学水素ステーションにて)
NEXT-FC(ネクスト・エフシー)産学連携で次世代燃料電池を開発

産学連携で、次世代型燃料電池の課題解決、早期実用化を推進する研究拠点施設

写真:国立大学法人 九州大学 次世代燃料電池産学連携研究センター
国立大学法人 九州大学
次世代燃料電池産学連携研究センター
福岡市西区元岡744 ☎092-802-3303
http://fc.kyushu-u.ac.jp/
その他の取り組み

世界フォーラムの開催

写真:世界フォーラムの開催

世界トップクラスの水素関連の研究者が福岡・九州大学で最新の研究成果を発表

燃料電池バス

写真:燃料電池バス

九州大学、北九州の2つの実証用水素ステーションを用いて、将来の営業利用を想定した走行実証を実施

福岡水素エネルギー
人材育成センター

写真:福岡水素エネルギー人材育成センター

水素関連の人材を育成する機関としては国内唯一。水素・燃料電池関連企業や新規参入を目指す技術者が対象

北九州・福岡水素タウン
写真:北九州・福岡水素タウン

水素エネルギー社会を目で見える形で示すモデル地区

 福岡県は2004年に産学官連携組織である「福岡水素エネルギー戦略会議」を設立し、社会実証、研究開発、産業化などの取り組みを柱とする「福岡水素戦略(Hy‐Lifeプロジェクト)」を推進してきました。
 研究開発の分野では、九州大学の「水素材料先端科学研究センター(HYDROGENIUS)」と「次世代燃料電池産学連携研究センター(NEXT‐FC)」が中心的な役割を担っています。
 産業化に向けては、全国初の水素関連製品の公的試験機関である「水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)」を2010年に開設。2014年の4月には大型水素貯蔵タンクの試験ができる「CRADLE棟」が完成し、世界最高水準の試験施設を備えた試験機関となりました。
 さらに、福岡県では県内企業を対象に、水素関連製品の開発支援や、水素産業への参入支援を行っています。
 また、糸島市の住宅地に家庭用燃料電池「エネファーム」150台を集中設置した世界最大規模の「福岡水素タウン」、製鉄所の副生水素を、パイプラインで直接市街地に供給するという世界初のモデル地区「北九州水素タウン」では、実生活で水素を利用する社会実証を展開してきました。さらに、福岡市の九州大学伊都キャンパスと北九州市八幡東区の県内2カ所に実証試験用の水素ステーションを設置し、FCVの走行試験なども行ってきました。
 このように、水素・燃料電池に関連する一連の最先端専門施設が整い、開発から運用までの取り組みが充実している地域は他になく、福岡県は水素・燃料電池の先進地として世界からも注目されています。
 研究開発面で主軸を担ってきた「HYDROGENIUS」の杉村丈一センター長は「水素エネルギー研究の世界的な拠点として、当たり前のように安心して水素エネルギーが使える社会の実現に研究面で貢献したい」と話します。また、「NEXT‐FC」の佐々木一成センター長は、「水素エネルギー社会の実現には、社会システムそのものの変革が必要です。そのためにも水素を蓄エネに活用する取り組みも進めていきたい」と意欲に燃えます。「HyTReC」の渡邊正五センター長は「福岡県ならではの環境を生かし、安全性の向上とコスト低減に力を尽くして、地元をはじめ、国内の企業を応援していきたい」と熱く語ります。

 福岡県がその将来性に着目した10年前、まだ未来予想図を描く段階だった水素エネルギー社会。FCVの市場投入という一つの節目を迎えた今、産学官民が連携して、水素・燃料電池の実用化と産業化を福岡からリードしていきます。